Written in Japanese. Japanese fonts required to view this site / Game Review & Data Base Site
  1. ホーム>
  2. Review Box>
  3. Game Boy>
  4. コントラ
≫コントラ


■発売元:コナミ(現:KONAMI) ■ジャンル:アクション /
■CERO:A(全年齢対象) / ■定価:3,500円(税別)

◇備考リンク(公式サイト)
≫魂斗羅アニバーサリーコレクション(Nintendo Switch / PlayStation 4 / Xbox One / PC(Steam)

©KONAMI 1991 / ©2019 Konami Digital Entertainment
▼Information
■プレイ人数:1人 / ■セーブデータ数:無し / ■推定クリア時間:50分~2時間
2度に渡るエイリアンの地球侵略は、史上最強の闘士「魂斗羅(コントラ)」の活躍により阻止された。
しかし、その裏では恐るべき陰謀が進行していた。

世界征服を目論む某超大国が魂斗羅とエイリアンたちの死闘を分析し、その研究結果を元に近未来戦争用の最終兵器を造り出そうとしていたのである。さらに南太平洋上の孤島に建造された秘密基地では、エイリアンのクローン製造も推し進められており、その復活も時間の問題となりかけていた。

この狂気の沙汰とも言える某超大国の暴挙を阻止すべく、連邦軍首脳部は魂斗羅のビル上等兵に計画阻止の極秘指令を下す。そして、ビル上等兵は単身、彼らの秘密軍事基地へと乗り込んだ。

今ここに、エイリアン復活を目論む人間たちとの戦いが幕を開ける。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆魂斗羅シリーズ伝統の襲い来る敵を銃火器で蹴散らし、ステージを突き進む爽快なゲームプレイ
◆ジャンプ、撃つなどの最低限の動作に特化した、シンプル・イズ・ザ・ベストな操作性
◆過去作では裏技だった「ステージセレクト機能」のデフォルト化(これにより順番通り進めるも、途中から始めるもプレイヤーの自由という多彩なプレイスタイルが容認された)
◆数は過去作に増して少ないが、その分意欲的な展開を盛り込んだ全5つのステージ(エリア)
◆表現上の制約を物ともしない威圧感と独自の展開が炸裂する各ステージ終盤のボス戦
◆誘導型の「ホーミングガン」導入で、より派手な攻撃が可能になったアイテム由来の武器
◆主人公の初期装備に改められた「マシンガン」(自動連射対応なので、非常に使いやすい)
◆初期装備変更で極端な難易度上昇が起きにくくなり、より安定感が増したゲームバランス
◆白黒ながら細部に至る描き込みと滑らかなアニメーションが光る、完成度の高いグラフィック
◆魂斗羅シリーズならではの仰々しさを完全踏襲した演出(主に爆発、撃ち込み効果音)
◆過去作のアレンジ主体だが、ノリの良さは健在の音楽(そして、イケイケな新曲も収録)
◆エイリアンではなく、人間が敵という外伝ならではの異質なストーリー設定

--- Bad Point ---
◆裏を返せば最小レベルのボリューム(慣れれば1時間以内クリアは余裕で達成可能)
◆一部、構造上の問題をはらんだステージの存在(特にステージ3ボス戦前の滝の穴)
◆何故か前作より少ないコンティニュー回数(たったの2回しかできない。しかしながら、ステージセレクト機能を標準化したことによる兼ね合いで減らした可能性もある)
◆操作の関係で一部、戦いにくさが際立っているボスの存在(特にステージ1)
◆異質なストーリーに相応しい展開だが、ある意味物足りなくもあるラスボス戦
▼Review ≪Last Update : 2/7/2021≫
エイリアンのクローン製造。ダメ、ゼッタイ。

そんな訳で魂斗羅によるお仕置きタイムです。


アーケード、ファミコンなどで展開されたアクションシューティング『魂斗羅』シリーズ初の携帯機向け新作。ファミコン版『スーパー魂斗羅』と同時期に発売されたタイトルでもある。

携帯機ならではの手軽さ、外伝ならではの思い切った改革が異彩を放つ傑作だ。

襲い来る敵を手にした銃火器で蹴散らしながら進み、最後に待ち構えるボスを倒せばエリア(以下、ステージ)クリア。そんな具合に基本的な内容は過去の魂斗羅シリーズと変わらず。ほぼそのまんまとなっている。
1発でも敵弾を受ければ問答無用でやられてしまう主人公ビルの脆さ、ステージ内に現れる「カプセル」破壊後に現れる「アイテム」を獲得すると発射される弾が変化する(そして、ミスすると失って初期装備に戻される)など、システム周りも過去作を踏襲。基本横方向と限らないバリエーション豊かなステージ構成も健在だ。厳密には同時期に発売された『スーパー魂斗羅』と同様、伝統的な横方向と上から見下ろしたトップビュー(俯瞰視点)の2種類が登場する。その点から、本作は『スーパー魂斗羅』のゲームボーイ向け移植作と見なすかもしれないが、冒頭のストーリー紹介通り、中身は完全オリジナル。同じ仕組みの新作と言える内容になっている。
本作にしかない新機能、変更点も。新機能は「ステージセレクト」。過去作は基本、ゲームが始まったらステージ1、ステージ2と順番通りに進んでいく仕組みだった。対し、本作はゲーム開始の時点から4つのステージのどこからでもスタート可能。順番に沿って最初のステージ1から始めるもよし、思いきって難易度の高いステージ4から始めるもよしの、大胆な設計になっている。この機能自体はファミコン版の『魂斗羅』、『スーパー魂斗羅』にも裏技として存在したお助け機能なのだが、本作ではあらかじめ解禁済み。どこからでも自由に始められるようになっている。そのため、今回は通しでプレイするも、区切りを入れながらプレイするも自由。プレイヤーのスタイルに応じた楽しみ方ができるのだ。
また、本作もゲームオーバー後のコンティニューには回数制限があり、全て使い切るとタイトル画面に戻される。だが、ステージセレクト機能があるため、途中からやり直すことは容易。大きく巻き戻されるも、それを阻止するのもプレイヤーで制御できてしまうのである。元々、裏技の存在からファミコン版でも同様の遊び方はできたが、本作は機能自体を最初から解禁し、公式的に許容していることから後ろめたさを感じにくくなっているのは、ちょっとした違い。どうとでも遊べる環境を実現させた機能として、独特な存在感を放っている。なお、本作に収録されているステージは全5つ。残念ながら、最後だけは自力で出さねばならない制約が敷かれている。この辺は公式なりの厳しさと言ったところだ。念のためご注意を。
そして変更点は、主人公ビルの初期装備。前述の通り、本作でもビルは”コロリ”とやられ、手にしていたアイテム(武器)も失ってしまう。だが何と今回、この初期装備が過去作の豆鉄砲ではなくなった。今までアイテム武器だった「マシンガン」へと変えられたのである。このため、今回はやられてもビルが極端に弱体化しない。むしろ、これだけで終盤のステージも乗り切れる程度に強さが維持されるようになったのだ。それもあって、今回はミスによる難易度上昇も抑えられている。ハンデのある展開に陥りにくいのである。
最も、過去のマシンガン並みの強さはなく、初期装備にしたなりの弱体化も図られているが。ただ、攻撃ボタン押しっぱなしで連射できるだけでも十分すぎるほど強力。連射するならボタンを連打するしかない豆鉄砲のことを思えば、もう戻れなくなるぐらいに便利な武器になっている。過去の魂斗羅の弱体化によい印象を抱いてなかったプレイヤーにも嬉しい変更点。アイテムを取らずとも走りながら敵を撃ち倒す「ラン&ガン」の快感をずっと堪能できるので、たまらない気持ちよさと感動を覚えるだろう。実質、シリーズのお約束を断ち切った措置だが、見事プラスに働いた格好。地味ながらも革新的な変更点になっている。
他にアイテム由来の武器にも新種として「ホーミングガン」が登場。その名の通り、敵を追尾する弾を発射する利便性の高さが光る武器になっている。反面、「レーザーガン」は廃止。「マシンガン」も初期装備化に伴って廃止されている。「スプレッドガン」、「ファイアガン」は続投。ただ、前者は2回続けて対応するアイテムを取るとパワーアップする、後者は溜め撃ちは排除と言った変更もあるので、過去作をプレイした人ならば若干の違和感を覚えるかもしれない。
全体的には主にファミコン版の『魂斗羅』、『スーパー魂斗羅』を良い所取りしたゲームデザイン。それでいて、携帯機ならではの手軽さと爽快感重視に振り切った変更点が際立つ、魅力的な外伝作品に完成されている。ストーリーも独立しているので、過去作の経験がなくとも遊べる程度にハードルは低い。魂斗羅入門編に適している感じだ。

そんな本作の魅力は前述の特徴の全てだ。遊びやすさに関しては屈指と言っても過言ではない。
最もその点を際立たせているのはやはり、初期装備変更。ミスすれば手にしていた武器(アイテム)を失い、厳しい戦いを強いられるのが本シリーズの特色でもあり、ゲーム全体のシビアさを象徴する部分だった。決して失ったら敗北確定なほどの極端さはなく、立ち回り次第で攻略可能な程度にバランスは取られていたが、弱体化の度合いからモチベーションを殺ぐインパクトがあったのは否めない。せめて最低限の強さは残っても、と思いたくなるもどかしさもあったのも事実。それが本作のマシンガン変更で埋められたのは本当に大きい。決して楽になる訳ではないが、「失ってもまだ何とかなる」という可能性が残るだけでも安心感が違うし、モチベーションも殺がれにくい。常に前向きな気持ちでプレイし続けられるだけでも、過去作で辛い思いを経験した人なら嬉しくてたまらない気持ちになるだろう。何より「ラン&ガン」という、走りながら撃つタイプのアクションゲームとマッチしている。初期装備でも、走りながら撃つ快感は失われない点でもこの変更は理に適っていて、なぜ今まで変えなかったのかと言いたくなるほどの魅力に富んでいる。
一体なぜ、こんな変更へと至ったのかは制作者のみぞ知る感じだが、本作が外伝、本流から外れていたからこそできたのかもしれない。本流から外れているからこそ、過去のお約束に縛られる必要はない。何せ、外れている通りの外伝なのだから。そう言った制約のなさが結果として、本流以上の遊びやすさを実現させてしまった点には、外伝作品ならではの強みというものを実感させられるばかりだ。未来の話になってしまうが、現にこのマシンガンは本作以降の魂斗羅シリーズにも引き継がれ、定着しているのである。それを思うと、本当に外伝という枠組みがいかにシリーズ作品にとって重要な意義を持ち、多大な影響を及ぼすのか、それについても考えさせられる。同時に本作が成し遂げたこと、その作品全体の価値の高さというものも実感させられる次第である。
ステージセレクト機能もそんな魅力が詰まっている。何と言っても順番通り、ステージ1から巡っていく必要がないのだ。お約束破壊の極みだ。だが、おかげでコンティニュー制限を使い切ってゲームオーバーになってもやり直しがしやすいし、絶望感に襲われることもない。この点もマシンガンの初期装備化とも共通する外伝の強みというものを実感させられる。
また、多少触れたがステージ数もたったの5つと少ない。クリアに要する時間も例によって短縮されている感じだ。だが、それが全体的な遊びやすさを際立たせている。そもそも、本作も基本の難易度は高めだ。被弾すれば即ミス、ゲームオーバー後のコンティニューに制限がある点がそれを裏付けている。そのため、全てのステージを攻略してエンディングに辿り着くなら、トライ&エラーは避けられないのだが、ステージの数が少ないのもあって、敵の配置や地形の構造などは比較的覚えやすい。また、仮に1から順にプレイした場合でもクリアに要する時間は1時間をギリギリ超えるか否かなので、仮に大きくやり直すことになったとしても負担は重くない。何せ5つだ。8つあって、その後半のステージ(7か8辺り)でゲームオーバーになり、1からやり直しになった時の負担(および精神的ショック)を考えれば、差は歴然だろう。なので、少ないことが逆にメリットになっている。トライ&エラーの実践しやすさを引き立てるボリュームとしては、これ以上なく機能しているのだ。実際は容量的な事情と、世知辛いものが由来しているのかもしれないが、結果として遊びやすい作りに繋げているのが面白い。何でも多ければいい訳ではない、という真理(?)を実感させるまとめ方だ。それに数は少ないとは言え、一つひとつのステージの密度は濃く、魂斗羅らしい仕掛けに富んだ構成にまとめられている。特に下が海で、そこから敵の船が現れて攻撃を仕掛けてくる場面のあるステージ1は独特な立ち回りが試されるので必見だ。トップビューステージも新たに追加された「ホーミングガン」があれば、『スーパー魂斗羅』では味わえない特攻プレイを容易に楽しめるのが印象深い。また、各ステージの最後で待ち構えるボスは全て本作オリジナル。ファミコン版の元であるアーケード版にも登場しなかった面子揃いなので、シリーズ経験者も要注目だ。
もちろん、数が少ないなりに「もう少し欲しい」と感じる所もある。また、構造的にも少し難のある部分があり、中でもステージ3(エリア3)のボス戦直前にある滝の穴は、もう少し縮めるなどの措置を施して欲しかったところである。どういう訳か普通のジャンプで飛び越えれば、確実にミスになってしまうなど、非常に判定の曖昧な作りで初見殺しの罠になってしまっている。さりげなく、これを見越した対策も組まれていたりするのだが、それを入れるぐらいなら埋めても良かったのではと言いたくなる辺り、この辺はもう少し詰める必要があったように思える。他に相変わらず「スプレッドガン」は極端に強い。マシンガンが初期装備化されたことで、頼り甲斐はある程度損ねたが、初期段階でも十分強いのに強化段階を用意するのはさすがにやり過ぎ感が否めない。それなら、他の「ホーミングガン」などにも共通して用意して欲しかったところだ。
そう言った細かな粗はあれど、根本的な遊びやすさに揺らぎがないのは素直に凄い。いずれの変更点、新要素も際立った新しさはないものの、シリーズ全体に漂っていた印象を覆すインパクトがあり、ひとつ変えるだけで急激に面白くなるというゲームの真理を突くかの如き興味深い仕上がり。同時に外伝作品だからこその強さ、(制作的な面での)自由度の高さも相応で、シリーズ作品の進化の過程に関して、色々考えを巡らせたくなるものに完成されているのだ。ただ、最も注目すべきは遊びやすさ。主に過去の魂斗羅を触れ、手に追えず諦めた人ほど、本作の遊びやすさは刺さること間違いなし。ぜひ、騙されたと思って触れてみて欲しいところだ。

細かい部分でも見所は多い。ひとつに操作性。これもマシンガンの初期装備化が影響しているが、ボタン連打の必要性がほぼ無くなったことで、より気持ちよくビルを動かせるようになった。無論、挙動やボタン配置もファミコン版を完全踏襲しているだけでなく、複雑なコマンド入力を求められることは皆無なので、取っ付きやすさも変わらず。シンプル・イズ・ザ・ベストここに極まれりな仕上がりには、過去作から受け継がれるシリーズのこだわりを感じさせられるはずだ。
グラフィック周りも白黒液晶のゲームボーイゆえ、ファミコン版やアーケード版ほどの色鮮やかは無くなったが、可能な限りその雰囲気を表現しようと、背景からキャラクターのドットまで、細かく描き込まれている。各ステージ最後に待ち構えるボスは最たる一例で、様々な工夫を凝らしたダイナミックな動きと攻撃パターンの数々は要注目だ。また、密林の揺れる木々を始め、ファミコン版の『魂斗羅』にあった表現を白黒ながら見事に表現している点もお見逃しなく。
演出周りもシリーズ伝統の仰々しさをほぼ変えることなく踏襲。あの弾を撃ち込んだ際の小気味よい効果音も継承されており、ファミコン版のシリーズ経験者なら思わず「分かってらっしゃる」と唸ること間違いなしだ。
反面、音楽は初代『魂斗羅』のアレンジ曲中心の構成になっているため、経験者なら物足りなさを感じてしまうかもしれない。ただ、音楽自体の出来は非常に良く、ファミコン以上に制限のかかるゲームボーイの環境下で見事に過去作の名曲を表現している。さらにオリジナル曲もちゃんと用意されている。どこで流れるかは実際にステージに到着してのお楽しみだ。思わずノリノリな気持ちになるかもしれない。

また作中ではほとんど語られないが、ストーリー設定も地味に興味深い。過去作では地球外からやってきた凶悪なエイリアンとの死闘だったが、今回は冒頭の紹介に書いた通り人間たち。それもあって、敵は兵士や機動兵器が多く、エイリアンの存在感が少し薄くなっている点には若干、新鮮味を感じるかもしれない。もちろん、最後のステージもこれまでとは大分違う。さらにラスボス戦もだいぶ変則的な構成になっている。一体、この戦いの果てに何が待つのかは、実際にプレイしてお確かめいただきたい。この設定だからこそできた展開というものを目にすることになるだろう。そして、ビルがガンガンやられてしまうかもしれない。(え?)
総じて携帯機向け、かつ外伝作品らしいお手頃感こそあれど、マシンガンの初期装備化による難易度の極端な上昇防止、ステージセレクト機能標準搭載によるプレイスタイルの多様化など、興味深い変更点と改良点があり、シリーズ経験者はもちろんのこと、アクションゲーム好きにも見逃せない魅力と遊び応えを持ち合わせた傑作に完成されている。今まで、魂斗羅シリーズを遊んだことがない人に向けた入門編としても最適で、その点ではファミコン版の2作を上回ると言っても過言ではない。それでも基本の難易度は高め、コンティニュー制限が2回だけとシビアすぎる点もあるのだが、それらを補って余りあるほどの魅力が本作にはある。未プレイの方はぜひ、プレイいただきたい。片仮名で表記されているからと言って侮ることなかれ。これは正真正銘にして、シリーズきっての魅力を持った魂斗羅である。
≫トップに戻る≪