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≫ドンキーコングGB ディンキーコング&ディクシーコング
■発売元 任天堂
■開発元 レア
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 3990円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■その他 ゲームボーイカラー専用(※カラー以前のゲームボーイでは遊べません、ドンキーコングスペシャルカード付属
■総説明書ページ数 24ページ
■推定クリア時間 5〜7時間(エンディング目的)、32〜40時間(完全攻略目的)
何世紀にも渡り、近隣諸国を支配してたという伝説のロストワールドを探せ!

近頃、この噂が『ドンキーコングランド』で広まり、名声と宝を手に入れる為、多くの強者達が世界中から集まってきた。無論、ドンキーとディディーもこの噂を聞き逃さず、すぐさま彼らと共にロストワールドを探す為の冒険へと出発した。

そして取り残されたディクシーも、赤ちゃんコングのディンキーと共にロストワールドを巡る冒険へと参加する事を決意する。全ては、誰よりも早くロストワールド発見する為に。

果たしてディクシーとディンキーは、一番乗りでロストワールドを発見できるのか。
今ここに、二匹の大冒険が始まった。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆『スーパードンキーコング3』を『スーパードンキーコング2』のシステムで作り直した興味深いゲームシステム
◆『スーパードンキーコング3』の経験は何一つ通用しない、完全新作構成のコース構成
◆待機系のギミックを廃し、『スーパードンキーコング3』以上に強化されたアクション性
◆攻撃パターンの刷新でスーパードンキーコング3経験者も新鮮な気持ちで楽しめる作りとなっているボス戦
◆コース名称の一新、新アイテム追加など、前作以上に強化されたゲームボーイオリジナル要素
◆シリーズ伝統の取っ付き易さと動かす楽しさに秀でた珠玉の操作性
◆優し過ぎず難し過ぎずの絶妙な歯応えが心地良い、良好なゲームバランス
◆全7ワールド50コース以上と歴代シリーズ最高クラスのやり応えを兼ね備えた総計ボリューム
◆時計集めの追加とスペシャルコース実装でより歯応えのあるものへと進歩したやり込み要素
◆カラー専用で色づけが成され、更に見栄えが向上したグラフィック
◆前作同様、音源の少なさを感じさせない名曲揃いの音楽(『スーパードンキーコング3』のアレンジ曲が中心だが、オリジナル以上に魅力が増した楽曲も…)
◆カラー専用化により、完全解消された旧ゲームボーイでのプレイ時における残像問題

--- Bad Point ---
◆カラー専用というには色使いに少々、無理矢理さも目立つグラフィック
◆止めの一撃を与えても決まって悪あがきの攻撃を仕掛けてくるボスキャラクター達(一体だけ除くが、これにより倒した時の達成感が弱い)
◆記録されない仕様のベアーコイン(これはオリジナルのように保存されると良かった)
◆クマさんのお店にある『ワープ(※ワールドマップへの移動装置)』の高過ぎる使用料金(ベアーコイン5つは…)
◆演出も含めて地味過ぎて面白味に欠ける『絵合わせゲーム』
◆何故かディディーの顔デザインとなっている1UPバルーン(ミス?)
▼Review ≪Last Update : 12/25/2011≫
まさかの未来がここにある。

正統進化系『スーパードンキーコング3』、ここに推参。


ゲームボーイの限界を突き詰めたグラフィックとオリジナルと変わらぬアクション性の高さで好評を博した『スーパードンキーコングGB』から続く、ゲームボーイ版スーパードンキーコングシリーズの最新作。開発はこれまでと同様、イギリスのソフトハウス『レア』が担当。元々は『ドンキーコングランド2』の名で、旧ゲームボーイ向けソフトとして製作されていた。

「もしも」の未来を追求した作り込みが光る、魅力満載の続編だ。

ゲーム内容は横スクロールで展開するステージクリア型アクションゲーム。主人公のディクシーとディンキーの二匹を操作し、様々な仕掛けが張り巡らされた多種多様なコースを攻略していくというものだ。ゲームシステムは前作『ドンキーコングランド』を踏襲。スーパーファミコンの『スーパードンキーコング』シリーズに倣ったワールド&エリアマップ、相棒(パートナー)の存在を示すアイコンなどは今作でもそのまま起用されている。欠点だったポイント式のセーブシステムもそのままだ。ただ、今回はコインを支払わなければセーブが行えないクレジット制は廃止。若干ながら、使い易くなっている。
また、今作からゲームボーイカラー専用となった事で、グラフィックに色が付いただけに留まらず、『スーパードンキーコングGB』の時からネックとなっていた液晶の残像問題が完全解消。ほとんどスーパーファミコン版と変わらぬ感覚で遊べるようになった。3作目にして、遂に携帯機で遊べる本格的なスーパードンキーコングが完成。ある意味、シリーズファンにとっては待望のゲームボーイ版ドンキーコングとも言える仕上がりとなっている。
なお、今作は『スーパードンキーコング3 謎のクレミス島』のゲームボーイ版とも言える内容だ。だが、基本的なゲームシステムは前作『ドンキーコングランド』、スーパーファミコン版で例えれば『スーパードンキーコング2 ディクシー&ディディー』を踏襲。極端に言えば、2のシステムで作った『スーパードンキーコング3』と言った内容になっている。そのような設計上、3の要素の幾つかは削除。代表的なものとして、ゲームを進める度にワールドマップの行動範囲が広がっていくファンキーのボート、リズムゲームをクリアする事で『バナナバード』を救出できる『バナナバードの穴』の二つは今作には無い。寄り道もなく、一本道で進行していく構成なので、プレイ感覚は3よりは2及びランドに近いものになっている。その為、「3がゲームボーイで遊べる」と期待したプレイヤーの気持ちを真っ向から裏切る内容であるのは否めない。ただ、3は色んな要素が詰め込まれていた所為で素直にアクションに集中できない側面があった。できれば2のシステムで遊びたかったというプレイヤーも少なからず居ただろう。そんなプレイヤーにとって今作はまさに、待ち望んでいたスーパードンキーコング。原点回帰の意味で作られた3とも言うべき、個性的な内容になっている。
無論、単に2及びランドのシステムで作られた3という訳でなく、登場するコースの大半は今作オリジナルのものになっているほか、『時計集め』なる新しいやり込み要素も追加。特にコースはロケーションこそ3を踏襲しているが、全てが今作独自のもの。3をやり込んだプレイヤーも新鮮な気持ちで楽しめる仕上がりとなっている。また、今回はボスも面子は3と一緒ながら、全く違う戦い方が求められてくるので、その点でも経験者を楽しませてくれる。
『スーパードンキーコング3』のゲームボーイ版という体裁を持ちながら、基本システムを『スーパードンキーコング2』及び前作の『ドンキーコングランド』準拠とする、「もしも」を意識したゲームデザイン。そして、全てのコースを一新し、ボスからやり込み要素にしても、まるで違ったテクニックを要する作りとする新規プレイヤーから経験者まで広く配慮した作り込みの数々。基本は前作『ドンキーコングランド』の続編という事で、残像問題の解消などの改善を図った正当進化系とも言える内容だが、その実態は「もしも」の未来を描いたスーパードンキーコング。単なる続編というだけでは片付けられぬ、実に魅力的で冒険心を刺激させられる作品となっている。

そして今作の魅力は、そんな『スーパードンキーコング3』を別のシステムで作る、「もしも」の未来を追い求めた内容全てに集約される。売りの全てを削ぎ落とし、『スーパードンキーコング2』及び『ドンキーコングランド』のシステムで再構築を図ってみた結果、どんな事になったのか?非常にテンポが良くて遊び易い、シリーズ原点の魅力が強く推し出された内容へと改められたのである。元々、今作のオリジナルに当たる『スーパードンキーコング3』はボートによるマップ移動、『バナナバード』の救出など、様々な要素が詰め込まれ、全体的に複雑さの際立つ作りだった。それらがあってこその3、というのも事実だが、やはりアクション一辺倒を貫いていた2と比べると、面倒臭い作りになってた感は否めない。どれも完全攻略を目指さないのなら無視できる余地こそあったが、素直にアクションゲームを楽しみ尽くしたいプレイヤーにとって、これらは歓迎し難い邪魔な要素だったのは間違いないだろう。
そんな面倒臭い要素を今作では全て削り落とした。そもそも、容量の都合もあり、導入しようにもできない背景があったのかもしれない。実際に スタッフの本心としては、ゲームボーイ版のスーパードンキーコング3という以上、導入したい気持ちはあったと推測される。しかし、結果的に無理だったので、2及びランドの進化を追及する方針に出た。その決断がオリジナルの『スーパードンキーコング3』で欠けていたアクションゲームのテンポの良さを復活させた。マップ上で変な探索をする必要も無し。『わらしべイベント』の為にマップをウロウロする必要も無し。そして、『バナナバード』救出の為にリズムゲームをやる必要も無し。単純に各コースの攻略だけに集中すれば良い。紛れも無く、正統派アクションゲームとしての『スーパードンキーコング』が復活したのである。
別の視点から見れば後退とも言えるが、このシリーズは美麗なCGによるグラフィックはさておき、奥深いアクション性と取っ付き易さも大きな強みだった。その強みを鈍らせる要素を削るのは非常に良い施策であるし、方向性としても間違ってはいない。迷いもあったかもしれないが、問題のある要素を削り、かつてのテンポの良いアクションゲームを復活させた判断は、非常に大きな評価に値するものだったと言えるだろう。まさに3でアクションゲームを求めたプレイヤーにとっては、リベンジを果たす作品となっているのである。 改善されたのはテンポ周りだけでない。肝心のコースにしても、2及びランドを進化させるコンセプトで作った結果、オリジナルの3以上に疾走感を堪能できるコースが大半を締める構成となった。元々、オリジナルの3は『開閉シャッター』や『道を塞ぐ、タル攻撃でしか倒せない敵』など、作業感を引き立てるギミックが異様に多く、それがアクションゲーム独特のテンポを損ねる要因となっていた。それらも今作では全て取り除き、2とランドの「駆け抜ける気持ちよさ」が活きた構成へと変貌を遂げたのである。おかげで今回は何処のコースも単純に駆け抜けるだけでも気持ちの良い。一方で3のロケットのような独特のコースが削られ、個性が薄まってしまった感も否めないが、素直にアクションゲームの駆け抜ける楽しさを追求し、作業感を発生させる要素を削る施策を打ったのは実に見事な判断。ここも見事にリベンジを果たした仕上がりとなっている。
また、今回は全てのコース及びエリアが地形はおろか、名称まで新しくなっているので、前作ランドのリメイクっぽさが薄れているのも大きな魅力。どうせ違うコースなのだし、新作と割り切ろうとする潔さが現れている。そんな配慮が成された事で、「新しいスーパードンキーコング3」のカラーが強く出ているのも面白いところ。ゲームボーイのドンキーシリーズの初代『GB』の作風がユニークな形で現れている。ここまで新しくするのならいっその事、『GB』のようにオリジナルの敵キャラクターや地形も出して良かったのではと言いたくなる所もあるが、基本的な内容が十分過ぎるほどの新鮮味を出しているので、さすがに欲張りかもしれない。
いずれにせよ、問題であった要素を削り、かつてのテンポの良さを復活させるのみに留めず、前作の路線を継承してよりアクションゲームとしての面白さに磨きをかけようと作り込んだ思い切りは実に見事。そしてその結果、リベンジ作品というユニークな内容を作り上げたのには大きな拍手を送りたい。色々問題のあったゲームを携帯機で改善させてしまうという展開には複雑なものがあるが、原点の良さを追求した今作は、これまでのゲームボーイ版ドンキーシリーズの中でも、屈指の個性と完成度を誇る作品と言っても良いだろう。これぞまさに『スーパードンキーコング3 謎のクレミス島Revenge』である。それは某魔術師のアニメのパクリじゃないかというツッコミは却下とする。

その他、操作性は前作『ドンキーコングランド』のものを踏襲。今作でもスピーディに且つ、気持ちよくキャラクターを動かせる優れたものに完成されている。アクションも前作同様、連携アクションの『チームアップ』は無いが、ロープアクションやディクシーのポニーテールスピンなどは健在。元より少ないとは言え、今回もアクションの醍醐味に浸れる仕上がりとなっている。ゲームバランスも残像問題解消で劇的に改善。難し過ぎず、優し過ぎずの本家シリーズにも負けず劣らぬ絶妙なバランスでまとめられている。
全体のボリュームもコース総数は前作を僅かに超える45以上となり、やり応えが大幅にアップ。お馴染みのボーナスステージの探索とコイン集め、新規に追加された時計集めとやり込み要素全般も劇的に強化。加えて、クリア後には特別な条件下で最速タイムの記録塗り替えを目指す『タイムアタック』なるスペシャルモードも解禁されるなど、間違いなく完全攻略を目指す難易度は歴代シリーズでも屈指。本家のやり込み要素に物足りなさを感じてた方も、今作の充実振りには度肝を抜かれるかもしれない。
グラフィックもカラー専用で色が付いた事により、鮮やかさが向上。ただ、色付け具合はカラー対応ソフトと思われても不思議でなく、こなれてない所が見受けられるのが残念だ。音楽は前作『ドンキーコングランド』と同様に3のアレンジ曲がメインで新曲は無し。折角、新作色が強い内容でこれは勿体無いが、アレンジのレベルは高く、完成度は高い。特にボス戦の曲(3のラスボス戦アレンジ)はオリジナルよりもカッコ良くなっているので要チェックだ。

演出周りは前作基準という事で、特に大きな進化は無い。ただ、ある場面で一枚絵の会話シーンが展開されたりと、僅かながら強化された部分もある。元々、前作の演出が十分完成されたものだったので、今作で変わらず継承している辺りは特に不思議な事ではない。でも、あまりに前作のままなので特筆すべき所が無いのも事実。何か派手なエフェクトとかがあったりすると良かったかもしれない。欲張りな話だが。
全体的に『スーパードンキーコング2』をゲームボーイ向けに新たに作ってみたという前作に比べ、コース名を一新したりシステムを変更するなど、『スーパードンキーコングGB』を髣髴とさせる新作色が強化された今作。
ボスが決まって最後に悪あがき攻撃を仕掛けてきたり、ワールド脱出の際の『テレポート装置(前作などで言う所のファンキーフライト)』の消費コイン料が高過ぎるなどの欠点もあるが、全体の完成度はかなりのもの。謎解きとか、面倒臭い要素の無いアクションゲームとしての『スーパードンキーコング3』が遊びたい。そんなプレイヤーには自身を持ってお薦めできる逸品だ。勿論、アクションゲーム好きやドンキーファンにもお薦め。このオリジナルとまるで異なる方向性を追求した革新的なリベンジ作品、是非とも要チェックだ。
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