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  4. ワリオランド3 不思議なオルゴール
≫ワリオランド3 不思議なオルゴール
■発売元 任天堂
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 3990円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 1つ+中断1つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■その他 ゲームボーイカラー専用(※カラー以前のゲームボーイでは遊べません、ワリオのおしゃれシール付属
■総説明書ページ数 28ページ
■推定クリア時間 10〜11時間(エンディング目的)、30〜35時間(完全攻略目的)
ある晴れた日、ワリオは飛行機で空中散歩をしていた。しかしその最中、エンジントラブルが発生。ワリオは飛行機もろとも、森の中に墜落してしまった。

打たれ強いワリオはそのトラブルから早く脱するべく、周囲の探索を開始。
やがて小さな洞窟を発見し、その中で素敵なオルゴールを発見する。
しかし、どういう訳かネジを回しても音はならない。
壊れているのかとワリオが思ったその時、突然オルゴールがまばゆい光を発する。

そして気が付くと、ワリオはオルゴールの中の不思議な世界に降り立っていた…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ステージクリア型と探索型を絡み合わせた、独特且つ前作とは毛色の異なる手応えに富んだゲームシステム
◆裏の裏をかく予想外の展開でプレイヤーを翻弄する、先の読めなさ全開のレベルデザイン
◆時間経過による地形変化、ワリオの能力強化で開かれる道と言った要素の導入によって、前作以上に密度、やり応え共に濃いものになったコース構成
◆前作同様、ありそうで無かった設定と唯一無二のゲーム性で楽しませてくれる不死身システム
◆市街地、城、断崖、更には異次元空間と何でもあり感が炸裂したコースロケーション
◆特定状態でないと解けない謎解きの追加で、より魅力が強化されたリアクションシステム
◆シリーズ最高の密度と遊び応えを誇る、圧倒的な総計ボリューム
◆前作と変わらぬ豪快さと動かす気持ちよさに富んだワリオのパワフルアクション
◆リアクションの操作ガイド追加、向かうべきコースの指示など、より親切なものへと進歩を遂げた救済処置全般
◆前作譲りの軽快な挙動と適度なスピード感で爽快な手応えを提供する、良好な操作性
◆難し過ぎず優し過ぎずの絶妙な難易度でまとめられた珠玉のゲームバランス
◆カラー専用の恩恵により、鮮やかになったグラフィック(エフェクト周りも強化)
◆ノリの良い曲が増え、臨場感が大幅に強化された音楽(特にボス戦は前作以上に盛り上がる)
◆地味に凝った作りで、やり込み甲斐もあるミニゲーム『ゴルフ』
◆レベルデザインの作風を反映した、意外性に富んだストーリー

--- Bad Point ---
◆前作同様、1つしか作成できないセーブデータ(せめて2つ確保して欲しかった)
◆前作同様、ドアなどに入った際に決まって途切れる音楽(ただ、少しだけ処理は早くなった。)
◆存在意義不明、使用機会にも全く恵まれない謎の新リアクション『感電』
◆不死身システムの「絶対死なない」という特徴故の緊張感とスリルの無さ
◆入手した宝物のアイコンを表示しただけの味気ない一覧表示画面(説明付きだと良かった)
◆存在意義不明の『英語モード』(しかもゲーム開始時にしか選択不可能という謎の仕様)
▼Review ≪Last Update : 12/25/2011≫
不死身のワリオ伝説、ここに終焉す!?

真相はゲーム本編で!


前代未聞の不死身システムによる独特のゲーム性で話題を呼んだ『ワリオランド2 盗まれた財宝』の続編にして、ワリオランドシリーズ第四弾(※バーチャルボーイの『ワリオランド アワゾンの秘宝』をカウント)。前作とは異なり、ゲームボーイカラー専用ソフトとしてリリースされた。

前作以上に高密度な内容へと進化を遂げた、ワリオランドシリーズ屈指の傑作だ。

ゲーム内容は前作『ワリオランド2』とは180度異なるものに刷新されている。基本こそ横スクロールのステージクリア型アクションゲーム。ワリオを操作し、舞台となる『不思議なオルゴール』内の各エリアごとに点在するコースの攻略に挑むというものである。ただ、ステージクリア型でありながら、本編は単純にゴールを目指せば良いだけの一本道の内容にはなっていない。というのも、今作では各コースにゴールが全部で4つ存在。そのいずれかに到達するのが目的という、特殊な構成になっているのだ。
具体的に解説していくと、今作におけるプレイヤーの目的は、コース内に隠された宝箱の鍵を回収し、それを用いて宝箱を開け、中の宝物を回収する事。つまり、宝箱が今回で言う所のゴールとなっている。この宝箱は1つのコースに4つ隠されており、その内の1つを回収すると自動的にコースクリアとなる。この仕様から既に明らかだが、1回のプレイで4つ全ての宝箱を開ける事は不可能。1つだけしか開ける事はできない仕組みになっている。 何故、このような仕様なのかは、宝箱を開ける『鍵』にある。基本的に宝箱はそれぞれ色が付けられていて、その色に対応した鍵を回収する事で開けられるようになる。しかし、この鍵というのが最初に回収する1つ目を除き、大半が初回プレイでは到底回収できない場所に置かれている。どんなアクションを使おうとも、絶対に回収できないのである。では、どうやって2つ目以降の鍵を回収するのか?それは非常に単純な事で、現時点で回収できる鍵を手に入れて宝箱を開け、中身(宝物)を回収すれば良いだけ。先ほど、宝物を1つ回収すれば自動的にコースクリアになると解説したが、今回の宝物は回収する事により、マップ地形に変化を起こしたり、ワリオの身体能力を強化させると言った特殊な効果を発揮する。これにより、2つ目以降の鍵に繋がる道が徐々に開いていくようになっているのだ。
今作ではこの宝物の回収による地形、ワリオ自身の変化を繰り返しながら本編が展開していく。任天堂の他のゲームで言えば、『メトロイド』シリーズそっくり。ある意味、ワリオ版メトロイドと言っても何ら不思議でない、マップ探索に軸を置いた密度濃い目の内容になっているのである。ただ、今作はコースクリアという区切りが存在するのが最大の特徴。広大なマップを淡々と探索していくメトロイドとは異なり、ステージをクリアする感覚で各コースを調べていくので、探索型アクションに馴染みの無い方でも取っ付き易いゲームデザインとなっている。
かと言って、1つのコースで全ての宝物を回収すれば次のコースへ、というステージクリア型特有の予定調和な構成になってないのがミソ。回収した宝物がそのコースの2つ目以降の鍵に繋がる道を開くきっかけとなる、という予想通りの展開には滅多にならず、別の新しいコースが現れたり、違うコースに地形変化が起きると言った予想を大きく裏切る展開が連続する構成になっているのである。気が付けば、まだ1つしか宝物を回収してないのに、5つ先のコースまで来てた、なんて事もしばしば。徹底してプレイヤーを翻弄させてくる。また、そんな探索に更なる深みと混乱を及ぼす要素として『昼夜の概念』というのもあり、昼では進めない道が夜だと進めるようになると言った、これまた頭を悩ますような展開と仕掛けまでもがプレイヤーに襲い掛かってくる。無論、昼と夜では敵のラインナップも違ったりするので、違った攻略テクニックが求められるのは当たり前。
1つのコースに4つの宝箱、二つの顔。とんでもないボリュームの内容であるのは、もはや語るまでもないだろう。そして、前作や前々作のあのシンプルなステージクリア型アクションは何処行った、と突っ込みたくなるような入り組みっぷり。全てにおいて、とんでもない転身を遂げた続編になっているのである。
一応、前作の続編という事で、システム周りは前作を踏襲。ワリオが絶対に死なない不死身システム、敵の攻撃を受ける事で身体が変化し、特殊な能力が一時的に手に入る『リアクション』は今回も継承されている。ただ、それらにも今回は一捻り加えられており、『リアクション』を使った謎解きに先も触れた成長要素の存在もあり、基本は前作と一緒でありながら、味はほとんど別物。一緒なのに全然違う、奇妙なものに仕上げられている。
基本が一緒なのに手応えが別物。それ故、前作未経験者なら違和感なく入れ、経験者でも新鮮な体験が味わえる作りとなっている。まさにこれぞ、あらゆるプレイヤーを同じスタートラインに立たせる続編。前作の魅力、ノリを継承するのがお約束の続編タイトルとしてはあまりに奇抜。そして挑戦的。ビックリするほど新しいゲームに仕上げられている。

例によって、今作の魅力はこの別物同然のゲーム内容と高密度なレベルデザインだ。ステージクリア型という基本の遊びこそ前作と一緒。なのに、プレイヤーがやる事はアイテム回収とマップの探索がメインという基本に反したこの作り。奇抜にも程があるとしか他に言い様がない。
特にステージクリア型と探索型を絶妙に絡め合わせたゲームデザインはもはや芸術に等しい。区切りが付け易く、手軽に遊べるのが強みのステージクリア型。舞台となるコース(マップ)内を徹底的に調べ尽くし、世界にどっぷり浸れるのが強みの探索型。それぞれの長所が短所を潰す形で絶妙に絡み合い、手軽にゲーム内の世界に浸れる敷居の低い探索型アクションという新ジャンルを確立させている。手軽に遊べるけど、その世界に浸り難い所があるステージクリア型を探索型が補い、世界に浸り易いけど手軽に遊べない上、敷居が高いという欠点をステージクリア型が補う。これほどまで性質の異なる者同士が存分に存分に魅力を発揮させている綺麗なゲームデザインもなかなか無いだろう。この作りの上手さだけでも、今作が純粋な探索型アクションゲームとしても高く評価できる作品だと断言できる。誰もが遊べる手軽さと密度の深さの双方を併せ持ち合わせている時点で、ほぼ最強に等しい探索アクションゲームだと言えるだろう。
また、そのゲームデザインの魅力を逃さない、コース設計と本編の展開を始めとするレベルデザインも素晴らしい出来である。とにかく、密度が桁違い。1つのコースに昼と夜の二つがある時点で、既に密度が濃いのは明らかだが、宝物の獲得によって開放されていくルートも奇抜。「そんな風に道ができるの?」と思わず声に出してしまう、プレイヤーの予想を大きく裏切る展開を次々と見せる。この宝箱を開ければ2つ目の鍵への道が開かれると思いきや、新しいコースが現れたり、前のコースで地形変化が起きたりと、徹底的にプレイヤーの予想を裏切り続けるのが非常に面白い。そんな想定外をこれでもかと繰り返すので、プレイヤーも自然と画面から目を離せなくなってしまう。そして、気が付けば陽が暮れるまでプレイしてた、なんて事もしばしば。予定調和な要素を省き、プレイヤーに対し、常に驚きと裏切りを提供し続けるこの構成もまた、芸術に等しい仕上がり。最後まで引き付けて話さぬ構成とはまさにこれだ、と豪語できるほど完成度の高いレベルデザインとなっている。
更に探索自体も変に複雑でなく、普通のアクションゲームのようにテンポ良く、迷わず進める難易度に落ち着かせているのも実に秀逸。気持ち良いぐらいにサクサク進む。この辺のテンポの良さは、まさにワリオランドシリーズが元々ステージクリア型である事の名残とも言える。エグい謎解きは控えめにし、アクションに徹する作りはさすが続編と言ったところだ。
続編という点に関しても、これまでただのコレクターアイテムだった宝物の入手に意味を持たせた事、リアクションシステムを探索向けへとシフトさせたのは非常に良い進化だと言える。特に宝物が今回、重要なアイテムとしての存在感を持ったのは、お宝集めをストーリーとしたワリオのゲームらしさがより一層高まったと言えるだろう。リアクションシステムにしても、使い方の幅をより広げる方向で進化させているのが見事。新たなリアクションも幾つか追加され、より多彩なアクションが楽しめるようになったのもナイスな進化である。そして、前作から継承された不死身システムにしても、アクションゲーム初心者への救済処置のみならず、今作の探索型アクションゲームとしての敷居の低さを引き立てる要素としての存在感を発揮させているのも素晴らしいの一言。また、この不死身システムの『やり直し』のペナルティは今回の探索型との相性が非常に良く、このゲームあってこそ光るシステムとして発展しているのも大変印象的だ。これにより、前作の面倒臭さが緩和されたというのも非常に良い進化と言えるだろう。別物同然の奇抜な方向に転進しているとは言え、しっかり続編としてのやるべき事も果たしているこの徹底振り。この何もかも別物にせず、ちゃんと守るべき所は守るバランス感覚の良さには本当に驚かされるばかりだ。
前作とは別物なゲームであるのは間違いない。しかし、別物であろうともちゃんと前作のプレイヤーを満足させるだけの内容に作り込み、前作のシステムの進歩も忘れずに行い、単に前作とは違うだけでは終わらぬ魅力と面白さを持つ作品に仕上げられているのが、実に圧巻だ。一本の探索型アクションとしても出来がよく、シリーズの続編としても申し分ない隙の無さ。これぞ続編としても、単品としても優れた作品の理想形と言っても良いだろう。それほど出来がずば抜けている。シリーズの集大成でもあり、優れた完成度を誇るアクションゲームなのである。

操作性も、前作で確立されたものを継承しているので、非常に良好。ゲームバランスも不死身システムの存在もあり、生温いかと思いきや結構歯応えのある調整になっていて、アクションゲーム好きも大いに唸る仕上がりになっている。また、今回はカラー専用という事で、処理周りも劇的に向上。セーブが早くなったほか、画面切り替えも前作同様、多少の間はあるがスムーズになったのが嬉しいところだ。
全体のボリュームも相当なもの。コース総数は25以上と前作より少ないが、4つの宝箱が配置されているという基本設計、昼夜の概念の二つの恩恵で一つ一つの密度がかなり濃い。お馴染みの宝物回収のやり込みも、密度の濃さ故にシリーズ屈指の歯応え。やり甲斐抜群だ。
更にグラフィック、音楽も総じてレベルアップ。グラフィックはカラー専用になった事で色彩が非常に鮮やかになったほか、巨大なボスも登場するなど、見た目でも楽しませてくれるものに仕上げられている。音楽も前作よりもノリの良い曲が増え、臨場感が大幅にアップ。特に何処と無く地味なイメージからドタバタ大騒動なイメージへと一新したボス戦の曲は要チェック。また、エンディングのスタッフロールの曲も素晴らしい仕上がりなので、こちらも合わせて要チェックだ。

演出周りもグラフィックの強化により、大幅に進化。また、今回は何気にストーリーもよく出来ている。意外性の高いレベルデザインを反映するが如く、こちらも予想外の展開が終盤に用意されているのだ。それまでは淡々と進むので、ストーリーも何もあったものじゃないのだが、この終盤の展開には誰もが驚く事間違いなし。是非、最後まで進め、この展開の末に訪れる結末をご覧になって欲しい。きっと、ワリオというキャラがこれまで以上に好きになるだろう。
残念ながら、今回もセーブデータが1つだけしか作れず、二周目以降のプレイが気楽に楽しめないのは非常に残念だが、それを含めても今作が傑作である事実は揺らがない。前作とは別物のアクションゲームになったが、不死身システムやリアクションなどのワリオ特有の要素は健在。そして、システム周りからレベルデザインも素晴らしい出来で、シリーズ最高傑作と言えるほどの完成度を誇る今作。ゲームボーイカラーをお持ちのプレイヤーならばプレイ必至の傑作だ。このゲームボーイ史上屈指とも言える圧倒的な密度は体験する価値大いにあり!お薦めの逸品です。
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