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≫スーパーマリオランド2 6つの金貨


■発売元:任天堂 / ■ジャンル:アクション / ■CERO:A(全年齢対象)/ ■定価:3,900円(税別)

◆公式サイト / ストアページ
≫スーパーマリオランド2 6つの金貨(ゲームボーイ版:任天堂公式サイト)
≫スーパーマリオランド2 6つの金貨(『ゲームボーイ Nintendo Switch Online』)

©1992 Nintendo
▼Information
■プレイ人数:1人 / ■セーブデータ数:3つ / ■推定クリア時間:3~4時間
マリオが「サラサ・ランド」へ宇宙怪人「タタンガ」の退治に行っていた頃。
彼の故郷「マリオランド」で事件が起きた。マリオランドにあるマリオの城「マリオ城」が「ワリオ」と名乗る者に占領されてしまったのだ。さらにマリオランドの住民たちもワリオに魔法をかけられ、彼の手下にされてしまった。

ワリオは前から「自分の城が欲しい」という、ただそれだけの理由でマリオ城の乗っ取りを狙っていた。そしてワリオは、マリオ城の扉のカギである「6つの金貨」をマリオランドの各地にばら撒いてしまった。しかもそれらの金貨は、彼の手下たちに見守らせているようだ。この6つの金貨がすべて無ければ、マリオ城に入ることなど到底不可能。

マリオは城を占拠したワリオを追い出すため、ばら撒かれた6つの金貨の回収に乗り出す。
果たしてマリオとワリオ、彼らの勝負の行方は。
▼Pros cons Pick up
--- Good Point ---
◆一部のコースを除き、全部のゾーンとコースを好きな順番で思うがままに攻略できる自由度の高さ
◆全6ゾーン32コースと、前作の約2.7倍に拡張した本編ボリューム(並行してクリア時間も前作から飛躍的に伸びた)
◆大木、海底の定番に加えて、和洋折衷なホラー世界、巨大ロボ、宇宙といった突飛なテーマが光る全6つのゾーン
◆宇宙を筆頭とする、少しぶっ飛び気味の各コースのロケーションと仕掛け(特に日本の寺院と墓場は必見)
◆ロケーションに並ぶレベルでインパクト絶大な敵キャラクターたち(特に「唐傘オバケ」と「一つ目小僧」)
◆『スーパーマリオワールド』を思わせるデザインに一新され、全体的な見栄えと視認性が向上したグラフィック
◆基本は前作そのままに、大ジャンプにスピンジャンプまで追加されて、さらにできることが増えたマリオの基本アクション
◆連続ジャンプに滑空など、躍動感溢れるアクションと見た目の面白さで強い印象を残す新変身「バニーマリオ」
◆前作から一転し、復活した「ファイヤーマリオ」とその優れた使い勝手(帽子に羽が付くというデザインにも注目)
◆より縦横無尽に各種アクションを繰り出せるようになり、触り心地も向上した操作周り
◆隠しルート&コース探しを始めとする、「スーパーマリオ」シリーズお馴染みのやり込み要素の実装
◆どのゾーンから始めても極端な難易度の差を感じさせない、巧みな調整が図られた難易度周り
◆明るく、時に勢いを感じさせる楽曲中心に構成された音楽(全体的に前作よりも明るさがある)
◆自分の故郷と城を取り戻すため、マリオがただひとり戦うという、いつになく渋さのあるストーリー設定

--- Bad Point ---
◆最終コース「ワリオ城」の異様な難しさ(長丁場に加え、中間ポイントも無くてかなり厳しい)
◆それまでに集めた「6つの金貨」が問答無用で全没収という、異様に厳しいゲームオーバー時のペナルティ
◆全体的に前作よりも地味になった演出(特にコースクリアをした時の演出はやや素っ気ない)
◆ゾーンごとの極端なコース総数の差(場所によっては2つしかコースが無いところもある)
◆簡単にハメることができてしまうという、大きな弱点を持った「タートルゾーン」のボス「ポコ」
▼Game Overview
「オレだよ、ワリオだよ!」

衝撃の新ライバル、ワイルドに登場!



◇携帯ゲーム機「ゲームボーイ」本体と同時発売されたタイトルのひとつ、『スーパーマリオランド』3年ぶりの続編。前作に引き続き、開発は横井軍平氏がリーダーを務める任天堂開発第一部のチームが手がけている。基本のゲーム内容は前作と同じステージクリア型の横スクロールアクションゲームで、マリオを操作して多彩な仕掛けと敵が待ち受けるコースを攻略しながら、ナゾの男「ワリオ」に乗っ取られた「マリオ城」の奪還を目指すというもの。1人プレイ(シングルプレイ)専用で、協力型の2人プレイモードが用意されていないのも前作を踏襲している。もちろん、その関係で今回も弟のルイージは出演しない。キノピオとピーチ姫、クッパ、そして前作初登場のデイジー姫も出ない。だが、前作の大ボス「タタンガ」は登場する。

◇ゲームデザインは前作の『スーパーマリオブラザーズ』『スーパーマリオブラザース2』スタイルから大きく一新。『スーパーマリオブラザーズ3』『スーパーマリオワールド』スタイルに改められている。
その関係で前作にはなかったワールドマップが初登場。仕組みとしては『スーパーマリオワールド』に近く、(一部を除いて)いちどクリアしたコースも再プレイできるようになっている。全体のボリュームも前作の約2.7倍に増加。ワールド(ゾーン)数は6、コース数は32となり、非常に盛り沢山な内容になっている。また、ボリュームが増加したことも踏まえてバッテリーバックアップによるセーブ機能も実装。最大3つのセーブファイルが作れるほか、コースをひとつクリアするたびに自動的に進捗状況が記録されるようになったことで、プレイヤーのペースに合わせて攻略していける。

◇前作には強制スクロールで進行するシューティングコースの存在が最大の個性になっていたが、本作では丸ごとカット。基本的に用意されているコースはすべてアクション一辺倒になっている。しかしながら、仕掛けとロケーションの種類は前作以上。本家の「スーパーマリオ」シリーズでも見られないものが盛りだくさんで、プレイヤーをまったく退屈させない作りになっている。仕掛け絡みでとりわけ注目は、マリオの動きを鈍くさせる「木の蜜」、接触することで延々と空中浮遊可能になる「アワ(シャボン玉)」、そして「スーパーマリオ」シリーズ異例の牙をむく「スーパースター」こと「スターズ」。
ロケーションは6つのゾーンごとに固有のテーマが設定されているのも今回の大きな特徴で、中でも巨大なマリオロボの体内を進む「マリオゾーン」は見た目からしてインパクト絶大。また「パンプキンゾーン」では和洋折衷なホラーネタが満載で、その中には日本の神社をモチーフにしたところもある。敵にも「唐傘オバケ」「一つ目小僧」といった『ゲ●ゲの鬼太郎』で出てきそうなメンツが敵として登場するところに注目だ。さらに「スペースゾーン」はまさかの宇宙。当然のように無重力で、ジャンプするとフワフワするといった独特な操作感が異彩を放つ。ここに限り、宇宙服を着たマリオを操作するという展開も必見だ。

◇変身アクションに関しても種類が増えている。特筆すべきはニンジンのアイテムを獲得することで変身できる「バニーマリオ」。マリオの頭にウサギの耳(ウサミミ)が生え、以降、Aボタン押しっぱなしで連続ジャンプができるようになる。さらにジャンプしたあと、Aボタンを長押しにすれば、耳をピクピク動かしながらの滑空も可能だ。変身の種別としては『スーパーマリオブラザーズ3』の「しっぽマリオ」、『スーパーマリオワールド』の「マントマリオ」に該当する飛行系の変身に当たる。だが、飛距離を伸ばせる強みを出している点でいずれのケースとも異なっていて、非常に個性的かつ独特な手触りを持ったアクションになっている。
さらなる変身アクションとして「スーパーマリオ」シリーズお馴染みの「ファイヤーマリオ」も用意。前作とは異なり、フラワーを取ることで「スーパーボール」ではなく、お馴染みのファイヤーボールを出せるようになった。もちろん、連発も可能である。なお、ゲームボーイのモノクロ液晶を考慮してか、変身時はマリオの防止に羽が付くという独自のデザインになっている。
これ以外の変身アクションとして、前述した「スペースゾーン」専用の「スペースマリオ」がある。また、今回は「バニーマリオ」「ファイヤーマリオ」の変身時に敵やその攻撃に接触した時、「ちびマリオ」ではなくて「スーパーマリオ」に戻るという、海外版『スーパーマリオブラザーズ3』の仕様が採用されている。

◇ほかに今回はグラフィックも全面的に一新され、マリオは『スーパーマリオワールド』に近いデザインに。そして、少し変わった点で定番アイテム「コイン」の仕組みが変わり、100枚集めても残機が増えなくなった。逆に今回は999枚まで貯められるようになり、これを支払うことで残機アップを始めとする様々な特典が得られる「カジノ」のボーナスゲームに挑めるようになっている(※ちなみに必ず999枚も集める必要はなく、多少の枚数でも挑戦可能である)。
▼Review ≪Latest Update :4/20/2025 | First Publication Date:7/25/2010≫
「スーパーマリオ」シリーズ全体で見ても、異例の攻略自由度を持ち合わせた遊び応えバツグンの傑作。
前述したように、今回も基本はステージクリア型。ゾーンごとに用意されたコースを攻略しながら最終コース「ワリオ城(マリオ城)」を目指す流れになる。ただ、前作と大きく異なるのは、ゾーンの攻略順序が決められていないこと。

本編には6つのゾーンが用意されているのだが、なんと最初からすべてのゾーンに行くことが可能。大木がシンボルの「ツリーゾーン」から始めるのも、宇宙が舞台の「スペースゾーン」から始めるのも、プレイヤーの自由となっているのだ。同じくワールドマップのシステムが採用されていた『スーパーマリオブラザーズ3』と『スーパーマリオワールド』は、基本的に順序が決められていて、1から順にワールドを辿っていく形だったが、本作は流れ無関係にどうとでもできる!1つのゾーンを集中的に攻略するのもよし、一部のコースを終えて別のゾーンに出向いてそちらのコースを攻略するのもよしと、色んな遊び方で進めていけるのだ。

こうした特徴もあって、前作はおろか、本家「スーパーマリオ」シリーズとしても異例とも言える高い攻略自由度が確立されている。しかも面白いのが、どのゾーンも難易度調整の面で極端な差を作っていないこと。初っ端からやたら難しかったり、ある程度の慣れが必要とされる仕掛けを登場させて躓かせるといったハードルを設定せず、どこからでも始められて最後まで攻略できるバランスでまとめられているのである。もちろん、一部ゾーンには難易度の高いコースも用意されている。だが、基本的に初っ端に設けるようなことはしていない。多くは後半近くに設けるという、プレイヤーの慣れを踏まえた配慮を凝らしているのだ。

おかげで、そこに至るまでに最小限の進捗は生まれるようになっているほか、なかなか進めないとしても別のゾーンの攻略で気を紛らわし、実力を付けたら戻ってくるみたいな進め方もできる。なお、別にほかのゾーンでの経験が必要とされるみたいなケースはあまりないため、だいたいはトライ&エラーを重ねることで突破口が見えてくるバランスだ。実力に乏しいプレイヤーを門前払いするようなことはない。ちゃんと納得感があり、理不尽さも感じない塩梅に落ち着かせているのである。

それでいて、ちゃんとゾーンごとに仕掛けやロケーションで個性を出し、固有の遊びを作っているのも凄い。「スペースゾーン」なら無重力、「パンプキンゾーン」なら和洋折衷なホラー世界、「アクアゾーン」なら水中コースメインといった具合に違った体験が味わえて、そこでしかない印象が残る内容にまとめられているのだ。また、前作の良いところでもあった敵キャラクターの個性の強さとバリエーションの豊富さも健在。個々のゾーンでしか会えない独自の敵が出てくるので、「今、別のゾーンを遊んでいる」という確かな手応えとそこでしか味わえない思い出を作ってくれる。

敵のメンツも前作から一新されているほか、前述した「唐傘オバケ」に「一つ目小僧」のような強烈な印象を残す新キャラクターも多数。各ゾーンの最後に対決するボスも、前作とはひと味もふた味も違ったメンツばかりで、その攻撃パターンや容姿も含めて強く印象に残ってしまうはずだ。ちなみにボスの中には、なんと前作の大ボスだった「タタンガ」も居る。事実上のリベンジとも言える戦いが繰り広げられるので、前作を楽しんだ人なら要チェックである。

また、ボスに関しては本作初登場の「ワリオ」も強い印象を残すこと請け合いだ。そもそも、マリオの「M」を逆にして「W」にしたとの発想の時点で強すぎるのだが、肝心の本人も「スーパーマリオ」シリーズの宿敵クッパや、前作のタタンガ、『スーパーマリオUSA』のマムーにはない個性が光る存在になっている。ある意味、マリオと全く同じ容姿であるからこそ実現できたアイディアが凝らされたその戦いは、前作はおろか、「スーパーマリオ」シリーズの経験者も必見だ。

前作からの変更点として、シューティングコースの廃止があることから、本編の起伏は本家「スーパーマリオ」シリーズに近しいものになったとイメージするかもしれない。実際、アクション一辺倒になった点では「スーパーマリオ」シリーズに近しいのだが、仕掛けとロケーション、そして敵は本家にはない試みがこれでもかと言わんばかりに詰め込まれている。加えて、どこのゾーンからも攻略可能という自由度の高さだ。

たしかにジャンルが変わるレベルの驚きはないものの、それに負けず劣らないどころか、スケールの違いすぎる驚きが本作にはある。まさに『スーパーマリオブラザーズ』『スーパーマリオブラザーズ2』から『スーパーマリオブラザーズ3』になった時に近い、究極的な進化を遂げた『スーパーマリオランド』に仕上げられているのだ。
あまりに違っているのもあって、前作未経験でも普通に遊べてしまうほど。実際、タタンガの再登場を除けば、前作との繋がりを明示した部分はないので、未経験でも普通に遊べてしまう。その辺の支障の無さもまた、「スーパーマリオ」シリーズらしさがありつつ、『スーパーマリオランド』ならではの特徴を持たせているのが面白いところだ。
難易度も総じてやさしすぎず、難しすぎずの適度なバランスでまとめられている。最後の「ワリオ城」を除けば。というのも本作、最終コースだけはやたら難しい。アクションゲームが苦手な人はおろか、得意な人すら「正気か!?」と物申したくなる過酷な構成になっているのだ。とりあえず、やたら長いのに中間ポイントがなく、ボス戦まで到達できたとしても、ミスすればスタート地点からやり直しになるというだけでも、いかに難しいかが察せると思われる。逆に言えば、最終コースらしい難しさとも言えるのだが、他のコースの難易度が適切な塩梅になっている分、もう少し手加減してほしかったところではある。

ただ、救済措置として、「スーパーマリオ」シリーズとしては異例の低難易度「EASY MODE」が用意されている。もし、なかなか突破できないと思った時はこちらを頼ってみるといいだろう。セーブファイル選択画面でセレクトボタンを押せば切り替えられる。

あと厄介な箇所で、本作はゲームオーバーになると、各ゾーンで獲得した「6つの金貨」が全没収されるようになっている。つまり、再びボスと戦って取り返さなくてはならないのである。それもあって、今回はゲームオーバー時のリスクがやたらと高い。ペナルティとしても必然性の乏しさが否めず、正直、これは無くても良かったように思える。逆にこうすることでボスと再び戦えたりはするのだが、それはそれでいつでもできるようにして欲しかったところ。

ほかに前作に比べると演出がやや大人しくなったとか(特にゴール時)、大ジャンプ(十字キー+Aボタン)と通常ジャンプ時の違いがやや分かりにくいなどの気になる箇所もチラホラ。
ただ、続編としては着実……を通り越して大規模な進化を遂げた作品になっていることは確か。攻略自由度の高い本編に見所の多すぎる全32のコース、優れた操作性などの際立って優れた部分も多い。

グラフィックも前作以上に綺麗で、視認性も向上して見やすくなっている。音楽も明るくて時に勢いを感じさせる楽曲が揃っている。あまり本編では詳しく描かれるわけではないものの、マリオが自分の故郷とお城を取り戻すため、敵と戦うという設定も前作はおろか、ほかの「スーパーマリオ」シリーズにはない渋さとカッコよさがある。

前作を楽しんだプレイヤーはもちろんのこと、「スーパーマリオ」シリーズのファンからアクションゲーム好きにも幅広くオススメできる傑作だ。圧倒的な攻略自由度を誇るマリオランドの地を駆け抜け、ナゾの男「ワリオ」からお城を取り戻そう。そして、そのために色んな攻略ルートを考えては試していこう。やり様によっては何回でも楽しめる『スーパーマリオランド』、ここにあり。
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