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≫カドゥケウスZ 2つの超執刀(Wii)


■対応機種:Wii
■発売日:2006年12月2日
■価格:5800円(税別)
≫メインレビュー

© ATLUS CO.,LTD.1995,2006 ALL RIGHTS RESERVED.
▼Introduction ≪Last Update : 5/3/2020≫
■超執刀、装いも新たにWiiに降臨

2006年12月2日。任天堂より、最新のゲーム機『Wii(ウィー)』が発売。
同ハードは据え置き機の常識を打ち破る、リモコン型のコントローラで大きな注目を集めた。

同時発売タイトルも『Wii Sports』、『おどるメイド・イン・ワリオ』、『Elebits(エレビッツ)』、『レッドスティール』と言ったコントローラの特性を活かしたものが、任天堂のほか、サードパーティ各社より発売。
そんな中に1本、ニンテンドーDS向けに作られたはずのゲームも名を連ねていた。
それが『カドゥケウスZ 2つの超執刀』だ。

2005年、アトラスより発売されたニンテンドーDS用ソフト『超執刀カドゥケウス』は、タッチスクリーン、タッチペン操作を前提に設計された全く新しいSF外科手術アクションゲーム。まさにニンテンドーDSだからこそ実現した独自性溢れるゲームだった。そんなカドゥケウスをWiiのコントローラで遊べるようにしたのがこの”2つの超執刀”である。

制作陣は若干ながら一新。プロデューサーはDS版同様、原案も手掛けた橋野桂氏だが、ディレクターは『デビルサマナー ソウルハッカーズ』、『ペルソナ2』などでシナリオ、プランニングを担当した金田大輔氏に改められた。DS版のディレクターを務めた新納一哉氏はスーパーバイザーとポジションを変えて携わっている。



■Wiiリモコン&ヌンチャクでスピーディな手術アクション

肝心の内容はDS版のリメイクに当たる。そのため、ストーリーの大筋は変わらない。
ただ、月森孝介に並ぶ第2の主人公「ミラ・キミシマ」なる女性外科医が登場兼追加。彼女に関するエピソードが本筋とは別の時系列で展開される構成になっている。

ゲームルールもDS版と変わらない。だが、基本操作はWiiリモコンとヌンチャクを用いる新たなスタイルへと変更されている。DSのタッチペンを前提とした操作系を別ハードの操作へと改める。そんなことすれば、カドゥケウス特有の魅力が損なわれるだろうと、従来型のコントローラを用いるゲーム機であれば物申したくなったかもしれない。だが、本作の移植先はWii。ポインティング式のデバイスがコントローラという、これまでの常識を覆すゲーム機だ。しかも、この手のコントローラなら、DS版同様に文字を書いたりする操作体系も作れる。移植によるデメリットは一切なかったのだ。よって、テレビ画面でプレイする点こそ大きく変われど、基本的なプレイ感覚はDS版と何ら変わりないものになっている。

さらに本作で秀逸なのがヌンチャクによる操作だ。
リモコン操作にはタッチペン以上に深刻な問題点がある。それはプレイヤーの腕に負担がかかること。指先だけで動かすタッチペンと違い、腕も動かさねばならないのだ。仮に長時間プレイすれば、腕に疲労がたまって筋肉痛を発症させ、ゲームどころではなくなってしまいかねない。ましてや、本作は様々な医療器具を使いこなすゲーム。もし、その選択までリモコンでポイントして切り替える、なんてものにすればかかる負担は通常の3倍になり得る。
ゆえに負担を軽減させるための策を講じねばまずい……ということで、開発スタッフは「ヌンチャク」を活用。こちらに器具選択を振り、リモコン側はその活用だけに絞り込む完全な棲み分けを図ったのだ。

結果、腕への負担は大きく軽減。器具選択もヌンチャクのコントロールスティックを指定方向に倒すだけで選べる、快適設計になったことで、タッチペン以上にスピーディな操作ができるようになった。
そのため、各手術の展開もテンポアップ。DS版だと50秒ほど要する手術が、30秒ほどで完了できるようになるなど、大きな差異が生まれている。そのため、DS版をやり込んだプレイヤーならば、あまりの違いに驚くこと必至。さらに難易度もDS版の正確性重視から一転、スピード重視のバランスにシフトしている。



▲ペンの片手から両手となったが、直感的な操作感はそのまま。

安直にタッチペン操作を適用させず、Wiiならではの工夫を施し、プレイ感まで一新させる。DSで作られたものをWiiへ、しかもオリジナルとは違う面白さを売りとするものへアレンジした本作は、「DS⇒Wii」の移植における模範的な一例だ。

また、単に快適なだけではない。Wiiならではの操作感も大きな魅力。例えばDS版にもあった「ピンセット」。こちらがWiiリモコンのAボタンとBボタンを同時に押す、文字通りの「つまむ操作」になっている。



▲こんな感じ。

さらに吸引器具「ドレーン」は、タッチペンでスライドする必要のあったDS版から一新。Aボタンを押すだけの簡単仕様になった。これにより、ペンで指先を痛める心配も無くなり、スムーズな処置運びができるようになった。

また、新たな手術器具として電気ショックこと「カウンターショック」が追加。リモコンとヌンチャクを前に突き出し、タイミングに合わせてヌンチャクのZボタン、リモコンのBボタンを同時に押して蘇生措置を図るパートが加わった。ほかにもリモコンを捻る操作が求められる「骨折措置」も追加され、DS版では味わえない手術が楽しめるようになっている。

Wiiだからこそ表現できるもの、面白さとは何か。
このような魅力を突き詰めたゲームは、当該機を造り、販売した任天堂のタイトルがその象徴的存在として君臨しがちだ。DSの時も実際、そんな感じだった。
だが、Wiiでは本作もそんな魅力を突き詰めたタイトルとして君臨。任天堂のタイトルにも負けず劣らないインパクトを放つものに仕上げられているのだ。しかも、同時発売タイトルの1本でこれだ。圧巻の一言に尽きる。



■キャラクターデザイン、難易度周りにも大きな変更が

また、DS版から変更されたのは操作周りに留まらない。
下記の箇所にも変更や改善が図られている。

◇キャラクターデザイン
DS版は、主にBL系作品のキャラクターデザインを手掛けている池端まぐろ氏が担当していたが、こちらでは『真・女神転生』シリーズで背景グラフィック、『ペルソナ2』でサブキャラクターデザインを手掛けた、アトラス所属の土居政之氏が担当。アニメ調だったDS版と路線の異なる、シャープな作風へと一新された。もしくはペルソナっぽくなった…と言えば、アトラスのゲームが好きな人ならピンと来るかもしれない。パッケージのジャケットイラストを見れば一目瞭然である。

◇グラフィック
ディフォルメされてるとは言え、臓器特有の気持ち悪さは僅かに残ってたDS版のグラフィックが、よりクールで、CGテイスト溢れるものに改められた。もはや、気持ち悪いとコメントすることすら困難。

◇エピソードセレクトシステム
DS版は一本道で、一度クリアしたオペは「オペレーションモード」で自由に選択・遊べるようになるシステムになっていたが、本作はこの2つが融合したセレクトシステムを採用。
クリアしたオペは何度もプレイほか、エピソードごとのイベントも繰り返し見れるようになった。

◇難易度選択システムの導入
本作における最大のセールスポイントと言ってもいいだろう。
DS版と異なり、難易度が選べるようになった。
難易度はイージー、ノーマル、ハードの3段階。あらゆるユーザーに対応した設計に。さらに難易度はいつでも自由に変更可能。難しいステージはイージーで攻略して突破する「奥の手」が使えるようになった。
しかも、イージーだと遊べないと言った、制限をかけたステージも一切ない。
DS版で挫折した人には、有難味溢れる救済機能となっている。

◇新たな評価の追加と、やり込み要素の強化
新たに難易度ハード向けに『XS』なる最上位評価追加。
また、全ての難易度を制覇するやり込みも楽しめるようになっている。

◇会話スキップ・リトライ機能の追加
手術中、イベント中の会話を早送りできるスキップが追加。
更に手術を最初からやり直す「リトライ」がポーズメニューに加わった。
これにより、やり込みプレイがより快適に楽しめるようになった。
もう、やり直すために患者を殺す非道なことをする必要はない。(力説)

◇ボイス演出の強化
前作にも多少あったボイスが演出が強化され、主人公の月森も喋るようになった。ただ、フルではなく、パート形式。また、病気の処置方法は教えてくれない。基本的に手術中の雰囲気を高めるのを目的とした強化に留まっている。

また、声優陣も一新されている。DS版では声優の中村サチコが演じていたヒロイン・利根川アンジュは、アニメ版『のだめカンタービレ』の野田恵(のだめ)役、『クレヨンしんちゃん』の酢乙女あい役、そして『Fate』シリーズのセイバー役などで知られる川澄綾子に変更されている。また、主人公の月森孝介役には『テニスの王子様』の大石秀一郎役のほか、ゲーム『逆転裁判』のアニメPVで成歩堂龍一役を務めている声優の近藤孝行を起用。

◇処置判定・処置の見直し
精密にやる必要があった縫合が多少、雑な縫い方でも問題なくなるなど、総じて判定が緩くなっている。
また、腫瘍の処置はDS版だと「メスで摘出⇒ドレーンで組織液吸引⇒メスで剥離⇒ピンセットで除去⇒手術の痕に人口膜を被せる⇒ゼリーをかける⇒手でこすって定着させる」(※長くてすみません)だったのが、Wii版では最後のこすって定着させる必要が無くなったなど、一部の処置も簡略化されている。

◇新しい手術(ステージ)の追加
一部、DS版に無かった新しい手術が追加されている。
また、前作にもあった爆弾解体の手術(?)が別物になっている。

◇ストーリーの追加及び変更
第二の主人公、ミラ・キミシマのシナリオ追加以外に終盤の展開(最終章)がDS版とは違うものに改められた。ただ、この最終章の内容はDS版のエンディング後という扱いになっている為、プレイしていないユーザーには若干、理解しにくい内容になってしまっている(ただ、大まかな内容を解説するあらすじは存在するので、フォロー皆無という訳ではない。)。

◇効果音の変更
メスの執刀、縫合、ヒールゼリーを巻いた音など、全てがDS版とは違うものに改められている。特にメスの執刀、縫合は痛々しく、思い感じがあったDS版とは180度異なる、落ち着いたテイストの音に変更されている。
なお、ミスした際の「ブシュッ!」という痛々しい音はそのままである。
Wiiに変わっても、失敗時の恐怖と申し訳なさに変わりはなし。



■誰もが楽しめる手術アクションゲームへと前進した快作

操作性を始め、Wiiに合わせた数多くの変更と改良が実施された本作。特に操作周りは原型すらないほどの別物になっているが、それがWii特有の動かす楽しさを演出している。システム周りの変更も、DS版をより遊びやすく、幅広いプレイヤーに楽しんでもらえるものにする、制作側の「リベンジ」を感じさせるものになっている。それどころか、プレイヤー側としても難易度選択機能のおかげで、DS版のリベンジが果たせるのだから面白い。

DS版の時点でも十分傑作だったが、本作は数多くの改良でさらに一段階上がった傑作へと化けた。
まさにここに”誰もが楽しめる手術アクションゲーム”が誕生したのだ。

とは言え、終盤の方に苛烈なオペがあったり、DS版特有の寄生虫「ギルス」に関する展開に偏る中盤の構成など、あと一歩な所も幾つかある。ボイスも、もう少し踏み込めたのではとの勿体ぶりだ。

結果的に続編が望まれたのだが……それは意外に早く、実現したのだった。
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