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  4. ドンキーコングランド
≫ドンキーコングランド
■発売元 任天堂
■開発元 レア
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 3150円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■その他 スーパーゲームボーイ対応
■総説明書ページ数 27ページ
■推定クリア時間 5〜7時間(エンディング目的)、28〜35時間(完全攻略目的)
キャプテンクルールとその一味のクレムリン軍団にドンキーコングが誘拐されてしまった。そして、彼らはドンキーコングの身代金として、バナナの山を要求してきた。
もし、バナナの山を渡してしまったら、「コングファミリーは臆病者」と思われてしまう。
そこで、ディディーとディクシーがドンキーの救出に向かうことになった。目指すは彼らのアジトである『クロコダイル島』。果たして二匹は無事、ドンキーを助け出せるのか。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆前作以上に『スーパードンキーコング』らしさが強化されたゲームシステム
◆全体と内部に分けられたほか、コース名表記も加わって大幅に改善されたワールド&コース選択マップ
◆『スーパードンキーコング2』がベースだが構成は完全オリジナルと、新鮮味満点のコース構成
◆ワールド数6+おまけ、コース数40以上とオリジナルに負けず劣らぬ物量にパワーアップした総計ボリューム
◆ボーナスコイン、DKコイン集めなど、歯応え抜群のやり込み要素
◆状況把握を容易にし、不慮の事故を起き難くさせた新機能『相棒アイコン』
◆背景とキャラクターの差別化が明確に成され、大幅に見易くなったグラフィック
◆音源の少なさを全く感じさせない、名曲揃いの音楽(『スーパードンキーコング2』のアレンジ主体だが、中にはオリジナル以上に進化した曲も)
◆取っ付き易く、気持ちよくキャラクターを動かす楽しさに浸れる珠玉の操作性
◆不自然なミス判定や前作の『カメレオン現象』が完全撤廃され、オリジナルに忠実な絶妙さを取り戻したゲームバランス
◆ミスの際に専用音楽が流れたりと、前作の地味さを完全に払拭した演出
◆ディディーに主役交代した所為で、劇的に向上したゲームテンポ

--- Bad Point ---
◆ゲームテンポ向上の代償で、前作以上に酷くなった白黒ゲームボーイプレイ時の残像(スーパーゲームボーイ、ゲームボーイカラーでプレイした際は大丈夫だが…)
◆オリジナル通りだが、携帯ゲーム機との相性の悪さが光る特定ポイント(リンクリーの学校)到達型のセーブシステム
◆一部、名称に反した詐欺コースの存在
◆アニマルフレンド・クモのスクイッターの足場作成操作の癖の強さ(ハード設計上仕方が無いが、セレクトボタンで足場を作るというのは地味に煩わしいものがある)
◆派手にチラツキが生じる所為で、戦い難いボス『キングB』
▼Review ≪Last Update : 12/26/2010≫
実際のゲーム画面がどんなのかはプレイしてのお楽しみよ。

これぞまさに究極のネタバレ防止策。(※説明書より)


ゲームボーイとは思えぬ精微なグラフィックとオリジナルと何ら変わらぬ高いゲーム性で好評を博した、『スーパードンキーコングGB』の続編。開発は前作、そして本編のドンキーシリーズと同じく、イギリスのソフトハウス『レア』が担当。

スーパーファミコン版に勝るとも劣らぬ内容に進化した、珠玉の続編だ。

ゲーム内容は前作『スーパードンキーコングGB』に準拠。横スクロールのステージクリア型アクションゲームで、プレイヤーはディディーとディクシーの二匹を操作し、様々な仕掛けが張り巡らされたコースを攻略していくというものだ。
ゲームシステムも異なる能力を持った二匹を状況に応じて使い分けるプレイヤーチェンジ、秘密のコース(ボーナスステージ)を見つける探索要素など、前作及びスーパーファミコン版を踏襲している。また、前作『スーパードンキーコングGB』でハードの制約を受け、削除されたスーパーファミコン版の要素が復活。コース選択のマップ画面とワールドマップの追加、コングファミリーの出演など、ほとんどオリジナルも同然な仕様に戻されている。更にこれだけに留まらず、マップ画面にてコース名と攻略状況も表示されるようになったほか、冒険の手助けをしてくれるアニマルフレンドも前作を超える5体に増強。水中面の強い味方だった、カジキのエンガードも今作では復活を遂げるなど、前作のように一部のステージだけ、極端に難易度が高いと言った偏りがほぼ消滅。均衡の取れたバランスに再調整が図られた。
だがその一方で、セーブシステムがスーパーファミコン版と同じ特定ポイント(リンクリーの学校)でのみ行われる方式へと後退。しかも、今作のベースであるオリジナルの『スーパードンキーコング2』と同様、『バナナコイン』を払わないとセーブを行ってくれないクレジット制である故、敷居も上がってしまっている。癖はあったとは言え、一定の自由度のあった前作のKONGトークン回収方式によるセーブシステムと比較すると、携帯ゲーム機のゲームとしての手軽さが失われた感は否めない。ここに限っては、前作から後退してしまった格好である。しかし、オリジナルと同じ仕様になった事でまさにスーパードンキーコングとも言える作りになったのは、ファンにとっては地味にニクい。ゲームボーイのスーパードンキーコングとしての形を目指した意味では、この仕様変更は妥当と言えるだろう。
そんな具合に一部、退化した所もあるが、前作以上にシステムはスーパードンキーコング同然の作りへと変貌。前作はゲームボーイの制約を受けたスーパードンキーコングという感じだったが、今回は制約なんて何のそのの正真正銘のスーパードンキーコングとして作られており、ファンとしてもアクション好きとしても満足度の高い仕上がりになっている。
勿論、ただ完全再現を目指しただけじゃない。前作に倣い、用意されたコースは全て新作。前作のようにオリジナルの敵やボス、そして地形は登場しない為、『スーパードンキーコング2』のゲームボーイ向けリメイクの様相が強くなってるが、新しさを求める姿勢は前作のまま。なので、スーパーファミコン版をクリアした方でも十分に楽しめる作り。新約の『スーパードンキーコング2』とも言うべき、遊び応えのある内容に仕上がっている。
この他、前作の欠点だったグラフィックも改善され、背景の主張を抑えてキャラを強調した作風に改め、見易さが向上。背景と敵が同化する『カメレオン現象』も起きなくなり、ゲームバランスの面でも大幅な修正が成された。システムでも相棒(パートナー)が居るか居ないかを示すアイコンが表示されるようになり、状況把握もし易くなっている。実は既に一匹だった、と後で知らされて「ムキーッ!」となったりするなど、全くなし。
完全再現を目指すだけでなく、こう言った前作の魅力である鮮度の追求や問題の改善なども万全。まさに前作で実現出来なかった事をやり遂げたリベンジ作品と言うべきか。再現度の高さもさる事ながら、遊び易さも今作は前作以上のものとなっており、何から何までが劇的な進化を遂げている。まさに理想的な続編と言うに相応しい出来栄えだ。

そんな数ある進化の中で、特に魅力的なのはスーパードンキーコングの完全再現を目指したゲームデザイン…というよりは、志の高さだ。全体マップの導入にコース名と攻略状況表記の復活、アニマルフレンドとコングファミリーの総出演と、前作で削った要素の大半を復活させ、完璧な「ゲームボーイのスーパードンキーコング」を生み出そうと尽力した事には、思わず拍手を送りたくなる。しかも、その復活させた要素のほとんどが、多少削られた部分もあれど、ほぼオリジナル版の体を成している辺りに製作スタッフの「完全再現」に対する尋常無きこだわりを痛感させられる。グラフィックやキャラクターのアニメーションにしても、前作とほぼ変わらぬゲームボーイの限界に挑戦するクオリティで作っているだけに尚更。スーパーファミコンより性能の劣るゲームボーイだから、制約も沢山あって削らざる部分も沢山あるだろうに、それすら最小限のレベルに抑えて実現させてしまっているのだから恐れ入る。こんなゲームボーイの性能をものともしない事を行ってしまったのも、全ては作品に対する愛と前作のリベンジを果たそうとする強き思いによるものだろう。
触り心地に雰囲気、手応えからテンポに至るまで、全てを再現してしまったレア社スタッフの技術力と作品への愛には本当、良い意味で溜息が出るばかりである。
また、前作が好きだったプレイヤーやスーパーファミコン版を遊び尽くしたプレイヤーに向け、ステージの設計を新規に作り直すなど、サービスを忘れぬ姿勢にもかなり好感が持てる。実質、2の移植に等しいなのにオリジナル版のコースを再現せず、全部新しくしてあらゆるユーザーが楽しめるものにするとか、挑戦的にも程がある。移植だとプレイ済のユーザーに簡単に攻略されてしまうし、折角ゲームボーイで再現した2の世界観を味わってもらえない、という意図を込めてのなのか。あえて制作面で多大な苦労を伴う選択肢を取った事には、本気で頭を下げざるを得ない。普通なら、移植だからオリジナルの再現に走るべき所を手間のかかる新規にするとか、並のこだわりなくしてやれるものではない。あらゆるユーザーに本気で遊んでもらう為なら、手抜きの選択肢は絶対に取らないというポリシーでそうしたのか。どんなに考えても一個人の推測の域は出ないが、新しく作り直したその事だけは大きな評価に値するのは言うまでも無い。
しかも、今作は全6+1ワールド40コース以上と、コースの総数も前作より増えているので、ますます何故、そんな苦労が伴う選択肢を選んだんだと、突っ込みたくなる。挙句の果てに新規コースの完成度は総じて高め。敵配置から仕掛けの配置まで全てが入念に設計されているのだから驚かされる。本当、どんだけ愛しているのかと。再現に対する意気込みと言い、スタッフの本気には一種の恐怖すら覚える。
その他、ボス戦でもボス自体はオリジナルと一緒なのに戦闘の内容がまるで違ったり、ワールドマップのグラフィックがオリジナルと違うなど、スタッフの尋常無き本気が込められた箇所は多々存在する。
しかし、コースは新作である一方、新地形や新キャラが皆無というのは少し寂しい。今作がスーパードンキーコング2の再現というだけに見送ったのだろうが、せめて一体か二体(一箇所、二箇所)ぐらい、混ぜても良かった。また、今回はキャラクターの移動スピードもオリジナルに準拠しているのだが、白黒の旧型ゲームボーイでプレイした際は残像が激しく、プレイするのが厳しい。この辺はハードの仕様で仕方が無いとは言え、もう少々遅くしても良かった。ただ、今回はグラフィックの修正で敵の視認性が向上しているので、事故が起こり難くなった点では前作よりはマシと言えるだろう。
キャラクターや世界観の面で新鮮味は薄れてはいるものの、ゲームとしての遊び応えは前作の味はそのまま。更にシステム周りも含めてスーパードンキーコングのほぼ完全な再現となっているので、触り心地はオリジナル版に近いものへと進化し、面白さも増している。
リメイク色は強くなったとは言え、ユーザーへのサービスを忘れず、そして再現を目指すのなら一切の妥協もしない姿勢は前作やオリジナル版と大差なし。そして、手応えと新鮮味も結構なもの。再現を無茶した部分もあれど、このファンと初めて触れるプレイヤーの双方を意識した志の高さ、本当に並大抵のものではない。まさに今作は、製作スタッフことレア社の本気の集大成と言うに相応しい一本と言っても良いだろう。全てにおいてやり過ぎだ。

操作性もキャラクターの移動スピードが原作基準に見直されたのもあり、大幅に向上。スピーディに且つ、気持ちよくキャラクターを動かせる。また、アクション周りも連係プレイの『チームアップ』は削られているものの、フックアクションやディクシーのポニーテールスピン(空中浮遊)などはそのままで、オリジナルの魅力がそのまま再現されてるのも地味に凄い。ほとんどオリジナルと変わらぬ感覚で、アクションの醍醐味に浸れるのだから最高だ。
ゲームバランスも、グラフィックの修正の影響もあって大幅に改善。本編さながらの手応えのある、絶妙なバランスになっている。敵配置やボーナスステージの設置箇所も的確で、オリジナル版に引けを取らない。
またボリューム面とやり込み要素も大幅に強化。クレムコイン・DKコイン集めなど、オリジナルに負けず劣らずの強烈な歯応えを余す事無く堪能できる。特にコイン集めはひょっとしたら、オリジナル版よりも難しい…かもしれない。
音楽も相変わらず完成度高し。前作のようにオリジナル曲は無くなり、全てが2のアレンジとなっているが、オリジナル版をプレイした人でも唸るほどの良好なアレンジ具合。ゲームボーイに移った事による音質の劣化を全く感じさせぬその出来の高さは要チェックである。
また演出も見直され、中でもミスした際にちゃんと専用の音楽が流れるようになったのは、ナイスな改善点である。

ミスに絡んだ事として、高所から落下した際、例え下に足場があってもミス扱いになってしまう前作の欠点も、今回にて修正。高いところから飛び降りても、下に足場があるのなら辿り着くまでスクロールしてくれるようになったので、無駄なミスも起き難くなっている。更にこれは2を基にしてるのもあるが、前作の空中迷路を髣髴させるコースも無くなり、挫折ポイントが減った点も嬉しいところである。
前作の『スーパードンキーコングGB』と比べると、システムから操作性、雰囲気なども含め、オリジナルの魅力を見事に再現している今作。新作色は薄れたほか、移動速度の再調整で白黒ゲームボーイでのプレイが厳しくなったが、基本的な面白さは盤石。それでいて、オリジナル版経験者でも楽しめる要素が盛り沢山というサービスも充実した傑作だ。アクションゲームが好きなプレイヤー、シリーズファンは言うまでも無く、ゲームボーイを持ってる人なら要プレイ。ゲームボーイで完全再現されたスーパードンキーコングの姿とレア社の本気、とくと堪能すべし。
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