
©CAPCOM CO., LTD. 1987, 2013 ALL RIGHTS RESERVED.
■発売元:カプコン
■ジャンル:アクション
■CEROレーティング:A(全年齢対象)
■定価:5,300円(税別)

©CAPCOM CO., LTD. 1987, 2013 ALL RIGHTS RESERVED.
■発売元:カプコン
■ジャンル:アクション
■CEROレーティング:A(全年齢対象)
■定価:5,300円(税別)
西暦200X年、科学の進歩により、人々は工業用の人型ロボットを生み出した。
ある日、工業用ロボットの第一人者であるトーマス・ライト博士のところへ博士が開発したロボットが暴れているとの情報が入った。世界征服を目論む悪の天才科学者Dr.ワイリーが博士のロボットを改造し、破壊の限りを尽くしているのだ。
ライト博士は自分の息子のように可愛がっている家庭用ロボット「ロック」を呼び、暴走しているロボット6体の各心臓部を回収するべく、彼を戦闘用ロボット「ロックマン」として改造した。かくしてロックマンは6体のロボットの心臓部回収と、事件の裏で糸を引くワイリーの野望を阻止するため、戦いへと旅立つのだった。
▼Good Point
◆プレイヤー独自の攻略ルートを構築できる自由度の高さとリプレイ性を引き立たせるステージセレクト型の本編構成
◆ステージの最深部で待つボスの撃破を目指す、シンプルで取っつきやすい基本ゲームルール(ステージクリア条件)
◆ボス撃破でロックマンの攻撃手段が増え、戦術の幅が広がっていくという意欲的な成長要素「特殊武器」
◆弱点として設定された特殊武器で攻めることで、いとも容易く倒せてしまう“答え”が設けられたボスたち
◆答えを突きながら攻略するか、あるいは正攻法で挑み続けるかの選択によって著しく難しさが上下する特徴的な難易度
◆移動とジャンプ、ロックバスター(遠距離攻撃)のごく僅かに絞り込んだ、直感的ながらも手触りのよいアクション
◆全部で10と総数は少なめながら、敵配置と仕掛けの密度で圧倒的なやり応えを表現した各ステージの設計
◆往年の名作ロボットアニメをイメージさせるコミカルなデザインと色づかいが光るグラフィック
◆耳に残りやすいメロディと、ステージごとの雰囲気と臨場感を引き立てる工夫も図られた名曲揃いの音楽
◆容量とゲーム機側の制約を逆手に取るこだわりが炸裂した演出周り(特に終盤に登場する大型ボスにおいて顕著)
▼Bad Point
◆特殊武器が手に入るまでは正攻法しか選択肢がなく、硬派さが際立ってしまう歪な難易度設定
◆足場から落下した際の急直下、着地した際に若干滑るといったクセの強さも併せ持ったロックマンの挙動
◆特定の数値に応じて残機が増えるといったボーナスもなく、システム的に意味を成していないスコア機能
◆極端なダメージ設定(敵によっては小さかったり、やたら大きかったりと振り幅が広すぎる)
◆突出して難易度が高い「アイスマン」ステージ(最初から最後まで、シビアな展開が目白押しで非常に難しい)
◆やや攻撃パターンに無慈悲さが出ている一部のボス(具体的にはアイスマン、エレキマン、ファイヤーマン)
◆ダメージを与える機会が限定的なことから、長期戦になりやすい最終ステージ1のボス「イエローデビル」
仲間を助けるため、彼は青きヒーローとなる。
◇『1942』『戦場の狼』『魔界村』といったアーケード向けタイトルを多数手がけるカプコンから発売されたゲーム。ファミコン向けに発売された同社のタイトルとしては4本目に当たり、アーケード作品の移植ではなく、最初から家庭用ゲーム機向けとして作られた完全新規タイトルでもある。
内容としては横スクロールのステージクリア型アクションゲーム。プレイヤーは主人公で戦闘用ロボットの「ロックマン」を操作し、暴走した6体の工業用ロボットの心臓部回収と、事件の首謀者である天才科学者「Dr.ワイリー」が目論む世界征服の野望阻止に挑む。大雑把に要約してしまうと、全部で10個用意されたステージの攻略に挑戦するという感じである。
◇横スクロールアクションゲームとしての基礎設計は、1985年に同ジャンルを広く世に知らしめた任天堂の名作『スーパーマリオブラザーズ』とほぼ同一のものを踏襲。とは言え、さすがにゲームデザインの方向性は別物。特に行く手を阻む敵に対処するに当たっては、マリオのような踏みつけではなく、「ロックバスター」と称されたエネルギー弾を放つ遠距離型の武器を用いる形となる。ロックバスターはBボタンを押すと直線状に1発発射され、敵に命中すすればダメージを与えられる。つまり戦闘スタイルとしては、敵との距離を取りながらロックバスターを撃つという、シューティングゲームに近いものになっている。
ステージのクリア条件もゴールへの到達ではなく、最後のエリアで待ち構える強い敵こと「ボス」を倒すというもの。ボスを倒さないと、完全な形でステージクリアとはならない。また、ボスには「体力」が設定されていて、ロックバスターを命中させるとそれを指すゲージが減少。最終的に空になれば倒すことができる。同様の体力ゲージはロックマンにも設定されていて、敵に接触したり、攻撃を受ければ減る。もちろん、ゲージが空になればロックマンが倒されてしまってミスになる感じだ。全体的には同じカプコン作品の『魔界村』に多少近い感じで、戦闘(バトル)のイメージを推し出したゲームデザインが特徴となる。
◇システム周りも特徴的。代表的なもので「ステージセレクト」がある。本作は一般的なステージクリア型アクションゲームとは異なり、あらかじめ決められた順序に沿ってステージを攻略していく仕組みを採用していない。プレイヤーが攻略したいステージを自由に選んで、独自の順序を作り上げていける仕組みとなっている。そのため、ゲームが始まるといきなり最初のステージからスタートとはならず、ステージセレクト画面が表示。全部で6つあるステージの中から、最初に攻略したい場所を選んで決めることになる。そして、ひとつのステージを終えるとステージセレクト画面へと戻り、再び次に攻略するステージを選んで決めるかたちだ。こうしたシステムを採用していることから、本作はプレイヤーごとに異なる攻略ルートを構築でき、遊ぶたびに違った展開が生まれるようになっている。なお、6つのステージを攻略すると最終ステージが解禁されるが、この残り4つのステージはプレイヤーが選択できず、あらかじめ決められた順序に沿って進めていくことになる。仕組みとしてはコナミの『悪魔城ドラキュラ』と同じである。ほかにステージは場所によって難易度に違いこそあるものの、どのステージから始めると良い・悪いみたいな暗黙のルールはない。特定のステージを攻略すると、残るステージの攻略が不可能になるみたいな詰みも一切発生しないため、基本的にはどこからでも始められて楽しめる作りである。
◇ステージセレクト画面にはもうひとつ、特徴としてそのステージの最後に待ち受けるボスのグラフィックが表示される。あらかじめ誰が最後に出てくるのかが判明しているネタバレ仕様である。ただし、どんな攻撃を仕掛けてくるかは実際に対面してみないと分からないので、過度にプレイヤーの楽しみを奪うものにはなっていない。 また、ステージごとに待つボスは倒すことで「特殊武器」が手に入る。実はロックマンの攻撃手段はロックバスターだけではない。それ以外の武器として、使用回数が限定された「特殊武器」が用意されている。そのため、ボスを倒すたびにロックマンの攻撃手段が増え、徐々に強化されていくという成長要素もある。「特殊武器」自体はゲーム中にスタートボタンを押すと開くメニュー画面で選んで使う。さらに特殊武器は特定のボスに対して絶大な効果を発揮。普通にロックバスターで戦うと2ダメージしか与えられないが、特殊武器だと2~3倍の大ダメージを与えられ、一瞬のうちに倒せてしまう……という大胆な一手を決められるのだ。つまるところ、ボスには弱点に該当する特殊武器が存在し、それを突くか否かでゲーム全体の難易度も変わってくるという面白い調整が施されている。ただし、どの特殊武器が絶大な効果を発揮するかはプレイヤー自身が探るしかない。ボスそれぞれの見た目や属性といったヒントはあるものの、それなりに試行錯誤は必要とされる。その分、“答え”を発見できた時の快感はひとしお。その“答え”自体が攻略順序の検証にも影響を及ぼし、より効率的なルートの構築へと繋がることもある。こういった戦略性を高める要素と仕掛けも凝らされていて、単に用意された困難を乗り越えていくだけに完結しない遊びの可能性を作り上げている。
◇ステージの攻略順序が決まっていないというだけでも、だいぶアクションゲームとして個性的なのは明らか。それに留まらず、特殊武器によるプレイヤーアクションの拡張から、それを使うか否かで大胆な上下を引き起こす難易度も実現するなりして、独自の体験を作り出している。さながら、ステージクリア型アクションゲームの新境地を切り開くかのごとき内容。基本の遊び自体は定番ながらも、さまざまな工夫ができて、何度でも遊べるリプレイ性を持ち合わせた作品に仕上げられている。
高いリプレイ性と、さまざまな遊び方を許容する深い戦略性が異彩を放つ良作。
特に見事なのが難易度。初期装備のロックバスターだけで最後までやり通すのも、特殊武器を併用して“答え”を突きつつ進めるのもすべてがプレイヤーの自由で、難しくするのも易しくするのも自由自在なのだ。まさに遊び方次第で難易度が変わる(受け取り方も変わる)アクションゲーム。それも「EASY」「NORMAL」「HARD」といった選択肢を機能として用意するのではなく、ゲーム全体を構成する要素を駆使し、プレイヤーに体験させる形で実現させているのが素晴らしい。
逆に言えば、個々の要素を積極的に活用せず、素直に真正面から遊ぶと極端に難易度の高いアクションゲームとしての印象が勝りやすい。事実、ロックバスターだけでやり通す場合の本作の難易度は非常に高い。ステージによっては、狭い足場を伝っていく場面のほか、耐久力の高い敵が行く手を阻む展開もあったりする。ボスに至ってはそれ以上。相手によってはプレイヤーを一時的に動けなくしたり、こちらを遥かに上回る機動力で動き回りながら攻撃してくるタイプもいるので、文字通りの死闘になることは避けられない。ボスに特殊武器が効くこともゲーム内で教えてくれないため、気付かないとロックバスターだけで戦う展開を続けかねないという穴もある。特殊武器自体も有用なのはボスだけでなく、ステージ内の仕掛けや雑魚敵においても同じなので、「ボス以外では使わない」みたいな縛りをしてしまうと難しさが際立ってしまう。
この辺りは自由度を表現したなりの弊害と言ったところだ。ただ、あくまでも難しいだけであって、クリアが絶対不可能にはなっていないところがミソ。一見、無理と思しき強いボスにも特殊武器を用いずとも倒せる余地が設けられており、立ち回りによってはノーダメージによる撃破も可能。ステージの仕掛けに関しても、運が要求されるみたいなことはない。基本、決まったパターンに沿っているので、そのクセを見極められれば必ず突破可能。雑魚敵に対しても同様である。
難しくなってしまう遊び方自体は否定していないし、ちゃんとそれに見合った体験も用意している。そういった色んな遊び方を容認する制約なき設計が確立されており、非常に懐の広い設計になっているのだ。どんな遊び方でも破綻しないよう設計しているだけでも、いかに本作が制作において入念な検証と調整を図ったかを察せる部分。そして、色んな遊び方を試せるからこそ、また新たに最初から始めたとしても以前とは違った展開が生まれ、異なる手応えを楽しめる。特にすべてのボスの弱点こと“答え”を知った上で改めて最初から遊び直してみると、以前の苦労とは裏腹のテンポよく進む展開に快感すら覚えるだろう。そんな奥行きの深さが本作の難易度にはあり、他のアクションゲームにはない手応えを提供してくれるのだ。同時に「では、これらを知った上で遊び直すとどうなるのか?」といった興味と関心も刺激し、そのまま最初から改めて遊ぶ気にもなりやすい。ゆえにリプレイ性も高く、何度でも遊べるゲームに仕上がっているのだ。こういった特徴を持ち合わせているだけでも、本作のアクションゲームとしての個性の強さとアイディアの面白さが異彩を放つ。
アクションゲームとしての根幹部分の作り込みも盤石だ。ステージはバリエーション豊かな敵と仕掛け、テーマを明示したビジュアル面の工夫もあってやり応え・印象ともに残りやすい。前半の6ステージはステージセレクト方式で後半4ステージは伝統的な1本道構成と、ゲームデザインの方向性がガラリと変わるのも面白い試み。その後半4ステージも、前半6ステージの総おさらいとも言える応用テクニックが求められてきたりと、ちゃんと終盤らしい雰囲気を作り上げているのが見事。これらのステージの最後で待ち受けるボスも前半6ステージとは異なる面子に加えて、ファミコンの表現上の限界に挑んだ体格の大きな個体も出てくるという演出面でも凝ったものになっている。特に終盤の最初のステージで対峙することになるボス「イエローデビル」には、色んな意味で強烈な印象を刻み込まれるだろう。
基本操作もアクションの少なさもあって仕組み自体はすぐに把握できて取っつきやすい。できることが移動、ジャンプ、ロックバスター(もしくは特殊武器)と最小限なことから、単調なイメージが付きまとうが、その辺りはステージの地形や敵などを駆使してフォロー。「よけて撃つ」という基本動作を多彩なシチュエーションを通して描き、体験させる工夫の数々には遊べば遊ぶほどに唸らされるだろう。同時にアクションが少なくても、他の要素でさまざまな遊びを実現させれば、単調さとは裏腹の展開を生み出せるという一種の真理も思い知らされる……かも。この辺りはむしろ、アクションゲームを個人で作ってみたい人ほど参考になるかもしれない。
ボリュームも真正面から遊んだ時の難易度の高さを踏まえると割と適切で、後々の周回プレイにも取りやすい規模だ。また、場面ごとの密度が濃いのもあって、数の少なさとは裏腹に物足りなさは感じにくいだろう。ほかにグラフィックも背景周りなどはシンプルながらも、敵のバリエーションの多彩さや、前述したイエローデビルのようなファミコンの限界に挑もうとする試みが随所に見られて印象に残りやすい。音楽もロボットのヒーローをテーマにしたなりの勇ましさと、コミカルなキャラクターデザインにちなんだ明るさが入り混じった楽曲揃い。それでいてどこか哀愁を感じる部分もあって印象に残りやすく、人によっては強烈に刺さるかもしれない。
総じて、伝統的なステージクリア型アクションゲームでありながらも、意欲的な試みとアイディアが凝らされた作品に仕上がっている。しかしながら、意欲的なりに粗削りな部分もそこそこ散見される。
特にロックマンの挙動に関してはややクセがあり、始めて間もない頃は制御に手を焼きやすい。着地時に微かに滑りやすく、穴から飛び降りると凄い勢いで落下していくなど、独特の重みがあるためだ。この辺りは何度か遊んで慣れれば気にならなくなるものの、正直、滑る仕様については不必要に難易度を上げている側面があるだけに、必然性があったのか疑問だ。
難易度に関しては、敵ごとのダメージ量の大小が極端なこと、アイスマンステージに限りやたらと難しい、イエローデビル戦は長期戦に陥りやすいうえに集中力が常時試されるなどの難点もある。特にダメージ量については、雑魚敵によっては接触時に少ない一方、一気に半分以上削られることもあったりと極端さが際立ち過ぎている。この辺りはもう少し差を埋めても良かったのではと思うところ。アイスマンステージに関しても、他の5ステージよりもシビアなアクションが求められやすく、長丁場になりやすいなど、設計に疑問を覚えるところだ。
ほかに本作では敵を倒したり、ステージをクリアするたびに画面中央に表示されたスコアが加算されていくのだが、これが単なる数値以上の意味を持っていない。特定の点数に達すると残機が増えるみたいなボーナスが一切ないのだ。正直、何のために設けたのか、必然性がまるでないシステムである。やり込み要素にするにしても微妙かつ、特に1周目はトライ&エラーを重ねる関係でゲームオーバーになりやすく、そのたびにリセットもされるだけに殊更意味を見出せていない。これに関しては単刀直入に削った方が適切だっただろう。
その辺りが惜しくもあるが、ゲーム自体は特にアクションゲーム好きにほど強くオススメできる仕上がりだ。逆にアクションゲーム初心者や『スーパーマリオブラザーズ』の1-1をクリアするのがやっとという人にオススメするのは難しい。難易度のコントロールが容易な仕組みはあれど、作ったのが極悪難易度で名を馳せた『魔界村』のカプコン。同作ほどではないにせよ、手ごわいゲームである。だが、その手ごわさだけでは一括りにできない見所と魅力を兼ね備えた良作ではある。それなりに腕前を磨いて覚悟が決まったのなら、ぜひ挑んでみてほしい。攻略のカギになるのは“答え”を探ることだ。
手ごわいけど、それを乗り越える明確な“答え”があるアクションゲーム、それが『ロックマン』である。