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スーパーマリオUSA


©1988,1992 Nintendo

■発売元:任天堂
■ジャンル:アクション
■CEROレーティング:A(全年齢対象)
■定価:4,900円(税別)


ある晩、マリオは不思議な夢を見る。
それは上の方にある扉へと続く、長い長い階段の夢。扉を開けると、その先には見たことのない世界があった。そして耳を澄ますと、微かに声が聞こえてきた。声によれば、ここは「サブコン」と呼ばれる夢の国。今やこの国は「マムー」と呼ばれる何者かによって魔法をかけられ、酷い有様になってしまったという。そんなマムーを倒し、サブコンを元の姿に戻して欲しい、私たちを助けて欲しいと声の主は訴えかけ、その瞬間、マリオは目を覚ました。

翌日、マリオはルイージ、キノピオ、ピーチ姫にこの不思議な夢のことを話した。
そして、彼らが近くの山にピクニックへと出かけた時のこと。
目的地に着き、辺りを眺めると近くに小さな洞穴が。その中には、かつて見た夢に出てきた階段があった。

全員で階段の一番上まで登ると、そこにも夢で見た扉が。
開けた先にもやはり、夢で見た世界が広がっていたのだった。

かくしてマリオたちの不思議な冒険の幕が開ける。

Good / Bad Pick up


▼Good Point
◆変化に富んだコース攻略の面白さと高いリプレイ性を演出する、プレイヤーセレクトシステム
◆これまでのシリーズでは救出対象だったキノピオ、ピーチ姫のプレイヤーキャラクター昇格
◆ジャンプが独特、力持ち、空中浮遊できるなど、明確に示されたキャラクターごとの個性
◆地面に埋まった野菜、果ては敵キャラクターなどを持ち上げて投げるという、単純ながらも独特な深みを持ち合わせた攻撃アクション(いつもの踏みつけが通用しない点も新鮮)
◆軽快な手触りと少なめのアクションがもたらした分かりやすさが光る操作性
◆中ボスを倒してゴールに到達する、一風変わったステージクリア方式で進む本編
◆その特色も相まって個性付けの徹底ぶりが凄いボス戦(ワールドごとのボスが必見)
◆特定のアイテム回収が求められるなど、若干の探索要素も盛り込まれた独特なコース構成
◆コース総数は少ないが、その分を1個当たりの密度の濃さでカバーしたボリューム(体感的には『スーパーマリオブラザーズ』シリーズと引けを取らない規模の内容になっている)
◆どのキャラクターでもクリアできるよう、過度な要素を抑え込む工夫を凝らした難易度設定
◆全体的にシンプルながら、楽曲のノリと合わせて世界観の独特さを表現しきったグラフィック
◆楽曲総数は少ないが、作風ごとの違いが明確に表現されている音楽
◆見た目のシンプルさもあって、異質な空気感と怖さが表現された演出(特に敵の1体「カメーン」)

▼Bad Point
◆性能が平均的すぎるため、使用機会に恵まれないマリオ(突出した個性が無いのも響いている)
◆最序盤から難易度の高いコースが登場するなど、やや不可解な点も見受けられる本編の構成
◆一部、攻略に異様な時間を要する大規模コースの存在(特に5-3がしんどい)
◆一度選んだ後は、ゲームオーバーになるまで再選択不可能なプレイヤーセレクトシステムの制約
◆必然性がなく、不必要に難易度を上げる要因になっているコンティニュー制限(しかもたったの2回)
◆目押しはほとんど不可能に等しいボーナススロット(出目がやたら早く回る)
◆賛否分かれるエンディング(人によっては困惑必至)

Game Overview


もうひとつの『スーパーマリオブラザーズ2』現る……?

◇『スーパーマリオブラザーズ』シリーズの外伝作品。元は1987年にファミコンディスクシステム専用タイトルとして発売された『夢工場ドキドキパニック』で、同作のプレイヤーキャラクターをマリオシリーズのキャラクターへと置き換え、ファミコン用ROMカセットとして発売した移植版でもある。ちなみに海外では本作が『スーパーマリオブラザーズ2』として1988年に発売された。本作は1992年発売。つまるところ逆輸入作品でもあり、『スーパーマリオUSA』の名はそれに由来している。
ジャンル自体は『スーパーマリオブラザーズ』シリーズと同じく、横スクロールのステージクリア型アクションゲーム。マリオを操作しながら、ワールド単位で設けられたコースを順番に攻略していく。

◇遊び方は『スーパーマリオブラザーズ』と同じく、ステージことコースを進みながらその最奥にあるゴールを目指すというもの。ただし、本作には制限時間のシステムはなく、ある程度、ゆっくりとした進め方であってもミスにならない。また、ゴールも単にその場所にたどり着けば達成とはならず、直前に待ち受ける中ボスを倒して「光の玉」を回収するという過程を踏む必要がある。そのため、本作ではすべてのコースにボス戦が用意されている。『スーパーマリオブラザーズ』シリーズは基本、ワールド最後のコースや一部のコースに限りボスが登場するという構成だったが、本作は(大事なことなので繰り返すが)全部で、その点だけでも一線を画す設計になっている。 コースの構造も制限時間のシステムがない関係でやや入り組んでいるほか、全体的な規模も大きく、クリアするだけでもそれなりの時間を要するボリュームとなっている。
ただ、本編に用意されているワールドおよびコースの総数は7ワールド20コース以上と、過去の『スーパーマリオブラザーズ』シリーズと比べると少なめ。1コース当たりの規模を踏まえたボリューム設計とも言える。

◇『スーパーマリオブラザーズ』シリーズとの違いを表すシステムとしてはもうひとつ、ライフゲージによるダメージ制の採用にある。本作には「スーパーキノコ」などのアイテムを獲得することによる変身パワーアップのシステムはなく、マリオの体力は画面左上のライフゲージで表される形になっている。基本的にこれが空になってしまうとミスになる。また、ライフゲージはコース開始時点で2つだが、道中で「スーパーキノコ」を獲得することにより、最大4つまで拡張できる。スーパーキノコは「裏世界」なるコースの裏側に隠されている。裏世界へはコース内のどこかに隠された「赤い薬」を地面に投げ飛ばすと出現する「扉」を通していくことが可能。大抵は薬の置かれた近場にスーパーキノコが隠されているが、時にはある程度、離れた場所に置かれていることもある。それを踏まえ、コース内を探ることが求められたりなど、これまでの『スーパーマリオブラザーズ』シリーズとはやや違った考え方と攻略が試されるものになっている。

また、薬を投げ飛ばすと記したように、本作には物を投げ飛ばすアクションがあり、これが主要な攻撃手段になる。本作のコースには至るところに野菜が植えられており、その草の上に立ってBボタンを押すとマリオが野菜を引っこ抜く。すると野菜を持ち上げた状態になり、そのままBボタンを押すと野菜を投げる。それが敵に当たると倒すことができるのだ。逆に『スーパーマリオブラザーズ』お馴染みの踏み付けでは敵を倒せない。やろうとしても敵の上に乗っかってしまうか、ダメージを喰らうだけだ。逆に乗っかれる敵なら持ち上げて投げ飛ばすことも可能。このような野菜や敵などを武器として利用するのが本作の基本戦術で、これまた『スーパーマリオブラザーズ』シリーズとは異なる考え方が試されるものになっている。

◇さらなる『スーパーマリオブラザーズ』シリーズとの違いを象徴するシステムで、プレイヤーセレクトもある。本作で操作するのはマリオだけではない。弟のルイージに加え、ヒロインのピーチ姫とその従者であるキノピオもプレイヤーキャラクターとして操作可能。ゲームスタート時に誰を選ぶかを決めたのち、コースの攻略に挑むというスタイルになっているのだ。 各キャラクターはそれぞれ個性付けも図られている。マリオはオールラウンダーということでジャンプ力や物の持ち上げ速度などが平均的なのに対して、ルイージはジャンプ力が高めに加えて放物線を描くような独特の跳び方をする、ピーチ姫はジャンプして僅かな時間だけ空中浮遊&移動が可能、キノピオは素早い持ち上げが可能だがジャンプ力が低いといった感じだ。このため、選んだキャラクターによっては、コースの難易度にも明確な違いが現れる。マリオとルイージ、キノピオだと繊細な動作が求められるコースが、ピーチ姫だと空中浮遊のおかげで難易度が急激に低下したり、逆にボス戦は持ち上げ速度の遅さで他の3人の方が有利に立ち回れたりなどだ。このような違いが生まれやすい設計もあって、選択次第では全く違った手応えが得られる。

◇ほかに一定時間無敵状態になる「スーパースター」のアイテムも、コース上に配置されている「チェリー」を一定数集めると出現するという仕組みだったり、コインは裏世界限定で手に入るアイテムで、コースクリア時の「ボーナススロット」で使うものとされているなどの『スーパーマリオブラザーズ』シリーズとは異なる仕組みがある。
こうした特徴もあって、まさしく外伝作品とも言える内容。アイテムによる変身パワーアップがない、踏み付けではなくて物の投げつけが攻撃手段という点で、マリオのようでマリオではないアクションゲームになっている。そもそも、元の『夢工場ドキドキパニック』がマリオとは無関係のアクションゲームなのだが。

Review 【Latest Update :4/5/2026 | First Publication Date:12/20/2020】


外伝作品ならではの大胆な試みとアクション周りの作りが光る良作。

どこもかしこも『スーパーマリオブラザーズ』の面影が皆無の本作だが、純粋にひとつのアクションゲームとしては堅実な完成度を誇る。特に際立って魅力的なのがプレイヤーセレクトシステム。『スーパーマリオブラザーズ』では救出対象だったピーチ姫とキノピオを直接操作できるだけでも十分魅力的だが、それぞれの個性が明確で、選んだキャラクターに応じて手触りの異なるアクションゲームを楽しめるというのが、本家シリーズにない独自性を生み出している。

とりわけ面白いキャラクターがルイージとピーチ姫の2人だ。ルイージは本作で「じたばたジャンプ」という独自の個性が与えられている。文字通り足をジタバタさせながら放物線を描くようにゆったりと跳ぶジャンプで、見ているだけでも愉快。前作『スーパーマリオブラザーズ2』の経験者なら「なんじゃこりゃ!?」と戸惑うこと必至のアクションでもある。手触りも動きにマッチした"ナゾのネットリ感"があり、人によっては(よくも悪くも)気色悪さを感じるほど。

だが、ジタバタ跳ぶなりに飛距離は長く、コツを掴めば大胆なコース進行ができるようになる。特に長距離ジャンプで足場を多めに跳び越えた時の快感はなかなかのもの。アクションゲームの醍醐味のひとつでもある上達する楽しさが凝縮されたキャラクターで、少しテイストの異なる『スーパーマリオブラザーズ』を味わいたい時にオススメだ。ただし操作感のクセが強いため、初見では選ばず、1度本編をクリアしてから試す方がいいだろう。

ピーチ姫の空中浮遊は非常に万能で、特に狭い足場の多いコースでその真価を発揮する。思わぬショートカットや隠しルートの発見にも役立ち、使い方次第では他の3人より早くクリアできることも。ただ、物を持ち上げる速度が他の3人より遅いため、戦闘では不利になりやすい。逆に言えばスリリングな戦闘が楽しめるということでもあり、アクションゲームに歯ごたえを求めるプレイヤーが初見で選ぶのも一興だ。

残るマリオは平均的な安定感、キノピオはパワフルかつスピーディな立ち回りが強みだ。4人のうち誰かでなければ絶対にクリアできないという制約はなく、本編の7ワールド20以上のコースは誰でも攻略可能な設計になっている。難易度や攻略面で差が生まれる程度で、特定のキャラクターを選ぶと損をする場面はほとんどない。プレイヤーの好みを押し通せる設計は、「全コースをクリアしなくていい」「パワーアップアイテムに頼るかどうかは己次第」という『スーパーマリオブラザーズ』由来の思想を継承している感じだ。ゲーム自体は完全な別物とはいえ、根底では元来の思想が生きているのは興味深い。なお「全コースをクリアしなくていい」は本作も同じで、「ワープゾーン」を使えば一部のコースを飛ばすことができる。

そんな攻略面での自由が設けられたコースも、舞台が「夢の国」なだけあって独特な雰囲気を醸し出している。。長い豆の木があちこちに見られたり、仮面をつけた「ヘイホー」を筆頭に不思議な敵キャラクターが次々と登場するのがその象徴だ。仕掛けでは、接触するとダメージを受けるが上手く利用すれば飛距離を伸ばせるクジラの潮吹き、カギを取ると執拗に追いかけてくる無敵の存在「カメーン」など、強烈な印象を残すものが揃っている。カメーンはその執拗さが誇張抜きに恐怖を覚えるレベルで、デザイン面でも若干不気味なため、人によっては要注意だ。

前述したように総数は少ないが、密度は濃いという作りになっているところも注目。同じ道を行き来したり、次の区画に繋がる道を探す探索要素を強く押し出しているコースもあったりする。この辺りは制限時間制を採用していないからこその楽しさで、『スーパーマリオブラザーズ』では味わえない攻略の面白さが詰め込まれている。分岐が存在するコースもあり、特に最終コースは規模も含めて圧倒されること請け合い。1回クリアするだけでは全容を把握できず、最低でも3回はプレイする必要がある——その一点だけでも、とんでもない作り込みが察せられるだろう。

操作性はキャラクターごとに挙動の違いはあれど、基本的に十字キーとABボタンだけで完結するシンプルな設計だ。『スーパーマリオブラザーズ』経験者ならすんなり馴染める。グラフィックは『スーパーマリオブラザーズ3』を思わせるコミカル調のデザインで統一されており、地形や敵キャラクターのバリエーションが豊富で見応えがある。音楽は数こそ少ないが耳に残る楽曲が揃っており、一部には「これ、『ゼルダの伝説』の曲では?」とツッコみたくなる楽曲もあって注目だ。

ただし、いくつか気になる難点もある。キャラクターを選び直すにはゲームオーバーにならなければならない仕様と、その際のコンティニューに回数制限があるのは不便だ。また元になった『夢工場ドキドキパニック』にはセーブ機能があったが本作ではカットされており、エンディングを目指すなら通しプレイを強いられる。ワープゾーンがあるため完全な通しプレイにはならないのが救いだが、セーブ機能は欲しかった。

ほかにも序盤で「空飛ぶじゅうたん」を敵から奪わないと先へ進めないコースが登場するなど、難易度の塩梅の面で首を傾げる部分もある。全キャラクターでの攻略は可能とは言え、個性の弱さからマリオを使う気力が起きにくいのも少々気がかりではある。オールラウンダーであるがゆえの宿命とも言えるが。

そういった粗さはあるが、ひとつのアクションゲームとしても「スーパーマリオ」の名を冠する作品としても堅実な完成度を誇る。独特な世界観も相まって、『スーパーマリオブラザーズ』とは異なる雰囲気を堪能できる内容なので、シリーズファンにもオススメできる。いつもとは違うマリオを遊んでみたいなら、ぜひ試してほしい1本だ。

なお、2026年現在は途中経過を記録できるセーブ機能と巻き戻し機能が使える『ファミリーコンピュータ Nintendo Classics』収録バージョンで遊ぶのが最もおすすめだ。
キャラクターセレクト周りの仕様が改善されたリメイク版『スーパーマリオコレクション』収録バージョンもオススメで、これから遊ぶなら『スーパーマリオコレクション』収録バージョンが最有力候補かもしれない。