Written in Japanese. Japanese fonts required to view this site / Game Review & Data Base Site
  1. ホーム>
  2. Review Box>
  3. Nintendo 3DS>
  4. タッチ!ダブルペンスポーツ
≫タッチ!ダブルペンスポーツ
■発売元 バンダイナムコゲームス
(現:バンダイナムコエンターテインメント)
■開発元 インディーズゼロ
■ジャンル 両手でスポーツ
■CERO A(全年齢対象)
■定価 4571円(税別)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 3つ
■3D表示 あり
■その他 ローカルプレイ対応、専用タッチペン二本同梱
■総説明書ページ数 35ページ
■推定クリア時間 8〜15時間(エンディング目的)、40〜65時間(完全攻略目的)
両手を使って、タッチでスポーツ。
二本のタッチペンを使って遊ぶ、新感覚スポーツゲーム参上。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆二本のタッチペンを用いてスポーツゲームを遊ぶ、ありそうで無かった独特過ぎる操作スタイル
◆操作スタイルの特徴を反映しつつ、最も面白い瞬間だけを楽しめることに絞り込み、直感的なプレイ感をも表現した全7種類のスポーツゲームごとのゲームデザイン
◆僅か1分程度と、空いた時間にサクッと遊べる各種スポーツゲームの1プレイ当たりのボリューム
◆携帯機で遊ぶ『Wii Sports』というイメージが色濃く現れたプレイ感が印象的な「ボクシング」
◆全7種類のスポーツの中で特に操作に癖があり、本物さながらの極める楽しさに秀でた「スキー」
◆二本のタッチペンを用いる独特の操作感の醍醐味を特に感じられる「アーチェリー」
◆全7種類のスポーツの中で持久戦のスリルを存分に味わえる「パラグライダー」
◆日ごとに変化する課題に挑戦する、『ゲームセンターCX 有野の挑戦状2』を髣髴とさせる一発勝負のスリルと極める楽しさに優れたミニゲーム「トゥデイズ・チャレンジ」
◆緩やかな上昇曲線が描かれた各種スポーツゲームの難易度設定
◆平均的ながらも、背景周りの作り込みの深さが光るグラフィック
◆程々の飛び出し具合と、一部のスポーツにて効力を発揮する立体視(特に「アーチェリー」、「ベースボール」の二つは最もその効力を発揮するので、双方共に常時ONでのプレイを推奨)
◆操作の気持ちよさと攻めの一手を決めた快感を際立たせる質感溢れる効果音と程々に派手な演出
◆「くろのあ」、「かい」、「わるきゅーれ」と言った既視感のある名前の対戦選手、逆転チャンス時に登場するパックマン達など、往年のナムコファンをニヤリとさせる小ネタの数々
◆程好い太さと絶妙な形状の滑り止めのおかげで、優れた使い勝手を誇る同梱のタッチペン二本

--- Bad Point ---
◆終始、コンピュータキャラとの対戦に終始する構成の単調なシングルプレイ
◆延々と対戦が続いていく故に起伏がなく、長時間プレイに耐えきれない難点を持つシングルプレイのレベルデザイン(一応、逆転チャンスなどのイベントもあるが…)
◆シングルプレイ周りの問題もあって、全体的に盛り過ぎの印象が否めないボリューム(特に対戦相手が64人も居るというのは、この構成だと返って用意し過ぎとしか)
◆一部、タッチペン一本でプレイした方が快適なスポーツゲームの存在(特にベースボール…)
◆ダウンロードプレイに非対応であるなど、地味な制限があって遊び難い対戦プレイ
▼Review ≪Last Update : 10/8/2017≫
「負けない!けど、勝てないかも…」

こんなネガティブ思考な彼の名は「わぎゃん」という。


ニンテンドー3DS初期に発売された、完全新作のスポーツゲーム。開発は『すってはっくん』、『ゲームセンターCX 有野の挑戦状(1、2)』を手掛けたことで知られる開発会社、インディーズゼロが担当。

ありそうで無かった二つのタッチペンを使った操作、ファミリーシリーズの血脈を感じさせる作りで魅せる佳作だ。

非常に奇抜なジャンル名を謳っているが、基本的な内容はスポーツゲーム。「ランクマッチ」、「スコアトライ」のモードが用意された全七種類のスポーツに挑戦していくというものだ。スポーツそれぞれに用意された二つのモードに関して解説すると、前者は前者はライバルとの1対1のバトルに挑む、平たく言えばコンピュータが操作するキャラクターとの対戦を繰り返していくモード。この対戦に勝利すると「アスリ」と呼ばれるポイントを獲得し、その数に応じて対戦相手が強くなっていく。また、「アスリ」が溜まるにつれ、プレイヤーキャラクターの模様替え用のパーツも増えていき、より自由なカスタマイズが行えるようにもなっていく特典もある。基本的に対戦を繰り返して「アスリ」を溜め、全てのキャラクター達との対戦に勝利するのが最終目標。地味ではあるが、如何にもスポーツゲームらしい遊びを凝らしたモードとなっている。対し、後者は高記録を目指してプレイするモード。全部で五段階の難易度が用意されていて、一定の記録を出して「メダル」を獲得する事により、次の難易度が選べるようになっていく。いわゆるやり込み要素で、基本的には己の限界に挑戦していく事に焦点を当てた作りになっている。「ランクマッチ」のように相手と戦う要素も無いので、純粋に各種のスポーツゲームを集中して遊びたいプレイヤー向け。スコアアタック特有の魅力を追求したモードだ。
以上のモードを軸に本作はプレイしていく形となる。この他にも「トゥデイズ・チャレンジ」、「タッチエクササイズ」というミニゲーム的なモードも収録されていて、多彩な遊びが楽しめる。特に「トゥデイズ・チャレンジ」は日ごとに変化する課題に挑み、最高スコアを目指すという開発元のインディーズゼロが手掛けた『ゲームセンターCX 有野の挑戦状2』の「」そのまんまな作り。同作をプレイした事のある人ならば、ニヤリとすること請け合いの内容になっているので要チェックだ。
そして、これらのモードごとに遊ぶスポーツゲームが全部で七種類。しかも、どのスポーツゲームにも共通する特徴として、全てをタッチペン操作だけでプレイする。しかも、二本のタッチペンを用いて。3DSどころか、先代のニンテンドーDSにも無かった、大胆な操作体系を採用しているのである。そのスタイルを考慮し、本作にはソフトと一緒に二本のタッチペンを同梱。プレイヤー側に金銭的な負担を与えない為の配慮も凝らされている。更に同梱されたタッチペンは本作独自のもの。3DS本体同梱のタッチペンよりも太く、持ち手の部分にグリップを設けるなど、使い易さを意識した作りになっている。単純に一本だけでも非常に使い勝手の良いタッチペンになっているので、これ目的で本作を買っても損は無いほど。そんなゲームの外にも唯一無二な特徴を持つ作品になっている。
その二つのタッチペンでプレイするスポーツゲーム各種の概略は下記の通りだ。

◆ベースボール
いわゆるホームラン競争。相手よりも多くのホームランを叩き出す事を主軸に戦う。
操作は左手のタッチペンで重心移動、右手のタッチペンでスイング。基本的に左手で上から下にスライドして重心を移動させた後、右手のタッチペンで下から上に振るの二つの動作でボールに対処していく。
「スコアトライ」ではボールの落ちた場所に応じ、ポイントを獲得していく飛距離勝負のルールになっている。また、どちらも共通する事柄として空振りをするとミス。「スコアトライ」のみ、得点の描かれていない場所にボールを落としてもミスになる。合計三回重ねてしまうと敗北となる。如何に正確にボールを打ち返せていけるかが勝利とハイスコアのカギ。

◆バスケットボール
相手とのゴール数を競う内容。開始早々、こちら側に来るボールをタイミング良くキャッチした後にジャンプし、できるだけ高い所まできたタイミングでボールをシュートしていく。
操作は左手のタッチペンでボールのキャッチ、右手のタッチペンでジャンプ及びシュートを行う。
「スコアトライ」では、プレイヤーとゴールの間に表示される「パネル」にボールを当てながらゴールを決めていく。例によって、ゴールを外すとミス。パネルに当て、その後にゴールを決められなかった場合もミスになる。

◆ボクシング
対戦相手との一対一の格闘勝負に挑む。操作も見たまんまで左手のタッチペンで左腕を操作、右手のタッチペンで右腕を操作する。基本的にパンチなどスライド操作で実施。また、画面真ん中をタッチしている間はガード。上をタッチすると上ガード、下をタッチすると下ガードを行う。更に相手の攻撃が当たるタイミングでガードエリアをタッチするとスローモーションとなり、カウンター攻撃が決められる。ハートゲージがゼロになるとダウン。三回ダウンしてしまうと敗北になる。
「スコアトライ」ではサンドバックを相手に光った部分を攻撃していくという。別ゲームで例えるなら、「ランクマッチ」は『Wii Sports』、「スコアトライ」は『Wii Fit』と言った感じだ。

◆スキー
フラッグを潜りながら、ゴール地点まで滑り下りていくレース要素の強い内容。フラッグを通り損ねるとミスとなる上、タイムロスも発生する。基本的に「ランクマッチ」では、対戦相手より早いタイムを叩き出す事に挑むタイムアタック勝負、「スコアトライ」はコース上に配置された「スノーマン(雪だるま)」を破壊し、得点を稼いでいくスコアアタックとなっている。
操作も右下、或いは左下をタッチして放物線上にスライドするとカーブし、その長さによって角度が変わる。また、上方向をタッチして下にスライド操作を行う事で加速する事もできる。

◆サッカー
フリーキック対決。対戦相手よりも多くのゴールを決める事を目的に戦っていく。操作は少し独特で、まず左手のタッチペンで下方向にスライドして助走。その後、ボールの所までプレイヤーキャラクターが来たら、右手のタッチペンで下にスライドして足をあげる。そうするとボール周辺にサークルが表示され、これが大きくなったタイミングで上方向にスライド操作するとシュートとなる。また、このタイミングで上では無く放物線を描くようにスライドするとカーブシュートになる。
基本的に他の選手やゴールキーパーに阻まれるとミスとなる。
反面、「スコアトライ」はゴール上に配置された得点パネルにボールを当て、得点を稼いでいく「ストラックアウト」となる。かつてTBS系列で放送されていたバラエティ番組『筋肉番付』を知るプレイヤーなら、ニヤリとしてしまう内容だ。

◆アーチェリー
決められた矢の本数で対戦相手を上回る得点を叩き出す事を目指す。「スコアトライ」では的をひたすら撃っていく、「流鏑馬」的な内容になる。基本的に左手でスライド操作を行って矢をセットし、照準の初期位置を設定。その後、右手側で下にスライド操作をして弓を引き、放すと矢を発射する。また、この弓を引いた時に照準の調整も可能。更に矢を放つサイ、真っ直ぐスライドできると照準が赤色になり、風の抵抗を受けにくい状態に飛んでいくようになる。

◆パラグライダー
対戦相手よりも高得点を叩き出しつつ、制限時間内にゴールを目指すという内容。基本的に左右の上方向から下方向にスライドすると旋回。タッチスクリーンの中央上をタッチしている間は加速し、下側をタッチすると減速する。また、道中には「上昇気流」と「下降気流」が配置されており、これに触れる事でグライダーの方向が大きく変化する。
基本的に空を飛びながらアイテムを獲得し、ゴールを目指していく。落下、時間切れ、スコア不足だと敗北になる。なお、制限時間は「チェックポイント」を通過する事で少しだけ増える仕組みになっている。またこのゲームのみ、「スコアトライ」の内容が「ランクマッチ」とほぼ同じである。但し、ゴールが無いので、事実上の持久戦。

少し駆け足ではあるが、以上が七つのスポーツゲームの概略である。
いずれも二つのタッチペンを使う事を念頭に置いたゲームデザインが成されており、直感的でありつつ独特のプレイスタイルを演出したものに仕上げられている。また、解説でも少し触れたが任天堂の『Wii Sports』を髣髴とさせる所もあり、Wiiリモコンで操作していたスポーツゲームをタッチペンで操作するとどうなるのか、と言った「もしも」を描いているのも特色の一つとなっている。特に「ボクシング」、「アーチェリー」の二つはそのカラーが強く現れており、同作を経験した事のあるプレイヤーならば、移植版であるかのような錯覚を覚えるかもしれない。
この他、「ベースボール」、「バスケットボール」、「サッカー」、「アーチェリー」はローカル通信対戦にも対応。プレイ人数は二人までだが、独特の操作による真剣勝負を堪能する事ができる。加えて、プレイヤーキャラクターのカスタマイズ機能もあり、先も触れたが「アスリ」を溜めていく事で好みのデザインのキャラクターを作り出せたりとおまけも充実。
一部のスポーツとの共通点から、携帯機版『Wii Sports』のイメージがあるが、その実態は何故、ニンテンドーDS時代にこのようなゲームが出なかったのかと不思議に感じる、独自の操作が異彩を放つ内容。それでいて、往年の時代のゲームを髣髴とさせるシンプルでストイックなゲーム性を特徴とする、懐かしくも新しい手応えを持った内容になっている。

そんな今作の売りは言うまでもなく、独特な操作スタイル。素人目で見て、このネタってDSでも出来るよね…と、3DSでやる意義が感じられないネタなのだが、意外にもDS時代にこのような操作スタイルを起用したゲームは無い。プレイヤー側へソフト以外の負担を与えるのを懸念してなのか、或いは操作が活かせるアイディアが無かったのか、真相は関係者のみぞ知るだが、あまりそのようなゲームは出てこなかった。基本的にタッチ操作と言っても、一本のペンで済むタイプのゲームが大半を占めていたのである。そんな誰もが挑戦しなかったネタをスポーツゲームとして実現してみせた。それだけでも本作が稀少価値の高い作品であるのは言うまでもない。正直、システム周りの特徴以上にこの操作だけで、このゲームは新鮮な体験が楽しめる一本だと豪語できるほどのインパクトがある。他が霞む独自性に溢れているのだ。
そして、この操作を活用する形で作られたスポーツゲーム各種の完成度も高い。二つのタッチペンを使うのもあり、多少煩わしさを感じさせる部分もあるのだが、慣れてくると現実と変わらぬ感覚でスポーツを遊んでいるかのような手応えが増していくと同時に、一本のタッチペンでは到底味わえない動かす楽しさを味わう事ができる。
特にその魅力を最も堪能できるのが「ボクシング」と「スキー」、「アーチェリー」の三つ。
「ボクシング」に関しては、二本のタッチペンで両方の腕を操作する直感的なスタイルと”なりきり感”が際立っており、七種類のスポーツゲームの中では最も操作性の魅力が感じ易く、気軽に楽しめるゲームに仕上げられている。先も触れたが『Wii Sports』っぽさも群を抜いているほか、Wiiリモコン+ヌンチャク操作のように長時間プレイしていると筋肉痛に見舞われる心配が無いというのも大きな強み。長くじっくり、あの直感的な操作で「ボクシング」を遊びたいと感じた『Wii Sports』経験者にとっては、夢のような内容と言っても良いかもしれない。
同じように「アーチェリー」もその魅力が顕著に現れた仕上がり。ただ、こちらの方はタッチペンで操作するが故の弓を引く感覚の強さが大きな特徴。思わず手に指先に力が入り、必要以上にタッチスクリーンを押し込んでしまう熱さは、本作でしか味わえない手応えがあるので、こちらも「ボクシング」と並行して『Wii Sports』経験者なら要チェックだ。
そして、「スキー」に関しては溢れんばかりのナムコ臭さが見事。このゲームに関しては先の二つよりも操作に癖があり、練習と慣れが要求されてくるのだが、そのコツが要る作りが本物のスキーっぽさを際立たせているほか、かつてナムコがスーパーファミコン向けに発売しながら、ニンテンドーパワー向けの書き換え専用タイトルという特殊な販売形態から、知る人ぞ知る作品となった『スーパーファミリーゲレンデ』のルーツが込められているのが面白い。同作を意識したのか否かは開発者のみぞ知るところだが、実際のスキーを意識した操作感を今度はタッチペンを使って表現し、ゲームならではのスキーというものを再び描いてみせたのは非常に興味深い。「スコアトライ」における、スノーマンを破壊しながらスコアを稼いでいくゲームルールにもその名残があるのみならず、ゲームならではの遊びを盛り込んだスポーツゲームを作り続けてきたナムコの精神が込められているのが面白い。さすがに数あるゲームの内の一つという事で、舞台となるコース数は少なく、アッサリとしているのだが、これを独立させても良いのではないのか思うほどの魅力が満載。侮り難い奥深さと懐かしさを兼ね備えた内容になっている。特に『スーパーファミリーゲレンデ』を遊んだ経験のあるプレイヤーなら、この操作感覚にはノスタルジーを喚起させられるだろう。
これら以外のスポーツゲームの完成度も高い。中でも「パラグライダー」はアーケードライクなゲーム性、任天堂の『パイロットウィングス』を髣髴とさせるストイックさが秀逸。「スコアトライ」の持久戦故の限界を極める楽しさも、七つのスポーツゲームの中では屈指なので、腕に自信があるプレイヤーならば要プレイだ。
また、スポーツゲーム各種に共通する、面白い所に絞り込んだゲームデザインも見所。基本的にどのゲームも直感的に理解できるルールにまとめることを厳守していて、元のスポーツを知らないプレイヤーも抵抗なく入って行ける敷居の低さを実現している。それでいて、お手軽。主に「ランクマッチ」だが、基本的にどのゲームも一回の勝負が3分程度で決着するので、空き時間にサクッとプレイでき、必要以上にプレイヤーを縛らない。かと言って、手応えの無い作りという訳では無く、ゲームバランスも優し過ぎず難し過ぎずの絶妙な加減で調整されているので、短時間でも十分な歯応えを感じられるものになっている。そんな携帯機の強みを活かした作り込みがされているのも大きな見所。ハード特性を活かした作りには、製作スタッフの手腕の高さを実感させられるだろう。
ただ、逆に言うと長時間プレイだとダレ易い。基本的にどのスポーツゲームもだが、「ランクマッチ」でやる事は相手との得点争いに終始するので、レベルデザイン的に起伏の無い構成になってしまっている。
また、これはコンセプト否定になるのだが、一本のタッチペンでも普通に遊べてしまうのも困ったところ。なので、別に二つのペンを使わなくてもよい。二つのタッチペン操作に慣れない人向けの救済策と捉える事もできるのだが、このちょっとした穴にはこう感じてしまうかもしれない。だから、DS時代にこういうゲームは出なかったんだ…と。
そんな粗が惜しいが、二つのタッチペンによる操作感の楽しさは傑出したものがある。各種スポーツゲームの出来も良く、往年のナムコ臭も全開。単調過ぎるきらいはあれど、こんな操作で遊ぶゲームは本作ぐらいしかないので、試してみる価値は大いにある内容。特に「ボクシング」と「スキー」の二つは可能性を感じる内容になっているので要注目だ。

全体的なボリュームも「ランクマッチ」の対戦相手は64にも上り、それが各種スポーツごとに待ち受けているので充実してはいる。だが、先の通りにレベルデザインに難があるのもあって単調。完全攻略を目指すとなると作業プレイになるのは避けられないので、人によっては盛り過ぎと感じてしまうかもしれない。
グラフィックも平均的な出来。ただ、背景周りの作り込みが素晴らしく、「パラグライダー」と「バスケットボール」はその良さが際立った仕上がりになっている。また、立体視も「ベースボール」と「アーチェリー」、「バスケットボール」と言った距離が強く絡んでくるゲームでは、その効力を大いに発揮。特に「ベースボール」はこれを入れているか否かで、難易度に差が出てくるので、プレイするに当たっては是非、立体視有りで試してみて欲しい。
音楽に関してもグラフィック同様に平均的な出来で、特筆すべきところはない。ただ、効果音は素晴らしく、先のエフェクトも併せてプレイ時の爽快感、操作の気持ちよさを大いに引き立てている。
それらエフェクトと効果音の恩恵もあって、演出周りも適度に派手なものに仕上がっている。特に「ベースボール」と「バスケットボール」におけるホームラン及びゴールを決めた際の演出には爽快感を感じてしまうこと請け合い。かつて任天堂のゲームを製作した経験のある開発会社の実績が滲み出た作りになっているので必見だ。

地味なところだが、「ランクマッチ」に登場する対戦相手に「くろのあ」、「かい」、「まっぴー」と言った聞き覚えのあるキャラクターが出てくるネタ要素もある。更に「ナムコボーナス」なる一発逆転を狙えるチャンスタイムがあり、ここでディグダグ、パックマン、マッピーのキャラクターが出てくる演出もあり、同作を知るプレイヤーならニヤリとしてしまうこと請け合い。そんなファンサービスが凝らされているのも、今作における見逃せない部分だ。
シングルプレイ時の単調さが残念な事とローカル通信対戦が二人のみな上、ダウンロードプレイに非対応、Miiを使えないと言った残念な所が幾つかあるのだが、ゲームとしての珍しさは突出したものがあり、他のスポーツゲームでは味わえない魅力を多く兼ね備えた作品になっている。携帯機版『Wii Sports』とも言える所もあるほか、往年のナムコの名作を題材としたネタも豊富で、シンプルなゲーム性も相まって懐かしい手応えも満載。それ故のスコアアタックの奥深さも十分であるなど、侮り難い魅力が詰まった今作。風変わりなスポーツゲームを遊んでみたい、気軽にサクッと遊べるゲームを求めている方にはお薦めの良作だ。同梱された二つのタッチペンも完成度が高いので、それ目的で買うのも大いにアリ。併せて今作もプレイすると、その操作性の面白さに驚かされたりするかもしれない。是非、機会があったらお試しを。
≫トップに戻る≪