≫ゴーストリコン シャドーウォー
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■発売元 |
ユービーアイソフト |
■ジャンル |
シミュレーション |
■CERO |
B(12歳以上対象) ※殺傷描写あり |
■定価 |
6090円(税込) |
■公式サイト |
≫こちら |
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▼Information
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■プレイ人数 |
1〜2人(※2人プレイは本体交換方式) |
■セーブデータ数 |
4つ |
■3D表示 |
あり |
■総説明書ページ数 |
22ページ |
■推定クリア時間 |
25〜30時間(エンディング目的)、70〜80時間(完全攻略目的) |
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ロシアの超国家主義者ユーリ・トスカレフは、権力を掌握する為、『デッドハンド』と呼ばれる旧ソ連時代の秘密基地を利用し、AI兵器『ドローン』による戦闘部隊の準備を進めていた。基地の詳細は不明なものの、カザフスタン、ウクライナ、シベリアの広範囲に複数点在しているという。
この事態を受け、アメリカ政府は特殊作戦部隊『ゴースト』チームを召集。
トスカレフの野望を阻止すべく、彼らをカザフスタンへと緊急展開する。
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▼Points Check
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--- Good Point ---
◆ユニット総数の少なさによる単純設計を全面に出しながらも、一手一手戦略を練る楽しさとその奥の深さをしっかりと抑えた優秀なゲームデザイン
◆少ない故の分かり易さと性能面の露骨な個性付けが異彩を放つ、全6人の味方ユニット達
◆6人の内、一人でも死亡すれば問答無用で敗北という、分かり易く、悪戯な突貫をプレイヤーに自制する要素として見事に機能しているゲームオーバー条件
◆戦略を練る面白さ、奥深さを演出する丁寧な作り込みが光る、珠玉のマップデザイン
◆戦闘の後方支援、ゲリラ的な襲撃、指定建造物の破壊など、特殊部隊の設定が活かされたミッションの数々
◆一気に奪うか、じっくり攻めるかの駆け引きの面白さに秀でた戦略要素『コマンドフラッグ』
◆不利な戦況を一変させる強さ、使う場面を図る面白さが異彩を放つ一発逆転要素(必殺技?)の『コマンドパワー』
◆遠距離武器主体で展開される、一風変わった構図と単純明快な作りが面白い戦闘システム
◆単純ながらも奥深い一面を持った、割り振り形式によるユニット成長システム
◆毎ターンセーブ可能、難易度選択機能実装など、戦略シミュレーション初心者には嬉しい親切機能の数々
◆優し過ぎず難し過ぎず、そして一方的になり過ぎずの絶妙な調整が図られたゲームバランス
◆メインマップ40以上、『スカーフィッシュミッション』を始めとするやり込み要素も万全と、充実し過ぎの総計ボリューム
◆入力手順簡略化、ショートカットの実装など、快適さへのこだわりが炸裂した操作性
◆派手過ぎず、地味過ぎずの見栄えの良さが秀逸なメニューインターフェース
◆静かながら、意外と印象に残る楽曲が盛り沢山の音楽
--- Bad Point ---
◆1マップで複数のミッションが用意された構成故の初見殺しな場面の多さ(破壊、防衛系ミッションが指定位置から離れ過ぎた状態で始まった時の絶望感は半端無い)
◆仕組みは面白いが、とにかく地味な戦闘システム(マップ上で行われる故に素っ気無い)
◆強力過ぎるナイフ攻撃(ほとんどの敵を一撃で倒してしまう。だが、一方的に攻めるに当たっては他のユニットの支援と慎重な立ち回りが求められる)
◆3DS本体を持ち替えながら遊ぶという、煩わしい設計のマルチプレイ
◆空気なストーリー(ただ、世界観と雰囲気作りは及第点の出来)
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▼Review
≪Last Update : 2/24/2013≫
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振り向けば、彼女が居る。
次の瞬間、プスッと殺られてる。
UBIソフトの看板タイトルの一つで、ジャック・ライアンシリーズ(『レッド・オクトーバーを追え!』、『愛国者のゲーム』、『いま、そこにある危機』ほか)で知られるアメリカの作家、トム・クランシー氏が監修を手掛けるミリタリーアクション『ゴーストリコン』シリーズの外伝作品。
コンパクトなシステムと丁寧な作りが光る、意外性溢れる傑作だ。
ゲーム内容はターン交代制で展開する、戦略シミュレーションゲーム。特殊部隊『ゴースト』の隊員達をカーソルで移動させ、マップ上を徘徊する敵兵達を撃退しながら、ミッションの遂行を目指すというものである。ゴーストリコンシリーズと言うと、ミリタリーアクションとしての知名度及びイメージが強い作品だが、今作は外伝という事でジャンルは全くの別物。3Dグラフィックではあるが、基本は2D見下ろし視点のオーソドックスな戦略シミュレーションとなっている。収録ゲームモードは『キャンペーン』、『スカーフィッシュミッション』、『マルチプレイ』の三種類。メインは『キャンペーン』で、ストーリーに沿ってマップを攻略していく、この手の戦略シミュレーションではお馴染みの内容となっている。
本編にて登場するマップのクリア条件は、ミッション全てを遂行する事。キャンペーン方式の戦略シミュレーションと言うと敵の全滅、敵軍本拠地の制圧などがクリア条件としてはお馴染みだが、今作の場合はそれらの条件が一つのマップで一同に発生。一つの条件を達成する事で、次のミッションへと移行する連続構成になっている。その為、一つ一つのマップの密度は濃い目。中には一つの条件を達成すればクリアになるマップもあるが、全体では二つ以上の条件が課せられるマップの方が多いので、そういうのは稀。仕組み自体は王道だが、如何にも極秘任務の遂行を目指す特殊部隊としての設定が色濃く反映された構成になっている。
また、システム周りも少し独特。既に解説した通り、今作は戦略シミュレーション、他の作品で言うなら任天堂の『ファミコンウォーズ』シリーズなどと同じジャンルを謳っているのだが、そちらではお約束の要素でもある、ユニットの生産は今作には無い。基本的に『ゴースト』の隊員以外は増やせないのである。更に『ゴースト』の面々は、マップをクリアした後に表示される『リザルト』の画面にて、マップ攻略の際に獲得した『スター』を与える事により、レベルが一つ上昇。各種能力値が上昇する他、新たな武器や能力(スキル)を獲得するという、成長要素が今作には実装されている。その為、ゲームデザイン的には戦略シミュレーションというより、シミュレーションRPGに近い。成長要素自体は簡素で、経験値の概念も無いのだが、限られたユニットを動かしていく基本設計やスキルの存在もあってか、微かにRPG的な手応えあり。戦略シミュレーションとしては、(いい意味で)違和感のある作りになっている。
また、更なる特徴として、『ゴースト』の隊員達の異様な少なさがある。何と、たったの6人。ユニットの職種にしても、敵専用を含めて8つ程度しかないなど、この手のゲームにしては異例の少なさとなっている。しかしその分、隊員それぞれの個性と特徴が明確に現れているだけでなく、6人それぞれが個別ユニットであるだけに、各役割の分担と特性把握が非常にやり易い。大量のユニットを管理するのがお約束とも言える戦略シミュレーションとしては、これまた異例過ぎる敷居の低さ。全くの初心者にも優しい配慮が図られている。更にメンバーは7人以上にもならない。最初から最後まで、6人のままなのだ。一応、マップによっては警官隊、武装勢力などの仲間が参戦したりもするのだが、あくまでもゲスト扱い。以降のマップでは参加せず、その場限りでしか動かせない。仲間や新ユニットが増えない点から、戦略の広がりが期待できなさそうな部分もあるが、そこも今作は成長要素とゲストユニットの個性、マップデザインなどでしっかりとカバー。その少なさから想像がつかないほどの奥深いプレイが堪能できる仕上がりになっている。
更に敗北条件もユニーク。『ゴースト』の隊員が一人でも死亡すると、問答無用でゲームオーバーとなってしまう。その為、下手に特攻すれば、取り返しの付かない事態を招く事もしばしば。単純であるが故の分かり易さ、恐ろしさを兼ね備えた設定となっている。ただ、そのルールの割りに難易度自体はそこまで辛口ではなく、毎ターンごとにセーブができるほか、いつでも撤退(やり直し)が可能であるなど、意外と良心的。加えて、難易度選択機能も実装しているという徹底振りだ。そんな親切設計になっているのも今作の大きな特徴。シビアなルールの割に人を選ばない作りになっている。
また、戦闘システムもマップ上で展開する仕組みながら、武器が銃火器という事で、遠距離攻撃中心になるのも少し珍しい作り。更に敵を倒す度に獲得する『パワーポイント』を100まで溜めると、強力な『スーパーショット』を繰り出す事ができるなど、思いっきりシミュレーションRPGな必殺技システムが実装されているのもユニークだ。
この他、ゲーム中盤以降では『コマンドフラッグ』なる占領施設も登場し、そこから得られるポイントを溜める事で、戦局を一変させる『コマンドパワー』なる大技の発動が可能になると言った駆け引き要素もあったりなど、至れり尽くせり。ユニットの少なさを始め、作りは驚くほど簡素。しかし、銃火器中心で展開する戦闘システムと多彩なミッションが演出する戦略性の奥深さは、他の戦略シミュレーションやシミュレーションRPGと引けを取らないクオリティとなっている。まさにシンプルながらも侮り難し内容。それでいて、ありそうでなかったアイディアが炸裂した個性的なゲームに仕上げられている。
そんな今作の売りは、戦略シミュレーションとしての面白さをしっかり抑えた優秀なゲームデザインだ。ユニット総数がたったの6人で、それ以上は増えない。そんな明らかにゲーム性が広がっていきそうにない仕組みでありながら、一手一手戦略を練る楽しさなど、この手のジャンルの醍醐味を完璧に抑えた、丁寧な作り込みが成されている。
特に『ゴースト』の隊員達の少なさが演出する全体管理のし易さ、それぞれの個性と活躍の場を明確に表現した絶妙なユニットバランスは見事。誰一人、成長させても単騎プレイが可能なほど強いユニットにはならず、ちゃんと他の仲間と連携して戦わないとその強みが活かされてこないなど、戦略シミュレーション特有のゲーム性を絶対に損なわせまいとする、非常に丁寧且つ緻密な調整が図られている。約一名、ある武器を装備する事で単騎プレイが可能になるユニットも居たりするのだが、しっかりとした弱点があるので、それを敵に見せないよう、他の隊員達でサポートしなければならないなど、悪戯な設定になってないのが見事。最強のユニットとは、仲間の支えがあって初めて誕生するものとも言うべきその調整には、製作者の戦略シミュレーションに対する深い理解と愛情が如実に現れている。一人でも死んだらゲームオーバーというルールも、連係プレイをプレイヤーに意識させる要素として申し分ない。戦略シミュレーションは、色んなユニットを状況に応じて使い分けていく事に醍醐味があるという本質的な面白さを訴えるものとして、これほどシンプルで分かり易いものも無いだろう。実際にこのルールのおかげもあり、本編では常に集団で行動する事を無意識に行ってしまう。捨石作戦(※一人のユニットを犠牲に敵をおびき出す作戦)が取れないというのもあるが、やればやるほどに単騎で何も考えずに突っ込む事の愚かさを思い知っていく辺り、戦略シミュレーションの本質的な面白さを体感する試みとしては非常に効果の大きいものになっている。こういう所からも、戦略シミュレーションとしての面白さを余す事無く出すという、徹底したこだわりを痛感させられるばかりだ。
システム周りだけでなく、マップデザインとミッションの種類、駆け引きと言った基本的な部分の作り込みの深さも特筆すべきものがある。特に駆け引きに関しては、中盤から登場する『コマンドフラッグ』の取り合いの熱さが秀逸。コマンドフラッグは敵も占領するのだが、あまりに数を取られると増援が次から次へと現れ、戦闘が長期化するというデメリットが生じるようになっている。この事態を回避する為、適切にユニットを回し、一つずつ潰していくか、或いは奪い返される可能性を考えて隊員の一人を近くに残すかなど、あれこれ試行錯誤して実践していくのが面白い。シンプルながらも頭を使って戦っているという、確かな手応えと充実感がある。フラッグを取れば取るほど強力な『コマンドパワー』が使えるようになるまでの過程が短くなるなど、リスクとリターンの概念がしっかり活かされている辺りも見事だ。終盤ではこの『コマンドパワー』を上手く使わないと突破できない局面も登場するなど、只の逆転要素で終わらせない工夫が凝らされているのにも好感が持てる。そんな捨て要素を作らないという、当たり前ながらも意外と難しい事を平然とやってのけてしまっている辺りにもまた、製作者の戦略シミュレーションに対する愛情と理解を痛感させられるばかりだ。
他に成長システムにしても、スターの割り振り方によってユニットの使い勝手、その後の難易度が変化するなど、仕組みの単純さとは裏腹の奥深さに満ちているのが実に印象深い。戦闘にしても、銃火器ならではの遠距離主体の展開の独特さもさることながら、『アシスト銃撃』による連携プレイなど、独特の味わいに満ち溢れたものに仕上げられている。マップ上で展開される仕組み故、演出面が凄まじく地味というのが難点ではあるが、それも優秀なゲームデザインと丁寧に作り込まれた各要素がしっかりとカバー。その辺の隙の無さにも(いい意味で)溜息が出る。
戦略シミュレーションと言うと、膨大な量のユニットを駆使してマップを攻略するものという印象が強い為、その数に乏しい今作が浅いゲームと見えてしまうのは否めない。だが、数が少なくてもしっかりとした戦略シミュレーションは作れる事を今作は示していると同時に、要素の多さだけが戦略シミュレーションの醍醐味では無い事も訴えかけている。そういう意味でも今作は、近年の戦略シミュレーションに対するアンチテーゼが込められた作品と言っても過言ではないだろう。そんな内容に完成されているのだ。これでも「まさか?」と思うかもしれないが、実際にプレイすれば、その凄味と言うものを存分に実感できるだろう。また、こう言ったゲームが海外から出てきたというのも、ある意味で特筆すべきところだ。
操作性、インターフェース周りも良好な仕上がり。カーソル操作がスライドパッドに対応していないのが少しもどかしくもあるが、レスポンスは非常に良く、また個々のコマンドの入力手順が簡略化されているなど、快適さに神経を尖らせた作りになっている。何処と無く、その仕上がりには任天堂の『ファミコンウォーズ』シリーズの影響を強く感じさせられるものがあり、簡略化されたコマンドの入力手順とかは、海外限定の『Advance Wars Days of Ruin』を真似たんじゃ?と疑われても全く不思議ではないほどソックリだ。実際にUBIソフトは他作品でも任天堂のゲームを強く意識した姿勢を露わにしているだけに、本当にそれを意識して作ったのかもしれない。
また、ボリュームに関してはかなりのもの。キャンペーンだけでもマップ総数は40以上もあり、一周するだけでも相当な充実感を得られる。更に各難易度の制覇やチャレンジ用マップの攻略などのやり込みも盛り沢山。全てを遊び尽くすだけでも、相当な長い時間を要されるだろう。
グラフィックは地味。これと言って特筆すべきものは無いが、悪戯に派手さを追求せず、ゲームとしての見易さ、快適さを優先した作りになっている辺りは好感が持てる。そして、音楽は何気に名曲揃いだったりする。特にキャンペーン後半以降のマップでは印象的な曲が用意されていたりするので、ゲーム音楽好きなら要チェックだ。
ストーリーに関してはあってないような感じ。これと言って印象的な場面も無ければ、深みもあまり無い。しかし、ニュース番組による世界情勢の報道、悪役の密会など、近代戦争をテーマとした作品なりの演出と雰囲気作りは万全。地味ではあるが、丁寧に作り込まれている。ロードに関してもマップ開始前に多少あるが、2〜3秒程度なので全く気にならないレベル。テンポにしてもさすがに『ファミコンウォーズ』ほどのサクサク感は無いが、イライラするほど鈍いという訳でもなく、適度な速さで進行するので、ストレスを感じる事は皆無だ。
『マルチプレイ』が3DS本体を交代で持ち替えてプレイする作りであるなど、違和感を覚える部分も幾つかあるが、全体的な完成度はかなりのもの。シンプルながら優秀なゲームデザイン、ジャンルの本質を抑えた丁寧な作り込みが光るゲームに仕上げられている。シリーズの外伝作とは言え、独自の魅力とインパクトを兼ね備えた今作。戦略シミュレーション、シミュレーションRPG好きならば要プレイの意外な傑作である。ちなみに他のゴーストリコンシリーズの知識は特に必要されない。なので、シリーズモノとして敬遠している方も是非、お試しあれ。お薦めの逸品です。
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