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≫洞窟物語3D
■発売元 日本一ソフトウェア
■開発元 Nicalis
■ジャンル 洞窟探索アクション
■CERO B(12歳以上対象) ※暴力、出血描写あり
■定価 4800円(税別)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 3つ
■3D表示 あり
■総説明書ページ数 8ページ(※電子説明書)、操作説明シート同梱
■推定クリア時間 3〜5時間(エンディング目的)、10〜11時間(完全攻略目的)
目を覚ますと、そこは暗い洞窟の中だった。
自分は何者か?
今まで何をしていたのか?
何故、この洞窟に居るのか。
そして、どうして武器や機械の使い方を覚えているのか。

主人公はその答えを求め、広大な洞窟の奥へと歩き出す。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆オリジナル版準拠の明確な道筋とイベントによる誘導の上手さで魅せる、探索型アクションゲームを初めてプレイする人に配慮した本編構成
◆上達の快感、敵との戦闘時の緊迫感を演出するレベルアップシステム
◆シューティング要素への徹底したこだわりと奇抜なラインナップが光る武器全般
◆オリジナル版準拠のレベルアップシステムによって演出された緊迫感、多種多様な攻撃パターンで魅せる、戦い甲斐申し分無しのボス戦
◆進めていくにつれ謎が解けていく構成と残酷な描写が異彩を放つ、見所満載のストーリー
◆DSiウェア版準拠のオリジナル版からの強化点(セーブデータ拡張、難易度選択機能実装)
◆ニンテンドー3DSのボタン配置を考慮した、スーパーファミコンスタイルの操作性
◆グラフィック刷新をコンセプトとしたリメイク作品の反面教師としての価値の高さ

--- Bad Point ---
◆足場が分からない、敵キャラクターが背景に溶け込んでいるなど、視認性最悪の3DCGに描き直されたグラフィック
◆3DCG化の弊害で劣化を遂げた武器『きまぐれな星』(弾が背景に引っかかり、行方知れずになる現象が発生する)
◆フル3DCGでプレイする時よりも視認性が改善されるという、作品のコンセプトを根底から否定する結果を及ぼす、信じられない作りになっている『クラシックモード』
◆「行き」前提の構造にしている為、「戻り」の際に理不尽なダメージを受ける作りになっている出来の悪い追加マップ
◆グラフィックと追加マップの所為で、オリジナル版以上に劣化したゲームバランス(特に絶対にダメージを受けるポイントが存在する時点でアウト)
◆オリジナル版には無かったロード時間の存在(数秒程度ではあるが、劣化点)
◆場面切り替えの際にロード時間が挟まれる所為で、壊滅的なまでに退化した演出(特にエンディングのイベントデモが酷い。雰囲気ぶち壊し)
◆個別のシナリオが用意されている訳でもなく、固有のアクションも無いという、導入意義皆無で遊ぶ価値すら無い著名レトロゲームとのコラボレーション要素
◆オリジナル版経験者には賛否両論なアレンジ仕様の音楽(なお、原曲は未収録)
◆サウンドテスト未実装など、DSiウェア版以上に退化した特典要素と総計ボリューム
◆DSiウェア版以上に退化した内容とあまりにも釣り合っていない価格設定
▼Review ≪Last Update : 3/27/2016≫
立体感と雰囲気の増した、新しい洞窟にようこそ。

けど、これ暗過ぎじゃね…?


2004年にフリーゲームとして公開され、国内外を問わず、非常に高い評価を獲得した開発室Pixel製作のアクションアドベンチャーゲーム『洞窟物語』のニンテンドー3DS向けリメイク作品。開発はDSiウェア版の移植を手掛けたアメリカのNicalis社、国内版の販売は『魔界戦記ディスガイア』シリーズで知られる日本一ソフトウェアが担当した。

リメイクした箇所全て裏目に出た、救い様の無い失敗作にして駄作だ。

リメイクという事で、基本的なゲーム内容はオリジナルのフリーゲーム版『洞窟物語』と同じ。横スクロールで展開する探索型アクションシューティングゲームで、記憶喪失の主人公を操作し、謎の洞窟を駆け巡りながら自身の素性と洞窟の正体、そして襲い掛かる敵の陰謀に迫っていくというものである。本編の流れ、ゲームシステムの概略、作品としての特色に関しては、DSiウェア版『洞窟物語』のレビューに記しているので、そちらを参照頂きたい。
基本的に、『洞窟物語』としてのゲームの中身はDSiウェア版及びフリーゲーム版と大差ない。ただ、今作はリメイクという事で、オリジナル版の完全移植+追加要素の作りだったDSiウェア版とは一味異なる作りになっている。
その象徴と言えるのがタイトルの通り、3D化していること。と言っても、3D化したのはグラフィックだけで、ゲーム部分はオリジナル版同様に2D。主に背景からキャラクターと言ったドット絵で描かれていた箇所を3DCGに刷新した、見た目の改良と強化を目的とした3D化になっている。特に背景周りはその影響が強く現れており、奥行きの深まりによって、ドット絵以上に広大な洞窟という雰囲気を高めた作りになっている。更にグラフィックの3D化と並行して、ニンテンドー3DS特有の立体視機能にも対応。奥行き感のあるビジュアルで、本編を楽しめるようにもなっている。当然ながら、この機能無しで楽しむ事も可能。それに先の通り、背景自体が3DCG刷新で奥行きのあるものになっているので、立体視機能を入れずともその雰囲気を堪能できるようにもなっている。なので、ほとんどおまけ同然。より、洞窟らしさを感じてみたいというプレイヤーに向けた、オプション的な位置付けの新要素となっている。
また、グラフィック以外の変更点でもう一つ、追加マップがある。基本的に本編及びストーリーはオリジナル版に準拠しているのだが、一部のエリアに新しいマップが追加で実装されており、僅かながら全体のボリュームの底上げが行われている。更に、この追加マップでしか手に入らない新アイテムも設置されるなど、探索周りにも多少ながら強化が図られている。とは言え、追加と言ってもマップ自体のスケールはそこまでもなく、本当にちょっとだけ足した程度なので、過度な期待を持つと盛大な肩透かしを喰らうこと必至。その名の割には大したことの無い、簡素なおまけ要素となっている。
そして、更なる追加要素として、キャラクターチェンジオプション。主人公のグラフィックをファミコン伝説の怪作(?)として名高い『いっき』、アーケードで人気を博した『クレイジークライマ―』等の往年のレトロゲームの主人公達に切り替えられるオプションを新規に追加。それらの作品のキャラクター達をそのまま再現したドット絵で、本編を遊べるという、ユニークなコラボレーション要素が実装されている。ある意味、レトロスタイルなグラフィックを持ち味としていた『洞窟物語』の個性を際立たせる為に実装された追加要素。おまけにそのチョイスが『いっき』に『クレイジークライマー』等、本当にマニア狙いの渋いチョイスとなっている。しかしながら、本当にこれはオプションの文字通りの作り。変更した所でキャラクター固有に用意された特別なシナリオが楽しめると言った特典は無く、単に主人公のグラフィックをそれらのキャラクター達に切り替えるだけのものになっている。故に、違うキャラクターで遊べるから専用のシナリオで全く違った『洞窟物語』を楽しめるのか、などと期待して挑むと大いに裏切られること必至。それらのキャラクターで洞窟物語の本編を楽しんでみたい、という声に応えただけの要素に収まっている。正直、そんなプレイヤーが居るのか、怪し過ぎるのだが、本当にそのような作りで、先の立体視、追加マップと同様におまけ同然の作りになっている。
これ以外にも、キャラクターのグラフィックだけをドット絵風に切り替える『クラシックモード』の実装、音楽全般のアレンジがある。また、DSiウェア版から引き継いだ要素もあり、難易度選択機能、クリア後の特典であるタイムアタックモードは今作にも引き続き実装されている。但し、本編の音楽を自由に聴く事ができたサウンドテストこと『ジュークボックス』は廃止されてしまっているなど、逆にDSiウェア版から削除されてしまった要素もある。また、DSiウェア版で賛否の分かれる部分でもあった操作性も、今作ではYボタンで攻撃、Bボタンでジャンプという3DS及びDSのボタン配置を考慮したものに改められている。DSiウェア版の操作に納得できなかったプレイヤーには有難い改善点と言えるだろう。逆にそちらの操作に慣れたプレイヤーなら困惑してしまうかもしれない。ある意味、良い部分と悪い部分を内包した変更点と言える。
全体的にはオリジナル版『洞窟物語』を今風の見た目に改めたとも言える内容。ドット絵グラフィックと独特の音源によって奏でられる音楽が醸し出す、レトロゲームのような雰囲気を特色とする『洞窟物語』を今風のグラフィックで表現するとどうなるのか、という「もしも」を現実にした、興味深いリメイクになっている。中身はオリジナル版と全く大差ないが、ビジュアル等は全て別物という事で、もう一つの『洞窟物語』と言った趣。随分と大胆且つ、他のクリエイターの手によって作られた「らしさ」に富んだ『洞窟物語』に仕上げられている。

しかし、はっきりと申し上げよう。今作はリメイクとしては完全な失敗作だ。オリジナル版の根幹部分はそのままに、グラフィックと音楽を刷新し、おまけレベルの追加要素を入れるなど、作品自体は現代風に見た目を改めた洞窟物語を作ろうという意気込みに満ちたものになっている。だが、それにも関わらず、今作は失敗作同然の出来になってしまっている。というのも、リメイクに当たって変更した箇所の全てが裏目に出てしまっているのだ。しかも、リメイクを企画した事自体が間違いだったと証明するかのように、である。
特に3D化されたグラフィックは、今作のリメイクとしての出来の悪さを象徴する部分だ。単刀直入に言って、視認性が最悪。ドット絵で描かれていた地形、キャラクターが3D化され、リアルな描写になると同時に、背景の奥行きが深まったと先述したが、どれもゲームとしての遊び難さを必要以上に高めるマイナス要因として機能してしまっているのである。一番酷いのが背景全般。確かに奥行きが深まり、鍾乳石等の描写がリアルになって洞窟らしさが大幅に増した。だが、リアルにした反動で宙に浮いた足場がどれくらいの大きさか、そして何処にあるのかが分かり難くなり、意図しない落下ミスを招くようになってしまっているのである。この影響で、落下と同時に想定外の大ダメージを受けたり、何処に足場があるか分からないから、一度立ち止まって周囲をじっと観察する必要が出るなど、オリジナル版の特色とも言えた絶妙なゲームバランスに致命的な穴を開けると同時に、ゲームテンポまで悪化させるという最悪な影響を与えてしまっている。
そして、更なる追い討ちをかけるのがグラフィック全体の薄暗さ。3Dになって洞窟らしさ溢れるビジュアルになったという事で、その雰囲気を際立たせる意図でか、明るさも少し暗めにしているのだが、これが完全に逆効果。只でさえ見え難い足場を余計に見え難くしてしまっているのだ。もっと酷いのが、この薄暗さで敵やトラップまで見え難くなってしまっていること。何も無い通路を歩いていたら、隠れていた敵と接触してダメージを受けてしまったり、何も無いと思われた場所に降り立ってみたらその下にトゲのトラップがあり、大ダメージを受けて最悪、ゲームオーバーになってしまったりなど、オリジナル版ではあり得なかった理不尽なミスが発生するようになってしまったのだ。なので、移動時や戦闘時は何か隠れていないかをよく見ないと大変な事に。ドット絵で描かれていたオリジナル版はそんな事も無く、敵は即座に視認でき、トラップも逃げも隠れもせずその場に堂々と鎮座していたというのに、今作では気付かないプレイヤーが悪いと言わんばかりに不意打ちを喰らわしてくるという下衆っぷり。あり得ないほどストレスフルなものになってしまっているのだ。挙句、主人公自身にしても、周囲の薄暗さ故、何処に立っているのかも確認し難いという酷さ。3D化によって何処が安全圏なのかの境界も分かり難くなってしまい、操作するに当たってもストレスを感じるようになってしまっているのである。
はっきり言って、これで大丈夫だと思った製作陣は頭おかしいんじゃないのかと言いたくなる酷さだ。オリジナル版の特色とも言えたゲームバランスの魅力を損ね、足場と敵、アクションゲームとして致命的な欠点を持った内容に改悪するとか、リメイクとしては史上最低の失態である。別に3D化する事自体が悪いという訳では無いが、幾ら何でもプレイアビリティというものを無視し過ぎである。ビジュアルをリアルにし、薄暗くして洞窟らしい雰囲気にするとか、そんな絵的な事以上に優先すべきはゲームとしての遊び易さだろう。ゲームとして気持ちよく遊べなくしてしまっては本末転倒だろう。そうも基本的な事を後回しにしたかのように洞窟としての雰囲気を最優先にしたのは、『洞窟物語』という作品のみならず、アクションゲームというジャンルに対する冒涜に等しい。薄暗い洞窟の中を駆け抜けるとか、何が楽しいというのか。何処が気持ちいのか。不意討ちが増えて不快な思いをするだけではないか。そんな不快なレベルの内容になる考えにすら至らず、このような状態で製品化し、世に出してしまったのは、本当に度し難いの一言に尽きる。そもそも、オリジナル版は世界観もさることながら、アクションゲームとしてのバランスの良さが最も評価されていたのだから、そこにこだわって作るのがリメイクとしては正しい方針だったはずだ。なのに絵的な事を優先し、結果的にアクションゲームとしての良さを失わせるとか本当に呆れるしかない。しかも、そんな見え難さの欠点が『クラシックモード』で主人公のグラフィックをドット絵表示にすれば解決するとか、何のギャグだ。3DCGにするというコンセプトが崩壊している上、まるでそのアレンジ自体が間違いだったと証明するかのような事象。こんな事が生じる今作を失敗作と言わずとして何と言うべきか。そうも怒りが込み上がってくるぐらいに売りとも言える部分の出来は酷く、コンセプトを全否定する救済措置まで実装されていたりと、惨憺たる有様になっているのである。ドット絵のグラフィックを3Dグラフィックへと描き直す。昨今のリメイクでは常套手段で、実際にそのような措置を行った事で、オリジナル版以上に魅力を高めた作品は世に数多く存在する。だが、今作は魅力を高める以上に必要以上に下げてしまった。こういう事を仕出かしたという点でも、もの凄く稀少なケースだ。そもそも、こんな風にリメイクした事自体が間違いだったと言い切れる惨状になっている時点で、今作の拙さが推して察せるだろう。それほどまでに売りとも言える3D化が恩恵になっていない。企画意図自体が破綻してしまっているのだ。
他にも今作にはリメイクとしての価値を疑う部分が多い。特に追加マップは最たる一例で、本当に小部屋をちょっと足しただけ。これならエリアを追加した方が良かったのでは思うぐらい素っ気なく、魅力も皆無なものになっている。また、その追加マップの出来も非常に悪い。というのも、地形と敵の配置が完全に「行き」しか想定してなく、「帰り」の際に必然的にダメージを受ける事になるという、アクションゲームとしてはあってはならない作りになってしまっているのだ。なので、通過する事自体にも楽しさなんてまるで無し。まさに、どうして追加したのかの一言。おまけにアクションゲームでご法度な事までやらかしているという始末で、本当にどうしようもないほど残念な仕上がりになっている。
レトロゲームとのコラボレーションにしても導入意義が薄く、キャラクターを切り替える事によってストーリーが変わったりする訳でも無ければ、音楽だって変化しないのだから本当に意味が無い。どうせ入れるのなら、音楽が切り替わるぐらいやるべきだろうに、そう言った作り込みもせず、入れただけの要素にしてしまっている時点で、手抜きと言わざるを得ない。
グラフィック3D化でゲームバランスは悪化し、追加要素に至っては入れた意義が皆無という有様。現代風の見た目を持った洞窟物語を作るはずが、結果的にそれ以下で遊び心地も不快なアクションゲームを仕上げてしまうとか、本当に製作者は真面目にゲームを作る気はあったのか。そして、洞窟物語の魅力を理解した上で製作に臨んだのか。正直、この出来では売上第一に作ったのが見え見えと言わざるを得ない。それほどまでに、今作のリメイクとしての出来は酷い。失敗作も同然で、オリジナル版を貶めるという最低な所業を行った仕上がりになってしまっているのである。本当、オリジナル版が好きなプレイヤーほどその神経を逆なでさせられる出来。どうしてこうなった、としか言い様がない酷さなのだ。

先の事柄以外でも、リメイクとしての出来の悪さを体現する箇所はまだある。第一にロード時間。オリジナル版及びDSiウェア版にも多少、ロードは存在したが、今作はイベントデモの切り替わりでもロード時間が発生するという劣化を遂げてしまっており、デモの雰囲気がぶち壊しとなってしまっている。特にエンディングのデモシーンの酷さは、オリジナル版が好きなプレイヤーほど、製作者に鉄拳制裁をかましたくなるほどの憤りを感じるだろう。恐らくはグラフィックを3D化したのがロード時間の発生に起因していると思われるが、それが本当だとしたらますます持って3D化した意味は何だったのか、である。ゲーム性を劣化させるだけに留まらず、ストーリーまでぶち壊すとか、本当にコンセプト崩壊も甚だしい限りだ。
更にあろうことか、武器に関しても、3D化した事による弊害が現れている。特に装備品で、プレイヤーの周囲を回るバリアの役割を果たす『きまぐれな星』が最たる一例で、弾が背景に引っかかって行方知れずになってしまうというバグ同然の現象が発生するようになり、使い勝手が大幅に低下してしまっている。これもオリジナルのドット絵の時はあり得なかった現象。ますます持って、3D化させた事の意義が薄れてしまっている。
挙句の果てにボリューム。オリジナル版とDSiウェア版と大差無く、マップ追加で少し増えた程度という味気の無い物量になってしまっている。これで新たなやり込み要素が追加されていれば話は別なのだが、そう言ったものも無い。それでいて、DSiウェア版のジュークボックスが無くなるなど、特典のラインナップまで低下している有様。5000円超えのフルプライスで売って、中身は1000円で販売されていたDSiウェア版以下とか、幾ら何でもユーザーを馬鹿にし過ぎではないだろうか。それでもマルチエンディング等、やり込める要素はあるのだが、オリジナル版やDSiウェア版の存在を考えると「薄い」の一言。3D化もさることながら、こう言った欠点まであると、このソフトの存在価値自体が無いのでは、と言いたくなってくる。本当、あらゆる部分の作りが雑。リメイクどころか、一つのアクションゲームとしての価値も皆無に等しい。

他に3DSの二画面構成を活かしたマップ表示機能も、DSiウェア版の時点で売りになっていたので、評価ポイントとして値しない。そして、音楽はアレンジが主体で原曲未収録。出来は悪くないが、オリジナルに思い入れがある方ほど賛否の分かれる仕上がりで、評価の難しいものになってしまっている。唯一、DSiウェア版で違和感のあった操作性が妥当なものになったのは評価できるが、褒められる所はそれ位しか無く、あとは欠陥や賛否の分かれる部分だらけ。最大の特色とも言える3D化というコンセプトも崩壊していて、何の為に作ったのかサッパリ分からない作品になってしまっている。
一応、念を押しておきたいが『洞窟物語』というゲーム自体は傑作だ。興味そそるストーリーに絶妙なゲームバランス、練り込まれたシステムなど、アクションゲームが好きな方なら是非、遊んでみて頂きたい逸品である。その洞窟物語をほぼ完全移植して追加要素を盛り込んだDSiウェア版も素晴らしく、配信終了が惜しまれる出来だった。だが、今作にはそんな魅力の全てが3D化という愚行によって崩壊しており、作品としての価値も無い出来になっている。
断言しよう。これはニンテンドー3DSを持ってる方なら遊ぶ価値ゼロの駄作である。こんなのをやるぐらいなら、オリジナル版の『洞窟物語』を遊ぶのがマシ。手を出した所で、お金と時間が無駄になるだけなので要注意である。ただ、グラフィックの改良をテーマとしたリメイク作品の反面教師としての価値はこの上ないほどある。その一例を確かめてみたい気があるのなら、遊んでみるのも一興かもしれない。
ちなみに2016年現在、ニンテンドー3DSにはDSiウェア版ベースで、更なる追加要素を足した新しい『洞窟物語』がダウンロード配信専用タイトルとして販売されている。3DSで洞窟物語を遊びたいのなら、こちらに行こう。
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