≫スーパーマリオ3Dランド
|
|
■発売元 |
任天堂 |
■開発協力 |
ブラウニー・ブラウン |
■ジャンル |
3Dアクション |
■CERO |
A(全年齢対象) |
■定価 |
4571円(税別) |
■公式サイト |
≫こちら |
|
▼Information
|
■プレイ人数 |
1人 |
■セーブデータ数 |
3つ |
■3D表示 |
あり |
■その他 |
すれちがい通信対応 |
■総説明書ページ数 |
12ページ(※電子説明書) / ≫Web版はこちら(※PDF注意) |
■推定クリア時間 |
4〜6時間(エンディング目的)、20〜35時間(完全攻略目的) |
|
キノコ王国にある一本の不思議な木『しっぽの木』。
ある夜、大きな嵐がキノコ王国を襲った。
しっぽの木を心配したピーチ姫は嵐の中、様子を見に行ったのだが、朝になっても姫は帰ってこない…。
心配したマリオとキノピオ達がしっぽの木の元へ駆け寄ってみると、そこには葉っぱが無くなったしっぽの木とクッパに捕まったピーチ姫の写真が入った封筒があった。
一連の出来事は全てクッパの仕業だったのだ!
かくしてピーチ姫を助け出す為、マリオは走り出した。
|
▼Points Check
|
--- Good Point ---
◆3Dながらもマリオ王道の遊びを主眼に置いた、2D仕様の取っ付き易いゲームデザイン
◆2Dマリオしか遊んだ経験が無いプレイヤーに対し、3Dマリオの面白さとその魅力を緩やかに訴えっていく絶妙且つ、計算され尽した構成でまとめられたレベルデザイン
◆携帯機向けならではの手軽さとやり込む度に増す奥深さに秀でた、完成度の高いコース構成
◆3Dにアレンジされたタヌキマリオにブーメランマリオを始めとする新種など、懐かしさと新しさを絡め合わせたラインナップが印象的なマリオの変身アクション
◆お手本プレイ、すれちがい通信によるアイテム入手を始めとする豊富な救済処置の数々
◆ムキになって遊んでしまうほどに熱い、タイムアタックのやり込み(すれちがい通信の記録交換も挑戦意欲を刺激する)
◆エンディングまでは短めながら、完全クリアとなると倍の長さに跳ね上がる総計ボリューム
◆少し挙動が重くなったが、相変わらずの動かす楽しさに秀でた珠玉の操作性
◆マリオらしい、簡単過ぎず難し過ぎずの絶妙なバランスでまとめられた難易度設定
◆モデリングの美しさと見事な奥行き感、鮮やかな色合いが異彩を放つ、高品質のグラフィック
◆個人差もあるが、長時間プレイでも不思議と疲れ難いのが衝撃的な『おすすめビュー』モード(もう一つのディープビューも奥行き感の深さが秀逸)
◆全体的に大人しめだが、魅せる所では魅せる演出(特にクッパ登場シーンはなかなかの迫力)
--- Bad Point ---
◆あまりにも種類が少な過ぎるボス(この為、同じボスの使い回しが非常に多い)
◆本編進行の強制中断が煩わしいスターコイン集め(先に進む為のコインの数も少し多過ぎる)
◆空中浮遊が万能過ぎて、他の変身アクションの存在を食ってしまっているタヌキマリオ
◆動かす楽しさに秀でているとは言え、挙動の重さは賛否が分かれる操作性
◆リトライ機能非搭載な為、最初からのやり直しが苦痛極まりないタイムアタックのやり込み
◆過剰なまでに増えるマリオの残機(ゲームオーバーの存在意義が無くなっている…)
◆クリア後のスペシャルコースにおける、安易な難易度引き上げを行ったコースの多さ
|
▼Review
≪Last Update : 9/16/2012≫
|
19年の沈黙を破り、マリオランドここに復活!
※無関係の新作です。
『スーパーマリオギャラクシー』シリーズを手掛けた、任天堂東京制作部が送る3Dマリオシリーズ最新作にして、初の携帯機向け作品。一部のグラフィック制作は『マジカルバケーション』などで知られるブラウニー・ブラウンが手掛けた。
これぞ正真正銘、誰もが手軽に遊べる3Dマリオの決定版だ。
ゲーム内容は、3D視点で展開するステージクリア型アクションゲーム。主人公のマリオを操作して多彩なコースを攻略し、クッパにさらわれたピーチ姫の救出を目指すというものだ。
この解説で明らかだが、今回は3Dでありながら、基本システムが『スーパーマリオブラザーズ』や『Newスーパーマリオブラザーズ』と同じものとなっている。3Dマリオと言えば、広大な箱庭空間を舞台に『パワースター』などのアイテムを回収する、探索要素を取り入れたゲームデザインを特徴としていたが、今作ではこれを撤廃。純粋なステージクリア型、『ゴールポール』への到達を目指す、マリオ王道の遊びに重きを置いたゲームデザインに改められている。
その為、今回のコースは2Dマリオの文法で作られている。見た目こそ、3Dマリオお馴染みの箱庭空間だが、最深部にゴールポールが設けられていたり、そこに至るまでのルートが固定であるなど、基本的な遊びの手応えは完全に2Dマリオ。マイペースに空間内を駆け巡り、目的を遂行する自由度の高さは完全に取っ払われた内容になってしまっている。しかも、今回は制限時間システムまで起用されているので尚更だ。
だが、逆に言えば、3Dマリオに苦手意識を覚えていたプレイヤーには非常に優しい作り。向かうべき場所が何処か、右往左往する事故が起き難くなったので、これまで以上に取っ付き易い作りになっている。何よりも、日本のみならず世界中のプレイヤーに親しまれた2Dマリオのシステムで作られているだけに、これまで2Dマリオしか遊んだ経験の無い方でも難なく入っていける間口の広さはかなり大きな強みだ。
その配慮は、マリオのアクションやシステム全般にも図られている。アクションに関しては、操作性からマリオの挙動に至るまで、これもまた2Dの仕様を起用。例えばダッシュだが、3Dでは基本、スティックの押し込み具合で速度が変化する仕組みだったのに対し、今作ではYボタンを押しっぱなしでダッシュという2D方式に改められている。ある意味、グレードダウンだが、2Dマリオと同じ仕様というのもあり、3Dマリオ未経験のプレイヤーにも触り易い安心感が演出されている。無論、2Dと3Dのどちらも経験が無い方でも、基本操作自体は複雑ではないので取っ付き易い。そんな抜かりのなさも健在だ。
システムに関しても、3Dマリオと言えば、視点を動かすカメラ操作がある意味、お約束のように実装されているが、今作では廃止。固定カメラ制となり、純粋にアクションだけに集中できる作りになっている。その為、カメラがグルグル回って酔ってしまう心配も無し。3D耐性が無い方にも優しい設計になっている。更にもう一つ、3Dマリオと言えば、数発のダメージを受けるとアウトとなるライフ制も一つの特徴だったが、これも2Dマリオと同様の変身状態によるライフ制へと変更。ちびマリオの状態で敵に接触するとミスという、伝統のルールに改められているので、その点でも2Dマリオしか経験がない方にとって親しみ易い設計になっている。
また、ゴールへの到達が主な目的という事で、本編も複数のコースで構成されたワールドを順に攻略していく、これまた2Dマリオライクな内容に改められている。だが、単にコースを順に攻略していけば良いだけでなく、『スターコイン』と呼ばれるアイテムを一定数集めないと入れないコースがあるなど、3Dマリオの遊びも取り入れられた一筋縄では行かない構成になっている。この『スターコイン』を集める過程もまた、3Dマリオの『パワースター』集めに違いものになっていて、ゴールを目指すだけのシンプルな本編に奥行きを与えている。探索主体のゲームデザインで無くなったとは言え、その手の要素は今作でもしっかり残されているので、探索を求めるプレイヤーも納得の手応えを感じ取れること間違いなし。コースにも、箱庭空間を特徴としたものも用意されているので、レベルデザイン周りでも心配無用だ。
特徴的な要素が欠けた事で、ゲームデザイン面での魅力が落ちたのは否定できないが、それ以上の要素と強みを今作は兼ね備え、全く新しい3Dマリオのゲームデザインを確立。まさに、2Dと3Dの良い所取りで、マリオを動かす楽しさと箱庭空間を駆け抜ける快感が堪能できる、敷居が低くて遊び易い3Dマリオに仕上げられている。
ある意味、誰もが望んだ未来のマリオと言っても過言ではない。3Dだけど、遊びは2D。そんな理想的な進化を遂げた作品が今作なのである。なので、遊び易さも歴代屈指。そして、入門編というに相応しい完成度を誇っている。
例によって、今作の売りは3Dマリオでありながら2Dマリオな手応えに集約される。そしてもう一つ、これまで2Dマリオしか知らなかったプレイヤーに対し、3Dマリオの魅力を訴えかける工夫を凝らしたレベルデザインも今作の大きな売りである。具体的には本編の序盤から終盤にかけての流れなのだが、これが2Dマリオしか知らないプレイヤーを適度に3Dマリオの特色へと緩やかに慣らしていく、ソフトランディングな構成にまとめられているのだ。
例えば、ワールド1は序盤という事で、2Dのコースを3Dに改めたもの中心で、単純にゴールポールを目指して進んでいけば難なくクリアできる程度の難易度となっている。また、一部のコースには進路を示す標識を配置する対策も実装。2Dのマリオしかやった事のないプレイヤーに対し、「いつものマリオですよ」と安心感を与える為の施策が凝らされている。
そして、次のワールド2でも似たタイプのコースが大半を占めるラインナップとし、3Dに対する抵抗を更に和らげる。そこを見計らってその後、箱庭のようなコースが登場し、今までの2Dとは違う流れが出来ていく。そして奇妙な流れが増えてきたと同時に突如、『スターコイン』を一定数集めないと入れないコースを導入。それまでの前を進む流れから逆行する展開を発生させ、プレイヤーに「ただゴールを目指せば良い訳ではない」という事を認識させるのだ。そして以降、箱庭型のコースは更に増え、徐々に2Dマリオなコースは減っていく。更に『スターコイン』を集める展開も頻繁に挟まれるようになり、次第に今作がただ前へ進めばいいマリオではない事が認識されていき、気が付けば3Dマリオに近い遊び方をしている事に気付かされるのである。そんな「じんわり」と3Dマリオの特色をプレイヤーに提供させていくレベルデザインを今作では徹底。ゆっくり、確実に3Dマリオの魅力を染み渡らせる、計算され尽した設計が成されているのだ。
それでも基本の遊びが『ゴールを目指す』である為、2Dマリオの遊びが完全に無くなる訳ではない。箱庭風のコースも最終的な目的はそれなだけに、幾ら3Dの遊びが進む度に増すとは言え、手応えそのものは2Dそのものだ。しかし、広い空間を走り回る3D特有の気持ちよさは確かにあり、その魅力を余す事無く訴えかけるものにどのコースも完成されている。同時に、プレイする事で「3Dも基本は同じなんだな」と、次第に抵抗感も和らいでいくほか、サクッと楽しめるその内容から、他の3Dマリオでは何処まで中身が濃いのかという興味をも抱かせるものにもなっている。
念の為、興味を抱くようになるかどうかは個人差もある。だが、馴染み深い遊びでプレイヤーを慣らした末、新たな世界へと誘うその作りはまさに『架け橋』というに相応しい出来であるのはもはや言うまでも無く。慣れ親しんだ遊びから新たな遊びを丁寧に訴えかける。同様の手法は同じ3DマリオではWiiの『スーパーマリオギャラクシー2』でも行っており、それもまた素晴らしい出来出会ったが、あちらはゲーム開始序盤に限っていたのもあり、隅から隅までという訳ではなかった。今作はそれを隅から隅までやってしまった。大胆極まりないやり方だが、これほどまでに新たな遊びにプレイヤーを馴染ませる手法として、完璧なものもなかなか無いと言っても良いだろう。それほどまでに今作のレベルデザインは異様なまでに手が込んでいる。まさに3Dの面白さを知らしめる一作、ここに誕生したりと豪語できるほどのものに完成しているのだ。
3Dマリオの遊びに慣らす過程とは言え、一度、戻る事を強制する『スターコイン』を一定数集める事で開放されるコースの存在は正直、賛否が分かれる。しかし、誰もが安心して遊べる為の環境作り、3Dマリオという新しいマリオの世界をゆっくりと確実に教えていくソフトランディングな展開、そして2Dと3D双方の良さを活かすコースの作りなど、一つのアクションゲームとしても、3Dマリオの入門編としてもその完成度は申し分ない。
『スーパーマリオ64』より3Dマリオに親しんでいる方には正直な所、箱庭感が薄めなので物足りなさを覚えるかもしれない。しかし、親しんでない方にとっては本当に取っ付き易さ抜群。3Dマリオは何が面白いのかを知るにとって、最適な作品に仕上げられているのである。これまで、3Dマリオは面白いのに敷居の高い部分がある為、何をお薦めしたらいいか頭を悩ましていた方にはまさに朗報!究極の推奨作品がここに誕生だ。
また、肝心のコースの作りも2Dマリオと3Dマリオの良さを絶妙にブレンドした、攻略し甲斐のあるものとして完成されている。2Dマリオがベースにあるだけにコースも短めで、サクッと遊べるボリュームになっているのも秀逸だ。それでいて密度は薄くなく、スターコインを見つけ出す探索要素、タイムアタック、そして緑のあの男による趣を変えた攻略と言った遊びが盛り込まれているので、飽きるほどまでやり込める。ロケーションも従来のマリオとは少し趣の異なる、少しシュールな不思議空間になっているのが面白い。往年のマリオファンを唸らせるサービスも満載で、中でも『スーパーマリオブラザーズ3』で初登場し、今回、全てが立体的になった飛行船は仕掛けと演出、最後に待ち構えるボスも含めて必見だ。
操作性も2Dスタイルを起用しているのもあり、取っ付き易さは3Dマリオ史上屈指。少し挙動が重くなった点は賛否が分かれるが、相変わらず手触り感は抜群で、今回もただマリオを動かすだけでも楽しい操作として完成されている。また、大砲の仕掛けでは3DS本体内蔵のジャイロセンサーで照準を動かすという独特の操作が楽しめるのだが、これも違和感のない気持ち良いものに完成されているのが素晴らしい。
難易度もマリオらしい、優し過ぎず難し過ぎずの絶妙なバランス。『NewスーパーマリオブラザーズWii』以降、シリーズの基本となった救済処置『お手本プレイ』も反則紛いな救済アイテムへとその姿を変え、より親切且つ、プレイヤーの挑戦意欲を刺激させるものに進化している。
ボリュームもエンディングを目指すだけなら短めだが、完全クリアを目指すとなると途端に膨れ上がる。というのも、今回もクリア後に出現するスペシャルコースが用意されているのだが、これが本編並の量になっているのだ。しかも、その先には更なる難関コースもある始末。その圧倒的な物量と熾烈な難易度には、アクションゲームに手馴れたプレイヤーも納得…否、血を吐くレベルの充実感を得られるだろう。
グラフィックの完成度も非常に高い。また、立体視も奥行き感、飛び出し具合共に良好。更にプレイヤーの好みに応じて『おすすめ』、『ディープ』の二つのモードが用意されているのも良心的だ。特に『おすすめ』は驚くほど疲労感を感じさせないものになっている。立体視は長く見ていると疲れると思っている方は是非、体験してみて欲しい。疲労を感じず、普通に長々と見れてしまうその違和感のなさに衝撃を覚えること、間違いなしだ。
音楽はいつものマリオサウンドで、明るい楽曲が中心。東京制作部開発という事でマリオギャラクシーのような壮大なオーケストラをイメージする方がいるかもしれないが、今回は王道のものなっている。演出周りも大人しめ。しかし、出来は非常に良く、特にクッパ登場シーンは、立体視との組み合わせで迫力あるものに仕上げられているので必見だ。他にも、すれちがい通信によるタイムレコード交換、サポートアイテムのゲットなどの親切且つ、挑戦意欲を刺激する機能も実装されているなど、至れり尽くせり。
先も挙げたスターコイン集めによる進行中断のほか、ボスの種類が少ないと言った少し気になる点もあが、バランス的な不備は皆無で完成度は申し分無し。2Dマリオと3Dマリオの良さを絶妙にブレンドしたコースと完璧なレベルデザイン、素晴らしい操作性に難易度設定と、何処も彼処もさすがマリオだと唸らせる出来栄えだ。シリーズ最新作としても、3Dマリオ入門編としても驚異的なクオリティを誇る今作。
これぞニンテンドー3DSのベンチマーク的傑作だ。特に3Dマリオは苦手という方こそ是非、遊んでみて欲しい逸品だ。今作をきっかけに素晴らしき3Dマリオの世界への第一歩を踏み出してみよう!かなりお薦めです。
|
≫トップに戻る≪
|