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≫シレンモンスターズ ネットサル
■発売元 チュンソフト
■ジャンル 育成スポーツアクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 5040円(税込)
■公式サイト ≫任天堂:紹介ページ
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 1つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 ゲームボーイアドバンス専用通信ケーブル対応
■総説明書ページ数 32ページ
■推定クリア時間 15〜20時間(エンディング目的)、60〜90時間(完全攻略目的)
人間とモンスターが一緒に暮らす世界。
人間界にサッカーがあるように、モンスター達にもモンスター同士の競技『ネットサル』がある。サッカーによく似たこの競技。勿論、参加資格があるのはモンスターだけ。

そして今やネットサルのクラブチームは世界中に存在。彼らが目指すのは、世界最強のクラブチームである事を証明する栄冠『コパ・デ・プラタ(銀杯)』。

今また、その栄誉を獲得しようと、新たなチームが生まれようとしている…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ゲームらしい嘘っぽさとフットサルの魅力が絶妙に絡んだ、独特のゲームシステム
◆現実のスポーツ世界を象徴するかのような、ランダム性の強いゲームバランス
◆シンプルな作りながらも、不確定要素満載で緊張感も満点な育成パート
◆能力アップからダウン、更には恋人の出現など、多種多様な育成パートのイベント群
◆決して全てに秀でた選手はできない調整具合が見事な、育成パートの全体構成
◆携帯ゲーム機の特性に合わせた、コンパクトな基本ルールが秀逸な試合パート(特に前後半を含めた試合時間の長さは非常にバランスが良い)
◆ゲームらしい嘘っぽさと試合の結果を左右するハチャメチャさが面白い、選手の必殺技
◆圧倒的不利な状況でも大逆転できる、その無茶苦茶さが強烈な『レイズアップ』
◆ランダム性の強さ故に醸し出された、強烈極まりない中毒性(はまり過ぎ注意)
◆スポーツゲームが苦手な人と得意な人の棲み分けが施された、親切で快適な操作性
◆スポーツゲーム初心者にも優しい、丁寧なチュートリアルと各種サポート機能群
◆それぞれの個性が色濃く現れた登場キャラクター達(選手一人一人にも特徴が)
◆ほのぼのとした世界観を丁寧に表現している、美しいグラフィック
◆世界観の雰囲気を限りなく追求した、デモシーン等の微笑ましい演出群
◆サッカーファンなら思わず「ニヤリ」としてしまう小ネタの数々(実在のクラブチームが出てきたりなどと、お遊び満載)

--- Bad Point ---
◆盛り上がりに欠ける、試合パートの音楽(もう少し、明るい曲を…)
◆不確定要素が強いとは言え、基本的には単調で地味な面が強いゲーム展開
◆いま一つ、各々の個性が表現しきれていない対戦フィールド
◆3D系のゲームが苦手な人には地味に応えるカメラワーク(あまりに集中してみていると、人によっては酔うかも…)
◆あまりに簡素過ぎる、試合での各クラブチームごとの色分け
◆存在感の薄い秘書(能力的にも地味なものが多い…。)
◆ランダム性が強過ぎる為に、時に理不尽な面も見せるゲームバランス
▼Review ≪Last Update : 4/5/2008≫
選手人生、何が起こるか分からない。

優れた選手が生まれるか、生まれないかは時の運…。


『風来のシレン』シリーズで登場したモンスター達がフットサルで戦い合う、育成スポーツアクションゲーム。チュンソフト生誕20周年記念ソフトとしてリリースされた作品でもある。

ゲームらしさ溢れる試合展開と、シレンシリーズ伝統のランダム性の強いゲームバランス、それ故に醸し出される圧倒的な中毒性が秀逸な、GBAの隠れた名作である。

ジャンル上では『育成スポーツアクション』と釘打っているが、実質的なゲーム内容は、フットサルを題材としたスポーツゲーム。プレイヤーはシレンシリーズでお馴染みのモンスター達をフットサルもとい、一流のネットサルの選手に育て上げてクラブチームを誕生させ、様々な大会に参加、最強の座を目指して奮闘していく。
ゲームは自分のクラブチームを作り出す事からスタート。チーム名、ユニフォームの色、チームフラッグのデザイン等をまずは一通り決める。その後、キャンプ地を張って秘書を雇い、そしてチームのメンバーを一通り雇う事で、ようやく本格的なチーム作成へと突入。事実上の本編が始まる。チーム作成において主に行うのは基本的に雇った選手達の育成。能力値を上げるトレーニングや月ごとに行われる試合に参加したりしながら、地道にコツコツと選手を強化していく。なお、育成に割り当てられた期間は10ヶ月。これを乗り越えると、めでたく正式にチームが完成。タイトルメニューからネットサルの本大会等に参加が可能となり、ゲーム中最大の目的である栄冠『コパ・デ・プラタ(銀杯)』を目指す戦いが始まるのだ。大まかなゲームの流れはこんな感じ。ゲームに精通した方向けに例えれば、コナミの『実況パワフルプロ野球』シリーズの『サクセスモード:サッカー版』と言えば、あらかた想像が付くと思う。
だが、今作は決して、そんなサクセスモードの二番煎じ的な内容にはなってない。見ての通りであるが、今作で試合に参加するのは人間ではなく、架空のモンスター達。それ故に、選手の育成然り、試合の流れとその展開容然り、実にぶっ飛んだものに仕上がっている。
それを象徴するのが、今作最大の魅力である、ランダム性の濃いゲームバランス。本作の原作『風来のシレン』シリーズ…というよりは、不思議のダンジョンシリーズに倣ってか、今作の育成と試合のパートでは、プレイヤーの想像だにしない、実に奇想天外且つ波乱の展開が次々と発生していくのである。決して、全てがプレイヤーの思い通りにはならない。現実のサッカー(他の野球等も含めて)で言うならば、まさに「選手人生、何が起こるか分からない」。現実の厳しさとゲームならではのハチャメチャさが絶妙のバランスで絡み合った、実に個性的なゲームに仕上がっているのだ。

実際にその例を解説していくとまず、育成パート。基本的には選手達をトレーニングや試合などに参加させ、地道に育てていくのだが、10ヶ月を過ぎればエース級の万能選手が出来上がる…事はまず無い。「選手人生、何が起こるか分からない」。…先述でも触れたが、今作の育成では、異様なほどイベントが発生するようになっているのである。その内容は選手に恋人が出来たり、トレーニング中の怪我でステータスが下がってしまったり、また逆にちょっとした出来事でステータスが急上昇したりなどと…実に様々。いずれのイベントも時に嬉しいものがあれば、嬉しくないものもあったりして、プレイヤーの育成方針をことごとくかき乱す。更に、選手達には一人一人、ステータスに『やる気』の項目が存在し、これが悪かったりするとトレーニングでの成長もままならなかったりするなど、コンディション面での管理もここでは問われてくる。だけれども、しっかり管理していてもイベントが発生して、運悪く折角上昇させた『やる気』も下がってしまったりして…本当にもう、一見…流れとしてはシンプルで単調でありながらも、緊張感満点なのである。…見た目の可愛さとは裏腹に。
だがシレンシリーズもそうだったように、どんなに予期せぬ事が発生したとしても、直に選手のコンディション等を回復するアイテム(キャンプ中に時々やってくる行商人から購入できる)を投与したり、別のトレーニングを施せば、ある程度はリカバーできるようになっているので、そんなやっていて変に苛立つ事はほとんど無い。その辺は上手く調整されている。そして、ランダム性を強くしているが故に、上手く育成できそうで上手くいかなかったり、予期せぬ事が起きて選手が急成長してしまったりなど、ついついのめり込んでしまう強烈な中毒性が醸し出されている辺りも、流石はあの不思議のダンジョンシリーズを手掛けたチュンソフト、と唸らせられる。まさに1000回遊べるRPGならぬ、1000回遊べるフットサルゲーム、ここに誕生と言ったところか。相変わらず、このゲーム性の深さには脱帽だ。
育成のみならず、試合もそんなチュンソフトらしいバランスが発揮されており、実に緊張感と中毒性溢れる仕上がりになっているのが面白い。試合の基本ルールはフットサルを基本としているが、制限時間は前後半共に2分、参加できる選手は4人まで、更に先に7点を先取した場合は『ワンサイドゲーム』となって、例え前後半で制限時間が残っていたとしてもその時点で試合が強制的に終了すると言ったように、非常にコンパクトなものにまとめられている。特に制限時間は長過ぎず、短過ぎずの丁度良いバランスで、遊んでいて変にダレる事が滅多に無いのが秀逸だ。また、ワンサイドゲームも試合展開のテンポの良さを助長しており、携帯ゲーム機のゲームらしさが出ているのがナイスだ。
しかし、それ以上にこの試合で最も秀逸なのは各選手ごとの個性豊かな必殺技と『レイズアップ』の存在だろう。いずれの要素もゲームらしい嘘っぽさ、ハチャメチャぶりが滲み出ていて、試合展開を面白いものにしている。特に『レイズアップ』の存在は強烈。今作では試合中に落ちてくる特定のアイテムを拾う事で、ゴールに入れた際に得点が上昇していくようになっており、沢山取れば一気に7点まで上昇。0−6の圧倒的不利な状況から一気に大逆転できる、あまりにハイリスク&ハイリターンな事が今作ではできてしまうのである。だから、例え圧倒的に相手との点差が著しく離れていたとしても、十分にチャンスあり。逆に言えば、自分がリードしていても逆転される可能性があるので終始、気の抜けない展開が続いていくのだ…。何と無茶苦茶な!幾ら点差を離しても大逆転される可能性があるだなんて、こんなサッカーゲーム(というか、スポーツゲーム)が今まであったか!?それほどまでに今作の試合はスリル満点、且つ波乱の内容となっているのだ。流石はチュンソフト、そして『育成スポーツアクション』だけにあると言ったところだろうか。これだけでも今作が、如何に恐ろしいゲームになっているかは想像に難くないだろう…。
勿論、ゲーム的な要素ばかりを押し出しているのではない。フットサルやサッカーの醍醐味であるフォーメーション構築の戦略性もバッチリで、サッカーファンやフットサルファンも納得の手応えを味わう事ができる。試合の操作に関しても、実際に選手を動かせるモードと監督になって観戦するモードの2つが用意されており、スポーツ系のゲームが苦手な方の為の配慮が凝らされているのも地味に嬉しい。まだまだ語るべき所はあるが、このように今作はとにかく波乱万丈、何が起こるか分からない!だけど、それ故にムキになっちゃう!…そんなゲーム的な面白さと中毒性が満載なのである。それ故に、凄く長く楽しめるゲームになってるのは…もう想像が付くでしょう。

ゲーム本編の完成度のみならず、操作性やサポート面も今作は素晴らしい出来。操作性は先程にも上げたが、スポーツゲーム初心者と上級者の棲み分けが図られているのが素晴らしい。誰もが気軽に触れる敷居の低さを実現している。
サポート周りも操作モードを用意するのみならず、丁寧なチュートリアルや解説などユーザーが身構えずに楽しめる為の工夫が凝らされているのが秀逸。多彩な種類が用意されているアイテムも、ネーミングからして使った際の効果が一目で分かるものばかりで統一されているのも、変にユーザーを絞っている感が無くて好印象だ。
また、サッカーファンならば思わずニヤリとしてしまう小ネタの数々も必見。対戦相手のクラブチームに実在のものがあったり、某有名選手を文字ったパロディキャラが出てきたりなど、随所に開発スタッフのサッカーへの愛がひしひしと伝わってくる。(実際、今作のディレクターを手掛けた方は相当なサッカー通だという)
グラフィック、音楽もゲーム全体の明るさ、ハチャメチャさとマッチしていて秀逸。ただ、音楽に関してはメニュー画面の曲は良いのだが、試合で流れる曲のどれもが内容を盛り上げるものではなく、逆に盛り下げるようなラインナップとなっているのが少々残念。できれば、もっと熱く、それでいて魂を揺さぶるような曲を用意して頂きたかった。
それこそまさに『キャプテン翼』のように。…ああいう曲の方が試合も盛り上がるでしょう。

逆に登場キャラクター達はいずれも個性豊かで熱く、それでいて可愛らしい面々ばかりで、ゲームの雰囲気を和やかなものにしてくれる。基本的なデザインも原作のシレンシリーズよりは”ユルめ”で、マムルや行商人辺りのデザインなんかは、女性なら思わず「可愛い!」と声を挙げてしまうこと、間違いなしだ。
音楽の冷たさやイベント群は多いとは言え、やや単調なゲーム展開、3Dが苦手な方にはドきつい試合時のカメラワーク、そして各フィールドごとの違いが出ていないなど、地味な欠点もチラホラとあるが、全体的なゲームとしての完成度は大変素晴らしく、中毒性もまず間違いなく、GBA史上トップクラスに値している本作。
ゲームの醍醐味とフットサル(サッカー)の魅力を共に味わえるゲームボーイアドバンスの隠れた名作だ。フットサル好き、サッカー好きは言う事無く、やり応えのあるゲームを求めるユーザーには文句無しにお薦め。如何にもゲームらしいスポーツゲームの魅力をとくとご堪能あれ。
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