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≫ソーラーストライカー
■発売元 任天堂
■ジャンル シューティング
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 2600円(税別)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 無し(※バックアップ機能・パスワードコンテニュー無し)
■総説明書ページ数 ニンテンドウパワー版所持の為、不明
■推定クリア時間 20分〜1時間
神星暦2159年、地球は『大暗黒星トリノ』の攻撃により、壊滅的打撃を受けた。
人類は今を去ること百数十年前、宇宙の遥か彼方から送られてきたメッセージより、このトリノ襲撃の事を知らされており、その迎撃を行う為、全世界を統括した地球連邦政府の樹立及び、連邦軍の設立を行っていた。
しかし、トリノの戦力差はその対策を講じても対抗できないほど圧倒的であり、連邦軍はその前に成す術も無く敗戦。遂には地球滅亡の日寸前にまで事態は悪化する。

だが、連邦軍最後の砦である月面基地では、特殊機動部隊がトリノの戦力に対抗できる超高性能戦闘機の開発を極秘裏に進めていた。そして今、トリノ軍の猛攻の隙を付き、戦闘機は母艦『マザー・アテナ』と共に月面基地を発進。トリノ星域へと到達し、今まさに人類の命運をかけた反撃に転じようとしていた。
その最後の希望とも言える戦闘機こそ、『ソーラーストライカー』である。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆撃って避ける事だけに特化した、シンプル過ぎるゲームシステム
◆ボムのような特殊攻撃を一切持たず、射撃だけに特化した自機『ソーラーストライカー』
◆迫り来る敵のバリエーションだけで変化を付け、地形周りには何も工夫を凝らさずまとめた、シンプル過ぎるステージ構成&レベルデザイン
◆20〜30分程度でサクッと楽しめる、手頃なボリューム(満足感もなかなか)
◆複雑な操作を一切要求されない、シンプルで取っ付き易過ぎる操作性
◆優し過ぎず難し過ぎず、時にシビアで非情な仕打ちも下す極端さが面白いゲームバランス
◆思わず口ずさみたくなる、印象深い楽曲が充実した音楽(特にステージ4の曲が秀逸)
◆地味ながらも一定の派手さは抑えたエフェクト周りの演出

--- Bad Point ---
◆独自性皆無のゲームシステム(このゲームならでは、と言える要素がほとんど無い)
◆敵で変化を付けているものの、寂しい感も否めないステージ構成&レベルデザイン
◆ゲームオーバーになったら問答無用で最初のステージ1からやり直しとなる、非情なコンティニューシステム(クレジット制とかあっても良かった気が)
◆攻撃パターンの単調さと異様な強さがタマにキズなステージ4のボス
◆存在感の薄過ぎる中ボス(倒さずスルーできてしまうなど、何とも中途半端)
▼Review ≪Last Update : 5/19/2013≫
折り返し点で試練が待つ…。

簡単にクリアできるゲームと思ったが最後。


任天堂より発売された、ゲームボーイ初となる完全新作のシューティングゲーム。

これぞ正真正銘、『シンプル・ジズ・ザ・ベスト』。
王道過ぎるにも程がある、特徴皆無の良作シューティングゲームだ。

ゲーム内容は縦スクロールで展開するステージクリア型シューティングゲーム。高性能戦闘機『ソーラーストライカー』を操縦し、全6つのステージ攻略に挑むというものである。
収録ゲームモードは本編のみで、難易度変更などを行うオプションは非搭載。自機セレクト、アイテム取得時のパワーアップパターンセレクトと言ったシステムも実装していない。基本的に自機はソーラーストライカー一機だけで、アイテム取得時のパワーアップパターンも固定となっている。ビックリするほど単純明快なシステムだ。
更にそれは自機であるソーラーストライカーの性能面も然り。高性能戦闘機というその呼称より、他に無い特徴を持った戦闘機になっているのかと思いきや、実際の所は特徴も何も無し。単純に移動と射撃しかできない、質素な性能の機体となっている。また、シューティングゲームではもはやお馴染みとも言える一発逆転を狙える強力な武器『ボム』も装備していない。繰り返しになるが、本当に移動と射撃しかできないのである。その為、基本的にその二つの操作に徹すれば、普通に遊べてしまう。逆転が狙えない分、ゴリ押しが通用し難い難易度的な特徴もあるにはあるが、本編では別にそういう武器が無くても問題ないよう、敵配置からステージの設計が行われているので、そんなに厳しい訳でもない。一応、コンティニュー機能が無く、ゲームオーバーになると問答無用で最初のステージ1からやり直しになるきつい仕様はあるが、自機のできる事の少なさ、敵配置とステージ設計の大人しさなどから、全体的にはシューティングゲーム入門編と言うに申し分ないゲームバランスとなっている。ゴテゴテしたシステムもなければ、救済処置も何も無し。真面目過ぎと言っても良いほどにシューティングの基本、「撃って避ける」に徹した作りとされている。
裏を返せば、今作は独自の要素が何一つ無い作品である事を意味する。自機の選択が無いからゲーム展開に変化は無いし、逆転を狙える大技も撃てない。やる事は撃って避けるだけ。まさにシンプル・イズ・ザ・ベストの極み、平凡なシューティングゲームなのである。それ故、今作に関しては具体的に語らねばならぬシステムを始めとする要素がほとんど無い。「縦スクロールのステージクリア型シューティングゲーム」に全てが集約されると言っても良いほどに特徴が無いのだ。その為、新しいシューティングゲームとしての体験を求めるプレイヤーにとって今作は、変な期待を持って挑むと相当な肩透かしを喰らう内容である。そもそも、今作の中身はそれこそハドソンの『スターソルジャー』シリーズやコナミの『ツインビー』などから、特徴的な要素を全て取っ払ったかのようなものなだけに尚更。色んなシューティングゲームを体験してきたプレイヤーにとっても、新鮮味が無い作りであるのは否めない。
また、激しいスクロールに弱いゲームボーイ向けに作られたシューティングゲームと言うのもあり、ゲーム全体のスピードはかなり抑えられている。どのステージもゆっくりとスクロールするほか、同時に登場する敵も少なめなので、あまりステージをサクサク進んで行く快感には秀でていない。そう言ったスピード感を求めるプレイヤーにとっても、今作のスローテンポには少しストレスを感じてしまうかもしれない。ただ、シンプルな作り故に本当にシューティング入門編、万人向けシューティングとしては申し分の無い作りとなっている。撃って避けるだけで遊べる手軽さもさることながら、スクロールの遅さ故に攻撃の対処がし易いというのは特筆に値する部分だ。敵の攻撃も激しくなく、極端に言えばタイトーの『スペースインベーダー』のような感覚で対処していけば難なく遊べてしまう敷居の低さもなかなか魅力的。無論、全ての敵がその感覚で対処できる訳ではなく、時には連射で対処しなければならないなど、変化も付けられているので十分な手応えを感じ取る事ができる。コンティニュー機能がなく、ゲームオーバーになったら問答無用で最初のステージからやり直しになるのも適度な緊張感を演出してくれる。王道にも程があるだろと突っ込みたくなる所もあるが、シンプル・イズ・ザ・ベストのコンセプトに沿った作りは逆に痛快。特徴こそないが安心して遊べる縦スクロール型シューティングゲームに仕上げらられている。ある意味、ゲームボーイらしいシューティングと言えるかもしれない。

そして、今作の魅力はそのシンプル・イズ・ザ・ベストのコンセプトを貫き通したゲームデザインに集約される。逆転要素のボムもなければ、パワーアップパターンを変更させるシステムと言ったものも無し。単純に「撃って避ける」を意識するだけで遊べてしまうその手軽過ぎる作りは、シューティングゲーム入門編としては本当に申し分の無い出来だ。
特に遅めに設定されたスクロール速度、敵の攻撃までの間の大きさ、敵出現数の少なさが入門編としての「優しさ」を見事に演出している。ゆっくりと展開していく為、速過ぎるスクロールに不慣れな方もじっくり状況把握ができるだけに留まらず、敵の姿、攻撃もはっきりと視認できるので、焦らず落ち着いてステージを進めていける。敵も現れてから直に攻撃を展開してこず、一度現れて2〜3秒経過後に攻撃を行ってくるので、荒野の決闘の早撃ちの感覚で迎撃すれば何もさせずに黙らせる事が可能。しかも、そのやり方を心掛ければ自機側に何の被害も及ばない事が分かってくる為、自然と「撃って避ける」の基本的な動きが染み付いていく。
シューティングゲームにおいて、最も気持ちの良い瞬間と言えば、何と言っても目前に現れた敵を次々と撃ち落していく爽快感に集約される。しかし、これは縦型だけでなく、横型にも言える事だが、シューティングゲームの敵というのは現れたら即座に攻撃を展開してくるものが意外と多かったりする。その唐突な攻撃はシューティングに不慣れな初心者にとっては一つの壁でもあり、対処する動きに出ようと思った瞬間に撃墜されてしまう事故に見舞われ易い。同時にそのシビアさが、シューティングゲームを難しいものだと印象付けてしまいがちでもある。そう唐突に攻撃を仕掛けてくるからこそ、撃って避けるの面白さが際立つというのも事実ではある。しかし、やはり現れた敵というのは脅威を振りまく前に仕留めたいもの。荒野の決闘のガンマンのような早撃ちを決められた時の方が気持ち良いし、何よりも嬉しい。
そんな気持ちよさ、嬉しさからシューティングの基本を教え、次第に避ける事の重要性を教えていくという事を今作では丁寧に実践。ゆっくりとしたスピード、同時に出現する敵の少なさを適度に活かした、親しみ易くて優しいレベルデザインを徹底しているのだ。まさに入門編というには申し分の無い配慮。ダメージ制を設けて死の恐怖を緩和させるのでもなければ、万能な武器を設ける訳でもないその作りは、シンプル・イズ・ザ・ベストの強みというものがよく現れている。ボムなどの強力な武器を設けなった事に関しても、ある意味ストイックな仕様ではあるが、見方を変えれば撃って避ける事だけを意識するだけで遊べる敷居の低さを演出している。余計な装飾をせず、本質を見せるその作りもまた、シンプル・イズ・ザ・ベストのコンセプトに対するこだわりの賜物と言ったところだ。派手さ以上に分かり易さ、取っ付き易さを重視する辺りに任天堂らしい作風がよく現れている。
そんな作りにしながら、難易度まで軽いものにしてないのもさすがの一言に尽きる。手軽に遊べるとは言え、ゲーム全体の緊張感はなかなか。特に一度でもゲームオーバーになってしまえば、問答無用で最初のステージからやり直しになるという仕様が、プレイヤーの集中力を嫌でも高める。自機も敵の弾や体当たりを浴びれば直に撃墜されてしまう一発死仕様な上、その残機を稼ぐポイントも少ないので尚更。携帯機のゲームでありながら、アーケードゲームかと髣髴とさせる適度な緊張感は、初心者だけでなく上級者にも刺激的な手応えをこれでもかと言わんばかりに提供してくれる。
難易度の調整具合も序盤のステージ3までは平均的で、後半のステージ4からは急激に跳ね上がるなど、前半と後半に色分けが成されたものになっているのが面白い。だが、決してクリアできないほどという訳でもない、適度な難しさ。一見手強いボスにも思わぬ穴があったりなど、初心者でも十分に攻略可能なバランスにされている。そう見かけで厳しくしつつ、実は穴を見つけると楽というのも実にユニーク。悪く言えば調整ミスではあるが、入門編としてはこのやり方は大いにあり。それを使わずでも戦うなど、プレイヤー自身が選べる自由があるので、総合的には万人向けのバランスとしてよくまとまってると言っても良いだろう。
その他、ステージ構成も縦固定で仕掛けも控え目ながら、敵の種類で変化を付けたやり甲斐のある作りになっているのが見事。各ステージの終盤に待ち構えるボスも個性的。ただ、ステージ4以降の面子は攻撃パターンがお約束過ぎるなど、変化の付け方が甘い部分もあり、やや手抜きと思しき部分があるのは少し残念なところだ。
しかし、それ故の魅力、安心感があるのもまた事実。特徴的なシステムもないので、独自性は皆無に等しい。だが、単純だからこその面白さと手軽さ、初心者にシューティングの魅力を教えようとする細かな配慮は素晴らしく、シンプル・イズ・ザ・ベストの強みが良く現れた内容に仕上げられている。どうにもシューティングゲームは苦手、何が面白いのかを知りたい、そんなプレイヤーにとって今作はこの上ないほど答えてくれる作品と言っても過言ではないだろう。まさにシンプル故の面白さ、ここにあり。特徴は無いけど、安定した楽しさが詰まった内容になっている。

また、操作性も上々。何よりも、自機ができる事が移動と射撃の二つだけなので、説明書を全く読まずとも難なく取っ付ける。自動連射機能も実装されているほか、シビアにプレイしたい方向けに単発ショットのボタンも設けるなど、腕に応じた遊び方が楽しめるように作られているのにも懐の広さが現れていて素晴らしい。
総計ボリュームも普通にクリアするだけなら大体20〜30分程度と短めで、気軽にサクッと遊べる内容となっている。短いからと言って充実感が無いのかというとそうでもなく、後半のステージの極端な難易度上昇の恩恵もあり、適度な手応えを得る事ができる。更なる難しさを求めるプレイヤーに向け、クリア後に高難易度の2周目を開放すると言った特典も完備。シンプルだからこその難しさを存分に堪能できる環境もしっかりと整えられている。
グラフィックに関しては質素の極み。綺麗でもなければ、汚くも無い。シンプルとしか言い様の無いものになっている。
対し、音楽は名曲揃い。最初のステージ1における今作のメインテーマから、ステージ4の哀愁漂う曲まで、思わず口ずさみたくなる楽曲が揃っている。効果音も敵の種類ごとに違った爆発音を設けたりするなど、地味なこだわりが炸裂しているのがユニークだ。ただ、ダメージを与えた際の音はどうにもイマイチで、跳ね返っているかのような音になっているのがタマにキズ。もう少し、撃ち込んでいるという手応えを引き立てるものにして欲しかったところだ。

演出周りに関しては、グラフィックと同様に平凡。しかし、ボスの撃破時の演出など、ツボはちゃんと抑えており、及第点の出来にはなっている。それでも地味極まりないが、シンプルさを重視している作品としては十分な具合だ。
全てにおいてシンプルで、特徴的なシステムも何もないので独自性は皆無。自機の性能に関しても撃って避けることしかできない為、凄まじい味気なさがある。しかし、だからこその安心感、面白さというものが際立っており、特にシューティング初心者が入門編として遊ぶ作品としては申し分の無い出来となっている。逆に上級者には相当な物足りなさを感じる内容ではあるが、クリア後に難易度を上げた2周目が用意されているほか、単発ショットで戦うプレイなど、それなりに遊べる環境も整っているので、そこそこの充実感を得る事はできる。
シューティング初心者にも取っ付き易い操作性とシステム、緩やかにジャンル特有の醍醐味を教えてくれるレベルデザイン、両極端な難易度設定など、基本的な出来具合、シューティング入門編としては適切な内容になっている今作。
無難過ぎる作りである事のは否定しない。だが、十分遊べて確かな充実感も得られる良作である。作り自体がシンプルなので、お薦めなのはシューティングゲームに不慣れな初心者の方々。繰り返しになるが、入門編としては優れた作品なので、今作でシューティングの醍醐味というものを体験してみて欲しい。地味にお薦め。
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