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≫Shinobi 3D(シノビ3D)
■発売元 セガ
■開発 Griptonite Games、ジェム・インパクト(音楽)
■ジャンル アクション
■CERO B(12歳以上対象) ※暴力、殺傷、出血描写あり
■定価 5040円(税込)
■公式サイト ≫こちら ※音が鳴ります
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 1つ+中断データ1つ
■3D表示 あり
■その他 すれちがい通信対応
■総説明書ページ数 31ページ
■推定クリア時間 4〜6時間(エンディング目的)、50〜70時間(完全攻略目的)
時は鎌倉。
朧一族の里では、若き当主となったジロー・ムサシが師匠と共に厳しい修行に励んでいた。
そんな最中、突如として里が謎の忍者軍団『ZEED(ジード)』の襲撃を受ける。
これの迎撃に当たったジローは、敵の力の源が雪山にあると見てその場へ向かい、現れた雪女と戦うのだが、謎の青い光の大爆発に巻き込まれてしまう。

やがて意識を取り戻したジローの前に広がっていたのは、西暦2056年のZEEDアイランド。
ジローは未来にやって来てしまったのだ!
そんなジローに再び、ZEEDが襲いかかる。時を越えた、宿命の戦いが幕を開けたのだった…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆今時珍しい、ステージクリア型アクションゲームの王道を突き詰めた基本ゲームシステム
◆プレイヤーを本気で殺しにかかる血も涙もない修羅っぷり、経験を重ねる度に突破口が見えてくる上達の快感に秀でた、職人芸の調整炸裂の難易度設定
◆圧倒的な密度と多彩なロケーションが異彩を放つ、珠玉のステージ構成
◆倍率システムによって演出される中毒性の高さが異彩を放つ、スコアアタックのやり込み
◆斬撃、手裏剣、二段ジャンプと、忍者らしい技の豊富さが異彩を放つ多彩過ぎるアクション
◆忍者らしいスピーディでテンポのいいアクションを満喫できる、爽快な操作性
◆上達すればするほど高得点を叩き出せる、病み付き必至の倍率システム
◆スコアアタックでの検証、自らの上手いプレイに酔いしれたい時に嬉しい、リプレイ保存機能
◆エンディングまでは短めだが、極めるととその10倍以上の時間を要する圧倒的なボリューム
◆スコアアタック、実績解除、コイン集め、隠しマップチャレンジなど、無駄に充実したやり込み要素
◆アートワーク鑑賞、サウンドテスト、シリーズの歴史紹介など、無駄に充実した特典要素
◆ミス後の即時復帰、中断セーブ機能など、痒い所にまで手の届いた、優秀な救済処置の数々
◆見た目は美しくないが、しなやかな動きと演出で大いに魅せるグラフィック
◆ノリの良さと和風でSFな世界観との絶妙なマッチ具合が素敵な音楽
◆斬り付ける爽快感と生々しさを演出する、質感溢れる効果音
◆3D非対応だが、スピーディなカット割りと日本産アニメ風のデザインが印象的なムービーデモ
◆往年のセガファンにはたまらないファンサービスの数々(アフターバーナーなど)

--- Bad Point ---
◆アクションゲーム初心者や苦手な方の精神を圧し折りかねない難易度設定(難易度選択機能もあるが、一番簡単なイージーですら相当な難しさ)
◆設定に適しているとは言え、やや突出し過ぎな感も否めない最終ステージの難易度
◆動きがワンパターンで、イマイチ戦い甲斐に欠けるボス戦(ステージの難しさと密度の濃さを考えれば、バランスの取れた難易度になっているが…)
◆蛇足感の否めないジャイロセンサー操作によるステージ
◆謎過ぎるストーリー(良い意味で見れば、勢い任せで結構面白かったりする)
▼Review ≪Last Update : 10/14/2012≫
「ドーモ、3DSユーザーの皆サン、未来にやってきた忍者です。」

伝説の忍が修羅の難易度と共に帰って来た!


1987年にアーケードゲームとして登場し、和とSFを融合させた世界観、歯応えのある難易度で多くのアクションゲーマー達を虜にした『忍(Shinobi)』シリーズ、久しぶりの新作。開発はアメリカのデベロッパー、Griptonite Gamesが担当。

3DSには刺激の強いゲームが少ないとお嘆きの貴方に送る、傑作地獄系アクションだ。

ゲーム内容は横スクロールで展開する、ステージクリア型アクションゲーム。主人公のジロー・ムサシを操作し、敵の軍勢と危険な仕掛けが張り巡らされたステージを突破し、巨大犯罪組織『ZEED(ジード)』の壊滅を目指すというものである。
本編はステージを順番に攻略していく、一本道のアーケードスタイルで展開。各ステージのクリア条件は、最後に待ち構えるボスを倒すという単純なもので、この手のアクションゲームでは王道中の王道とも言えるものになっている。
システム周りは過去の忍(Shinobi)シリーズを踏襲。ベースはメガドライブで発売されたシリーズ第二作目の『ザ・スーパー忍』。遠距離武器『手裏剣』を直線状に投げる攻撃、接近戦用の武器『刀』を使った斬撃、そして二段ジャンプこと『八双飛び』、八双飛びからクナイを一気に投げ飛ばす『八双手裏剣』など、大半のアクションが今作にも採用されている。
但し、各アクションの仕様及び、操作全般は刷新。特に大きく刷新されたのが、手裏剣攻撃と刀攻撃。それぞれAボタン、Yボタンに割り振られ、自由に繰り出せるようになった。それだけでなく、手裏剣は『ザ・スーパー忍』の有限制が廃止され、無限に投げられるようにもなっている。だが、連続して投げられるのは最大5発まで。全て使い切ると、自動装填される間、一発も投げる事ができなくなるという制約が新たに設けられている。その為、これまでとは勝手が別物。旧作とは異なる性質のアクションにその姿を大きく変えている。もう一つの刀攻撃も、ボタンが個別に割り振られた恩恵で、ほぼ自由なタイミングで繰り出せるように。更に最大三段階までの連続斬りも可能となり、接近戦主体の戦いへ持ち込め易くなっている。通常の斬撃以外にも、チャージ技こと『大烈斬』、八双飛びの状態から回転斬り状態で着地する『金剛落とし』などの多彩な技が追加され、戦術の幅が拡大。その多彩さもあり、旧作以上に華麗なアクションを堪能できるようになっている。他の八双飛びに関しても、好きなタイミングで二段目のジャンプが繰り出せるようになるなど、より快適さを追求した仕様へと刷新。総じて「思うが侭にアクションを楽しむ」をコンセプトとしたものに完成、及び進化を遂げている。
勿論、新しいアクションも数点追加。その中でも、突出した存在感を放つのが『防御』と『カウンター』の二つだ。今作では、敵の攻撃が命中する瞬間にタイミングよくRボタンを押す事により、敵の攻撃を完全に防げる事ができるようになった。しかも、これで防げるのが、ほぼ全ての攻撃というのが最大の特徴。敵の手裏剣は勿論、斬撃、銃撃、更にはミサイルと、あらゆる攻撃が防げてしまうのだ。爆発に関しては唯一、防ぐ事はできないが、その万能さ故、上手く使いこなせるようになれば、ほぼ無傷でステージを突破する事も可能。タイミング良くボタンを押さなければ成功判定にならない為、難易度は極めて高いのだが、その優秀過ぎる性能もあり、爽快感は抜群。それでいて、不思議とそれを狙ってついつい、ボタンを押したくなってしまう、麻薬的な魅力が秘められた技に仕上げられている。
また、これで攻撃を弾き、即座にYボタンを押すと、強力な『カウンター』が発動。敵に強烈な一撃を加える事もできる。しかもこの攻撃、普段なら4〜6発は攻撃しないと倒せない敵ですら一撃で倒すほど強力。上手に使いこなせるようになれば、驚くほどの速さで敵をなぎ倒し、ステージを進めていけるようにもなるのだ。勿論、上手に決められた時には脳汁ドッバドバ。それを味わいたいが為に意識的に狙いに行きたくなってしまうほど、魅力的過ぎる攻撃力を持っている。アクション自体は平凡で、斬新さは無いも同然だが、そんな優れた性能もあってか、技を繰り出す楽しさは相当なもの。その快感を味わう為に極めたくなるほど、魅力に富んだものに仕上げられている。この他にもボス戦限定で、強烈な一撃をお見舞いする『シネマティックアタック』と言った新アクションも追加。ゲームモード周りでも、ステージごとのハイスコアを目指す『スコアアタックモード』、腕に自信のあるプレイヤーに向けた『チャレンジマップ』と言ったやり甲斐抜群のものが収録されている。更に3DSならではの要素として、ジャイロセンサーによる操作で進むステージ、奥行きを活かした敵の攻撃、すれちがい通信を行う事で解禁される高難易度ステージ『すれちがいチャレンジマップ』なども実装するなど、至れり尽くせり。
ゲームデザイン的にやや古臭さもあるが、爽快なアクションに充実したゲームモードを始めとする強烈且つ、魅力的で色褪せない要素がたっぷり。シリーズモノとしても着実な進化を遂げているほか、遊び易さと楽しさも向上しているという徹底振りだ。まさにアクションゲーム好きにとっては、こういうのを待っていたと言わんばかりの内容。昔ながらの魅力と色褪せぬ面白さ、分かり易さを強みとした作品に仕上げられている。

そんな今作最大の魅力は、まさに修羅としか言い様の無い難易度だ。元々、忍シリーズは難易度の高いアクションゲームとして知られるが、今作もその伝統に則った高難易度を継承。しかもその難しさは、数ある3DSのアクションゲームの中でも最高クラスも同然のものになっている。というのも、一番簡単な『イージー』の難易度ですら難しい。
解説が遅くなったが、今作にはイージー、ノーマル、ハード、スーパーハードの4種類の難易度があり、スタート時にこの内1つを選び、本編を進めていく事になる。最も簡単なのがイージーで、手軽にアクションを楽しみたい方向けの調整が特徴の難易度になっている…のだが。
正直言って、難しい。どう難しいのかと言うと、ステージ開始から十秒も経たぬ内に敵の遠距離攻撃が飛んでくるのだ。更に敵自体も容赦ない。こちらの姿を確認するや否や、速攻で攻撃を仕掛けてきたり、上から攻撃を仕掛けようとしたら、急にジャンプして斬りかかって来るなど、こちらの裏をかくような行動を取ってくる。しかも、このような敵がイージーでも普通に登場。何故、一番簡単な難易度なのに難しいのか、十分に分かるだろう。全く手加減なしの調整になっているのだ。無論、イージーがこれなので、ノーマル以降は更に難しい。最高難易度スーパーハードに至っては、生半可な腕では到底クリア不能な厳しさとなっている。挙句、全難易度問わず、本編で登場するステージは平均クリアタイムが10分を超える始末。まさに血も涙もない容赦の無さ。「忍の道は修羅の道」を突っ走る厳しさを特徴とする調整が成されているのだ。
だが、決して理不尽なバランスになっていないのがミソ。確かにイージーでも相当な難しさだが、チェックポイントが大量に設定されているほか、やられた後の復帰も早く、大体5秒程度で直に続きから始める事ができるので、辛抱強ささえあれば必ず攻略可能なバランスになっている。更にこちらの裏を突いてくる敵も、完全無欠というほど強くはない。というのも、全ての敵はパターンに基づいて行動する。必ず決まった動きで攻めてくるのである。その為、やればやるほど対処法が分かってくる。それはステージの仕掛けも同様。最初は引っ掛かったものも一度、経験してしまえば、もう脅威などではない。以降は経験に応じて衝動的に回避、突破ができるようになり、ただの飾りと課すのだ。勿論、厄介なパターンの敵、仕掛けも存在する為、全てがそうという訳ではないが、そんな設定が施されているので、理不尽さなどは皆無。昔ながらの硬派系アクションゲームの魅力を徹底的に突き詰めた、職人芸の調整が炸裂したバランスに仕上げられているのである。なので、その手応えと達成感は非常に心地良い。
また、ノーダメージを維持すれば維持するほど高得点が獲得できる倍率システムも、今作のバランスの素晴らしさと奥深さを表現する見所の一つ。ハイスコアを保ったまま、ステージを駆け抜ける事ができた時の達成感と快感はスルメな味わいに秀でており、つい同じステージを何度も遊びたくなる中毒性に秀でている。『防御』&『カウンター』のアクションも、全ての攻撃が防げ、強力な敵を即座に倒せるという作りがバランスの良さを暗に演出しているのが秀逸。しかも、この技を決める事によって高得点もゲットできる、一石二鳥な魅力もあるという隙の無さ。そのような特典が設けられているのも、全ては今作のバランスが優秀であるが故のもの。如何に緻密な計算に基づいて調整されているかをうかがわせる。
とは言え、アクションゲームが苦手なプレイヤーや初心者にとって、この難易度が厳し過ぎる事に関しては一切否定できない。幾ら攻略可能でも、基本的に死に覚えゲーの面が強いので、上手く遊べない時のもどかしさは計り知れないものがある。だが、それがあるからこそ、乗り越えた時の達成感と快感は格別。そして、自分でも見惚れてしまうようなプレイができるようになっていく上達の手応えと中毒性の高さは、これぞ正真正銘の硬派系アクションゲームだと断言できる伝統的な魅力と感動に満ち溢れている。それでいて、チェックポイントを豊富に設置すると言った、フレンドリーな一面も残す隙の無さ。そう言った今の時代を意識した気配りを施す辺りにも、今作が単に昔ながらの良さを追求しただけのゲームではないという事が現れている。
まさに今の時代にマッチした高難易度と言ったところ。快適に遊べて大量の血反吐を吐ける、そんな修羅の道を今作では存分に味わえるのである。少し表現的に過激だが、それほどまでに今作の難易度は過激で、芸術的。新しくも懐かしい手応えと心地良さが満載の難易度になっているのだ。きつい難易度故のストレスは強めだが、それ以上の感動が今作にはある。その圧倒的な充実感もまた、3DSの数あるアクションゲームの中でも屈指のものとなっている。

また、アクションゲームの肝と言える操作性も素晴らしく爽快で快適。挙動が軽く、忍者らしいスピーディでテンポのいいアクションを存分に堪能できる。
ステージ構成も、1つクリアするのに平均10分以上がかかるなど長めではあるが、その分、密度が凄まじく濃い。更にハイスコアチャレンジ、アイテム回収などの寄り道・やり込み要素も盛り沢山。舞台となる場所も高速道路、列車、海底トンネルと言ったぶっ飛んだものが満載で、あらゆる側面からプレイヤーを楽しませる作り込みが成されているのが圧巻だ。
全体のボリュームもエンディングまでは短めだが、先の通り、やり込み要素が充実しているので、遊び応えと充実感は桁違いの域。それらの要素を攻略する事によってアートワークの閲覧、サウンドテストなどが解禁されるなど、おまけ要素も盛り沢山でプレイヤーのモチベーションを適度に刺激させてくれる辺りも非常にニクい。
グラフィックも全体的に粗めだが、モーションの作りは素晴らしく、キビキビよく動く。音楽も名曲揃い。しかも、作曲担当はメタルギアソリッドシリーズで知られる日比野則彦氏と、氏が代表を務めるジェム・インパクトの鈴木克崇氏、イズタニタカヒロ氏という日本の方々であるというのがまた面白い。楽曲自体も和風ながらもクールな、独自色溢れるものが盛り沢山。特にタイトル曲とボス戦曲全般、そしてまさかの『アフターバーナー』のテーマ曲アレンジは要チェックだ。

演出も派手で、特にムービーデモはなかなかクオリティが高い。立体視に対応していないのが残念だが、スピード感溢れるカット割りは見る者の目を見張る。そのムービーデモで語られるストーリーも、「Don't think a Feel」な無茶苦茶さが良くも悪くも印象的。特に最後の結末には、誰もが「何が何だか分からない…」と衝動的に呟いてしまうだろう。
ジャイロセンサー操作でプレイするエリアが本当に蛇足でしかない事、ボスの攻撃パターンがワンパターンで単調、立体視は深度ややきつめでブレ易いなど、色々惜しい点もあるが、全体的なアクションゲームとしての出来は申し分無し。
難しいけどフレンドリー、やり込む度に奥深さが増して行く絶妙且つ芸術的な難易度設定、爽快な操作性に遊び応えたっぷりのステージなど、硬派系アクションゲームのお約束を守りに守ったその完成度の高さは特筆すべきものがある。3DSには硬派なゲームが足りないとお嘆きの方に送る、修羅の難易度と圧倒的な奥深さを特徴とした今作。
アクションゲームが大好きな方、手強いゲームを求める方ならば是非、遊んでみて頂きたい傑作だ。難しいけど、やり込み始めたらもう止まらない。お薦めの逸品です。
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