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≫ロックマン5 ブルースの罠!?


■発売元:カプコン / ■ジャンル:アクション / ■CERO:A(全年齢対象) /
■定価:7800円(税別:ファミコン版) / 476円(税別:バーチャルコンソール版)

◆公式サイト / ストアページリンク(ダウンロード版)
≫ロックマン5 ブルースの罠!? | ニンテンドー3DS
≫ロックマン5 ブルースの罠!? | WiiU
≫ロックマン クラシックスコレクション(カプコン公式サイト)

©CAPCOM CO., LTD. 1992 ALL RIGHTS RESERVED.
▼Information
■プレイ人数:1人 / ■セーブデータ数:無し(※パスワードコンティニュー形式) / ■推定クリア時間:3~5時間
前回の戦いから二ヶ月。
しばしの休息を取っていたロックマンだが、ある日、ブルースが謎のロボットを率いて都市を攻撃し始めた。
しかも、ライト博士までブルースにさらわれてしまう。
何故、ブルースがこのような暴挙に出たのか。
謎を残したまま、ロックマンVSブルースの戦いの火ぶたが切って落とされた。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆シリーズ伝統の自由な攻略ルート構築を可能とした、やり込み甲斐十分の本編構成
◆ロックバスターを一発撃つ手間がなくなり、より使い易くなったチャージ攻撃こと「スーパーロックバスター」
◆極端に弱いボスは居なくなり、バランスの取れた面子が取り揃った今回の八体ボス達
◆重力反転、水上バイクに搭乗しての海上移動、外と内部を行き来する貨物列車など、前作にも増して仰々しいギミック満載のステージ(ロケーションもそれに併せてより個性的に)
◆これまでにも増して個性的な効果と多彩なアクションを可能とした「特殊武器」
◆「スーパーロックバスター」の初期装備だけで攻め込む戦術でも安定して立ち回れるようになるなど、弱点の特殊武器を突いた時との難易度の差を縮める措置が図られた戦闘バランス
◆チャージ攻撃の改善なども含め、更に動かし易く、その楽しさも向上した操作周り
◆前作準拠のシリーズ初心者にも遊び易いバランスを継承しつつ、残機アップアイテムのドロップ率を高めるなど、より優しくする工夫が凝らされた難易度設定
◆史上初の攻撃用サポートキャラクターにして、優れた使い勝手を誇る「ビート」
◆クリア済みステージを再度遊ぶ意味合いを付けた、「ビート」解禁に関連したプレート集め
◆ノロノロとしたボスの体力表示などが改善され、よりスピーディになったゲームテンポ
◆前作譲りの捻りを加えた最終ステージの構成と物量が光る本編のボリューム
◆ドット絵と多重スクロールを取り入れた背景など、ファミコンの限界まで突き詰める作り込みが光るグラフィック
◆同じくモザイクエフェクトの導入など、ファミコンの限界に挑戦した演出周り
◆曲数が若干減ったが、シリーズ伝統の臨場感と疾走感に秀でた名曲揃いの音楽
◆敵を倒した際の爆発音が重々しくなるなど、質感を強化する工夫が凝らされた効果音

--- Bad Point ---
◆使い勝手は増したものの、威力を高く設定し過ぎな感が否めない「スーパーロックバスター」
◆同じく使い勝手は素晴らしいが、強すぎる感も否めない「ビート」(特に彼による攻撃が弱点として設定されたボスで用いると、戦いが一方的なものになってしまう)
◆ラッシュ自身がジャンプするという、変則的な仕様に改められた「ラッシュコイル」
◆水中でも使えるようになったが、自由な制御ができない仕様もあって使い勝手はイマイチな「ラッシュジェット」
◆これまでにない多彩なアクションが楽しめる一方で、癖の強さも増した特殊武器
◆ややトゲトラップを敷き詰め過ぎな感が否めないジャイロマンステージ
◆前作同様に盛り過ぎの感が否めない最終ステージ(パスワードによる再開もできない)
▼Review ≪Last Update : 12/17/2017≫
味方と思われた紅いヒーローが牙を向く。

そして、その真相は…?


『ストリートファイター』、『魔界村』と肩を並べるカプコンの看板タイトルとして定着した『ロックマン』シリーズの五作目。当時、ファミコンで生まれた様々なヒット作のスーパーファミコン進出が実施される中、本シリーズは対象とするプレイヤーの年齢層を考慮してか、過去四作に引き続きファミコン用ソフトとして発売された。

いつになく控え目にされた難易度とファミコン成熟期を感じさせる演出が異彩を放つ良作だ。

内容はこれまでのシリーズを踏襲。横スクロールで展開するステージクリア型アクションゲームで、ロックマンを操作して、ブルース率いる八体のロボットとの戦闘に身を投じ、彼が誘拐したライト博士の救出を目指すというものである。
システム周りも過去四作と共通。前作で初登場したチャージ攻撃「ニューロックバスター」、運搬してきたアイテムを渡してくれるサポートキャラクターの「エディ」、全画面の一律表示方式に改められたメニュー画面は本作にも継承されている。反面、サポートアイテム「ワイヤー」と「バルーン」は廃止。それに替わる形で、新たなサポートアイテムを追加、更に既存要素にも一部変更が実施されるなど、基本的にはいつもの手法で作られた続編に仕上げられている。
本作からの新要素では「スーパーロックバスター」。実質、既存要素の変更だが、前作で初登場したチャージ攻撃「ニューロックバスター」が大きなサイズのロックバスターを放つチャージ攻撃に刷新された。
更にフルチャージに要する時間が短縮。よりスピーディにチャージ攻撃が放てる改良が施された。加えて、一発ロックバスターを撃たないとチャージに移れない仕様を撤廃。何も撃たない状態からチャージに移れるようにも変更された。これらによって、使い勝手も大幅に向上。前作経験者なら「こうして欲しかったんだ!」と嬉しい気持ちになること請け合いの作りに進歩している。ただ、一方で前作には無かったシステムでチャージキャンセルを実装。チャージ中にダメージを受けると、それまでのチャージがリセットされるようになった。その為、チャージショットを撃つ際にはダメージを受けず立ち回る事が求められてくるようになっている。なので、若干ながら弱体化もしているのだが、チャージ時間自体が短縮されているので、それほどストレスを与える要素にはなっていない。また、ここぞという時の一撃がダメージを受けながらでも撃てる所に違和感があったのも事実。そういう意味では、妥当な設定にされた感じだ。細かい所でも、発射時の効果音もこれぞスーパーを名乗るだけにある強そうなものになってパワーアップ。基本的な作りは前作は変わらないが、様々な変更と欠点を潰す措置により、更に使い勝手の良い攻撃へと進化した、完成形とも言える作りになっている。
また、同じく既存要素で変更されたものでサポートキャラクター「ラッシュ」。簡潔に言うと変身形態が減少。「ラッシュマリン」が廃止された。逆にこれを補う形で、「ラッシュジェット」が水中対応仕様に一新されている。しかし、水中を縦横無尽に動き回れた「ラッシュマリン」と違い、「ラッシュジェット」は前作同様の自走式。プレイヤー側で制御できるのは進行方向のみとなっている。その為、水中で使う際も地上と同様、障害物に当たってキャンセルしないよう十字キーで調整する操作が要求されてくる。正直、エネルギーの許す限り縦横無尽に動き回れた「ラッシュマリン」の事を考えると賛否の分かれる作り。どちらかというと改悪に傾いた作りになってしまっている。更に「ラッシュコイル」にも変更が行われており、上に乗る事でラッシュがジャンプし、そこから更にもう一段、ロックマンがジャンプできるという非常に風変わりなものへと改められた。これもまた、前作経験者ならば戸惑いを覚えること必至の作り。進行方向の微調整が効く大ジャンプができるという利点もあるのだが、スパッと大ジャンプしないが故にモヤっと感じるところも。これもどちらかというと、改悪に近い。先程に紹介した「スーパーロックバスター」はまさに正統進化だが、こう言った歪な進化を遂げた箇所もあったりと、少し捻くれた一面を持った作りにもなっている。良い方向に捉えるなら、前作とは違うアクションが楽しめると言えるのだが、それが気持ちいいものになっているかというと、断言し難いのが実情。まさに一長一短、先の「スーパーロックバスター」とはあまりにも対照的な変更点となっている。
そして新要素だが、今回は少なめ。新しいサポートキャラクターの「ビート」、同じく新しいサポート武器の「スーパーアロー」、謎の新アイテム「ミステリー缶(M缶)」の追加など、従来のゲーム性に魅力を足す程度に留めている。
ただ、その内の一つである「ビート」は非常にユニークなキャラクターになっている。このキャラクターはこれまでのラッシュ、エディとは異なる、攻撃専門のサポートキャラクター。呼び出す事で敵に対して体当たり攻撃を行い、エネルギーの尽きる限り、戦いを援護してくれるのである。しかも、攻撃は全自動な上、敵も追尾するなど、利便性も群を抜いている。ロックマン以上に強いんでは、と思ってしまうほどの存在感を見せつけてくれるのだ。しかし、その強さ故に最初から使う事は不可能。更にその解禁条件も特殊で、八体のボスが待ち構えるステージに隠された「プレート」のアイテムを全て見つけ出さなければならないのだ。その為、今回はステージの攻略も単にボスを倒せば良いだけではなく、プレート集めも加わって一筋縄ではいかない構成になっている。ただ、このプレートを集めるか集めないかはプレイヤーの自由。一応、集めず「ビート」を解禁せずともクリアできるようにゲームバランスは調整されている。しかし、あると無いとでは難しさにも大きな違いが出るので、どちらかというと集めた方が得する。だが、隠された場所が巧妙というおまけ付き。まさにプレイヤー自身の攻略と難易度を上げるか下げるかの選択に強く問いかけるとも言うべき、癖のある新要素となっている。
この他、前作で復活したクリア済みステージの再プレイ機能も継承したほか、プレート集めが加わった事でその意義も強化。更に前作の難点だった演出周りのテンポも見直され、三作目基準に回帰している。
前作に比べると、進化の度合いは弱い。全体的には前作ベースの正統進化系で、『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』に近いコンセプトで作られた続編に仕上げられている。ゲーム性刷新が前作のテーマなら、今回は快適性追求。歪な方向に傾けられた部分もあるが、前作を更に遊び易くする為の工夫が凝らされた作品になっている。

そんな本作の魅力は、シリーズの中でも群を抜いて控え目な難易度だ。基本的にこのロックマンシリーズは同じカプコンの『魔界村』シリーズほどではないにせよ、難易度が高めで、特に初代はシリーズでも群を抜く難しさを誇っていた。それがシリーズを重ねる度に緩和していき、前作と三作目において、シリーズの理想形とも言えるバランスに到達したのだが、何と今回はそれよりも更に引き下げた難易度となっている。
とは言っても、腐ってもロックマンという事で一般的なアクションゲーム、それこそ任天堂のスーパーマリオシリーズなどと比べてしまうと、高めな方。相変わらず、初見殺しに等しいトラップが仕掛けられた場面が出てくるし、ボスもしっかり動きを読み取って攻撃を当てていかないと倒せない強さだ。敵の配置も相変わらずプレイヤーの不意を突いてくるものになっているし、今回は新キャラの「ビート」を意識してか、ロックマンを追尾してくるタイプの敵が増えているので、全体的に慎重な立ち回りが求められてくる。だが、前作までと比べると、陰湿さはは抑えられている。更に言うなら、慎重な行動が求められる故に不意な事故に見舞われ難くなっている。その為、これまでのシリーズよりかはやられ難い。加えて、今回はチャージショット自体の使い勝手が強化されているのに加え、威力も高め(一応、三倍設定ではある)なので、厄介な敵を始末するのもサクサクと行える。ボスも攻撃こそトリッキーだが、動きのパターンが少なくなっているので、数回のプレイで対処法が読めるという作り。その気になれば、全てのボスをチャージショットで打倒できる事も可能というほど、戦い易くなっているのである。極め付けとして、今回はビックリするほど敵が残機アップアイテムを落とす。なので、ゲームオーバーになる頻度も高くなく、一つのステージの攻略に集中して取り組めるようにもなっているのだ。
この為、今回はいつにも増して控え目な所の滲み出た難易度になっている。特に残機アップのアイテムが手に入り易いのはその象徴で、本当に諦めない心と動きを見切る力さえ駆使すれば、どんなステージも意地で攻略できてしまうほど。それまでのシビアさは何処へ消えたのかと思うほど、軽い気持ちで取り組めるバランスになっている。それでも、しつこいが腐ってもロックマンという事で、油断すると返り討ちに遭うので簡単という訳では無いが、陰湿さが薄れているのもあり、これまでロックマンを遊んだ事の無い未経験者には非常に取っ付き易い内容。ある意味、これをシリーズ入門編にすべきと言っても過言でないほどの作りになっているのだ。
逆に言ってしまうと、シリーズ経験者にはかなりの物足りなさを感じる内容。特に二作目や前作の難易度がベストと思うプレイヤーほど、今作の難易度は下げ過ぎと思うかもしれない。ただ、そうミス無く進めるほど温い難易度になっていないなど、ロックマンとしての意地もそれなりに炸裂。それに八体ボスこそ抑え目ながら、終盤にはトリッキーな敵と仕掛けの配置が成された、シリーズの面目躍如とも言える骨のあるステージも登場するので、遊んでいて手応えが得られない事は決してない。それもそれで、従来作よりかは難易度が抑えられていたりするのだが、ある意味、ここまでシリーズ未経験者への門戸を開いた作りというのも珍しい。何故、前作から打って変わってこのようなバランスにしたのか、その意図は謎ではあるが、長く続くシリーズ作品にありがちな高難易度化&複雑化路線に進まず、こう言った変わった方向性に打って出たのは評価できる。それでいて、控え目だからと言って手を抜いている訳では無く、計算された優しさと手応えを出している辺りにも入念な調整を行った事を伺わせる。故に完成度自体はかなり高め。ある意味、高い難易度を特色としたアクションゲームの魅力を活かしつつも殺さない仕上がりになっているのだ。控え目という所に、何処なく遊び応えが無さそうという印象を抱くかもしれないが、実際にプレイすればその難易度が実に計算されたものである事を痛感させられるはず。併せて、今作を製作したカプコンの本気も実感させられるだろう。
また、前作以上に個性が深まったステージ構成とギミックの数々も必見。特にギミックは重力が反転する特殊なエリアに泡を乗り継いでいく滝、『マリンバイク』なる乗り物に搭乗して駆け抜ける湖エリアなど、前作にも増して仰々しいものが増えており、プレイヤーにこれでもかと言わんばかりの驚きを提供する。ロケーションも貨物列車、クリスタルの洞窟、武装ジャングルと言った新たな地形が登場しているほか、それに沿った独自の仕掛けと敵配置で魅せてくる。
更に今回は、グラフィック周りでも見所多し。貨物列車のステージでは、列車外部と内部の二つを舞台に展開していくのだが、この外部エリアで何とファミコンでは表現困難な多重スクロールを実現。当時、発売されていたスーパーファミコンのゲームばりの表現を導入しているのだ。しかも、これは他のステージ、湖エリアでも同等の表現が成されており、これは本当にファミコンのゲームなのかと、思わず目を疑ってしまうような演出が画面いっぱいに繰り広げられていく。おまけとして、今回は中ボスにも、前作までのシリーズで言う所の最終ステージのボスクラスの大きさを誇る輩が要る上、その動きもやたら複雑且つ巧妙なものになっていたりなど、見た目でも驚かせてくる。まさにファミコンというハードに長く触れてきたスタッフの成せる業とも言うべきか。ゲームとしての面白さだけでなく、見た目でも面白いと思わせるシチュエーションが沢山盛り込まれているのだ。その作り込みの深さには、改めてファミコンというハードの可能性とスタッフの技術力の高さというものを実感させられること間違いなし。こんな所においてもカプコンの本気というものが炸裂している。
この他にも演出周りでは、ステージセレクト画面にモザイク処理が使われていると言った事も。そのステージセレクトにしても作りが三作目に近いものに回帰したほか、グラフィックも一層強化されるなど、見所満載の仕上がりになっている。
難易度の低下はこれまでのシリーズの経験者には賛否が分かれるかもしれないが、ロックマンというアクションゲームの魅力は一切損なわれてはおらず、それどころか幅広いユーザーが楽しめる作りへと改められたのは大きな進歩と言える。おまけにステージのギミックまで多彩になり、複雑な演出まで表現する技術力の高さも炸裂しているという凄まじさ。例え難易度を下げたとしても、アクションゲームとしての作り込みを怠らず、あらゆるユーザーが満足できるものに仕上げるという徹底したこだわりの数々には、度肝を抜かれるだろう。ある意味、ファミコンの本気が現れたとも言える仕上がり。そして、ロックマンとしてもプレイヤー層の拡大が図られた、意欲的且つ、遊び応え十分の続編になっているのだ。

操作周りもチャージショットの難点を潰した事で、完成形とも言える仕上がりに到達。反面、今回は特殊武器のラインナップが全体的に癖の強いものになってしまっており、それらを使いこなす楽しさはこれまでのシリーズよりも劣るものになってしまっている。ある意味、癖のあるものをモノにする楽しさを反映した作りも言えるが、直感的に繰り出せる操作感が好きだったプレイヤーには、このラインナップと手応えは賛否が分かれるかもしれない。
ボリュームに関しては前作と一緒。挙句、最終ステージにおけるパスワードコンティニューの難点にしても引き継いでしまっているというトホホな作りになってしまっている。だが、相変わらず遊び応えと充実感は申し分無し。今回はステージの作りが一層、バラエティー豊かなものになっている上、プレート集めという探索要素も加わったので、非常にやり応えのある内容になっている。前作でサプライズが沢山仕込まれていた最終ステージの作りにしても健在。今回は先の演出面も含めて、見た目の面でも楽しませてくれる作りになっているので必見だ。
グラフィックに関しても、演出面の強化と併せて大幅にパワーアップ。特に背景の作り込みはシリーズ最高クラスと言わんばかりのクオリティになっており、前作を超えるファミコンの限界に挑戦する姿勢が現れた作りになっている。多重スクロールの所で解説してしまってはいるが、演出周りも派手になっており、巨大ボス戦はまさにその真骨頂。限られた表現を使い切る形で仕上げられたその動きには、デザイナーとプログラマーの職人技というものを痛感させられるだろう。
シリーズ伝統の素晴らしい音楽も健在。ただ、曲数が前作よりも減ってしまっており、特に最終ステージ全般がちょっと残念な事になってしまっている。だが、楽曲の完成度は過去のシリーズに劣らず。特にストーンマン、グラビティマン、ナパームマン、最終ステージ全般の楽曲の出来はピカイチなので、要チェックだ。

演出絡みでは、ストーリーデモ全般も全体的にテンポアップが図られている。特にオープニングデモは前作のじっくりと描くスタイルから一変し、重要な場面を見せる事に特化したテンポの良いものになり、非常に見応えのあるものになっている。ストーリーの設定にしても、ライト博士がさらわれるというちょっと奇抜な展開になっているのも面白いところ。だが、その事件の行き着く先には……これ以上は自分の目で確かめて頂きたい。大よそ想像通りの展開が待っています。
この他、ビートの影に隠れがちではあるが、新たなサポートアイテム「スーパーアロー」も、二作目における「アイテム2号」のパワーアップ版のような作りになっているのがユニーク。前作が「アイテム1号」のパワーアップ版なら、今回は2号という流れには、シリーズを遊んできたプレイヤーならニヤリとしてしまうかもしれない。
そんな感じにファンサービスも凝らすなど、隙の無い作り込みが光る今作。ラッシュの変身形態全般の使い勝手の悪さが突出していたり、特殊武器がクセモノ揃い、ジャイロマンステージのようにトゲの配置が陰湿な場面があるなど、賛否の分かれる部分や変更の意図が解せない箇所もあるが、アクションゲームとしての完成度は申し分無し。難易度もこれまでのシリーズの中で最も控え目なバランスであるなど、未経験者にも優しい作りになっている。手応えのある過去のシリーズが好きなプレイヤーには賛否が分かれるかもしれないが、総じて高い完成度と遊び応えを誇る良作である。
ファミコンのゲームとしても高度な技術が炸裂した仕上がりになっているので、その点でも注目の内容。成熟期に作られた作品としての凄味とカプコンの本気を是非、味わってみて欲しい。お薦め。
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