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  4. ファイアーエムブレム 封印の剣
≫ファイアーエムブレム 封印の剣
■発売元 任天堂
■開発元 インテリジェントシステムズ
■ジャンル シミュレーションRPG
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 5040円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 3つ+中断1つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
⇒後期出荷分はフラッシュメモリバックアップ
■その他 ゲームボーイアドバンス専用通信ケーブル対応
■総説明書ページ数 60ページ
■推定クリア時間 25〜30時間(エンディング目的)、80〜100時間以上(完全攻略目的)
かつて人と竜が共存していた大陸『エレブ』。

この大陸の東に点在する大国「ベルン王国」がある日、国王ゼフィールの命令の下、突如として各地への侵攻を開始。付近のサカ、イリア地方を瞬く間に占拠した。これに対し、西のエトルリア王国とベルン王国の狭間にある『リキア同盟』は、ベルン軍のこれ以上の侵攻を食い止める為、出陣。

そして、小勢力の一つ『フェレ家』の嫡男ロイもまた、病気の父に代わってフェレの手勢を率い、出陣する。
これから訪れる、大いなる運命も知らずに。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ややこしい要素を撤廃し、結果として抜群の分かり易さを実現したゲームシステム
◆『城門・玉座の制圧』に限定され、格段にシンプルになったマップ攻略条件(原点回帰)
◆傭兵、剣士、魔道士などと名称が簡素になり、特徴が格段に掴み易くなったユニット
◆シリーズ初心者には嬉しい、新たに追加された『チュートリアルモード』
◆上に同じく、初心者に優しい、Rボタンによる用語ヘルプ機能
◆『待機』と『持ち物』の項目が逆になり、誤動作の確率が格段に下がったユニットのウィンドウメニュー
◆ボタン数の激減、並びに複合化により格段に快適さが増した操作性
◆電池切れの恐怖を大幅に軽減した、フルオートのセーブシステム
◆メインから脇役まで、全ての登場キャラクター達の内面を丁寧に描写している、過去の支援効果システムをアレンジした新システム『支援会話』
◆最大4人まで遊べる、シリーズとしては史上初の対戦モード『通信闘技場』
◆絵数の少なさを逆手に取った、ダイナミックな動きが実に見事な、新しい戦闘シーン
◆細部まで考え尽くされた絶妙な敵配置と全体的な設計が見事な、全30以上ものマップ
◆スペシャルマップ、隠しキャラクターなど充実したやり込み要素と総計ボリューム
◆RPG寄りとなり、難易度の上げ下げが効くようになった、秀逸なゲームバランス
◆やや色数が減ったが、それでも抜群の美しさを実現しているグラフィック
◆GBAというハードを思わせないほど重厚な音源で送る、秀逸な音楽
◆王道ではあるが、シリーズとして初の展開も幾つかある、見所満載のストーリー

--- Bad Point ---
◆外伝マップを全て通過しなければ遊べない章の存在(いくら何でも厳し過ぎる)
◆戦争の雰囲気をぶち壊している、支援会話の内容(一部、世界観に則したのもあるが)
◆冗長な闇魔法のエフェクト(もう少し、早くできなかったのか…)
◆システム上の都合で、どうしても冗長化してしまう2回攻撃武器を用いた戦闘
◆ゲーム中盤に存在する、終盤よりも陰湿な一部のマップ(配置ミス…?)
◆初心者対策としては良いものの、一部のシステムに関する解説が抜けていたり、独立したモードとして扱われてるなど、いま一つ配慮が足りないチュートリアル
◆最終的に能力差の問題となってしまう対戦(これはちょっと…)
◆旧作ファンには賛否両論なRPG寄りのゲームバランス
▼Review ≪Last Update : 6/9/2007≫
気が付けば、変わっていたの、ボクの服

『大乱闘スマッシュブラザーズDX』より。(5・7・5でまとめてみました)


シミュレーションRPGというジャンルを世に広め、意欲的なな新システムと重厚なストーリー、手強い難易度でユーザーを魅了してきたファイアーエムブレムシリーズ最新作。前作までとは全く違う新スタッフによる、最初の作品である。

これまでのチャレンジ路線から一転し、安定路線へ。
結果として、抜群の遊び易さが備わった、シリーズ屈指の手軽に遊べる傑作だ。

ゲーム内容はシナリオキャンペーン方式を採用したターン制のシミュレーションRPG。個性豊かなユニットを移動させてマップ上の敵を撃破し、与えられた勝利条件を達成してそのマップをクリアしていく、お馴染みの内容だ。
基本システム並びにインタフェース周りは前作の『トラキア776』のものを継承。ただ、舞台となるマップの攻略条件が基本的に『城門・玉座の制圧』の一つに絞られた事、敵からアイテムを奪う捕縛システム、ユニットごとに割り振られた特殊能力『スキル』、馬に乗った騎馬系ユニットの再行動及び、ランダム再行動システムなどのシステムはほとんど廃止。ゲームを構成する必要最低限のものに留められ、結果として戦術面で不用意に考える要素が減少し、よりシンプルに、そしてより手軽にゲーム本編を楽しめるようになっている。ただ、攻撃時の命中率への影響を与える『武器の三すくみ』システムや、前作の『トラキア776』から新たに加わった、ピンチのユニットを別のユニットで担ぎ上げて危険地帯から退避させるのに役立つ『かつぐシステム』は今作でも継承されている。しかし、いずれも他の排除された要素に比べれば、そこまでマップ攻略の妨げになるほどのものではないので、残した事自体には特に問題は無いと言えよう。
基本的に前作までに見られた意欲的なチャレンジ精神というのは、本作においてはほとんど無く、目立つような新要素はあまり無い。遊び応え自体は、シリーズ第三作目に当たる『紋章の謎』に大変近い作りとなっている。チャレンジ精神の無い…安定第一の作りとなってしまっている為、過去のシリーズファンの方にはあまり新鮮味を感じられない…と言えば、確かにそうだが、システム自体はこれまでにあったものを更に洗練させたものとなっているので、とっつき易さと遊び易さは抜群。シリーズとしては初めて…だろうか、安心して遊べる仕上がりになっている。
更に、今作では『チュートリアルモード』が用意されており、説明書が無くても遊べる設計になっているので、シリーズ初心者でも大丈夫。これまで「硬派なユーザー向けのゲーム」としての姿勢を貫いてきたシリーズの伝統を打ち破る、驚きの敷居の低さを実現している。
確かにチャレンジ精神こそ薄いが、ユーザーフレンドリーな精神はありまくり。「遊び易いファイアーエムブレムを作り出そう」という、新スタッフの強烈な思いが全体的に伝わってくる。

なお、目立つような新要素が無いとは言え、全く無い訳ではなく…一つだけ、それまでにあったシステムを新しく改良したシステムがある。その名も『支援会話』。これは特定のキャラと特定のキャラが見えない絆で繋がっており、そのユニットを隣接させると命中率・並びに攻撃時の必殺率が上がるという『紋章の謎』から採用された(厳密には『外伝』から採用されていた?)『支援効果』のシステムを、より明確なものに改めたもので、今作では2人のキャラが一定のターン数、近くに待機し続けるとウィンドウメニューに『支援』というコマンドが表示されるようになっており、これを選択するとその隣接したユニットとコマンドを選択したキャラクターが会話を始め、二人の絆(支援)のレベルが向上するという、随分とユニークな設計になっている。それまで、「あのキャラの性格はどんなものだったのだろう?」と気にしていたキャラクターのファンの方々にとっては、本当に目からウロコの新要素と言えよう。またこの会話システムが加わった事により、誰と誰を組み合わせて関係を作り上げるかという、人間関係を作り上げる事の面白さが生じているのも大きなポイントだ。考える事の面白さを追求してきたFEシリーズならではの、大変面白い試みと言える。ただ、いずれのキャラクターごとの会話内容も、明らかにストーリーの雰囲気を捻じ曲げかねないもの…とても「戦争中に話すようなものではない」会話が多いのが非常に残念である。どうにも、制作スタッフの思い入れが暴走してしまっている。この辺りはもう少し、自重するよう心がけて欲しかった…の一言に尽きる。これじゃ、二次創作作品ギリギリだ。
この『支援会話』の他にも、『通信闘技場』なる対戦モードが新たに追加。ゲーム本編で育てたユニットを用いて、相手のユニットと対戦させる、シリーズの醍醐味の一つである育成に重点を置いたゲームルールとなっており、GBA専用の通信ケーブルを用いる事で、最大4人まで対戦する事が可能だ。これまで、1人用ゲームとして一貫してきたファイアーエムブレムのイメージを大きく覆す、革新的な追加要素…と言えば、確かにそうなのだが、残念ながらイマイチ存在感が薄い。というのも、育成勝負という事で、高いレベルのキャラほど有利になってしまうと言う問題点がある。辛うじて、ブラインドなどの対戦を面白くする為の試みも盛り込まれているが、どうしてもその点が引きずる。あえて対戦を入れた試み自体は買うが、やるならばもう少しルールを練ったものを導入して頂きたかった。或いは、マップ戦略に重点を置いたものなどと。というか、FEで対戦を入れるならば、そっちの方が妥当じゃないかと思うのは気のせいだろうか。
とにもかくにも、このように確かに表面上は安定路線を維持してはいるのだが、地味ながらも細かな所で新しい要素も追加されている。まさに、地味なチャレンジ…というべきだろうか。決して、悪い意味で言っているのではなく。

その他、これまでに多くのユーザーを唸らせてきたマップは、今作も細部まで考え尽くされた深みのあるものが満載で、プレイヤーの頭を大いに奮い立たせる。特定の条件を達成する事で入れる『外伝』のマップも健在で、ボリューム面に関しても申し分の無い量となっている。そして前作で猛威を振るった、『回復行動を行う』などと言った敵の奇想天外な行動も健在。ただ、ハード性能の都合か、武器の受け渡しなどの動作は排除されている。でも、これはこれで、下手に悩まされる必要というのを排除しているので、良い改善点だ。
また、戦闘画面も前作から大幅に一新、初代FEの戦闘シーンを現代風にアレンジして高速化させたものに変更された。キャラがコミカルで、「何か、世界観に場違いじゃないか…」とパッと見では感じるかもしれないが、実際はかなりダイナミックで、少ない絵数を思わせない動きを見せてくれる。ユニットごとに固有の必殺技の演出を用意しているのも見逃せない点だ。ただ、二回攻撃系の武器を用いると長期化したり、闇魔法のエフェクトが長いなどの気になる所もあり、まだ練り込みが不足している。特に闇魔法関係のエフェクトに関しては、もう少し簡略化を図って欲しかった。慣れれば気にならなくなるレベルなのが、救いだが。
グラフィックは前作までの暗いトーンから、全体的に明るいトーンにイメージチェンジしている。使われている色数も随分と減っているが、それでも一定の美しさを出しているのが素晴らしい所だ。魔法エフェクトの凝り様も必見。
音楽に関しても、GBA音源を思わせないほどレベルが極めて高く、携帯ゲーム機へと移行しても、シリーズ独特の重厚さを失わず、しっかりとFEらしさを出している。肝心の曲に関しても、数こそ少なめではあるが、戦闘関連が実に秀逸だ。
ある意味、シリーズの根幹とも言えるゲームバランスも、少し落ち着いて考えれば必ず攻略できる、優し過ぎず難し過ぎずの好バランスを保っており、見事に万人向けの難易度を堅持している。また、成長要素を重視したややRPG寄りなバランスになっており、強いキャラがいればマップ攻略が楽になるという感じに、ある程度、難易度のコントロールができるようになったのも見逃せない点だ。しかし一部、終盤でもないのに極端に難しいマップがあったりするなど、若干詰めの甘い部分もある。中でも『外伝』のマップを全てクリアしなければ、グッドエンディングに到達できないというのも致命的だ。折角、こうも「万人向け」をアピールしいるのに、これじゃ意味が無い…。シリーズファンにとっては燃える要素でありはするが、初心者にも向けてアピールする本作でこういう事をするのはやめて頂きたかった。残念だ…。

また、ストーリーはこれまでとは全く違う、新しい大陸を舞台にした戦乱を描くお馴染みの内容なのだが、どうも過去のに比べるとやや勢いが欠け、淡々とし過ぎている印象強い。しかしながら、これまでのシリーズではあまりあり得なかった展開がチラホラあったり、それほど難しくなく…分かり易い内容となっているのは評価に値する点だ。
この他にも、ゲームのあらゆる場面を保存する、電池切れを起こした際に易しいフルオートのセーブシステム、クリア後限定の特別マップと言ったやり込み要素など、見所は満載。
支援会話の事やチュートリアル、そしてゲームバランス(クリア条件)などの面において、いま一つな所もあるが、全体的には水準以上の出来で、携帯ゲーム機並びに新しいスタッフ制作によるFEシリーズ第一弾を飾るに相応しい完成度を誇っている。前作でマニアックな方向に突き進んで、より一層初心者お断りな作品にシフトしていたファイアーエムブレムシリーズ。だが、本作に初心者お断りの看板は無い。初代の『暗黒竜と光の剣』、三作目の『紋章の謎』までのファイアーエムブレムが大好きだったファンの方々、そして『大乱闘スマッシュブラザーズDX』でFEの魅力を知った初心者の方々、共におススメできる決定版シミュレーションRPGだ。
GBAユーザーならば要プレイ。元祖シミュレーションRPGの底力、とくと思い知るべし。
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