Written in Japanese. Japanese fonts required to view this site / Game Review & Data Base Site
  1. ホーム>
  2. Review Box>
  3. Game Boy>
  4. スーパーマリオランド2 6つの金貨
≫スーパーマリオランド2 6つの金貨
■発売元 任天堂
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 ゲームボーイ版:3990円(税込)
バーチャルコンソール版(3DS):400円(税込)
■公式サイト ≫ゲームボーイ版 / ≫VC版(3DS)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■総説明書ページ数 17ページ
■推定クリア時間 5〜6時間(エンディング目的)、8〜9時間(完全攻略目的)
マリオが『サラサ・ランド』で宇宙怪人タタンガの退治に行ってた頃、彼の故郷である『マリオランド』で事件が起こった。マリオランドにあるマリオの城『マリオ城』が、「ワリオ」と名乗る者に占領されてしまったのだ。更にマリオランドの住民達も、ワリオに魔法をかけられてしまい、彼の手下にされてしまった。

元々、ワリオは前からマリオ城を乗っ取ろうと狙っていたようだ。自分の城が欲しい、ただそれだけの理由で。その為にワリオは、マリオ城の扉の鍵である『6つの金貨』をあちこちにばら撒いてしまった。そしてその金貨は彼の手下達に見守らせているようだ。この6つの金貨が無ければ、マリオ城へに入る事など不可能。
マリオ城を占領したワリオを追い払う為、マリオは、ばら撒かれた6つの金貨の回収に乗り出す。
果たしてマリオとワリオ、彼らの勝負の行方は?!
▼Points Check
--- Good Point ---
◆全6ゾーンを好きな順番で攻略できる、圧倒的な自由度の高さが光るゲームシステム
◆全6ゾーン33コースと、前作以上に数と密度が向上したコース群
◆大木、巨大ロボット、日本寺院、更には宇宙空間と、前作に増して何でもあり感が強化されたコースロケーション
◆ロケーションと並行してぶっ飛んだ各コースの仕掛け(特に宇宙空間の無重力は強烈)
◆マリオシリーズらしからぬ、個性的過ぎる敵キャラクター達(今回は一つ目小僧に唐傘オバケと言った奴らまで登場)
◆前作以上に多彩になったマリオの変身アクション(特にバニーマリオは必見)
◆程好い手強さが心地良い、絶妙なゲームバランス
◆アクションゲーム初心者には嬉しい救済機能『イージーモード』
◆マリオシリーズ伝統の取っ付き易く、動かすだけでも楽しい操作性
◆隠しコース探し、各種難易度攻略など、地味ながら充実したやり込み要素
◆キャラクターのドット絵サイズが大きくなり、前作にも増して見易さが向上したグラフィック
◆前作から一転して明るく元気な作風に改められた音楽(名曲も充実)
◆自分の故郷を守る為に戦うという、マリオシリーズとしては非常に珍しい「男っぽさ」が際立つストーリー設定

--- Bad Point ---
◆問答無用で集めた金貨が没収されてしまうゲームオーバー時のペナルティ
◆長過ぎる上に中間ポイントも無いラストの『マリオ城』
◆地味な演出(特にコースクリア時の演出は素っ気無い)
◆ゾーンごとの極端なコース総数の差(場所によってはたった2つしかなかったり)
◆弱過ぎる上に簡単にはめられるタートルゾーンのボス『ポコ』
▼Review ≪Last Update : 7/25/2010≫
戦え、故郷の為に!

この男、お姫様救出ばかりしてる奴などではない。


ゲームボーイ本体と同時発売され、300万本強のヒットを記録した『スーパーマリオランド』三年ぶりの続編。開発は前作と同様、横井軍平氏率いる任天堂開発一部が担当。

奥深さと自由度が大幅に向上した、正当進化系の続編だ。

基本的なゲーム内容は前作と同様、横スクロールのステージクリア型アクションゲーム。マリオを操り、全6つのゾーンを攻略して『金貨』を集め、ワリオに乗っ取られたマリオ城の奪還を目指す、というものだ。
しかし、ゲームシステムは大幅に一新。前作の『スーパーマリオブラザーズ』の一本道スタイルから一転して、『スーパーマリオブラザーズ3』、『スーパーマリオワールド』のワールドマップ攻略方式が起用された。これに伴い、前作には無かったワールドマップが新たに登場。淡々とコースをクリアしていくシンプルな前作と異なり、かなり入り組んだゲーム展開をするようになった。更に全体のボリュームも前作の2倍に拡大。ワールド(ゾーン)は6、コース総数は32にも増え、やり応えが大幅に上昇している。またボリュームの増加に伴い、バッテリーバックアップによるセーブ機能も実装。クリアしたコースなどが記録されるようになり、より遊び易くなっている。
その他、グラフィックも全面的にリニューアル。今作のゲームシステムの原点でもある、『スーパーマリオブラザーズ3』や『スーパーマリオワールド』を踏襲したものへと差し替えられている。単に差し替えただけでなく、キャラクターのドット絵サイズも拡大。こじんまりとしていた前作以上に見易いものへ進化し、よりキャラクターの特徴が分かり易くなった。サイズが大きくなった代償として、スピード感は前作よりもやや落ちてしまっているが、絶妙なバランスや動かすだけでも楽しい操作性など、マリオ独特の売りはそのまま。遊び易さを何よりも最優先した、非常に好感の抱けるアレンジとなっている。
また、今回は前作のように、スーパーマリオブラザーズを単にゲームボーイ向けにしただけ、と言った一面が皆無なのも面白いところ。今回のシステムも基本的には過去のマリオシリーズの踏襲だ。ネタとしての新鮮味は薄い。
しかし、今回はいずれの要素もゲームボーイ向けに落とし込んだだけで終わらせてなく、きちんと独自のアレンジが加えられている。特に光るのは、ワールドマップのシステム全般。何と今作は、最初のオープニングコース以外の全6つのゾーンは、何処から始めてもOK。簡単な所からでも良し、いきなり難しい所からでも良しの自由奔放な構成になっているのだ。ネタ元のマリオ3、マリオワールドは基本、コースを順番に攻略して行かないと、次のワールドへは進めない仕組みであったのに対し、今作の場合は別に順番に攻略しようがしなくとも、次のワールドへと進めないみたいなペナルティは一切無し!プレイヤーの好き勝手にゲームを進めて行けるのである。当然、いきなり最後のコースに挑戦するのは不可能だが、それでも好き勝手に攻略できるこの構成は実に魅力的。順番に進めて行かねばならぬ縛りが無いので、本家マリオシリーズ以上にプレイヤーのワガママの効くゲームプレイを堪能できる。ゾーン内部は一本道でコースを攻略していく仕組みだが、その攻略にしても、好きな時にゾーンからの離脱可能なので、ある程度のワガママは効く仕様。順に攻略していくよりも、自分のペースで攻略していきたいんだ!…と思って止まぬプレイヤーにしてみれば、今作の構成は大変魅力的なものと言えるだろう。また、マリオシリーズとしてもこの試みは画期的。ある意味、本家シリーズ以上に強烈なインパクトを持つシステムとも言えるかもしれない。
強烈なインパクトを持つものと言えば、マリオの変身アクションもまた然り。前作の2種類から、全4種類に拡大。その中には『バニーマリオ』という、ウザギの耳が生えたマリオという、耳フェチ(?)驚愕の変身が…。これには、マリオシリーズ好きなら、唖然としてしまうだろう。見た目だけでなく、このバニーマリオの時だけに可能な空中浮遊アクションも実にファンシー…もとい、衝撃的。Aボタン押しっぱなしによる連続ジャンプもなかなか爽快で、これもまたワールドマップのシステムと同様に見逃せない、ゲームボーイならではの遊びと言えるだろう。開発スタッフの遊びとも言えなくも無いが…。

そんな今作の魅力は、何と言っても圧倒的な自由度だ。どのゾーンから始めてもペナルティ無し、プレイヤーの好きなルートで攻略できるというだけでも、アクションゲームとしてのみならず、マリオシリーズとしても大変魅力的である。しがらみ無しにコース攻略が楽しめる故、多彩なパターンによるゲーム展開も構築でき(最初に攻略するゾーンを変更してのプレイなど)、2周目や3周目以降のプレイに華を添えている点も、このシステムの侮れないところだ。
しかし、何よりも侮れないのは、全ゾーンの難易度だろう。いずれも、何処からスタートしても問題無いよう、最初のコースを温めにするなどの気配りが万全。初っ端から高難易度のコースを用意し、そこから始める事を暗に抑制すると言った罠が一切、仕掛けられて無いのである。この手の好きな順番で進められる構成だと、何処かしらに高難易度のコースをセットし、他のステージからの攻略を暗に薦めたりするものだが、今作は徹底して、プレイヤーの判断を尊重。何処から始めても、共通の手応えが味わえる、職人的な調整で統一されているのである。
ステージの仕掛けやボスなど、個性が強調された側面もあれど、不思議と極端な難易度の差は感じ難い作り。それどころか5から始め、その後に1から順に攻略して行っても、それが真っ当な難易度上昇だと錯覚を覚えてしまうのだから、なおのこと衝撃的だ。何処から始めても順当な難易度推移が堪能できる(錯覚してしまう)とか、一体、今作はどれほどバランスの調整に時間をかけたのか。やり込めばやり込むほど、その徹底した仕事ぶりには戦慄が走るばかりである。
コースに関しては、自由度の高さやバランスの調整の上手さだけでなく、そのロケーションも実に魅力的だ。前作でもエジプト、バミューダ諸島、イースター島、中国とマリオらしからぬ地形が満載だったが、今作はその頭一つ上回ってる。何故ならば、マリオシリーズ初となる宇宙コースがあるから。とうとう、マリオが地球外へと進出したのだ。当然、宇宙というだけにそのコースは無重力。移動速度やジャンプ力も重力を受けなくなるので、これまでのマリオでは味わえなかった、宇宙遊泳を楽しむことができる。ふわりとした操作感もまた独特で、マリオシリーズの歴史に一石を投じるユニークさが炸裂。重力無しの2Dマリオが味わえるというだけでも、今作が如何にマリオシリーズとしては革新的な一本であるかは、もはや想像に難くないだろう。宇宙の他にも、今作には奇抜なコースが多数登場。マリオの姿をした巨大ロボット、沈没船、クジラの体内、ガリバー旅行記な一軒家、そして日本の墓地(!)と、世界各地をテーマとしていた前作の味も残しつつ、マリオらしいファンタジックな一面も残した、ユニークな地形がプレイヤーの前に立ちはばかる。本家マリオシリーズでは見受けられない地形を駆け巡るマリオの姿は、実に新鮮味たっぷり。今回もまた、マリオらしからぬけどマリオらしいという、アンバランスな冒険を大いに楽しめる。
残念ながら、前作の売りの一つだったシューティングは廃されてしまったが、それでもシステムや地形のインパクトは相当なものなので、さほど気になるレベルではない。一本道だった前作を反省し、プレイヤーの自由を許す構成としつつ、前作独特の味も残すなど、別物に進化しながらも、続編としての姿勢も守り切ったこの作りは、まさに正当進化系というに相応しい。 別物にしつつ、前作の味を残した続編の理想系とはどういうものか。
今作をプレイすれば、その事がよく理解できるだろう。

その他、操作性も良好。本家よりの操作感となったので、違和感なくマリオ独特のアクションが楽しめるようになっている。また、新たに導入されたセーブ機能もコースをクリアすれば自動的に行われるというフルオート設計で、常にセーブしたか、しなかったかを意識する必要が無いのも嬉しいところ。セーブファイルが、土管という表現方法も面白い。
サポート周りでは他にマリオシリーズとしては異端な低難易度モード『イージーモード』が実装されているのも見逃せない。(セーブファイル選択画面でセレクトボタンを押す事で変更が可能)これを行うことで、各コース内の一部の仕掛けが緩くなる変化が起きる。例によって、難易度も大幅に下がるのだが、単に下がるだけでなく、通常難易度とは違った展開も味わえるようにもなり、一粒で二度美味しい一面があるのがちょっとユニーク。マリオでイージーなんて…と懸念する方もいると思うが、一度、本編をクリアしたらプレイしてみて欲しい。ちょっと違ったマリオの世界が楽しめる。
グラフィックも先の通りだが、全体的に強化。音楽も前作とは異なるテイストに改められている。しかし、テイストが変わっても名曲は満載。特にゲームスタートと同時に始まる最初のコース、スペースゾーンのボス面、最後のマリオ城は必聴の価値アリだ。ちなみに、今作の音楽はどうぶつの森やヨッシーストーリーで知られる”とたけけ”こと戸高一生氏が作曲。氏ならではの明るい作風が、各種コースを大いに盛り上げてくれる。
また、具体的には語られないが、今作はストーリーも大変ユニーク。特にピーチ姫やデイジー姫と言った女性を救うのではなく、自分の故郷を取り戻す為にマリオが戦うという設定は、シリーズにしては珍しい男っぽい雰囲気が滲み出ていて面白い。今作でシリーズ初登場を果たしたライバルキャラにして今作の大ボス、ワリオの存在感もなかなかのもの。悪役なのだけど憎めない、その可愛らしい一面は必見だ。

救済処置としては申し分ない役割を果たす『カジノ』、個性豊かな技で攻めてくる全6ゾーンのボス、そして無駄に個性的な敵キャラクター達など、細かい面の作り込みも素晴らしく、全体的な気合いの入れようは相当なもの。ゲームオーバーになると、強制的に集めた金貨全てが没収され、集め直しになってしまう事、演出全般が地味、長過ぎる感が否めないラストのマリオ城など、欠点もチラホラあるが、いずれも些細なレベル。
別物に様変わりして新たな面白さを提供しながらも、前作の味をきちんと残すなど、職人的な作り込みの数々は全く持って、筆舌に尽くし難いものがある。まさに正当進化系としては申し分の無い今作。
前作をやり込んだプレイヤーは勿論の事、マリオシリーズファン、アクションゲーム初心者から上級者まで、幅広くお薦めできる名作だ。好き勝手に遊べるこのマリオ、とことん遊び尽くそう。お薦めの逸品です。
≫トップに戻る≪