
©1985 Nintendo
■発売元:任天堂
■ジャンル:アクション
■CEROレーティング:A(全年齢対象)
■定価:4,900円(税別)

©1985 Nintendo
■発売元:任天堂
■ジャンル:アクション
■CEROレーティング:A(全年齢対象)
■定価:4,900円(税別)
キノコ達の住む平和な国『キノコ王国』にある日、強力な魔法を操る大ガメ・クッパの一族が侵略してきた。
おとなしいキノコ一族は皆、その魔力によって岩やレンガ、ツクシ等に姿を変えられてしまい、王国は一瞬の内に滅びてしまった。このキノコ達にかけられた魔法を解き、蘇らす事ができるのは王国の姫君、ピーチ姫だけ。
しかし、彼女はクッパにさらわれてしまい、今はその手中にある。
マリオは、カメ一族を倒してピーチ姫を救出し、再びキノコ王国を築く為に立ち上がる。
▼Good Point
◆横方向に進み、ゴールを目指すというシンプルで、当時としては珍しいスクロール方式のゲームデザイン
◆視覚的な分かり易さ、それに応じたアクションの拡張が面白い、専用アイテムによるパワーアップシステム
◆数こそ少ないが、動かす楽しさと縦横無尽に駆け回る爽快感に秀でたマリオのアクション
◆プレイヤーを飽きさせない工夫の数々と入念な作り込みが光る、全部で30以上ものコース
◆冒険活劇特有のスリルとワクワク感を演出する、地上、地下、城と言ったコース地形
◆序盤緩やか、中盤から徐々に難しくという絶妙且つ、職人技のバランス調整芸が光る難易度
◆豊富に仕込まれた隠しルートと、それを使うか使わないかで大きく変化する本編のボリューム
◆手に違和感なく馴染むボタン配置とキャラクターの軽快な挙動が光る、珠玉の操作性
◆少ない色数と職人的な使い回し術で独自の世界観を表現しきった、作り込まれたグラフィック
◆プレイする者全ての耳にこびり付くこと必至の印象深い旋律を奏でる、完成度の高い音楽
◆キャラクターを動かす楽しさとゲーム本編の臨場感を大いに引き立てる、質感満点の効果音
◆制限時間が迫ると音楽がアップテンポになるなど、地味ながらも凝った作り込みが成された演出周り
▼Bad Point
◆独り占めの状況を発生させ易い仕様の二人プレイモード(酷いと2人目の番が回ってこない事も)
◆水中コースにおける一部、挙動がおかしくなる場面の存在(特に大きな穴がある所で生じる)
◆敵が少し見難いなど、弊害を生んでいる感が否めない城壁(具体的には8-3)の背景グラフィック
スーパースターへの飛躍と伝説はここから始まった。
◇任天堂よりファミコン向けに発売されたアクションゲーム。アーケードゲームとして誕生したのち、ファミコン向けに移植版も発売された『マリオブラザーズ』の続編に当たるが、内容は完全に新規で設計された作品となってる。ジャンルは横スクロールのステージクリア型アクションゲーム。主人公でプレイヤーの分身に当たる「マリオ」が、大魔王「クッパ」によってさらわれた「ピーチ姫」を助け出すため、大冒険を繰り広げるというのが大まかなストーリーとなる。
事実上の前作に当たる『マリオブラザーズ』は、ひとつの画面(固定画面)内に設けられたステージを舞台にゲームが展開されるスタイルだったが、本作はそこから方向性を大きく変え、真横に広がるステージを走り抜けていくスタイルに生まれ変わっている。これにより、全体的なスケール感が大きく広がると同時に、舞台となる世界の存在も明確に描写され、『マリオブラザーズ』の時とはひと味もふた味も異なる“冒険感”が体験できる。
◇基本的な遊び方は、画面の左から右へとマリオを動かし、制限時間内に舞台となるステージ(コース)最奥に設けられたゴール(ゴールポール)へとたどり着くことになる。画面内に映し出されるのはコース全体の一部になっていて、先に何が待ち受けているのかを確かめたい場合はマリオを直接動かす必要がある。この辺りが固定画面だった『マリオブラザーズ』とは大きく異なる部分となっている。 アクションは歩行、ダッシュ、ジャンプ、水中を泳ぐの計4種類。これらを状況に応じて使い分けたり、組み合わせたりしながら各コースを攻略していく。特にマリオのジャンプ力は高めに設定されていて、高い段差を飛び越えたり、登ったりすることを容易にこなせる。ダッシュのアクションと組み合わせれば飛距離を伸ばすことも可能で、移動の幅が大きく広がる。ただし、コースにはマリオの冒険を邪魔する敵キャラクターやトラップが待ち受けているため、それらを避けたり、時には敵を踏みつけて倒すなりして対処していくことも求められる。
◇本作を構成するシステムの中で、最も特徴的なものはアイテムを獲得することによるパワーアップ。ゲーム開始時点のマリオは身体が小さい状態になっていて、この状態で敵やトラップに触れてしまうとやられてしまう(ミスになってしまう)。また、コース内に配置されたレンガ状のブロックを下からジャンプして叩いたとしても壊すことができない。しかし、「?」と描かれたブロックの特定の一種を叩くと現れる「スーパーキノコ」を取ることで、マリオは「スーパーマリオ」へとパワーアップ。身体が大きくなると同時に、敵に一度触れてもミスとはならなくなる(逆に体の小さい状態に戻される)。ブロックの破壊も可能だ。さらにスーパーマリオの状態でスーパーキノコが出てくる「?ブロック」を叩くと「ファイヤーフラワー」が出現。獲得するとマリオは「ファイヤーマリオ」になり、Bボタンを押すことでファイヤーボールを発射できるように。このファイヤーボールなら、遠くにいる敵へも攻撃可能である。このようなシステムが導入されており、変身するか否か、あるいは変身状態を保てるか否かで難易度にも変化が生まれるという、独特なゲームデザインを実現させている。
◇「ワールド」単位でまとめられた本編全体の構成も地味ながら、特徴のひとつとなっている。ワールドは基本的に4つのコースから成り立っていて、1から4の順番に沿って進んでいく。コースごとに地形や環境も異なる、例えば最初のワールド1であればコース1は地上の草原が舞台なのに対して、コース2は地下の洞窟、コース3は空に近い高所、コース4はクッパの城と言った具合に、変化に富んだ展開が楽しめるようになっている。前述したように、画面内に映し出されるのはコース全体の一部になっているのも変化に富んだ展開を演出する仕掛けのひとつ。例えばマリオのデビュー作である『ドンキーコング』の場合、ドンキーコングの近くで助けを求めているレディという明確なゴールが可視化されていたが、本作は全体像を最初から把握できないため、どれだけ進めばゴールが見えてくるかは進んでいかないと分からない。次のコースが地下なのか、空なのかにしてもまた然りだ。このような構成を採用しているのも本作の大きな特徴で、事実上の前作に当たる『マリオブラザーズ』とはひと味異なる体験を生み出す装置のひとつとなっている。
◇ほかに本作には交代方式による2人プレイモードも用意。このモードでは、2人プレイヤー用として前作の『マリオブラザーズ』でも同じポジションを務めたマリオの弟「ルイージ」が登場する。また、演出的な面で本作はコース(地形、環境)ごとに異なる複数の楽曲が設定されているのも特徴のひとつになっている。 横スクロール方式のアクションゲーム自体は、本作が先駆者という訳ではなく、アーケードゲームにおいて先例が一部存在する。任天堂が制作したゲームにおいても『バルーンファイト』『エキサイトバイク』の例が挙げられる。ただし、前者はおまけモードとしての位置づけ、後者はジャンル自体が違っている部分で見れば、1本特化で設計されている本作の個性は際立っている。何よりパワーアップシステムとそれが生み出す難易度の変化は極めて個性的であると同時に、アイディア的にも光るものを持っている。そして、1985年当時はまだ一画面内に完結させるものが目立っていたアクションゲームのジャンルにおいても、突出した個性を持った作品なのは確かだ。
紛うことなき横スクロールアクションゲームの金字塔にして、歴史的名作。
とりわけ冒険の舞台として用意された各コースの完成度は圧巻。コース1つひとつが独立した構造と個性を持ち、プレイヤーを飽きさせず、ほどよく苦戦させる敵とトラップの配置が徹底されていて、確かな遊び応えが得られる。総数も30以上と、わずかしかないROMカートリッジ(カセット)の容量の中にこれだけの内容を詰め込んでいるというのも、単純にインパクトがある。
30以上あるコースの中で、傑出した完成度を誇っているのがゲーム開始と同時に始まるワールド1-1。これが本作のゲームシステムをプレイヤーに伝え、教えるチュートリアルとして見事に機能している。しかもこのコース自体、何度も遊び続けることに耐え得る作りにもなっている。というのも、このコースには本作を構成する全要素が登場するからだ。敵、パワーアップアイテム、レンガブロック、穴といった基本的なものに加え、どこかに隠された「1UPキノコ」、土管から行ける地下の隠し部屋、そこからのショートカット、一定時間無敵になる「スーパースター」まで登場する。『スーパーマリオブラザーズ』というアクションゲームの面白さと魅力を、遊びながら自然に紹介してくれるのだ。
厳密には敵は全種類登場せず、ボーナスエリアも地下のみで空中版は登場しないなどの“抜け”もあるのだが、それでもアクションゲームとしての面白さが詰まった作りは純粋に凄い。ゴールまで遊びきるだけで本作の魅力が十分に分かる上、攻略の方法も豊富なので何度でも味わえる底の深さがある。難易度も控えめながら、油断すると痛い目に遭う場面もしっかり残すなど、バランス調整も申し分ない。まさにアクションゲームにおける最初のコースのお手本とも言える仕上がりで、あらゆるプレイヤーが体験する価値がある。本作が歴史的名作である理由は、このコースを遊べば嫌というほど分かるだろう。
1-1以外のコースの完成度も高い。次のワールドへとショートカットできる「ワープゾーン」が隠されていたり、思わぬ残機稼ぎのポイントがあったりなど、クリアしたらそれでお終いとさせないネタの豊富さと底の深さがある。コースの種類も多彩で、オーソドックスな地上面だけでなく、勝手の異なる水中面や緊張感のある城など、プレイヤーを驚かせながらも飽きさせない。横スクロール方式ならではの「先が見えない」という特性を利用した不意打ちも少なく、ほとんどのコースでプレイヤーに理不尽さを感じさせない配慮が施されているのも見事だ。意地悪な仕掛けを抑えて妥当さを重視した作り込みを徹底している点に、プレイヤーが気持ちよく楽しめるゲームとして作られたことを実感させられる。
ゲームバランスの絶妙さも特筆に値する。序盤は緩やかだが中盤からやや難しくなり、終盤になると激しくなるという、納得感のある難易度の上昇曲線を描いている。その終盤にしても理不尽なほど難しいわけではなく、それまでの経験を応用すればあっさり突破できたりもする。難しすぎず、かといって親切になりすぎないさじ加減の上手さには、職人技を実感させられる。
ただ、ゲームオーバーになると最初の1-1からやり直しになるなど、コンティニュー周りは当時のファミコンらしくシビア。しかし、ワープゾーンを使えば一部のワールドを短縮できるため、全てのコースをクリアしなければならないわけではない。その気になれば開始数分で最終ワールドに到達できるなど、長くするのも短くするも自由というプレイヤーに委ねた構成にも、本作のこだわりが伝わってくる。
本作を語るに当たって音楽の話題も欠かせない。当時のファミコンとしては珍しく、明確な楽曲が全編で流れる仕組みになっているが、曲自体の完成度もずば抜けて高く、プレイする誰もが耳に焼き付けるほどのインパクトがある。中でも最も長く耳にすることになる地上面のBGMは名曲中の名曲で、冒険の楽しさを引き立てるそのメロディは思わず口ずさみたくなる。
雰囲気作りへの貢献も見逃せない。最もそれがよく現れているのがワールド最後に用意された城コースの楽曲で、黒と白を基調とした無機質なグラフィックと合わさって、不気味で緊張感のある空気を作り上げている。制限時間が100秒を切ると曲が倍速再生になる仕掛けもそのひとつで、楽曲の慌ただしさも相まってプレイヤーを大いに焦らせてくれる。演出として面白いのはもちろん、プレイヤーとの一体感を高めようとするその気配りにも職人技を感じる。
ストーリーと世界観作りも意外に作り込まれている。コース上に配置されたブロックは、キノコ王国の住民がクッパの魔法によって変化させられたものというのがその一例だ。ゲームを構成する要素全てに何らかの理由を設けている点に、ただの機能として終わらせないというこだわりを感じる。各ワールド最後の城コースで待ち受けるクッパが影武者であるなど、「じゃあ、本物はどこで会えるのか?」「この影武者は誰なのか?」といったプレイヤーの興味を引く仕掛けも凝らされている。ちなみに影武者の正体は、ファイヤーマリオのファイヤーボールで倒すことで分かる。ワールドごとに違うキャラクターが当てられているというのにも、密かなこだわりを感じさせられる。
総じて高い完成度を誇る本作だが、あえて欠点を挙げると交代制の2人プレイモード。片方のプレイヤーがミスしない限り出番が回ってこない仕組みになっていて、腕前によっては独り占めになってしまう問題がある。プレイヤー1が2-3まで進めていても、プレイヤー2は1-1から始まるというように進捗が共有されないのも厳しい。これでプレイヤー2がミスなく進めてしまうと、プレイヤー1が長時間待たされてストレスが溜まる。容量的な事情もあると思われるが、1コースごとにクリアするたび交代するか、進捗が共有される形式であってほしかったところだ。
その他にも、水中面で穴の近くを通るとなぜか強い重力が働いて引っ張られ、操作感覚が乱れるといった気になる部分もある。意図しない動作を引き起こすバグもそこそこあるが、返って面白い展開を呼び起こしたりもするので評価が難しい。
こうした欠点はあれど、アクションゲームとしての基本的な完成度は非常に高く、傑作と迷いなく評せる内容なのは確かだ。アクションゲームが好きな人は言うまでもなく、そうでない人にも楽しめる余地を持った逸品である。
2026年現在ではNintendo Switchの『ファミリーコンピュータ Nintendo Classics』で体験可能。「Nintendo Switch Online」への加入が必須だが、加入していれば無料で遊び放題である。40年以上前のゲームになるが、その面白さは全く色褪せない。ぜひこの歴史的名作にして、マリオを世界的なスーパースターへと押し上げた伝説に触れてほしい。