≫今日は一日”ゲーム音楽”三昧
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■放送局 |
NHK-FM |
■放送日 |
2010年8月7日土曜日午後12時15分〜午後23時 |
■出演 |
アメリカザリガニ(柳原哲也、平井善之)、有野晋哉(よゐこ)、椿姫彩菜、杉浦友紀(NHKアナウンサー)、高橋名人(高橋利幸)、植松伸夫、金月真美、すぎやまこういち(コメント出演) |
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▼番組概要
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NHK-FMラジオにて祝日、振り替え休日などで頻繁に放送されている、長時間生放送特番『今日は一日○○三昧』。特定のジャンルに絞った音楽を10時間以上に渡り、番組MCのトークも挟みながら流すという内容で、これまでに『ラテン』、『昭和歌謡』、『アニソン(アニメソング)』、『サッカー音楽』、『みんなのうた』などの幅広いジャンルを特集、放送してきた。基本的に音楽を長時間流すのがメインではあるが、回によってはトークがメインを張る事もあり、これまでに『鉄道』、『アイドル』、『ヒーロー』などが特集されている。
そんなこの番組の2010年8月7日の回にて、ラジオのみならず世間で見ても史上初めてとなる、ゲーム音楽に焦点を当てた特番が放送された。それがこのそれがこの『今日は一日ゲーム音楽三昧』である。MCはアニメ、ゲームなどに深く関わる傾向があるお笑いコンビのアメリカザリガニ(柳原哲也、平井善之)、『ゲームセンターCX』の有野課長にして、お笑いコンビ・よゐこの有野晋哉、実はコアな格闘ゲーマーでもあるタレントの椿姫彩菜、そしてNHKの杉浦友紀アナウンサーが担当。この内、有野晋哉は番組中盤までを担当し、以降は椿姫彩菜にバトンタッチする形で交代した。また、ゲストとして16連射でお馴染みの高橋名人(当時はハドソン所属)、『ときめきメモリアル』の藤崎詩織役で知られる声優の金月真美、ファイナルファンタジーシリーズの作曲家である植松伸夫が出演。MC陣とトークを繰り広げた。更にコメントゲストとして、ドラゴンクエストシリーズの作曲家、すぎやまこういちも僅かながら登場。さりげなく最新作、『ドラゴンクエスト10』の製作近況を報告するというサービスも行われ、大いに盛り上がった。
なお、史上初めてのゲーム音楽を特集した番組と言ったが、実はこの番組から3ヶ月前のゴールデンウィークにて放送された『ラジオ深夜便』という番組で一度、ゲーム音楽特集が組まれていた。ただ、番組の放送枠はたったの45分。流れた音楽も著名なタイトルに限られてしまっていた。
しかしながら、初めてゲーム音楽を特集した番組という事で注目度は高く、ゲームファンを中心に多くのリスナーから評価を得た。その評価を受けてなのかは不明だが、8月7日に初めてこのような大掛かりな番組が組まれた。
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▼楽曲紹介と構成
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肝心の楽曲ラインナップはメジャー系中心だった『ラジオ深夜便』とは異なり、知られざるタイトルから世間で迷作とまで謳われるタイトルまで網羅した、非常に豪華で刺激的なものとなった。また序盤はゲーム音楽進化の歴史を振り返る楽曲をメインに紹介し、後にリクエスト特集を展開。その後、ゲストが登場した際にはそのゲストにちなんだ楽曲を流し、終盤にはゲームのエンディング曲を集中的に流すなど、構成も王道を極めたものとなり、まさにゲームファンからゲーム音楽好きの心境を捉えたものとなった。
実際に番組で流れた楽曲の総数は105曲。
楽曲の一覧はNHK公式サイトの方に掲載中。
詳しくは以下のリンク先を御覧ください。
≫今日は一日”ゲーム音楽”三昧:楽曲リスト(NHK-FM:番組公式サイト)
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▼浮上した問題点と楽曲チョイス
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本編で流れた楽曲総数105曲は十分な数と言えるが、152曲以上も流した『今日は一日”帰って来たアニソン”三昧』などの他の三昧と比べると、やや少なめとなった。それでも、100曲以上流すのが珍しいとされるこの三昧シリーズの中ではかなり多い方となっている。
しかし、「もう少し流せたのでは?」という疑問も残された。というのも、本編では音楽よりもトークに時間が割かれてしまっており、5〜7分以上音楽が流れないという事がしばしばあったのである。さすがにゲストをお招きしている時は仕方が無いとして、特に居ない時にダラダラとやられるのはリスナーにとっては苦痛なものがあった。実際に本編ではリスナーから「トークが長い」という意見も送られてきたほどである。
また、楽曲のラインナップにしても疑問を感じさせるチョイスが目立った。
特に以下の楽曲がそれに当たる。
>013. “アクトレイザー「オープニング」
>021. “スペースインベーダーエクストリーム”より「Invader Girl」
>027. “ロックマンゼロ4”より「エスペラント」
>023. “スーパーマリオギャラクシー2”より「クラウドガーデン」
>058. “ゼノブレイド”より「名を冠する者たち」
『アクトレイザー』は、世間ではACT1-1の『フィルモア』の曲が最も人気の高い楽曲として知られている。それなのに何故か番組では『オープニング』だけに留まるという不可解なチョイスとなった。これに関しては「何であの曲を流さないのか?」と疑問を感じた方もいただろう。かく言う筆者もその一人である。
『スペースインベーダーエクストリーム2(※公式サイトでは2が入ってないが、正確には2である)』の『Invader Girl』、『ロックマンゼロ4』のエスペラントは原点に当たる作品の曲(人気曲)が紹介されなかったのも疑問を感じさせるものとなった。特にインベーダーは何故、旧アーケードの曲は流さず、最新作だけとなってしまったのかが不思議の一言に尽きる。
『スーパーマリオギャラクシー2』と『ゼノブレイド』は言わずもがな。今回流れた楽曲の中で唯一の年内に発売された新作だったが為に優遇されているイメージがあった感は否めない。特にゼノブレイドは放送当時、発売されて間もないタイトルだったが為にほぼ宣伝であるかのように感じたリスナーも居たかもしれない。
この他にもゲーム音楽の歴史を語る上で外せないタイトルの曲が一曲も流れなかったなどがあったが、それに関しては権利や選別の際の苦心した結果なのだろう。
念の為だが、上記の楽曲はいずれも名曲であり、非難されるべきものではない。ただ、チョイスが妙だった為、番組内では違和感を残す結果になってしまったのはちょっと残念なところではある。ただ、やはりチョイスに関してはスタッフの苦心もあったはず。そういう意味では、本当にお疲れ様ですの声をかけるに尽きる。
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▼放送前の残念な出来事
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番組の発表が公にされた時は多くのゲーム好きから歓迎の声が挙がった。
だが、その一方で『イース』シリーズや『英雄伝説』シリーズ等で知られる日本ファルコムがTwitterを通じ、番組を乗っ取る為に組織票の煽動を呼びかけたり、MCのアメリカザリガニ・平井氏に同じくTwitter経由で直接リクエストをすると言った事を行い、番組の放送を待ち望むゲーム好きから非難された。
ファルコムの楽曲が名曲揃いなのは筆者も『イース』シリーズ、『英雄伝説(空の軌跡)』シリーズなどで知ってはいるが、この番組は特定の作品ファンの為だけに組まれたものではない。あらゆるゲーム音楽を流す事をコンセプトとした番組だ。それ故にマリオ、ドラゴンクエスト、ファイナルファンタジーなどの世界的に有名且つ多くのファンを持つシリーズ作品、『ICO』、『大神』と言った知る人ぞ知る傑作の楽曲が流れる事を熱望する人も当然のように居る。そんな人達の気持ちを無視して組織票の煽動を呼びかけ、番組の私物化を狙うかのような発言をするのは、あまりにデリカシーに欠ける非常識な行為だったと言わざるを得ない。それにこのような事は会社自体のブランドを汚す事にも繋がるので、得する事など何も無い。やるだけ損するだけなので極力、自粛して頂きたいところである。
ちなみに本放送で流れたファルコム作品の楽曲は二曲に留まった。そもそも、仮に10曲以上も流れる事態になっていたりでもしたら、それこそ先の不自然なチョイス以上の問題になっていたのみならず、他のリクエストを送ったリスナーから「貴方達の煽動のせいでこちらのリクエストが潰された」と非難の的にされていただろう。そういう意味では、偏りを極力無くし、メーカー側に批判を招かせない為に努力した番組スタッフの方々の働きには敬服する次第である。放送されるかは未定だが、第二回でも今回のような偏りの少ないチョイスを心掛けて欲しいと願うばかりだ。
≫備考リンク:企業としての弁え(※Box Diary:この問題を指摘した筆者の記事)
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▼放送当日の意外な反応
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この番組が放送される事は著名なゲーム音楽作曲家、メーカーなどに行き渡っていなかったようで、当日になって放送を知り、Twitter上で驚く方が多数居た。イース、アクトレイザーなどの作品で音楽を手掛けた古代祐三氏がその一人。
また、ファイナルファンタジー生みの親である坂口博信氏、クロノトリガー、ゼノギアスなどで知られる光田康典氏もこの番組が放送されている事を知らなかった。しかも光田氏に至っては気付いたのは番組終了後であった。
意外なところでは、サンソフトの広報が後悔する一幕も。
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▼番組終了後の反響
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この番組が放送された僅か3週間後、8月26日に放送された『題名のない音楽会(※毎週日曜日午前9時よりテレビ朝日系列で放送中)』でゲーム音楽特集が組まれた。更に9月9日の午後10時よりTBSラジオにて放送された『Dig』でもゲーム音楽特集が組まれ、サガシリーズや聖剣伝説シリーズの作曲で知られる伊藤賢治氏とカービィ&スマブラ生みの親である桜井政博氏がゲスト出演した。
以降も『題名のない音楽会』の特別編にてゲーム音楽が流れる一幕があったりと、放送以降から着実に世間のゲーム音楽に対する注目度が高まり始めている。
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▼第二弾放送への期待
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初めてのゲーム音楽特番という事で、トークや楽曲のチョイスなど、こなれてない感じがあったのは否めない。また、楽曲紹介にしても最後の締めとなった『ギャラガ』の曲がゲーム音楽としては初となるサウンドトラックの最後に収録されていた曲という説明が一切無く、何も知らない方にとっては「何故?」と感じさせるチョイスになってしまう展開があったのも残念なところだ。
しかし、史上初めてゲーム音楽を特集したその内容だけでもゲーム好き、ゲーム音楽好きには非常に意義のある番組であったのは間違いない。第二弾が放送されるかどうかは未定のままだが、もし放送される事になったのなら、次は今回の欠点を可能な限り改善させ、テンポ良く楽曲を紹介する番組になっていて欲しいところだ。
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▼どうでもいい余談
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上記で不自然なチョイスの例にして挙げた『スペースインベーダーエクストリーム2』の『Invader Girl』だが、実を言うと筆者がリクエスト主の一人です。
本放送では杉浦アナウンサーにラジオネームも呼ばれちゃいました。(≫その時のTwitterでの呟き)
ただの自慢です。…ごめんなさい。
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