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≫ピクセル


■公開年月:2015年9月12日(※日本)
■監督:クリス・コロンバス
■出演:アダム・サンドラー、ケヴィン・ジェームズ、ミシェル・モナハン、ピーター・ディンクレイジ、ジョシュ・ギャッド、ブライアン・コックス、ジェーン・クラコウスキー、デニス・アキヤマ、ショーン・ビーン、岩谷徹(※特別出演)…(ほか)
■販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
■定価:1280円(DVD:税別)、1800円(Blue-Ray:税別)
▼登場ゲーム一覧 ≪Last Up Date : 5/24/2020≫
◆ギャラガ
◆センチビード
◆パックマン
◆フロッガー
◆ドンキーコング
◆ディフェンダー
◆Qバート
◆マリオブラザーズ(※見切れて登場)
◆DUAL SHOCK 4
◆The Last of US Remastered
≪使用ゲーム音楽、効果音一覧≫
※いずれもゲームのジングル、効果音が使われている
◆ギャラガ
◆センチビード
◆ダックハント
◆アルカノイド
◆パックマン
◆Qバート
◆ドンキーコング
◆ディフェンダー
◆スペースインベーダー
◆ストーリー概略
1982年。アメリカ航空宇宙局(NASA)は、宇宙に向け”友好”のメッセージを発信。その中には地球の娯楽を伝える目的で、当時開催されたアーケードゲームの世界チャンピオンを決める大会の映像も含まれることになった。

それから33年後の2015年某月某日。
グアムのアメリカ空軍基地が何者かの襲撃によって壊滅する事件が起きる。
1982年のアーケードゲーム大会の出場者で、現在は大統領のウィル・クーパーは基地が襲撃される映像を見て驚愕。そこにはシューティングゲーム『ギャラガ』のキャラクターたちが映っていた。ウィルは当時の友人サム・ブレナーにこれを見せ、軍へアドバイスをして欲しい持ち掛けるも、幹部たちが彼の話を聞き入れず、追い返されてしまう。その帰り、サムは旧友のラドロー・レイモンソフと再会。彼から「ヴォルーラ」と名乗る宇宙人が先日未明、テレビを電波ジャックして地球への宣戦布告を行っていたとの情報を証拠映像と共に提供される。あろうことか、33年前にNASAが発信した友好のメッセージは、彼らに地球からの宣戦布告と誤解されて伝わってしまっていたのである!

そしてインド、イギリス、アメリカで始まるヴォルーラの総攻撃。
『アルカノイド』の軍勢がタージ・マハルを粉々にし、『センチビート』のムカデたちがロンドンの空を覆い尽くし、『パックマン』のパックマン本人がニューヨークの街中で滑走し、触れた対象を続々とピクセル化させていく。

この空前絶後にして超絶怒涛の危機を乗り越えるべく、ウィルは対ヴォルーラの精鋭部隊として、サムたちベテランゲーマーによるチーム「アーケーダーズ」を編成。かくして、地球の危機はたった数人のゲーマーに託されたのである。

この戦いの末に待つのは
ゲームクリアか、もしくは全滅(ゲームオーバー)か。
◆作品解説


著名なアーケードゲームのキャラクターたちの姿をした侵略宇宙人に、ベテランゲーマーの特殊チームがゲームで培った経験と知識を駆使して決死の戦いに挑む、荒唐無稽なストーリーを描いたSF映画。2015年7月24日にアメリカで公開され、国内はその約2ヶ月後の同年9月12日に公開された。
監督は映画ハリー・ポッターシリーズ(賢者の石、秘密の部屋、アズカバンの囚人)のほか、『グーニーズ』、『ホーム・アローン(1、2)』では脚本を手掛けたクリス・コロンバス。脚本はティム・ハーリヒー、ティモシー・ダウリングの2名が担当し、音楽は『シュガー・ラッシュ』で同ポジションを務めたヘンリー・ジャックマンが担当している。主人公のサム・ブレナー役は『もしも昨日が選べたら』などで知られる俳優でコメディアン、そして映画プロデューサーでもあるアダム・サンドラ―。ちなみに本作には製作総指揮としても参加している。ヒロインのヴァイオレット役には『イーグル・アイ』のヒロイン、レイチェル・ホロマンを演じたミシェル・モナハン。大統領でサムの旧友であるウィル役には『最後の恋のはじめ方』でアルバート・ブレナマン役を演じたケヴィン・ジェームズ、ラドロー役には映画『アナと雪の女王』でオラフの声優を務めたジョシュ・ギャッド、そしてサムのライバルであるエディ・プラントには『X-MEN: フューチャー&パスト』でボリバー・トラスク役を演じたピーター・ディンクレイジが起用されている。そして脇役としてブライアン・コックス、アシュレイ・ベンソン、ショーン・ビーンが出演。さらにパックマン生みの親であるゲームクリエイターの岩谷徹氏御本人も特別出演している。ただ、本人が出演しているのは1982年のシーンだけ。2015年のシーンは”そっくりさん”であるデニス・アキヤマが演じている。

大筋こそ侵略宇宙人対地球人という『宇宙戦争』、『インディペンデンス・デイ』などに象徴されるSF映画の定番中の定番。だが、敵宇宙人が皆アーケードゲームのキャラクターたちで、攻撃手法、さらには人類側の対抗手段まで元のゲームに則っているという、ゲームネタ満載の内容が最大の見所となっている。
しかも、タイトル通りに敵宇宙人はピクセルスタイル……元のドット絵に基づいたデザイン。そのため、現実社会で厚みを増したドットのキャラクターたちが破壊の限りを尽くす、映像的にもインパクト絶大なものに仕上げられている。特に彼らに触れたもの(建造物、人間全て)がピクセル化(ドット化)する演出はその真骨頂。最新のVFX技術をフル活用し、現実が”ピコピコ”しながら壊れていく様が事細かに表現されている。
また、宇宙人が姿を借りたアーケードゲームも1980年代を象徴する名作中心に選出。『ギャラガ』、『センチビード』、『パックマン』、さらには『ドンキーコング』と言った往年のゲーム好きの大半が知るタイトルのキャラクターたちが世界各地で破壊の限りを尽くす様子はシュールの極み。元のゲームの効果音も使用されているのみならず、必勝テクニックから独自ルールまで戦闘中に描かれるので、元を知る人なら制作者の各ゲームへの理解と愛の深さに笑いが止まらなくなること確実。数あるゲームキャラクターとの戦いの中でも、一番の見所はイメージビジュアルのほか、ブルーレイ、DVDのジャケットにも堂々登場しているパックマン。現実のニューヨーク市街地で、あのパックマンを”ルール通り”、それもカーチェイスとしてやり通す流れには「自分も体験してみたい……」という気持ちになるかもしれない。登場人物たちが度々、命の危機に晒されるシーン満載だが。他にメインキャラクターは主人公のサムを始め、癖の強いメンツが揃っているほか、脇を固めるキャラクターも独特の存在感を醸し出している。終盤のキーキャラクターになるヴァイオレットの息子マティ、彼と触れ合う「Qバート」本人は最たる一人。また、チョイ役ながら、イギリス軍伍長役として登場し、愉快な振る舞いを見せてくれるショーン・ビーンも必見だ。なお、残念ながら『ゴールデンアイ 007』ネタは無い。(当たり前だ)

総じて設定、映像面で突き抜けたインパクトを放つ作品だが、ストーリーはご都合主義な展開の極みで、若干退屈に感じやすい。また、良くも悪くもメインキャラクターたちは癖が強いため、人によっては拒否反応が出てしまうかもしれない(特に陰謀論を熱く語るラドロー。終盤にもの凄い見所があるが)。登場キャラクターも1982年のアーケードゲームのキャラクター中心ゆえ、ターゲットの年齢層が高めで、若い世代には刺さりにくい。ただ、ゲームのキャラクターにゲーマーがその経験と知識を駆使して歯向かう様子、それを機に育まれる友情の数々、そして原作のゲームを知らずとも、可愛らしさにときめくこと間違いなしのQバートなど、見所は満載。この設定だからこそ実現し得たとも言えるエンドクレジットにも注目だ。B級なノリ強めだが、ありそうでなかった対立構図を描き、最新のVFX技術を駆使して再現した力作とも言える仕上がり。ゲーム好き、特に直撃世代たる1982年のゲームのプレイ経験のある人ならば注目の1本だ。

ちなみに日本語吹き替え版では、主人公サムの声を俳優でタレントの柳沢慎吾氏が担当。演じるアダム・サンドラーの雰囲気にマッチした声、氏の代名詞「あばよ!」が炸裂する一幕は必見。「もっこり」、「お前はもう死んでいる」など、なんかどっかで聞いたような台詞をしれっとぶちまけるエディ役・神谷明氏の演技も注目だ。
◆ゲーム登場場面
ストーリーの通りだが、本作は全編に渡ってアーケードゲームが登場。宇宙人「ヴォルーラ」が化けた姿に留まらず、筐体も1982年のシーンで、当時そのままの形で出てくる。数があまりにも多いので、詳細は割愛。

また、アーケードゲーム以外にも現代のゲームで、PlayStation 4のコントローラ「DUAL SHOCK 4」と『The Last of US Remastered(ザ・ラストオブアス リマスタード)』も登場する。
本編中盤のパックマン戦後、アメリカ軍の基地でマティが同作をプレイするシーンがある。ちなみに『The Last of US Remastered』は(日本国内だと)Zレーティング、18歳以上のみ対象タイトル。なのに、どう見てもそれ以下と思しきマティが普通にプレイしているという、色々と物申したくなること確実な構図になってしまっている。

このほかゲームとしての登場はないが、見切れる形でアーケード版の『マリオブラザーズ』、キャラクター絡みで『ダックハント』も作中に登場している。さらにマティにとってのレトロゲームとして『コールオブデューティ』と『Halo(ヘイロー)』の名も出る。なんだか物申したい気持ちになったかもしれないが、”ジェネレーションギャップ”として受け止めましょう。
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