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≫GET!ボクのムシつかまえて
■発売元 ケムコ(コトブキシステム)
■ジャンル 昆虫採集アドベンチャー
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 5040円(税込)
■公式サイト ≫任天堂:紹介ページ
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 3つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 ゲームボーイアドバンス専用通信ケーブル対応
■総説明書ページ数 25ページ
■推定クリア時間 30〜40時間(エンディング目的)、80〜90時間(完全攻略目的)
■補足情報 ≫ストーリー攻略メモ(※ネタバレ注意)
主人公の住む『バッタムシティ』。
この街ではかつて、『ドクロ病』なる治療法の分からぬ謎の病気が流行し、多くの人が命を落とした。後にその病気は『ある昆虫』の撒き散らす毒によるものと分かり、街全体が虫の捕獲に乗り出した。だが捕獲は失敗。結局、病を治す手掛かりを得る事は叶わなかった。

そんな悲劇から5年後。
ドクロ病騒ぎは虫捕りブームとして形を変え、街中の子供と大人を熱中させていた。
主人公もそのブームに乗る為、学校が終わった後、昆虫探しの冒険へと出かける。
それが、あの5年前の騒動の再来となるとも知らずに…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆全てプレイヤーの自力で解く事に重きを置いた、自由度の高いゲーム展開
◆見た目のシンプルさ、見知らぬ虫を集めていく面白さと中毒性に秀でた『昆虫採集』
◆昆虫採集がテーマのゲームらしからぬ、ダークなネタを取り扱った珠玉のストーリー
◆先に進みたくなる意欲を刺激する、あまりに嘘っぽくて面白さ満点のフィールドマップ
◆一見なんでもない段ボールから粗大ゴミまで、しっかりと調べた際のメッセージが設定された、細かな作り込みとこだわりが炸裂したフィールドマップのオブジェクト
◆最初は非力だが、昆虫採集を続けるに連れ、強くなっていく過程が新鮮な主人公
◆昆虫解析にセーブ、荷物管理等、それぞれの役割が明確に打ち出された仲間達
◆物を調べた時の反応の良さが秀逸な、シンプルで取っ付き易い操作性
◆基本、突き放しているが、序盤の進み易さ等、きちんと考えられているゲームバランス
◆昆虫図鑑、コンテスト制覇、インテリア集めなど盛り沢山のやり込み要素
◆美しさでなく、見易さにとことんこだわった、ゲームらしいこだわりが光るグラフィック
◆実生活でタメになるトリビアやブラックジョークなど、センスに富んだ台詞遊びの数々
◆MOTHERファンならば思わず笑ってしまう、狙い過ぎな小ネタと演出

--- Bad Point ---
◆自由度が高過ぎる為、逆に初心者には途方にくれ易いゲーム展開(敷居が高い)
◆基本、ノーヒントで、かなりの高難易度を誇る謎解き(後半になると、攻略本が無いと解けないものまで出てくる…)
◆あまりに鈍過ぎる、序盤の移動スピード(中盤からマシになるが…)
◆病院に行かねば治療できない、『元気』ゼロ後の症状(そこまで移動するのが辛過ぎ!)
◆網で取るのがメインな為、どうしても単調化する昆虫採集(もう少し、捕り方のバリエーションがあって良かったかも)
◆あまりに呆気無いオチのエンディング(少し唐突過ぎる感が…。)
▼Review ≪Last Update : 7/12/2008≫
呪われし虫が、再び悲劇を産む…

悪夢が潰える日はいつなのか。


Jウィングの『昆虫博士』シリーズ最新作として予定されながら、とある事情によってケムコ(コトブキシステム)に発売元を変更し、全くの新作となってリリースされた、曰く付きの過去を持った昆虫採集アドベンチャーゲーム。

自力で道を切り開く辛さと面白さを教えてくれる、隠れた傑作だ。

ゲーム内容は、いわゆる『ポートピア連続殺人事件』のようなコマンド選択型のテキストアドべチャーではなく、RPGのようにフィールドマップを歩きながら進めていく、探索に特化したアドベンチャーゲーム。主人公ミッケル(変更可能)を操り、マップを歩き回りながら昆虫を集めたり、イベントを攻略したりしていく…というのが、大体のあらましだ。
テキストアドベンチャーとは違い、RPGのようにプレイヤー自らがキャラを操作して進めていくタイプの作りとなっているので、ゲームとしてはかなり取っ付き易い。またストーリーを延々と追いかけていくのではなく、様々なマップを冒険(アドベンチャー)していく事に重きを置いた内容となっているのも、特筆すべきポイントと言える。
だが、今作最大の特色はそんな取っ付き易さ、本当の意味でアドベンチャーしている内容ではなく、全編を通して「自力で解く面白さと辛さ」が一貫されている事にある。単刀直入に言って、今作は自由度が半端じゃなく高い。「昆虫採集をする」という明確な目的こそ提示されているものの、それをどう言ったプロセスを経て行っていくのか、それが序盤から…何も提示されない!一欠片も提示されない!ゲーム本編が始まったら、「どうぞ自由にマップを動き回り、昆虫採集をしていってください!」と言った感じに、突き放されてしまうのである。
一応、ゲーム中にはちゃんとしたストーリーもあるのだが、そこで「次はここへ行ってみましょう」みたいなヒントが出る事も無し。マップ上の謎解きもまた然り。メインの昆虫採集からマップの移動から何まで、全て、自力でこなしていかねばならない、思わず呆気に取られてしまうほどフリーダムな構成となっているのだ。
そんな全て自力でやっていくのとなると、途中で詰まったりするのはザラなんじゃないのかと言われると、まさにその通り。基本ノーヒントだから、当然のように陥り易い。むしろ、ならないのがおかしいほどだ。しかし、幾ら陥り易いとは言え、序盤から全てのマップに移動できる訳ではないし、最初からいきなり難しい謎解きを強いられる事は無い。最初は緩めに、移動できるマップが増える後半からは厳しく…と言ったバランス調整が成されているので、序盤とかは本当、適当に歩き回っているだけで、どんなイベントもスラスラとこなしていける。いきなり最初から途方にくれるなんてのは無いから、心配ご無用だ。その辺はきちんと考えられている。
しかし、それで今作が、誰でもクリアできる難易度なのかと言われるとそうでもなく。後半になると攻略本が無いと解くのも厳しい謎解き、イベントが沢山出てくるので、本気でクリアを目指そうとするのだとなると余程の根気と観察眼が無いと適わない。また、序盤の主人公の極端に遅い移動スピード、ゼロになると移動スピードが更に遅くなり、虫を採る事もできなくなる『元気(体力)』の概念、手に入り難いアイテム類、捕まえ難い昆虫など、やる気が折れてしまうトラップも盛り沢山で、これもそんな意識の大きな妨げとなる。まさに「自力で解く事の辛さ」とはこの事。自由度の高さもさる事ながら、昨今のゲームでは当たり前のメッセージによる移動誘導やら、ストレス除去の気配りとかが無いので、本当、半端じゃなくきつい仕上がりとなっているのである。
だが、そんな辛い内容なのに、実際に遊んでみると「もっと先に進みたい」という気持ちが強くなっていく。途中で挫折しても、「もしかしたら…」と、再び電源を入れたくなるのだ。こんなにも辛いゲームなのに、どうしてなのか。

それは今作、辛さと同時に「自力で道を切り開く面白さ」を表現する要素が、恐ろしく充実しているのである。そう言った要素が充実しているが為に、先へと進みたくなる、そして例え途中でめげてしまっても再びやりたくなってしまう。
何とも表現し難い、不思議な中毒性が全編において、醸し出されているのだ。
そんな中毒性を醸し出す代表的なものとして挙げられるのが、舞台となるマップ、昆虫採集とそれによる主人公のレベルアップ、そしてダークなストーリーの三つ。
マップはとにかく、ロケーションが豊富。街に村は勿論のこと、湖に畑、工場、怪しい研究施設、更にはマンホールだらけの荒野など、明らかに「ゲームっぽい」地形が続々と出て来るので、何が何でも先へと進ませたくなる意欲が駆りたてられる。更に中には、ゲームの進行に応じて地形が変化する所もあったり、また主人公が強化アイテムや奥義(?)を入手する事で、初めて通過可能となる通路もある等、特徴的なギミックも盛り沢山。メトロイドなどの探索系のゲームが好きなプレイヤーなら、思わず気持ちが熱くなってしまうだろう。また、どのマップも基本的に、「ゴミ箱や本棚などのありとあらゆるオブジェクト(物)を調べる事ができる」というのも、地味ながら要チェックだ。
本作の肝、昆虫採集もなかなか。虫の採り方はかなりシンプルで、マップ上で飛んでいる虫に近づいてAボタンで網を振り下ろせば良いだけなのだが、装備している網やグローブの如何によって入手できる確率が変化したり、また一部の虫は特定の地形を調べないと出てこないなど、RPG的な要素があったりして、地味ながら深いものに仕上がっている。出てくる虫もお馴染みのものから、マニアックなものまで全250種類と盛り沢山。図鑑機能もあり、詳細なデータも記録されるので、コレクター魂も刺激させられること、間違いなしだ。
また、虫は基本的に資金源でもあり、沢山採れば採るほどお金が溜まり、主人公を強化させる高価なアイテム(移動速度を上げる靴、網など)が買えるようになっていく。主人公を強化させれば、マップの探索も劇的にやり易くなっていくので、自然と採集にも気合が入ってくる。何よりも、虫を集めれば集めるほど、主人公が強くなっていくという流れは、まさに本作が昆虫採集アドベンチャーたる由縁のもの。もう、ただお見事の一言だ。
他に採った虫を育てる事によって参加できるコンテスト、オークション等の要素も要チェック。多少ながら、資金源としての存在に特化し過ぎている感も否めないが、虫を集める事の面白さと嬉しさはとてもしっかりしている。これは何が何でも、本作をやったら味わうべきだ。
そして最後のストーリーだが…これがまた、凄い。昆虫採集と聞き、誰もが子供っぽいものを想像してしまうと思うが、意外にもその内容はかなりダーク。序盤こそ、淡々と昆虫採集を中心にした楽しげな話が展開されていくのだが、徐々に『ドクロ病』なる不気味な病気とそれに感染した少年、その病気の元を巻き散らす呪われた昆虫にまつわる展開が中心になる衝撃的な内容となっている。特に終盤以降はほとんど別のゲーム同然の展開が待ち受けており、誰もがその雰囲気の変化に目を疑ってしまうはず。こんな内容なら、誰もが結末を気になってプレイしたくなってしまうのも必至でしょう。
他にも役割分担が成された仲間キャラなど、魅力はあるのだが割愛。
確かに、ゲームそのものは辛い。めげちゃうぐらいだ。しかし先の通り、今作はその厳しさを逆手に取った遊び…「自力で開いていく面白さ」が充実しているから、辛くてもまたやりたくなってしまう。それほどまでに今作は、「辛いゲーム」と言うだけでは済まない、素敵な魅力がある。まさに「辛くて面白い」、摩訶不思議なゲームとなっているのだ。
辛いのに面白いと思えるゲームとは、これまた珍しいの一言に尽きる。

その他の魅力として、操作性も良好。序盤だけ主人公の移動スピードが遅い為、多少イライラさせられる所もあるが、中盤以降は別。とても快適にキャラを動かせるようになる。また、物を調べた際の反応も素晴らしく、探索意欲を煽る感触となっているのも要チェックだ。
やり込み要素も、昆虫図鑑コンプリート、コンテスト制覇などやたらと充実している。また、ゲーム中に買える部屋のインテリア集めなど、本来の目的とは脱線した遊びが用意されているのも面白いところだ。
グラフィック、音楽もそこそこ。特にグラフィックは見易さに重きを置いた色使い、配慮が成されているのが良い感じ。標本っぽさを押し出し、リアリティを控えた昆虫のグラフィックも、虫が苦手な人への配慮が感じられてお見事だ。
演出周りも、地味ではあるが、なかなか良く出来ている。特にゲーム終盤にて展開される、どう見ても任天堂のMOTHERシリーズを意識したデモの数々は、ファンなら爆笑必至だ。
更に、所々にそのMOTHERシリーズのネタが仕込まれているのも見逃せない。セーブ方法が電話であるとか、地下下水道とか、変装して研究所に潜入、母親の幻影とか、これもまた、ファンならば思わず「狙い過ぎだろ!」と突っ込んでしまうこと、間違いなし。露骨過ぎる描写の数々にクスッと笑ってしまうだろう。今作よりも後に出たシリーズ最新作『MOTHER3』のネタも混じっているが、それについては気にしない、気にしない。

とにかく、ゲーム自体の敷居が高くて初心者には辛く、嫌いな方にはとことん合わない欠点が多いのも事実。しかしながら、ゲーム自体の完成度はこれまでのを見れば分かる通り、なかなかのもの。辛さを逆手に取ったマップや昆虫採集、ストーリーと言った要素の数々、優れた操作性、狙いまくりのMOTHER風の演出など、本当に文字通り『捨て難い』としか言い様の無い魅力がこれでもかと詰まった、この『GET!ボクのムシつかまえて』。
『ゼルダの伝説』や『メトロイド』等の探索型のゲームが好きな方、そしてファミコン臭いゲームが好きな方ならば、是非ともプレイしてみて欲しい、隠れた傑作アドベンチャーゲームだ。昆虫採集と探索型アドベンチャーの奇跡の融合、そして親切になり過ぎた昨今のゲームに対するアンチテーゼをその手で体験すべし。ファミリーコンピュータ時代からの真っ当な進化を遂げた、本当のアドベンチャーゲームの姿がここにある。
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