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  4. 哭牙 KOKUGA
≫哭牙 KOKUGA
■発売元 グレフ
■ジャンル シューティング
■CERO A(全年齢対象)
■定価 4800円(税別)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 1つ
■3D表示 あり
■その他 ローカルプレイ対応、ダウンロードプレイ対応
■総説明書ページ数 16ページ(※電子説明書)、操作説明シート同梱
■推定クリア時間 1〜5時間(エンディング目的)、15〜20時間(完全攻略目的)
一年程前、『ア国』ト、隣接スル『イ国』トノ間ニオイテ戦争ガ勃発シタ。
何処ニデモ在ルヨウナ民族間ノ対立、ソシテ小競リ合イ。
マルデ止ム事ノナイ営ミノヨウニ…マルデ神ガ、ソウスル事ヲ望ムガ如ク、人ハ同ジ事ヲ繰リ返ス。
ソコニ平和在ル時ハ、ソノ命ノ尊サヲ謳イ…ソコニ争イ在ル時ハ、ソノ命ヲ差シ出セト言ウ。
人トハ、何ト不可解ナモノカ。

≪陸軍司令第十八号≫
陸軍第三小隊各員ハ、小型機動戦車『哭牙』ノ搭乗員トシテ、模擬戦闘訓練機ニヨル訓練ヲ命ズル。
別命ニヨリ実働作戦ガ通達サレタ際ハ、速ヤカニ任務ヲ遂行セヨ。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆進め方によっては一瞬で最終ステージに到達するのも可能な、プレイヤーの思うがままに進めていける自由度の高さと独特の選択画面が光るステージセレクトシステム
◆プレイヤーの遊び方次第で短くも長くもできる、特徴的なステージセレクトシステムによって演出された本編ボリューム
◆弾を一発しか撃てず、狙いも自分で調整して定めなければならない、独特の手応えに満ち溢れた自機『哭牙』
◆任意のタイミングで自機の強化を行う独特の戦術性、DSの二画面構成を活かすアイディアが炸裂した『カード』によるパワーアップシステム
◆ソフト一本で最大四人まで楽しめる贅沢な仕様、複数人で協力し合いながら戦闘に臨むシューティングゲームとしては珍しい手応えと熱さに満ちたマルチプレイ
◆自機と砲塔を同時に動かす仕組みながら、意外と直感的に動かせる作りの良好な操作性
◆模擬戦という設定を反映させた、シャープなビジュアルが異彩を放つグラフィック
◆各ステージでの戦闘を大いに盛り上げる、名曲揃いの音楽(ステージの前半と後半で楽曲が変化する仕掛けも)
◆戦時中の日本を髣髴とさせる、独特の雰囲気とテキストで彩られた世界観&ストーリー

--- Bad Point ---
◆一発しか撃てない制約の所為で、各個撃破の戦術に偏る難点を併せ持った自機『哭牙』
◆どのステージでも似たような展開が繰り返される、工夫に欠けたレベルデザイン(強制スクロール方式で進むステージもありはするが、起伏を付けるネタとしてはイマイチ)
◆模擬戦という設定を反映し過ぎた、パターンに乏しいステージごとのロケーション(ほとんど一緒)
◆出てくるカードのパターン編集もできない上、ステージクリアの度に新しいカードが手に入る仕掛けもないなど、単なるサポート機能に終始してしまっている『カード』(枚数も20枚だけと少な過ぎる)
◆カードの出現パターンによって戦術面が常に変動するなど、運に左右され易いゲームバランス
◆敵に攻撃を撃ち込んだ時に換算され、撃破した際には1点も入らない謎仕様のスコアシステム(この為、固い敵に弾を撃ち込み続ける方が得点を沢山稼げるという…)
◆未実装のタイムボーナス(あればゲーム全体のリプレイ性を高めていただろうに何故かない)
◆スコア周りの欠陥もあって、致命的なまでに魅力に欠けるやり込み要素全般(更に隠し要素と特典、クリア済みのステージを自由にプレイするモードまで未実装という素っ気なさ)
◆高難易度での攻略を強制される、シューティングが苦手なプレイヤーや初心者を貶める罠が仕込まれたFINAL1〜3のステージ(実戦という設定には忠実だが…)
◆一発しか弾を撃てない制約を一切考慮してない調整が施されたFINAL1〜3のボス(理不尽に強い)
▼Review ≪Last Update : 2/12/2017≫
人トイウ名ノ鬼達ガ征ク

それ以上に実戦が鬼過ぎる件について…。


『旋光の輪舞』、『星霜鋼機ストラニア』など、独特のシステムと世界観を特色とするシューティングゲームの製作を多く手掛けるグレフのニンテンドー3DS初参入作。かつてトレジャーに在籍し、『レイディアントシルバーガン』、『斑鳩』などの名作を手掛けたクリエイター・井内洋氏がディレクションを務めた新作でもある。

コンセプトの敢行に終始した作り込みの甘さが尾を引く、ズッコケシューティングゲームだ。

ゲーム内容は見下ろし視点の任意スクロール方式で展開する、ステージクリア型シューティングゲーム。『哭牙(こくが)』なる小型機動戦車を操縦し、行く手を阻む敵などを撃破しながら進み、ボスの撃破を目指すというものだ。
本編はステージセレクトシステムを採用した、任意選択方式で進行。アルファベットでA〜Lと名付けられた全12ステージを選びながら、最終目標となる『FINAL』と称された三つのステージを目指していく。この仕組みについて詳細に解説すると、セレクト画面はピラミッド型のチャート図で描かれており、中心部にA〜Lのステージが、先端部(頂点)にFINALの3ステージが位置する形となっている。このチャート図は今作の公式サイトの『GAME CONTENTS』のページ下部に掲載されているので、参照頂きたい。ゲームスタート時にはFINALの3つを除く、A〜Lまでのステージが自由に選べ、何処からでも攻略していく事が可能。しかし、それができるのはその時限り。選んだステージを攻略すると、選択範囲がそのステージに隣接した所のみに縮小。離れた場所に位置するステージは選べなくなるのだ。例に出すと、Bのステージを選んでクリアすると、A、E、F、Gの四つしか選べなくなるという具合だ。その為、どのステージを選ぶかによって攻略順序が大きく変化。ボリュームも大きく変動し、選び方次第ではたった2つのステージをクリアするだけでエンディングに到達できてしまう。勿論、12ステージ全てを巡ってFINALステージに行くのも良しで、どのように進めていくかはプレイヤー次第。そんな任意選択方式ならではの多彩な攻略法が楽しめる独特の構成で、異質な遊びを楽しませてくれる作りとなっている。また、各ステージ攻略前には難易度を選べるのだが、これも一度クリアしたステージは二回目の攻略以降、難易度が一段階上昇すると言った仕掛けも凝らされている。『ノーマル』でクリアすれば次は『ハード』に…と言った感じだ。更に進め方によっては、そのクリア済みのステージを高難易度で再び攻略する機会が訪れる。しかし、それもやるかやらないかはプレイヤー次第。その手のやり込みも選択方式ならではの自由さを徹底しており、多彩なスタイルで攻略に挑んでいけるようになっている。まさに、「好きなように遊べる」のコンセプトを敢行した設計。独特のこだわりとプレイヤーの多様な価値観を許容するものになっているのだ。
同様のこだわりはプレイヤーが操縦する自機『哭牙』にも現れている。一言でその特徴を言うと、連射ができない。戦車という設定ならではの単発攻撃しかできない、独特過ぎる自機になっているのだ。その為、敵を撃退する際は弾を確実に命中させる事が求められてくる。しかも、ちゃんと「自分で狙いを定めて」である。実は弾を発射する砲塔はLRボタンで左右に回転する仕組みになっており、これと自機の位置調節も併せ、狙いを付ける操作が戦闘時に求められてくる。自動的に狙いをつけてくれるオートエイム機能なんてのは無し。全てを自分で執り行う漢(おとこ)仕様なのだ。ただ、ゲーム自体は2Dなので、狙いを定める事自体はそんなに難しくはない。直感的に定められ、FPS(ファーストパーソンシューター)のような緻密な調整が求められる事は無いので、その点はご安心頂きたい。また、一発しか撃てない仕様から、ならば敵に至近距離で張り付いて攻撃すれば連射できるのでは、と想像するかもしれない。安心してください、連射できませんよ!そんな距離を詰めようが、撃てるのは一発だけ。戦車という設定を超える戦術は取れないのだ。そんな仕様から想像される穴も完全に塞いでおり、「一発しか撃てない」を敢行。コンセプトを守り通す事へのこだわりが色濃く現れた自機に完成されているのだ。
更に自機に関してはもう一つ、『カード』なるものが用意されている。いわゆるパワーアップ&サポートアイテムで、自機のダメージ回復、得点倍率の上昇、特殊攻撃の発動と言った恩恵を得る事ができる。カードは全部で20枚用意されており、その中からランダムで選ばれた4枚がタッチスクリーン上に手持ちカードとして表示。それらをタッチする事で、カードに準じた効果を得られるのだ。使用できるタイミングも基本的にステージ攻略中ならいつでもOK。しかし、一度使ったカードは以降、使用不能に。その穴を埋める形で、使用した後にストックから一枚、カードが補充されるが、何が選ばれるかは完全にランダム。カードゲームよろしく、運次第でその後、戦術の選択肢が変化するようにもなっているのである。カードの効果も強力で、中にはレーザー、ホーミング、二連装など、主砲以上の利便性と威力を誇る武器も用意されている。それらを使えば敵を手早く倒せるようになってステージをテンポ良く進めていけるようになったり、普通に戦うとシビアな攻防戦になる中ボス、ボスとの戦いを短期決戦に持ち込めたりもする。だが、使えるのは一回限り。後先考えず使えば、後々地獄を見る事にもなる。そんな使用タイミングを見極める判断力、先の展開を見据えた戦略をプレイヤーに問うかのような作りで、いつでもパワーアップを行えるが故のデメリットを反映させた、独特のシステムになっている。また、カードという事から、カードセット(デッキ)の編集を想像するかもしれないが、そのような機能は未実装。カードの種類が少ないのもあって、ゲーム側で完全統一された仕様になっている。折角、カードを題材にしたシステムなのに編集できないのは寂しくあるが、そのような仕様にしたのも今作がシューティングゲーム、狙って攻撃する事を最大のコンセプトとしているゲームである事の現れ。こんな所においても、ゲームシステムに対する徹底的なこだわりが炸裂している。
この他、今作はローカル通信による最大四人までの協力型マルチプレイモードも実装。しかも、ソフト一本だけで楽しめるダウンロードプレイでも最大四人で遊ぶ事もできる。肝心の内容も仲間同士の連携プレイにカードの共有による取り合い合戦など、白熱必至の作り。シューティングゲームとしても、四人の自機が同時に動く協力型マルチプレイが楽しめる点で独自性があり、侮り難いモードになっている。
見下ろし視点の任意スクロール方式のシューティングというだけでも珍しさ満点だが、それ以外にも自機の仕様からカードによる補助効果など、随所において独自のゲームデザインが炸裂。併せて、シューティングゲームとしてのこだわりも凄まじく、職人気質の頑固さも際立つ内容に仕上げられている。その独自色とこだわりの凄まじさには、同じ製作者が過去に手掛けた作品を知るプレイヤーなら唸ること必至。まさに唯一無二のゲーム性を持った作品になっているのだ。

しかしながら、肝心の出来具合は練り込み不足としか言い様がないほどに酷い。とにかく、単調。コンセプトだけ敢行し、あとの作り込みは放棄したに等しい、底の浅いゲームに収束してしまっているのだ。
特にレベルデザインの陳腐さは如何ともしがたい。どのステージも、似たような展開が繰り返されるだけ。敵や砲台などを破壊してフィールドを進み、最後に出てくるボスを倒すだけのステージばかりになってしまっている。一応、中には強制スクロールで進む特殊なタイプも用意されているのだが、数が少ないの為、起伏を付ける要素としてはイマイチ機能しておらず。全体的に面白味に欠ける構成になってしまっているのだ。しかも、どのステージもシミュレーター上での模擬戦というストーリー設定を反映してか、背景も共通のデザインで統一。グラフィックの面でも楽しむ要素が無い。こんな作りな為、ゲーム開始間もない頃は楽しく感じても、大体3ステージほどクリアする頃には同じ展開の繰り返しに単調さを覚えるようになっていく。そして、このゲームに用意されたステージで行う事は全部同じと気付いた時には、とっととFINALステージをやって終わらせたい気持ちが爆発。他のステージを巡る意欲がゴッソリと失われてしまうのである。多少、特殊なタイプを盛り込んでいるとは言え、12ものステージを用意しながら、ワンパターンな展開に終始する作りにしているのは、さすがに作り込みが甘過ぎる。しかも、これだけに留まらず、道中に出てくる敵もバリエーションに乏しく、特攻タイプか自機よりも射程が短い弾を撃ってくる砲台しか存在しない。その為、対処法も限られており、前者であれば極力後退してタイマン勝負に持ち込む、後者であれば射程範囲外から弾をチマチマ撃つ事に徹すれば難なく勝ててしまう。さすがにステージ終盤で登場するボスはそうもいかない上、ステージごとに差別化されているので、それぞれに応じた立ち回りが要求されるが、その前に練り込むべき所があるだろう。行動パターンも洗練されてなく、障害物に挟まって身動きが取れなくなってもその場からの脱出行動に出る事も無いし、射程外からの攻撃に対して自走して距離を詰めてくる事もしない。こんな賢さに欠ける敵と戦って何が楽しいのか?そう問い質す気持ちが噴出するほど、シューティングゲームとしての浅さを際立たせる作りに終始してしまっているのだ。
自機の制約もこの単調さを助長させている。敵のバリエーションの無さからも明らかだが、どうやっても各個撃破の戦術を取るパターンに陥る。長距離レーザーを放つ砲台、ボスは例外として、先に紹介した雑魚敵は目立って出てくる訳でもないので、基本的に射程外から射撃するのを心掛ければほぼ無傷で撃退可能。結果的に作業プレイに陥り、遊び込めば遊び込むほどに戦術性の浅さが顕在化してくるのだ。一発しか弾を撃てないコンセプト自体は面白く、今までにないシューティングゲームを作ろうとした志を感じることはできる。しかし、その制約を課したからこその面白さがまるで演出できていないのはどういう事なのか。敵のバリエーションにせよ、地形にせよ、工夫の余地は十分にあっただろうに何故、行わなかったのか。唯一、ボスだけが個性豊かに作り込まれているのを見ると、最初はそれに特化したゲームで、それに無理矢理道中を付け加えたのでは、と邪推してしまう。
これに加えて今作は、シューティングゲームの肝、スコア周りのシステムも欠陥だらけ。中でも酷いのが、タイムボーナスが存在しないこと。一発しか撃てない自機の制約をより魅力的にし、リプレイ性も高めるであろうシステムが実装されていないのだ。この為、どのステージもどんなに長い時間をかけようとも最終的なスコアに変化が生じないので、速くクリアするというプレイ自体が無意味なものになってしまっている。そして、そんな仕様故にクリア後、もう一度同じステージを遊びたいという意欲も湧き難く、以降、そのステージは死に体と化してしまうのである。はっきり言って、愚の骨頂だ。実装する事によって、一発しか撃てない制約がより際立ち、ゲームプレイの幅を広げる事ができただけでなく、ステージ一つ一つの寿命も延びたであろうに何故、入れなかったのか。さすがにこれは理解に苦しむとしか言い様がない。
スコアは攻撃を敵に撃ち込んだ時にしか入らないという謎の仕様も、やり込みのつまらなさに拍車をかけている。つまり、敵を破壊してもスコアにならない。固い敵に弾を撃ち込む事の方がメリットが大きいのである。なので、結果的に最大の稼ぎ所はボスで、雑魚敵は価値無し。一応、ステージ上で行く手を阻むゲートを破壊した際、他の雑魚敵が全滅している事で入るボーナス点みたいなのはあるが、後のボーナスは一切無い為、どうしても稼ぎ所はボスに集中してしまう。それでいて、稼ぐに当たってはスコア倍率上昇のカードが必須となる上、肝心のカードはランダムで選ばれる仕様なので、意図的に高得点を稼ぐ事もできない窮屈さ。もう、話にならない酷さだ。
そのカードも20枚という少なさは言うまでもなく、デッキが編集できない設計も相まって、味気ない要素に終始してしまっている。カードの総数が5倍近くあり、ステージをクリアする度に新たなカードが手に入り、プレイヤー好みのデッキが作れるとあれば、今作は相当奥深く、やり込み甲斐のあるゲームになっただけでなく、カードゲームとシューティングゲームを組み合わせた稀有な作品になる可能性もあったであろうに、そういう要素も入れずに単なるサポート機能として終わらせてしまっているのは宝の持ち腐れとしか言い様がない。選べるカードのパターン次第で得点が左右するなど、スコア稼ぎに泥を塗る側面もあるなど、明らかに検証を怠ったと思しき欠陥が見受けられるのも呆れるばかりである。
他にステージセレクトシステムも、進めば進むほどに選択範囲が狭まる制約の為に窮屈さが否めないなど、叩けば叩くほどに埃が出てくる。本当、ここまでに練り込み不足だと断言できる作りも珍しい。コンセプトは面白く、その事からも唯一無二のシューティングゲームを作ろうとする意気込みが伝わってくるのだが、その敢行だけで済ませたとしか思えないほど、個々の要素の検証が不十分。挙句にシューティングゲームとしても楽しさ、やり込み甲斐共に無いという、悲惨な出来になってしまっている。一応、今作にしかない手応えはある。だが、そこに楽しさと深さは無い。先程、同じ製作者の過去の作品を知るプレイヤーなら唸ること必至と言ったが、あくまでもそれは基本的なゲームデザインに限っての事。実際に遊ぶと、どういうなるのか。それは上記の事から大体、察せるだろう。とにかく、酷い。冗談抜きに、手を抜いて作ったのではないのかと言われても仕方がない位に完成度が低さが際立っているのだ。

ボリュームに関しても数だけしか見所は無い。充実感は皆無で、エンディングを見たらそれで十分と思ってしまうほど、深入りする気が失せる密度だ。やり込み要素も皆無。あると言ったら、先の面白味の無いスコアアタック、各難易度の制覇程度。隠し機体や隠しステージなどの特典は何一つ用意されていないので、興味が無い人なら本当にエンディングを見た時点でやる事が無くなってしまう。その徹底した割り切り方はファミコン時代のゲームを髣髴とさせるが、さすがに時代錯誤過ぎる。それにやり様によっては、深みを出せた要素もあるだけに、何故、それ以上追及しなかったのかと疑問が湧く。そう言った所も今作、コンセプトの敢行だけで終わらせた印象を一層強くしてしまっている。
ゲームバランスも先の各個撃破を心掛けていけば『ハード』以降の難易度も楽に進める反面、ボスだけはカードの使用も含めた戦術と立ち回りが必須となってくるなど、まとめ方が非常に雑。特にFINAL1〜3のステージ、中でもラスボスは自機の性能では大よそ対処できない苛烈な攻撃で攻めてくるようになっていて、バランス調整を放棄したとも思うほど理不尽な強さになってしまっている。しかも、その強さはどの難易度でも共通。何の為の難易度選択機能なのだろうか?
操作性もボタン配置、レスポンスは良好な一方、カードの選択がタッチ操作以外受け付けないなど、3DSのデバイスを無理矢理使わせようとする苦しい箇所も。操作自体は理に適っているのだが、右手側を一時的に離す事になる都合上から、十字キーを対応させると言ったオプションも可能なら入れて欲しかったところだ。
グラフィックも背景バリエーションが少ない欠点もあって、魅力に欠ける。ただ、エフェクトはよく出来ており、ボスの爆発やカードによる特殊兵装等は仰々しさ満点。単調なゲーム展開に華を添える要素として一役買っている。

音楽も素晴らしい出来。一曲一曲の完成度がずば抜けて高く、プレイヤーのボルテージを大いに高める。ステージの後半になると別の曲に切り替わるなど、演出面でも凝っていて、ここだけは絶対に外さないという強いこだわりを感じさせられる。なお、今作の楽曲担当は『バトルガレッガ』や『デススマイルズ』等で知られる並木学氏。そりゃ、完成度高いはずだわ、と氏を知るファンならば納得すること請け合いだ。
その他、ストーリーもそこまで露骨に描かれる訳では無いが、戦時中の日本を髣髴とさせる世界観と雰囲気が印象的。漢字と片仮名でテキストが描かれている所にしても、独特のテイストが滲み出ていて面白い。また、立体視周りに関しても概ね良好で、ON/OFF時共に秒間60フレームによる、滑らかなスクロールを実現しているのは見事の一言に尽きる。
そう魅力的な要素が揃っているのに、肝心の出来は御覧の通り。正直、もっと色んな要素を足して作り込めば、シューティングゲームとしては稀有な一作になる可能性があったというのに、一切作り込まずにコンセプトの敢行だけで済ましてしまっているのは残念の一言では済まされない。アイディアは面白いのに、何もかもが至らない出来の今作。
決して遊べない内容ではないが、シューティングゲーム好きどころか、3DS所持者にも下手にお薦めできない作品だ。駄作というよりは惜しいゲーム、或いは未完成品との評価が似合う出来。それでも遊んでみたいのなら、安売りで買う事を強く推奨致します。定価だと必要以上に内容面への不満を抱える事になる。注意されたし。
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