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≫魂斗羅


■発売元:コナミ(現:KONAMI) ■ジャンル:アクション /
■CERO:A(全年齢対象) / ■定価:5300円(税別)

◇備考リンク(公式サイト)
≫魂斗羅アニバーサリーコレクション(Nintendo Switch / PlayStation 4 / Xbox One / PC(Steam)

©KONAMI 1988 / ©2019 Konami Digital Entertainment
▼Information
■プレイ人数:1~2人 / ■セーブデータ数:無し / ■推定クリア時間:1~2時間(1周時)、3~5時間(2周時)
“魂斗羅”(コントラ)とは、
熱い闘魂とゲリラ戦術の素質を持つ、
最強の闘士の呼称である。


西暦2631年、アメリカ・ニュージーランド沖「ガルガ諸島」に謎の隕石が落下した。

それから2年後の西暦2633年。地球海兵隊司令部の極秘調査により、「レッドファルコン」を名乗る謎の侵略者がガルガ諸島を前線基地にしていることが判明。さらに彼らは人類滅亡を目論んでいるとの戦慄の実態をも掴んだ。

司令部は海兵隊所属の「魂斗羅」、ビル・ライザー上等兵とランス・ビーン上等兵に基地破壊の命令を下した。
かくして2人は、要塞島と化したガルガ諸島内部へと向かう。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆銃を撃ちながら走り、敵を撃退しつつボス撃破を目指す力押しの極みな基本ルール
◆単純で豪快なプレイスタイルから派生する単調さを防ぐ策として機能した1発アウト形式(これにより、ひたすら前進し続ける場面であっても緊張感が維持されるので退屈しない)
◆同じく単調さを防ぐ策として機能したミスによる武器(アイテム)ロスト制
◆1度ゲームをクリアした後の周回プレイ時でも、新鮮な緊張感を提供する無限湧きの雑魚敵たち
◆まさに山あり谷ありの個性の際立つ全8エリア(密度も相応でやり応え十分)
◆ファミコンの表現上の限界に挑んだ絵作りと構成が光る疑似3Dエリア
◆自然、人工建造物、果ては生物の体内まである、ぶっ飛び気味な各エリアの舞台
◆高めに加え、再プレイ時でも咄嗟の判断が試される緊張感が残る調整が図られた難易度
◆画面の半分を覆い尽くす、圧倒的な存在感が光るボスたち(一部、小型の個体も)
◆機関銃、レーザー、炎の弾など、それぞれ個性に富んだ4+1種類の武器(アイテム)
◆最小限に抑えられたプレイヤーアクションと、それによって実現した取っ付きやすい操作性
◆ゆらめく背景と細やかな描き込み具合が光るグラフィック
◆豪快なプレイスタイルとマッチしたノリが良く、耳にも残る名曲が満載の音楽
◆アクションの手触りの良さ、攻撃時の確かな手応えの表現に貢献する小気味よい効果音
◆エリアクリア後のデモシーン、大ボス撃破時の爆発など、派手さにこだわった演出
◆2人一緒にエリア攻略に挑む、協力する楽しさに富んだ2人同時プレイ
◆攻略に便利なコマンド裏技の存在(タイトル画面で「上上左右左右AB」と押すと……?)

--- Bad Point ---
◆裏を返せば非常に辛口な難易度(一瞬でも気が緩めば、一気に残機を持っていかれる)
◆僅か3回のゲームオーバー後のリトライ制限(しかし、前述の裏技コマンドを使うと……?)
◆初見殺しに頼り気味な後半以降のステージ(特に突然現れるトゲの床が陰湿)
◆使い勝手が劣悪で活躍の場に欠ける「レーザー・ガン」(単発式なのが辛い)
◆表現上の限界なのか、出現までのタイミングが異様にズレてしまっている盾持ちの敵「激波砲バスクェス」(この所為で後半における屈指の初見殺しキャラクターになってしまっている)
◆表現上の限界ゆえに命中までの判定が2Dで処理されている疑似3Dエリア(このため、3Dゲームに慣れた人ほど命中までの距離を誤って撃たれてしまいやすい……)
◆白い点で表現されている関係で視認性がやや悪い敵の弾
◆やや反応の良すぎる点もある操作性(着地時に十字キーを左右に入れっぱなしの時は要注意)
▼Review ≪Last Update : 11/22/2020≫
最強の闘士でも、被弾すれば一撃。

撃つだけでなく、的確な回避と瞬時の判断もとっても大事。


1987年、コナミよりアーケードゲームとして発売されたアクションシューティングゲーム『魂斗羅(コントラ)』のファミリーコンピュータ向け移植作。丁度、アーケード向けの続編『SUPER魂斗羅』と同じ1988年に発売された。

単純明快、且つやり応えのあるゲームシステムと難易度、派手な演出で魅せる傑作だ。

ゲームの内容は横スクロール形式のステージクリア型アクション。海兵隊所属の精鋭「魂斗羅」の戦士ビル、ランスを操作し、舞台となるガルガ諸島全土に広がる「レッドファルコン」の前線基地中枢の破壊を目指すというものである。
本編で攻略していくステージ(作中の名称ではエリア)の流れは単純明快。1本道構成のエリアを手に持った銃火器(ライフル)撃ちながら駆け抜け、迫り来る敵を撃退し、障害物を潜り抜けながら最後に待ち構えるボスを倒すだけ。力押し豪華一点主義、”トリガーハッピー・イズ・ジャスティス”と言わんばかりの筋肉密度1000%の構成となっている。あまりにも単純だけあって、ゲームを始めて数秒でやるべきことが理解できる驚異の取っ付きやすさだ。
プレイヤーキャラクター「ビル」、「ランス」の基本アクションも至極単純。できることは移動、ジャンプ、銃乱射。以上。これと言って他のボタンと組み合わせるなどの複雑な操作は求められず。エリアの流れ同様、瞬時に理解できるものになっている。なお、紹介が前後したが、「ランス」は2プレイヤー側が操作するキャラクター。本作は2人同時プレイも可能になっていて、その際に1プレイヤー側がビル、2プレイヤー側がランスと割り当てられる。そのため、1人プレイ時にはビルだけを操作する形だ。任天堂の『スーパーマリオブラザーズ』(初代)におけるマリオとルイージみたいなもの、と言えば、大体どんな感じかが想像が付くだろう。
また、メインの武器が銃火器となると、弾数に限りがあったり、一定の弾を撃った後に装填(リロード)の必要が生じるのでは、と想像してしまう所もあるが、どちらの要素も本作にはない。何せ、西暦2633年の遥か未来が舞台である。弾薬、装填の概念なるものは過去の遺物であるため、この時代には存在しないものなのだ。多分。
銃火器に関しては、道中に出現する「カプセル」、「センサー」のいずれかを破壊し、出現するアイテムを取れば武器(弾)が切り替わる特徴もある。武器は全部で4種類。その名の通りの機関銃「マシンガン」、5方向に拡散する弾を発射する「スプレッド・ガン」、炎の弾を発射する「ファイア・ボール」、そして光線を発射する「レーザー・ガン」が用意されている。いずれの武器もアイテムごとに刻印が記されている(例:マシンガンなら「M」)ため、どれを取ればどの武器になるのか、簡単に見分けが付くようにもなっている。ただし、どの武器も敵や罠などへの接触、穴への落下と言ったミスをすれば問答無用で消滅。どのアイテムも取っていない時の初期装備で、「豆鉄砲」の表現がこれ以上なく似合う貧弱な「ノーマル・ガン」へと戻されてしまう。極め付けに本作にはダメージの概念もない。基本、敵本人、銃撃、罠に1度でも接触すれば即、ミス確定だ。このため、各エリアをスムーズに攻略できるかは、なるべくミスをせず、手持ちの武器を温存できるかにかかってくる。さながら、横スクロールのシューティングゲームばりのテクニックが試される難易度を基本にしているのだ。力押しの攻略が基本であるのに、精密な操作と状況に応じた判断が重要。まさに矛盾を体現した設計だが、それによって他の横スクロールアクションとは一線を画すやり応えを描いている。
そのほか、エリアも常に横スクロール構成とは限らない。中には奥に進んでいく疑似的な3Dで表現されたエリアも用意されている。普通のエリアにも上へ上へと登っていく変わり種も用意。ただ、どこにおいても最終的な目標は最後に待ち構えるボスを倒すことに特化。直感の赴くがまま楽しめる設計へのブレは皆無だ。
全体的にアクションゲームとしての作りは極めて単純。だが、1度のミスで窮地に陥る恐れが付きまとう難易度、そこに大きな影響を及ぼす4種類の武器、横方向とは限らない構成でまとめられたエリアなどの工夫を凝らして、独特な手ごわさを表現。簡単に遊べるものの、ゲームクリアを目指すなら全身の筋肉と反射神経のフル活用が必要という、文字通りの一筋縄ではいかぬアクションゲームに完成されている。

そんな本作の魅力は、爽快且つ、分かりやすいプレイスタイルから生じ得る単調な展開を防ぐために凝らされた工夫の数々だ。具体的には高めの難易度と変化に富んだエリア構成の2つ。
難易度は基本、銃火器を撃ちながら敵を撃退し、エリアを突き進むゴリ押しの快感を損ねる設定と言われても仕方がない所がある。何せ、敵や罠などに接触すれば問答無用でミスになるどころか、手持ちの武器を失って弱体化してしまうのだ。力任せの無双を楽しみたくても、そのようにすれば返り討ちはほぼ確実。ある意味、こちらの欲求に応えない意地悪な難易度となっている。
だが、それで終始、無双ができたとしても、それはそれで刺激がなくて単調な展開に陥りやすい。やられることによるデメリットもなければ、アクションゲーム特有の難所を自力で乗り越える緊張感と、それを難なくこなせるようになった時の上達の快感もほとんど味わえなくなる。特に本作は銃火器を撃ちながら敵を撃退する爽快感重視な設計のため、温くすれば余計にその危険が高まる。そう言った単調さの防止、攻略中の印象を際立たせ、確かな手応えを感じさせるためと考えれば、本作のシビアな設定は割と理に適っている。一発でやられる危険があるからこそ、銃火器を撃ちながら走っている最中でも緊張感が維持されるから単調にはならないし、その厳しさがあるからこそ、難なく乗り越えられた時の快感も大きなものになる。一見、矛盾しているように見える設定だが、実はプレイスタイルから生じ得る難点を踏まえたもので、ただ難しくするためではない、考え抜かれた設定になっているのだ。実際、それもあって、アクションの少なさ、分かりやすさとは裏腹の退屈しない遊び心地が表現されている。難易度とデメリットの付け方次第で単調になり得るプレイスタイルもここまで変わると示したその仕上がりには、深掘りすればするほど唸ること間違いなしだ。
変化に富んだエリア構成も、その手応えと単調さの防止に一役買っている。全体的に敵や仕掛けの配置、出現パターンが絶妙に嫌らしい。思いもしないタイミングで飛び出してきたり、予想だにしない動きを見せるなりして、クリアするまでの間、プレイヤーを翻弄してくるのだ。
特に実質、無限に湧き出てくる敵の存在はいいアクセントになっている。本作ではあらかじめ出現位置などが固定された敵以外にも、画面脇(左右)から延々と湧いてくる敵もいる。銃弾を1発当てれば簡単に倒せる紛うことなき雑魚なのだが、それで永久退場とはならないというのが最大の特徴にして、クセモノぶりの象徴。ちょっとでも気を緩めれば、現れた増援と正面衝突してミスを招く事故へと繋がりかねないのだ。しかも、エリアによっては合間に穴を挟んだ先の足場に無限湧きポイントがあることも。そういう場面ではジャンプのタイミングを図るのも重要で、敵が現れない時を見計らって実行に移す形になる。もし、それを考慮せず、直感で飛んだりすれば、絶妙なタイミングで現れた敵とそのままゴールイン確定だ。さらに極め付け、本編が中盤に差し掛かるとごく稀に弾を撃ってくる個体が現れることもある。もし、それに気付かずパターン化した行動を取れば……どんなことになるかは想像通り。こう言ったパターン化が通用しない敵が混じり込む関係で、どんなエリアでも絶対的な安心が訪れない。それは仮に全エリアをクリアできるほどの実力を身に着けた時も然りで、プレイヤー側の油断を見逃さない存在として暴れ続けるのだ。それもあって、本作は、一度クリアした後の周回プレイ時でも刺激を感じながら楽しめる。そして、油断ならない動きをするからこそ、プレイスタイル上の単調さも感じさせない。クセモノすぎる存在にして、時と場合によっては苛立ちの要因にもなり得るが、これもまた防止策として機能しているに限らず、クリア後も面白さが維持される魅力としても描かれていて、侮りがたいものになっている。一見、簡単に倒せる敵なのだが、ゲームとしての奥行きと手ごわさを象徴させるものとして活用されている。この使い方の巧みさにもまた、プレイを重ねれば重ねるほど唸らされるはずだ。
エリアに関しては多彩なスクロールパターンも見所。中でも疑似3Dのエリアは、ファミコンの表現上の限界を突き詰めた意欲的な仕上がりになっているので必見。舞台の多彩さもまた然り。序盤はジャングルや滝などの自然が中心で、中盤辺りから人工物が増え、終盤には何かの生物の体内と思しき不気味な場所になるなど、雰囲気が急激に変化するのが面白い。敵も種類に富んでいるほか、終盤で対決することになるボスも画面の大半を覆い隠する巨大な個体も居て迫力満点。何が待ち受けるか分からないスリルに満ちた構成には、アクションゲームとして徹底的に楽しませようとする開発側のこだわりを感じること請け合いだ。
とは言え、難易度に関しては単調さを防ぐ策としては申し分ない反面、やり過ぎている所も。中でも初見殺し気味な突然出現し、銃撃してくる敵はもう少し、攻撃開始のタイミングを遅らせるなどの措置を取って頂きたかったところである。中盤以降に登場する盾持ちの敵「激波砲バスクェス」は殊更。ファミコンの技術的な都合もあるのか、居ない場所に突如現れるのが本当に嫌らしい。耐久力も地味に高く、配置も多くし過ぎている所があるので、できれば自重願いたかった。同様のことは疑似3Dエリアにも言え、敵弾の当たり判定が2Dで表現されている関係で、奥行きを踏まえて行動した場合に感覚のズレが生じるのは人によっては強い違和感を覚えるかもしれない。
それらやり過ぎている箇所、技術的な限界に起因する難点もあるが、シンプルなプレイスタイルゆえに生じる単調さを防止する策は巧みで、取っ付きやすくてやり応えがあり、印象にも残るアクションゲームを全編に渡って作り上げている。特に緊張感が維持され続ける点、無限湧きする敵が演出する意外性は際立って印象深いものになっているので、少しでもその侮りがたさを味わってみて欲しい。本作の丹念な作り込みと考え抜かれた設計に唸らされるはずだ。

また前述通り、本作はアーケード版の移植に当たる。アーケード版の原作『魂斗羅』は美麗なグラフィックと音楽、派手な演出を売りとしていたが、ファミコン版ではさすがに同レベルの表現は難しいのもあり、いずれもグレードダウンした形になっている。だが、グラフィックに関しては背景がウネウネと動く表現がなされるなど、補う工夫もあって決して見劣りしない出来。画面全体のスケールも横に広くなっているに加えて、1エリア単位のボリュームも大きくなるアレンジも凝らされているので、安易に劣化版とでも言えば、登場人物たちから蜂の巣にされるか、もしくは口を縫い合わされかねない仕上がりだ。もちろん、キャラクターのドット絵も素晴らしく、巨大ボス全般は迫力十分。終盤で対峙することになる”奴ら”は、その真骨頂とも言える凄味に満ちあふれているので必見だ。
音楽もエリア1を始め、耳に残るノリノリの楽曲が揃っている。ボス戦に関し、疑似3Dエリアを除いて専用の戦闘曲が用意されていない点に少々物足りなさを感じてしまうが、どの楽曲もこれと言って浮いている感じはないほか、当のボスが見た目的にも迫力満点な面子が揃っているので些細な点に留まっているのが救いだ。
また、効果音も非常によく、爆発音はもちろんのこと、耐久力のある敵に弾を撃ち込んでいる時の小気味よい命中音には、人によってはクセになる快感を覚えるかもしれない。
演出全般も特に爆発、破壊表現に関するこだわりが見事。また、エリアクリア後には主人公のビル、ランスが司令部に通信する会話デモシーンも挟まれ、ストーリーの流れを感じながら進めていける工夫が凝らされているのも面白い。地味にビル、ランスのグラフィックもちゃんと動くようになっており、特にエリア6以降のマシンガンを撃つシーンは音も含めて迫力満点のものになっているので必見だ。(片仮名主体だが、表示されるメッセージも同様に注目)

そのほか、アクションゲームのキモとも言える操作性も申し分なし。移動、銃撃共に小気味よく反応するので、動かしているだけでも楽しい。唯一、十字キーを横に入れながら落下しながらの着地時、若干滑りやすい点でストレスを感じる程度で、全体的には及第点の仕上がりだ。
ボリュームもエリア総数は8つとそれほどではないが、1エリアごとの密度が濃いのもあって物足りなさはほ感じさせられない。何より、難易度の高さとゲームオーバー後のコンティニューに制限が設けられている点から、最初からやり直しになることも起こり得るので、諦めない心持ちでしぶとく挑戦を繰り返すプレイを実施すれば、十分過ぎるほどの満足感が得られるはずだ。場合によっては疲労感の方が勝るかもしれないが。
少々、シビアにし過ぎな部分もありはするが、アクションゲームとしては非常に完成度が高く、繰り返しプレイにも何度も耐え得る底の深さを併せ持った傑作に完成されている。元アーケード生まれの作品の移植としても、グラフィックや演出、音楽面のグレードダウンを物ともしないアレンジが異彩を放っているのみならず、各エリアが長くなっていることから新作同然の内容にもなっているので、ある程度やり込んだプレイヤーにも十分な新鮮味を味わえる内容になっている。取っ付きやすい操作とゲームルールとは裏腹に、難易度は高めで、アクションゲームが苦手な人、経験のない初心者には正直おすすめしがたいが、そうではない人ならばぜひ、チャレンジしてみていただきたい1本だ。
ひたすら銃を撃ちまくって敵を倒し駆け抜ける爽快感、それを維持するためにテクニックが試されるシビアさの一見、矛盾しているようで考え抜かれたバランスの妙味を見逃すなかれ。おすすめです。
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