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  4. スーパーマリオブラザーズデラックス
≫スーパーマリオブラザーズデラックス
■発売元 任天堂
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 1000円(税別)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■その他 ゲームボーイカラー専用(※カラー以前のゲームボーイでは遊べません
■GBメモリ消費数 Fブロック:8、Bブロック:1
■推定クリア時間 2〜3時間(エンディング目的)、35〜40時間(完全攻略目的)
キノコ達の住む平和な王国、キノコ王国。
ある日、この国に強力な魔法を操る大魔王クッパの一族が侵略してきた。大人しいキノコ一族は皆、その魔力によって岩やレンガ等に姿を変えられてしまい、王国は滅びてしまった。

このキノコ達にかけられた魔法を解き、蘇らせる事のできるのはキノコ王国の王女、ピーチ姫ただ一人だが、彼女は今、クッパの手中にある。この事態を聞きつけてやってきた配管工の兄弟マリオとルイージは、クッパ一族を倒し、ピーチ姫を救出してキノコ王国を復興させる為、立ち上がる…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆マリオを動かしてゴールを目指す、オリジナル版譲りの取っ付き易くて奥深い基本ゲームルール
◆画面比率こそ変わったが、地形から敵配置まで、完璧に再現された全8ワールド32コース
◆コースごとに設定された目標達成を目指す、単純ながらも結構熱い新モード『チャレンジ』
◆『スーパーマリオブラザーズ』の深淵をあぶり出す、絶妙且つ興味深い調整が成されたチャレンジ用のコース構成
◆コースを駆け抜ける面白さに特化した新モード『VSゲーム』(一人プレイにも対応)
◆玩具の一面と実用性を併せ持った、3つのおまけモード(特に『アルバム』と『おみくじ』)
◆新モード追加により、オリジナルの倍以上にまで拡大した総計ボリューム
◆同じく新モード追加により、爆発的に増加したやり込み要素(クリア後の遊びもたっぷり)
◆画面比率の違いで少し難しくなったが、優し過ぎず難し過ぎずの絶妙さは健在の難易度設定
◆オリジナルのレスポンスを完全再現する微調整が光る、珠玉の操作性
◆驚愕の特典、縮小版『スーパーマリオブラザーズ2』(一部のコースは削られているものの、本編に当たるマリオ1と全く引けを取らないボリューム!)
◆オリジナルに忠実ながら、一枚絵などの追加で、より鮮やかさで派手になったグラフィック
◆新曲も追加されるなど、オリジナル版経験者も新鮮な気持ちに浸れる音楽(特にスタッフロールの曲は要チェック)
◆全体マップ追加、一枚絵の挿入など、より派手になった演出全般

--- Bad Point ---
◆ハード設計の都合とは言え、やはり狭さは否めない画面比率
◆狭くなった画面比率の所為で初見殺しの場面が増えるなど、やや理不尽な部分も散見される難易度設定
◆通信機能を使わなければ手に入らない厄介な一枚絵の存在(通信無しではコンプリート不可)
◆音程は全て手探りで確かめないといけないのがクセモノ過ぎる、『アルバム』の着メロ機能
◆存在意義からして謎なスコアレコードの交換機能(要らなかったのでは…?)
◆縮小版『スーパーマリオブラザーズ2』でのキャラクター格差廃止(ルイージの特技が削除)
入手困難(※2012年現在、中古市場で書き込み済みGBメモリカセットを探すしかない)
▼Review ≪Last Update : 9/2/2012≫
格差消滅で、弟の出番減る。

ファンなら彼で全コースの攻略を目指しましょう。


コンビニエンスストア『ローソン』のゲームソフト書き換えサービス、『ニンテンドウパワー』のゲームボーイソフト版の新作第一弾として発売された、『スーパーマリオブラザーズ』のゲームボーイカラー向けリメイク作。海外では1999年にパッケージタイトルとして発売された作品でもある。

デラックスの名に恥じぬ、豪華絢爛・遊び応え抜群の新生スーパーマリオブラザーズだ。

ゲーム内容は横スクロールで展開するステージクリア型アクションゲーム。マリオを操作して大魔王クッパにさらわれたピーチ姫を助ける為、多彩なコースを攻略していくというものだ。ファミコンで発売された『スーパーマリオブラザーズ』のリメイクという事で、基本的な内容及びシステムは一緒。アイテムによるパワーアップ、100枚獲得する事で残り人数が増えるコイン、4つのコースで構成された各ワールドなどはそのままだ。ただ、ファミコンからゲームボーイカラーにハードが移行した事で、幾つか大きな変更が行われている。
最も大きな変更は画面比率だ。ゲームボーイカラーの液晶に合わせる都合により、オリジナル版以上に狭くなった。特に上段、下段が狭くなり、オリジナルでは視認できたブロック、上段及び下段に居る敵、足場などが画面をスクロールさせないと確認できないようになってしまっている。この為、僅かに初見殺しな場面が増え、難易度が上昇。少々、厄介な調整が行われてしまっている。但し、スーパーファミコンの『スーパーマリオワールド』に実装していた任意スクロール操作を新たに実装。これを使って慎重に進めていけばある程度、事故は防げるので、そこまで理不尽な調整にはなっていない。あくまでも多少、シビアになった程度で、基本はオリジナル版と変わらず。適切な手応えを堪能できるゲームバランスにまとめられている。更に比率が違うが故、ファミコン版と同じなのに別世界を体験しているかのような、不思議な感覚に浸れるのも大きな特徴。多少、無理矢理さも否めないが、ゲームボーイカラーで見る『スーパーマリオブラザーズ』とも言える、その独特の作りは結構インパクトがある。
また、比率変更以外でもワールドマップの追加を始めとする演出全般の刷新、セーブ機能の搭載と言った変更が行われている。中でもセーブ機能は『スーパーマリオコレクション』の『スーパーマリオブラザーズ2』と同じ、コース単位で行われるものを採用している上、フルオート形式というのもあり、利便性が向上している。マリオコレクションのワールド単位のセーブでもエンディングに辿り着けなかった方も、今回のシステムならリベンジのチャンスがあるかもしれない。
更にオリジナル『スーパーマリオブラザーズ』をゲームボーイカラーで再現した本編以外の新モードも追加。特定の課題達成を目指す『チャレンジ』、誰が一番早くゴールに到達できるかを競う『VSゲーム』の二つの新しい遊びが楽しめるようになっている。注目は『チャレンジ』で、本編のコースで課題達成を目指すというものなのだが、その課題がどれもやり応え、新鮮味共に抜群。隠された赤コイン5枚と『ヨッシーのたまご』の発見、目標スコアの達成と、いずれも思わずムキになってやり込んでしまうものになっている。更にコインの隠し場所、スコアの設定がいずれも絶妙で、純粋にコースを駆け抜ける面白さを売りとする『スーパーマリオブラザーズ』に世界を隅まで調べ尽くすという、新たな魅力を加味している。
同じコースでも、遊びを変更する事でまるで違った手応えになるその意外性の高い作りは、オリジナル経験者のみならず、アクションゲーム好きをも唸らせる奥深さが満載。ある意味、オリジナル版以上に魅力的なモードと言っても過言ではない内容に完成されている。
もう一つの『VSゲーム』も秀逸で、こちらは先のコースを駆け抜ける面白さに特化して突き詰めた内容になっている。更にこのモードは二人プレイ専用なのだが、一人プレイ用のモードも隠し要素として仕込まれている。そんなサービス精神旺盛な配慮が施されているのも大きな見所だ。
この二つ以外にも、おまけとして『おみくじ』、『アルバム』、『カレンダー』と言ったモードもあり、玩具的な遊びが楽しめるのも見所。『アルバム』に関しては、ゲームが進むと絵が追加されていくほか、別売の周辺機器の『ポケットプリンタ』を使う事で、シールが印刷できるというユニークな要素も仕込まれている。また、それらの絵のコンプリートを目指す、やり込み要素としての一面もあり。そこもまた、地味ながら見逃せない追加要素だ。
画面比率が狭くなるなど、オリジナル版からやや劣化しながらも、便利な機能と二つの新しいモード、そして玩具的な要素を沢山収録。その充実ぶりはまさに『デラックス』の名に恥じないもので、豪華版スーパーマリオブラザーズというに相応しい内容。オリジナル版だけでも十分な満足度が得られるのに、それ以上の手応えと遊びまでもが楽しめてしまう、とんでもないリメイク作品に仕上げられている。もはや、やり過ぎと言ってもいいほどの圧倒的密度。オリジナル版を遊び倒したプレイヤーでも悲鳴を挙げるほど、充実したリメイクになっている。

例によって今作の魅力は、デラックスの名に恥じない内容の豪華絢爛ぶり。スーパーマリオブラザーズを徹底的にしゃぶり尽くす!それをテーマしたかの如く、ゲームモード、ボリューム、やり込み要素に至るまで、ずば抜けた密度とやり応えを兼ね備えたものとして完成されている。
特に秀逸なのが新モードである『チャレンジ』だ。本編のコースで二種類のアイテムの回収、目標スコアの達成を目指すだけの現代的な遊びを織り込んだ分かり易く、シンプルな内容でありながら、これが意外なほどに熱い。先の繰り返しになるが、アイテムの配置、スコアの設定値が絶妙で、意識せずとも狙いに行ってしまう不思議な面白さと中毒性に秀でている。だが何よりも、このモードで素晴らしいのは『スーパーマリオブラザーズ』のアクションゲームとしての完成度の高さを底上げしている事である。
今更言うまでも無いが、『スーパーマリオブラザーズ』のアクションゲームとしての完成度は全てにおいてずば抜けていた。中でもずば抜けていたのが、操作性の良さから来るマリオを動かす楽しさ、プレイヤー心理を巧みについた職人芸が炸裂したコース設計の二つで、前者に関しては、単純にコース上を歩いたり、走ったりするだけでも楽しい気分に浸れる恐ろしいものになっていた。そんな操作の気持ちよさを飽きれるほど味わう為、最初の1面(1-1)を飽きるまで繰り返しプレイしていたという方も少なからず居たと思われる。また、後者も最初の1面が操作やルールに慣れる為の練習コースとしては完璧な出来であったなど、今なお、その作りの深さはマニアの間で語り草となっているほどである。
そんな二つの魅力を今作の新モード『チャレンジ』は更に際立たせてしまっているのだ。マリオを動かす楽しさに関しては、上手くなればなるほど高いスコアが獲得できる、分かり易い形での上達を実感させる要素をプラスし、極める楽しさを強化。動かす気持ちよさだけに留まらぬ、マリオアクションの奥深さを存分に味わい尽くせるようになっている。コース設計に関しても、隠されたアイテムを探す遊びをプラスした事で、1つのコースを隅々まで堪能できるように。更にその遊びの過程で、ゴールするだけで精一杯だった頃に気付かなかったネタを知らされたりと言った、発見の楽しさも増し、よりマリオの世界に深く浸れるようになっている。
まさに「スーパーマリオブラザーズの深淵をあぶり出す」と言っても良い具合に全ての新要素が効果的に機能。これらの部分はオリジナル版でも健在であったが、基本的にゴールを目指す事に集中しがちな内容だったのもあり、その深淵を知る事ができたのはごく僅かなプレイヤーだけに限られていた。そんな隠された深淵を今作の『チャレンジ』では誰もが体験できる形にし、スーパーマリオブラザーズに更なる面白さと奥深さを追加した。それにより、単純にゴールを目指すだけでは終わらないアクションゲームへと進歩。オリジナルの時点で既に十分高かった完成度を底上げしてしまったのである。リメイクにおける追加要素は、何かと余計な存在として扱われがちだ。それを追加したが為に元の魅力が殺され、別のゲームに化してオリジナル版を遊んだプレイヤーから顰蹙を買う事もよくある。今作はその魅力を殺さない事に神経を尖らせているだけでなく、オリジナル版では見えなかった所にスポットライトを浴びせるなど、より発展させる方向に作り込んでいる辺りに格の違いが現れている。また、そう気付かなかった事を知ることでますます作品が好きになるなど、オリジナル版を遊んだプレイヤーの思い出をより美しくする配慮が施されている辺りにも、如何に今作がそう言ったプレイヤーに嫌な思いをさせないと神経を配っているかが分かる。単純に内容自体も面白く、やり応えがあるだけに留まらず、より作品が好きになれる要素まで仕込んだこのモード。リメイク作品における追加要素として、如何に完璧な仕上がりなのかは言うまでも無いだろう。元の魅力を底上げする新要素として、完璧な出来ているのだ。
また、もう一つの新モード『VSゲーム』もマリオを動かす楽しさを底上げする追加要素として非常によく出来ている。「ゴールを目指す」というゲーム性をよりストイック且つ、シンプルにした内容なのだが、これが侮り難い面白さ。終始、ダッシュしなければならないだけにスピード感もなかなかで、風になったかのような気分に浸ることができる。更にこのモードは登場するコースが全て新作な上、音楽も新曲であるなど、ほぼ新作同然の内容になっているのも大きな見所。こんな「新しいコースもやってみたい!」というプレイヤーの欲求に応える要素が仕込まれている辺りにも、今作が如何に神経を配って作られているのかをうかがい知る事ができるだろう。まさにデラックスの名に恥じぬ、と言ったところだ。

全体のボリュームも膨大。オリジナルを再現した本編だけでも十分なのに、『チャレンジ』と『VSゲーム』、そして『アルバム』のイラスト集めなどのやり込み要素が追加された事で、やり尽くすだけでも30時間を超えるほどの密度になっている。しかも、驚くべき事に今作は『スーパーマリオブラザーズ』だけでなく、その続編『スーパーマリオブラザーズ2』(縮小版)までもが隠し要素として収録されているという始末!まさに「そこまでやるか!」の一言だ。
その他、操作性も原作の動かすだけでも楽しい気持ち良いレスポンスを完全再現。オリジナルと全く変わらないアクションの楽しさを堪能できる。難易度設定(ゲームバランス)も画面比率変更の影響で多少ながら上がってはいるが、敵配置は原作を完全再現しているほか、任意スクロール機能を使う事で初見殺しの大半は防げるなど、調整具合は申し分無し。適度な歯応えが堪能できるバランスになっている。
グラフィックも基本的にはオリジナル版の完全再現だが、随所にて色鮮やかな一枚絵が挟まれるなど、演出面の大幅なブラッシュアップが図られている。新規グラフィックも多く、そのどれもが原作のグラフィックと違和感のないものに仕上げられているのが見事。音楽もオリジナル版の完全再現なのだが、『VSゲーム』など新曲も豊富に用意されている。出来栄えもなかなかで、特にエンディングのスタッフロールで流れる新曲…厳密には、オリジナル版にもある楽曲のアレンジなのだが、そのビックリするほどクールなアレンジは要チェックだ。

また、『おまけ』として用意されたお遊び要素の数々も見逃せない。『おみくじ』は純粋にコミュニケーションツールとして使えるだけでなく、大吉を引く事で本編の残り人数がアップするなど、さりげなく攻略に絡む要素としても作られているのがニクい。また、『アルバム』には着メロ的な機能もあり、特定のコードを打ち込む事でオリジナルの楽曲が作れてしまう。そして『カレンダー』に至っては西暦3000年まで対応!そこまでやる必要があるのかと言ったところだ。こんな具合に今作は玩具としても非常に優秀な作り。リメイクが基本なのに、こう言った所まで作り込んでしまう辺りに今作の並々ならぬ情熱を実感させられる次第だ。
画面比率によって僅かに上昇した難易度、一部一枚絵のクセモノ過ぎる入手条件など、欠点も幾つかあるが、リメイクとしての完成度は上々。追加要素も魅力を損ねてないどころか、底上げするものとして効果的に機能しているほか、ボリュームも膨大でアクションのマリオシリーズとしては史上きっての密度を誇る。再現度の高さ、細かな配慮もさる事ながら、オリジナル『スーパーマリオブラザーズ』を更に好きになれる要素がたっぷり詰まった今作。
マリオシリーズ好きは言うまでもなく、アクションゲームが好きな方まで自信を持ってお薦めできる傑作だ。ゲームボーイカラーでユニークな進化を遂げ、更に面白くなった新しいスーパーマリオブラザーズの奥深き世界を楽しんでみよう。お薦めの逸品です。(如何せん…2012年現在、入手困難だが…)
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