PC版を買ったのは2019年の正月だった。
▼キセツのキツネ ダウンロード版(My Nintendo Store)
それから1年半後。まさかNintendo Switchで日本語対応&邦題に改められて発売されるとか、誰が予想したか。結局、PC版がSteamのランチャー一新以降、Xbox360コントローラで遊べなくなっていた問題(※キーボード割り当てでも何故か季節変更が反映されない)からこっちに移行し、エンディングまで遊び通した。
PC版を初めて触れた時も感じたことだけど、スーパーファミコン臭がもの凄いアクションゲームだった。どれほど臭いかは以下のツイートに埋め込んだタイトル画面の動画を見れば嫌というほど分かると思う。
そして、圧倒的にスーファミなこの曲。 pic.twitter.com/1HQeg6nuHz
— シェループ (@shelloop) January 15, 2021
逆にアクションゲームとしては、物申したくなる箇所だらけの佳作だった。
特に主人公リックの攻撃アクション全般の仕様。立っている時は弓矢で射撃(遠距離攻撃)、しゃがんだ時とジャンプ時は剣による斬撃(近距離攻撃)と、アクションに応じて瞬時に切り替わる作りになっているのだが、これがもの凄く理に適っていなくて、動かしていてモヤモヤする一方だった。
何がモヤモヤするかと言えば、ジャンプして弓矢を撃ちたい、しゃがんで撃ちたいという欲求に全然応えてくれない。全て斬撃という形で反応が返ってくる。
なので、敵の動きに応じた思い通りの立ち回りは実践できないし、やった結果がダメージに直結したりする。元々そういう仕様だから当たり前と言えば当たり前なのだが、個人的には全く腑に落ちないもので、とにかく動かしていて楽しくない。モヤモヤとした感情が付きまとう生理的な気持ち悪さがあり、到底受け入れられなかった。
これなら普通に装備切り替え形式でアクションを固定させる方が遥かに自然。切り替えの手間を無くす意図があったのかもしれないが、結果として動かす楽しさを損ねていて、個人的には失敗していると感じてしまった。
「できそうなのにできない」というのは、アクションゲームだと割とありがちなことではある。ロックマンを例に出すならしゃがめないとか(※しゃがめるシリーズ作もあるが、そういう細かいことは置いておく)、魔界村なら走れないとか(※これも走れるシリーズ作があるが以下略)。ただ、それはそのゲームにとって必要ではないから取り除かれていたり、できない所を別のアクションで補うなりして違和感を払拭させている。
本作の場合は必要というか、あった方が圧倒的に面白くなるであろうものを削っちゃっているからおかしなことになっている。しゃがんでいても、ジャンプしても弓矢撃てないとか、見た目的にできて不思議じゃないから「なんで?」と言いたくなる違和感が爆発してしまっている。本当に制作者の意図が理解に苦しむ感じで、これは難ありと言わざるを得なかった。久しぶりに生理的に楽しいと思えないアクションゲームの操作を味わった印象。このゲームを作ったチームはアクションゲームのことをちゃんと分かっているのだろうかと、センスと知識を疑った次第です。
操作とアクション以外にも、売りにしている季節の切り替えはステージごとに固定で、『ゼルダの伝説 ふしぎの木の実 大地の章』のような細かく切り替えて仕掛けの変化を楽しむ要素は皆無。長めのステージと何故か有料制のチェックポイント、隠された「種」を一定数集めないと次のワールドが解禁されない、決まって無限復活を繰り返す雑魚敵の存在(資金稼ぎの救済措置?)など、違和感を感じた点はまだある。
ステージは長いなりに総数は少なめにしており、そこでバランスを取っている感じだったが。ただ、どこも冗長気味で、これなら細分化した方が良かったのではと思ってしまった。
一部、シューティングのステージもあるが、これも何故か1回でも敵などに接触・被弾したらミス確定という謎仕様。元々ダメージ制なのに、あえて1発にする意図がよく分からなかった。
シューティングゲームはそれが当たり前だから、との意図によるものだとしても、わざわざ忠実にする必然性はないだろう(しなきゃダメなんですか?『スターフォックス』という同じキツネが主人公のダメージ制のシューティングがあるのに)。一応、残機の概念はないので、何度でもやり直し可能な点が救いだが。
難易度も極端に高くなく、程よく易しい程度だったのは良かったと思う。ただ、終盤に耐久力の高い敵を沢山配置し、攻略時間を引き延ばすことをしていたのにはいい印象が無かったが。
あと、ゲームが進む度に攻撃手段が増え、ステージ内の足が及ばない場所に辿り着けるようになる探索要素も良い具合に溶け込んでいたと思う。作品全体のスーパーファミコン臭さは言うことなし。あと、チェックポイント担当のアナグマ「レトロ」の台詞が昔のゲームのネタ満載だったのも面白かった。
『デスクリムゾン』ネタまで網羅していたのには特に敬意を表します。
ただ、台詞というか日本語翻訳は総じてズタズタだったが。
単に翻訳して、何のチェックもせずそのまま実装したのが丸わかり。
申し訳ないけど、このメーカーは今後、信頼できないローカライズ元として当面、色眼鏡を付けさせてもらう。ローカライズするならちゃんと違和感がないレベルにまでまとめてください。
これだけ不満を書き殴ったけど、遊べないほど酷いゲームではない。佳作の域ではある。ただ、おすすめできるかと言われれば否。スーパーファミコンの雰囲気”だけ”を楽しみたい人向けのゲームかな、と言った感じでした。少なくとも、アクションゲームとしては(個人差あれど)腑に落ちない手触りなので、少し注意した方がいいかも。逆にどれほど腑に落ちないか気になるなら試してみるのもいいかもしれない。
あくまでも自分の場合だが、最初から最後まで腑に落ちなかった。
同様の印象を抱くか否かは……とりあえず、実際に確かめてくれればと。
セール時に狙うのを推奨しておきます。