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≫SUPER魂斗羅


■発売元:コナミ(現:KONAMI) / ■ジャンル:アクション / ■CERO:A(全年齢対象) / ■定価:5,800円(税別)

◇備考リンク(公式サイト)
≫魂斗羅アニバーサリーコレクション(Nintendo Switch / PlayStation 4 / Xbox One / PC(Steam))
≫SUPER魂斗羅 | Wii U(バーチャルコンソール版)
≫SUPER魂斗羅 | ニンテンドー3DS | 任天堂(バーチャルコンソール版)

©KONAMI 1990 / ©2019 Konami Digital Entertainment
▼Information
■プレイ人数:1~2人 / ■セーブデータ数:無し / ■推定クリア時間:1~2時間
西暦2634年12月。
謎のエイリアン軍団との戦いから1年が経ち、地球は危機から逃れたかに思われていた。
だが、ある日。南米の基地跡近くで、GX軍第7方面の軍事演習に参加していたハル将軍より不穏な無線が入る。その内容は友軍のGX軍が突然攻撃を仕掛けてきたことと、彼らの目が人間とは違っていたとの窮地からの報告だった。

将軍からの言葉にただならぬものを感じ取った連邦軍上層部は、再びビルとランス、史上最強の「魂斗羅」たちに出撃を命じる。2人はヘリコプターに登場し、基地跡近くの演習地点にほど近い場所へと降り、無残にも破壊された連邦軍の施設を発見。それと同時に物陰から軍の兵士が襲い掛かってきた。彼の者の目は狂気に満ち、皮膚も青く変色していた。ビルとランスは即座に発砲してこれを退けるも、彼の者の体内でおぞましき生物が爆裂する瞬間を目撃。2人は悟った。あの異形の生命体たちは死滅していなかったことを。

エイリアンはあの後、変態を繰り返し、最後の変貌を遂げようとしていたのである!
かくして極限にまで成長したエイリアンと魂斗羅たちの死闘の火蓋が切って落とされた!
▼Points Check
--- Good Point ---
◆前作譲りの銃を撃ちまくり、ステージを駆け抜ける単純明快且つ爽快な基本ルール
◆前作譲りのジャンプ、撃つに特化したシンプル・イズ・ベストな操作性
◆原作のアーケード版を上回る本編ボリューム(ステージ総数はこちらの方が上回る)
◆新たに下へ降りる突飛なものも加わり、より起伏が増したステージ構成
◆横スクロールのステージ同様の流れで進行し、やるべきことも明瞭な作りが光る今作からの新要素のひとつ、トップビュー(見下ろし視点)ステージ
◆陥没する台地など、ゲーム機側の性能の限界に挑んだステージ上の大胆な仕掛けの数々
◆巨大ボスが多数登場するなど、より盛り上がる内容へと進化を遂げたボス戦
◆敵の出現位置明示、強敵が突然出現する難点が撤廃・改善され、ある程度ながら公平性が増した難易度設定
◆細部まで深々と色付けされ、全体的に重厚なテイストのものへ進歩を遂げたグラフィック
◆原作のアーケード版には劣りながらも、十分すぎるほど仰々しく表現された爆発系の演出
◆ファミコンらしからぬ重低音が鳴り響く圧巻の音楽(ノリのいい楽曲満載な所も健在)
◆前作譲りの敵に攻撃を打ち込んでいる手応えを引き立てる質感抜群の効果音

--- Bad Point ---
◆悪く言えば新要素は皆無に等しい作り(ファミコン版前作の模様替えも同然なくらい乏しい)
◆理不尽さは前作より取っ払われたものの、初見殺しはそこそこな高めの難易度
◆前作同様、使い勝手と威力の面で突き抜けすぎている武器のひとつ「スプレッドガン」(今回は見下ろし視点という、この武器に適したステージが登場する関係でさらに際立っている)
◆最終7~8ステージにかけて目立つ敵密度の濃さ(この関係で初期装備だと難易度が跳ね上がる)
◆無限湧きの雑魚敵出現で強さを表現した一部、違和感のあるボスの存在(特にステージ5)
▼Review ≪Last Update : 12/20/2020≫
スデニ ツギノテハ ウッテアル……

そして2年後、”ツギノテ”は来た!


1988年にアーケード向けに発売された『SUPER魂斗羅 エイリアンの逆襲』のファミリーコンピュータ(ファミコン)向け移植作にして、ファミコン版『魂斗羅』の続編。オリジナルのアーケード版とは異なり、サブタイトルは省かれている。

前作の正統進化にして、原作のアーケード版にはない見所も満載の傑作だ。

シューティング要素強めの横スクロールアクションゲームである点については、前作と変わらず。手にした銃火器を用い、進化を遂げたエイリアンの軍勢を蹴散らしながらステージ攻略に挑む。
本編の流れも変わらない。ステージクリア形式で、最後に現れるボスを倒せばクリアとなり、次のステージが始まる構成だ。システム、アクション周りもまた然り。1発でも被弾すれば即ミスになる主人公「魂斗羅」の2人の脆さ、ステージ内に現れる「カプセル」破壊後に現れる「アイテム」を取ると、銃火器から放たれる弾が変わる(武器が変わる)要素は今作にも全く変更されることなく踏襲されている。アイテムこと、武器ラインナップについても「ファイヤー・ボール」が「ファイヤー・ガン」なる、拡散型の仕様に変更されたのを除けば前作と一緒。このような特徴も相まって、前作プレイ済みの人であれば難なく入っていける。もちろん、前作未プレイの人でも根幹となるルールが極めて単純明快……銃を撃ちまくりながらステージを駆け抜けるのに徹するだけなので、抵抗なく入っていける作りだ。ゴリ押し万歳、と言ったところである。
ただ、曲がりなりにも続編。前作とは異なる部分も僅かながらある。ひとつにステージバリエーション。前作は基本横スクロールとしつつ、一部のステージで奥へと進む疑似3Dステージが挟まれる構成になっていた。今作でもそれは踏襲しているのだが、疑似3Dステージは撤廃。代わりとしてトップビュー、上から見下ろした視点(俯瞰視点)のステージが登場する形になった。流れに関しても、疑似3Dステージは部屋ごとに設置された「コア」を破壊し、奥へと進んでいくものだったのに対し、こちらは横スクロールのステージ同様、ひたすら上方向を目指して、最後に待ち受けるボスの撃破を目指す単純なもの。ある意味、視点が違う横スクロールステージとも言える分かりやすい内容になっている。それもあって、今作は全ステージが銃を撃ちまくりながら駆け抜けるのに一貫した作りに。まさに「ラン&ガン」とも称せる『魂斗羅』の特徴を反映した、統一感の強さが滲み出たまとめ方になっている。
なお、このトップビューステージは原作のアーケード版にも登場したもの。ただ、アーケード版は縦に長い感じであったのに対し、今作はテレビ側の解像度に合わせる形で、全方向が均等に統一された形式になっている。
また、アーケード版は全5ステージだったのに対し、今作はファミコン版の前作に準拠して8ステージ。なんと3つ増えている。それだけではなく、新たな試みを施したステージも。それがもうひとつの前作と異なる要素のひとつ、下スクロールだ。原作のアーケード版を含め、前作には縦に進むステージが用意されていて、今作にも同様のステージが収録されているのだが、その逆とも言える下へと進む(降りていく)ステージも新たに収録されているのである。しかも、これは原作のアーケード版にはなかった紛うことなき新ステージ。その最後に登場するボスはアーケード版にも登場する面子となっているのだが、そこに至るまでの流れが大変凝っていて、経験者でも新鮮な驚きを感じられるものに仕上げられている。また、ボスも当然のように今作初登場の面子が居る。中でも注目なのは最終ステージに登場するラスボスである。アーケード版を遊んだ人なら間違いなく「誰だお前!?」と言いたくなるほどの驚きを受けるだろう。さらにその最終ステージも今作独自のもの。これもまた、アーケード版経験者なら想定外の展開と襲い来る脅威の数々に翻弄されること間違いなしだ。無論、未経験者でも様々な意味で衝撃的なステージになっている。下スクロールも含め、その容赦のない展開には今作の持つ”勢い”を嫌というほど思い知らされるだろう。
そのような独自要素があるため、アーケード版の移植とは明言しがたい一面も持つ。むしろ、色々独自要素もあったファミコン版の路線を引き継いだ”もうひとつ”の『SUPER魂斗羅』。続編としての堅実な進化、移植作としての固定観念に捉われないチャレンジ精神の二つが入り混じった、唯一無二の見所を持ち合わせた作品に完成されている。

その魅力を取り上げるなら、ファミコン版『魂斗羅』の続編としての正統進化具合とアーケード版の移植という固定観念に捉われない攻めた工夫の数々である。
前者に関しては、前作の良かった所はそのままに、問題のあった箇所は正すという続編かくあるべしな姿勢が全編に渡って徹底されている。特に難易度に関しては理不尽さがそこそこに薄れた。”そこそこに”の通り、ステージ内の初見殺しな仕掛け、無限に湧き出すに加えて不意に現れもする雑魚敵などの要素は変わらず健在のため、難易度的には高めである。だが、ステージを進んでいる最中に突如現れる強敵(前作で言う所の盾持ちの敵「激波砲バスクェス」)という前作最大の難点は修正。無限湧きの雑魚敵も出現ポイントが比較的予測しやすくなったので、トライ&エラーを重ねるにつれて適切な対処法を取れるようになっている。
元のアーケード版とも共通するが、疑似3Dステージが撤廃され、トップビューステージが代理で登場した点も難易度全体の安定化に貢献している。疑似3Dステージ自体は野心的な試みだったものの、敵弾の当たり判定が2Dで表現されている関係で、奥行きを意識しながら回避行動を取ると逆に当たりやすい仕組みになっていた。だが、トップビューはそんなこともなく、ちゃんと弾が飛んでくる方向に応じて動けば回避できる。そもそも、上から見下ろした視点であるから、回避行動のズレなど生じるはずがない。生じたら逆に問題である。そんな違和感を抱かせる懸念事項がなく、プレイヤー側にも成功と失敗共に腑に落ちるステージ攻略を楽しめるトップビューステージへと差し替えたのはまさに適切な判断。逆に野心的な要素を取っ払ったために丸く収まった感じもあるが、結果として高めながらも違和感を抱きにくい難易度を得られたのは大きい。その遊びやすさを重視した姿勢には拍手を送るばかりである。
また、本作は1990年発売の作品。既にファミコンとしては成熟期に当たる時期だけあって、表現的な見所も前作以上に増えている。中でもボス戦は画面の半分を覆い尽くす巨大な個体が沢山登場するだけあって、見た目的にもインパクト十分。演出面でもそれらのボスを倒した時の派手な爆発はもちろん、各ステージの地形が仰々しく揺れ動くのも見逃せない。地震と共に足場が陥没したり、浮き上がったりもするシーンは最たるもので、そのファミコンの限界を突き詰めた表現には圧倒させられると同時に、思わず落下ミスをかましてしまうはずだ。ほかにも表現上の限界を目指したシーンはあるのだが、詳しくは本編でご覧いただきたい。これは間違いなくファミコン版『魂斗羅』の続編だと感じると同時に、ここまで派手にできるものなのかと驚くこと間違いなしだ。とは言え、さすがに原作のアーケード版と比較してしまうと、(性能的なハンデもあって)パワーダウンしてはいるのだが。
だが、後者の通りアーケード版本来の形に捉われすぎない姿勢で作られているため、全くパワーダウンと思えない仕上がりになっているのが凄い所である。そもそも、ステージ数が多いのみならず新ステージ、新ボスが登場する時点で、もはや移植作を通り越して新作である。原作の再現が求められる中、そこまで変える判断を下してしまう姿勢に脱帽だ。というより、環境的に再現が難しいのを踏まえ、別の方向からアプローチするのが素晴らしい。無理に再現すれば明らかに見劣りし、ゲームとしての遊び心地も間違いなく悪化するから、違う方向から攻めた、楽しく遊べるものに完成させる。この姿勢はファミコン版の前作でも徹底されていたもので(疑似3Dステージのような無茶な再現もありはしたが)、移植でありつつ、独自の味わいを持つ作品になっていた。今作でもその姿勢は継承どころかステップアップしており、移植なのに新作という唯一無二なものにしてしまっているのだから驚きである。本当に固定観念に捉われないスタッフが作っていると実感させられるばかりだし、グレードダウン移植のお手本ここに在りだ。
ただ、ほぼ原作の要素を取り入れていたファミコン版の前作と違い、削られてた要素も多々ある。そして、システム周りの変更点はごく僅かで、プレイ感は前作と全く変わらない。新しいアクションを求めてプレイすると、肩透かしかもしれない。
だがその分、前作で評価されていた部分は洗練され、難点だった箇所も直されて正しく進化している。ステージのバリエーションが多彩だけあって、最初のステージ1から最後のステージ8まで、起伏に富んだ展開が繰り広げられる点も変わらずだ。むしろ、ボス戦が派手になったり、新たな仕掛けが多々登場するので十分過ぎるほど新鮮味はある。まさに良くも悪くも正統進化の続編。それが最たる魅力。前作と変わらず、勢い溢れるアクションゲームに完成されているのである。

前作と変わらずと言えば、操作周りも射撃、ジャンプに特化した簡単設計なので取っつきやすい。キャラクターの挙動もこれと言って再調整は加えられていないので、前作経験者ならステージ1開始の時点で瞬間的に馴染むだろう。もちろん、簡単設計だからこそ本作初プレイの人にも優しい。ただ、今回はトップビューステージの追加に伴い、斜め撃ちを多用する場面が増え、十字キーをグリグリする頻度が増えている点については、経験者も含めて若干、煩わしさを感じるかもしれない。別のボタンに割りふって負担を軽減させる策も、コントローラの都合から取れないのがもどかしいところだ。
ボリュームも良くも悪くも前作と変わらない。ステージ総数は確かに原作のアーケード版よりも増えているが、1周に要する時間は早ければ1時間程度。ミスしながら進めても大体2~3時間程度だ。数が多いからと言って、何十時間も要する内容は期待してはいけない……という以前に、そもそも筋違いである。難易度の高さとコンティニュー制限を踏まえれば、物量としては適切だ。また、ステージごとの個性付けは前作同様濃い目なので、満足度は申し分なしだ。
対照的にグラフィックは前作以上に進化。主に背景周りの描き込みが深まっていて、少ない色数をフル活用した重厚かつ、深みのあるものになっている。特にステージ1はその象徴とも言える美しさなので必見。また、各ステージで登場する巨大なボスも見せ方から動きに至るまで、凝ったものになっているので、こちらも併せて確かめてみて欲しい。

グラフィック同様にもうひとつ、大幅な進化を遂げたのが音楽。ファミコンのゲームとは思えないほどの厚みのある音が轟く驚きの仕上がりになっている。それも全てはサンプリング音源の1種「オーケストラル・ヒット」を使用した故の賜物。中でもステージクリア時に流れる音楽は、前作のものと聴き比べてみれば違いがハッキリと分かるだろう。もちろん、このような音源の採用に留まらず、楽曲自体の完成度も非常に高い。注目はステージ1とステージ3。本作全体に漂うシリアスな雰囲気を最も表現した楽曲になっているので要チェックだ。
そのほか、効果音も前作経験者なら耳に焼き付いたこと間違いなしのあの撃ち込み音が引き続き採用されていて、耐久力のある敵、ボスとの戦闘を盛り上げる。もちろん、爆発音に関しても盤石だ。さらに前作でアクションゲームが苦手な人には有り難い救済措置だった”裏技”も数種類用意されている。一部は前作とは違うボタンの入力を試される形になるのだが、ひとまず力押しでステージを攻略していきたいのであれば、タイトル画面で「右左下上AB」と入れてみよう。
前作から明確に進化したと言えるのが映像、音響面と演出面に集約されていて、ゲーム的には変わり映えしない仕上がりではあるものの、難点はきちんと潰し、良い所はさらに磨き上げる続編ならではの作り込みは随所にて炸裂。原作のアーケード版の移植作としても、今作にしかない独自要素満載な点で、ひと口にそう言い切れない独特のセールスポイントを持ち合わせている。難易度高めのため、アクションゲームが極度に苦手な人には薦めにくいが、逆にそれ以外の人ならば刺さる要素満載の今作。ファミコン時代のアクションゲームの中でも5本の指に入る面白さを誇る傑作だ。
前作からより極まった「ラン&ガン」……ひたすら銃を撃ちまくり、敵を倒しながら駆け抜ける爽快感と、それを維持するテクニックが試されるシビアさの絶妙なコラボレーションを見逃すな!
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